「Strangers In The Night」 Peter Baumann
「Strangers In The Night」(1983 Arista)
Peter Baumann:vocals・keyboards・synthesizer

1.「Strangers In The Night」 Bert Kaempfert/Charles Singleton/Eddie Snyder
2.「Metro Man」 Peter Baumann/Eli Holland
3.「King Of The Jungle」 Peter Baumann/Marc Blatte/Larry Gottlieb/Eli Holland
4.「Be Mine」 Peter Baumann/Eli Holland
5.「Time Machine」 Peter Baumann/Chris Tanuzzi/Eli Holland
6.「Taxi」 Peter Baumann/Marc Blatte/Larry Gottlieb
7.「Cash」 Peter Baumann
8.「Glass House」 Peter Baumann/Eli Holland
9.「Ground Zero」 Peter Baumann/Marc Blatte/Larry Gottlieb/Eli Holland
10.「Welcome」 Peter Baumann
<support musician>
Eli Holland:vocals
Rob Zantay:vocals
Ritchie Fliegler:guitar
Ritchie Teeter:drums・keyboards
Bruce Brody:synthesizer
produced by Peter Baumann・Robert Clifford
engineered by Robert Clifford
● 前作に引き続きシンセポップ路線で古くからのファンを惑わせ果敢に売れ筋を狙いながら見事に外された路線打ち止め作
ジャーマンエレクトロミュージックの始祖の1つとも言うべきTangerine DreamのメンバーであったPeter Baumann早くからシンセサイザーを導入した電子音楽家として将来を嘱望されていましたが、80年代のニューウェーブムーブメントに当てられて、Gary Numanスタイル(声のトーンは全く異なるが)のエレクトロポップ路線に転換し、1981年にアルバム「Repeat Repeat」をリリース、タイトル通りの無機質反復ビートを基調にした電子音満載の楽曲は、そのポップ性であるがゆえに、Tangerine Dream的音世界を期待している旧来のファンを惑わす作品となりました。しかし彼はそのような賛否両論の評価にめげず、さらに同路線を継続して次作を制作の入り、2年のインターバルを置いた83年に本作がリリースされました。
60年代オールディーズの名曲、Johnny Mathis「Strangers In The Night」の画期的なエレポップリメイクでスタートする本作は、ポップ志向ながらやや神経質であった前作と比較しても、さらに洗練されたポップ寄りのシンセポップサウンドが全面的に支配しており、開放的、さらに言うなれば牧歌的とも言うべき楽曲も多く収録されています。持ち前のサイエンスフィクションなコンセプトながら極力トレンドに無理やり合わせてきたようなソングライティングながらも、彼の本領は「Strangers In The Night」や「Welcome」で見せる自由奔放なシンセソロに集約されていると思われます。シンセサウンドには一日の長がある彼ならではのこだわりと熟成の魅惑の音色とフレージングは、凡庸なエレポップに成り下がったと評価されがちな本作にあっても強烈な存在感を放っています。そして全編に渡るしっかりプログラムされたシーケンスと作品中で大活躍のSIMMONSエレクトリックドラム、そしてボコーダーの使い方などはTangerine Dream時代に培った電子楽器への造詣の深さを十分に感じさせる深みと愛のこもったサウンドデザインと言えるでしょう。結局本作も世間一般の理解を得たとは言えず、本路線は本作で終了、その後は自身のインディーズレーベルを設立しインストゥルメンタルな電子音楽に邁進していきますが、本作も時代の徒花としてではなく、当時のエレポップの好作品として再評価してもらいたいところです。
<Favorite Songs>
・「Strangers In The Night」
Johnny Mathisのあの美しいメロディの原曲を、ここまでキレの良いエレクトロポップに進化させるという思い切ったリアレンジナンバー。チープなシーケンスに乗った軽快なシンセサウンドにパワフルなシモンズフィルイン、間奏の強烈なシンセソロ等見せ場も満載で、原曲の面影を完全に消し去ったBaumannカラー全開の素晴らしいリメイクです。
・「Cash」
80年代前半御用達のチープなシーケンスと軽快なエレクトリックドラムが基調の明るいポップチューン。単純なサウンド構成など手抜き感も散見される中でも、ギターも加えながらもロックにも色気を出すなどその迷走ぶりがまた楽しい楽曲です。シンセソロもノリが良く、当時は既に使い古された感のあったボコーダーも迷いなく使用する部分はこだわりなのでしょう。
・「Welcome」
ラストナンバーでもバラードに落ち着くことなくアッパーチューンで攻めていく姿勢を評価したいです。ギミックも満載にエレクトリックSEで攻めまくり、粘り気のあるシンセソロやサンプリングもSEもギターソロまで飛び交う長尺の感想にプログレ魂を感じます。ラストにして本領を発揮した本作随一の名曲です。
<評点>
・サウンド ★★★ (凡庸に収めると思いきやソロパートの冒険心が潔い)
・メロディ ★ (ポップに寄せてはいるが既聴感甚だしく飽きも早い)
・リズム ★★★ (前面に出て主張するエレクトリックドラムが大活躍)
・曲構成 ★ (コンセプトが功を奏しているのかいないのか微妙な)
・個性 ★★ (ポップ路線の継続は結果時代に乗り遅れた印象に)
総合評点: 7点
Peter Baumann:vocals・keyboards・synthesizer

1.「Strangers In The Night」 Bert Kaempfert/Charles Singleton/Eddie Snyder
2.「Metro Man」 Peter Baumann/Eli Holland
3.「King Of The Jungle」 Peter Baumann/Marc Blatte/Larry Gottlieb/Eli Holland
4.「Be Mine」 Peter Baumann/Eli Holland
5.「Time Machine」 Peter Baumann/Chris Tanuzzi/Eli Holland
6.「Taxi」 Peter Baumann/Marc Blatte/Larry Gottlieb
7.「Cash」 Peter Baumann
8.「Glass House」 Peter Baumann/Eli Holland
9.「Ground Zero」 Peter Baumann/Marc Blatte/Larry Gottlieb/Eli Holland
10.「Welcome」 Peter Baumann
<support musician>
Eli Holland:vocals
Rob Zantay:vocals
Ritchie Fliegler:guitar
Ritchie Teeter:drums・keyboards
Bruce Brody:synthesizer
produced by Peter Baumann・Robert Clifford
engineered by Robert Clifford
● 前作に引き続きシンセポップ路線で古くからのファンを惑わせ果敢に売れ筋を狙いながら見事に外された路線打ち止め作
ジャーマンエレクトロミュージックの始祖の1つとも言うべきTangerine DreamのメンバーであったPeter Baumann早くからシンセサイザーを導入した電子音楽家として将来を嘱望されていましたが、80年代のニューウェーブムーブメントに当てられて、Gary Numanスタイル(声のトーンは全く異なるが)のエレクトロポップ路線に転換し、1981年にアルバム「Repeat Repeat」をリリース、タイトル通りの無機質反復ビートを基調にした電子音満載の楽曲は、そのポップ性であるがゆえに、Tangerine Dream的音世界を期待している旧来のファンを惑わす作品となりました。しかし彼はそのような賛否両論の評価にめげず、さらに同路線を継続して次作を制作の入り、2年のインターバルを置いた83年に本作がリリースされました。
60年代オールディーズの名曲、Johnny Mathis「Strangers In The Night」の画期的なエレポップリメイクでスタートする本作は、ポップ志向ながらやや神経質であった前作と比較しても、さらに洗練されたポップ寄りのシンセポップサウンドが全面的に支配しており、開放的、さらに言うなれば牧歌的とも言うべき楽曲も多く収録されています。持ち前のサイエンスフィクションなコンセプトながら極力トレンドに無理やり合わせてきたようなソングライティングながらも、彼の本領は「Strangers In The Night」や「Welcome」で見せる自由奔放なシンセソロに集約されていると思われます。シンセサウンドには一日の長がある彼ならではのこだわりと熟成の魅惑の音色とフレージングは、凡庸なエレポップに成り下がったと評価されがちな本作にあっても強烈な存在感を放っています。そして全編に渡るしっかりプログラムされたシーケンスと作品中で大活躍のSIMMONSエレクトリックドラム、そしてボコーダーの使い方などはTangerine Dream時代に培った電子楽器への造詣の深さを十分に感じさせる深みと愛のこもったサウンドデザインと言えるでしょう。結局本作も世間一般の理解を得たとは言えず、本路線は本作で終了、その後は自身のインディーズレーベルを設立しインストゥルメンタルな電子音楽に邁進していきますが、本作も時代の徒花としてではなく、当時のエレポップの好作品として再評価してもらいたいところです。
<Favorite Songs>
・「Strangers In The Night」
Johnny Mathisのあの美しいメロディの原曲を、ここまでキレの良いエレクトロポップに進化させるという思い切ったリアレンジナンバー。チープなシーケンスに乗った軽快なシンセサウンドにパワフルなシモンズフィルイン、間奏の強烈なシンセソロ等見せ場も満載で、原曲の面影を完全に消し去ったBaumannカラー全開の素晴らしいリメイクです。
・「Cash」
80年代前半御用達のチープなシーケンスと軽快なエレクトリックドラムが基調の明るいポップチューン。単純なサウンド構成など手抜き感も散見される中でも、ギターも加えながらもロックにも色気を出すなどその迷走ぶりがまた楽しい楽曲です。シンセソロもノリが良く、当時は既に使い古された感のあったボコーダーも迷いなく使用する部分はこだわりなのでしょう。
・「Welcome」
ラストナンバーでもバラードに落ち着くことなくアッパーチューンで攻めていく姿勢を評価したいです。ギミックも満載にエレクトリックSEで攻めまくり、粘り気のあるシンセソロやサンプリングもSEもギターソロまで飛び交う長尺の感想にプログレ魂を感じます。ラストにして本領を発揮した本作随一の名曲です。
<評点>
・サウンド ★★★ (凡庸に収めると思いきやソロパートの冒険心が潔い)
・メロディ ★ (ポップに寄せてはいるが既聴感甚だしく飽きも早い)
・リズム ★★★ (前面に出て主張するエレクトリックドラムが大活躍)
・曲構成 ★ (コンセプトが功を奏しているのかいないのか微妙な)
・個性 ★★ (ポップ路線の継続は結果時代に乗り遅れた印象に)
総合評点: 7点
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