「Vicious Pink」 Vicious Pink
「Vicious Pink」(1986 Capitol)
Vicious Pink

<members>
Brian Moss:keyboards
Josephine Warden:vocals
1.「Cccan’t You See」 Brian Moss/Josephine Warden
2.「Spooky」 Harry Middlebrooks/Mike Sharpe
3.「The Spaceship Is Over There」 Josephine Warden
4.「Blue (Love Mix)」 Brian Moss/Josephine Warden
5.「Fetish」 Brian Moss/Josephine Warden
6.「Take Me Now」 John David
7.「Always Hoping」 Brian Moss/Josephine Warden
8.「8:15 To Nowhere / Great Balls Of Fire」 Jack Hammer/Otis Blackwell/Brian Moss
9.「Cccan’t You See (Exxx-tended Re-Mixxx)」 Brian Moss/Josephine Warden
produced by Tony Mansfield・Gary Moberley
engineered by John "Tokes" Posotoker・Martin Webster
● 粗さの残るサイバーな質感が硬質な味を漂わせるマイナーエレポップデュオ唯一のベスト盤的アルバム
1982年「Private My Tokyo」というジャパンリスペクトなシングルでデビューしたシンセポップデュオVicious Pink Phenomena。Soft CellのバッキングヴォーカルとしてキャリアをスタートしたBrian MossとJosephine Wardenの2人によるこのユニットは、Soft CellのDavid Ballのプロデュースによる妖艶でストレンジなサウンドを引っ提げて前述の楽曲を含む2枚のシングルをリリースしたものの完全に当時のエレポップシーンの渦中に埋もれてしまう形となりました。しかし84年に心機一転、Vicious Pinkとユニット名を簡略化し、さらに元New MuzikのTony Mansfieldをプロデュースに迎えた3rdシングル「Cccan't You See... 」がマイナーヒットとなり、80'sを過ごした音楽好きの人々の記憶の片隅にその名を残すことになるわけです。その後も「Fetish」「Take Me Now」と立て続けにシングルをリリースした彼らですが、1stアルバムとしてレコーディングされた「Blue」はレコード会社との軋轢もあってお蔵入りとなってしまい、結局活動休止後の86年に申し訳程度にリリースされたシングル曲の編集盤が本作になります。
前述の通り本作はリネーム後の84年〜85年に彼らが残した3枚のシングルを集めた形となっているベスト盤ですが、そのサウンドはNew Muzikの3rdアルバム「Warp」からTony MansfieldがFairlight CMIに凝りまくっていたという背景もあって、PCM音源によるリズムを基調としたゴリゴリのサンプリング&シーケンスサウンドで埋め尽くされています。しかしながらFairlight CMIに耳を奪われがちなサウンドながら、Brian Mossが使用していた機材にはRoland製のシンセ&リズムマシンが多く、特に「Cccan’t You See」や「Fetish」といった楽曲にはTB-303が使用されており、まだアシッドマシーンとして認知される前のチープなベースシンセであったTB-303を(あの特徴的なレゾナンスを強調することなしに)活用していた先進性を垣間見せているところは興味深いものがあります。なお、5thシングル「Take Me Now」からは後年Prefab Sprout「From Langley Park To Memphis」にも参加していたGary Moberleyをプロデューサーに迎えていますが、彼もいわゆる「トニマンサウンド」を継承した硬質なミドル80'sサウンドを構築しており、シングル編集盤とはいえ意外と統一感の感じられる内容となっています。楽曲自体は平凡の域を出ないものの、Tony Mansfield直伝の人口甘味料的デジタリズムエレクトリックサウンドで魅了した彼らですが、この編集盤を持って活動を停止してしまいます。しかしお蔵入りとなった幻のアルバム「Blue」はまだロンドンのアビーロードスタジオに保管されているそうですので、いつの日か陽の目を見ることを期待したいところです。
<Favorite Songs>
・「Cccan’t You See」
彼らの名を一躍知らしめた最大(といってもマイナーですが)のヒットシングル。いかにもFairlight仕掛けですよ、と言わんばかりのサイバーなシーケンスにアンニュイなヴォーカルのリフレインがサンプリングまじりに繰り返されるというダンスチューンです。
・「Spooky」
4thシングル「Fetish」の両A面となった60年代オールディーズナンバーのリメイク。コクの深いベースフレーズにサンプラーによる強烈なスネアが楽曲を引っ張っており、その硬質な肌触りは原曲を忘れさせるほどの流石のTony Mansfield仕事です。
・「Always Hoping」
5thシングル「Take Me Now」のカップリング楽曲。彼ららしい実験精神が見え隠れするシンセポップで、軽快なシンセベースラインにキレのあるリズム、空間を意識したシンセサウンド、遊び感覚を感じるリズムトラックが楽しいB面ならではのマニアックチューンです。
<評点>
・サウンド ★★★ (トニマン人工サウンドによる仕掛け豊富なテクノ)
・メロディ ★ (典型的なサウンド偏重タイプの楽曲に特化している)
・リズム ★★★ (音作りと組み立て方は流石にミドル80'sらしさが)
・曲構成 ★ (シングルの寄せ集めではなくやはりアルバムを)
・個性 ★ (過激な音は光るが当のメンバーの個性につながらず)
総合評点: 6点
Vicious Pink

<members>
Brian Moss:keyboards
Josephine Warden:vocals
1.「Cccan’t You See」 Brian Moss/Josephine Warden
2.「Spooky」 Harry Middlebrooks/Mike Sharpe
3.「The Spaceship Is Over There」 Josephine Warden
4.「Blue (Love Mix)」 Brian Moss/Josephine Warden
5.「Fetish」 Brian Moss/Josephine Warden
6.「Take Me Now」 John David
7.「Always Hoping」 Brian Moss/Josephine Warden
8.「8:15 To Nowhere / Great Balls Of Fire」 Jack Hammer/Otis Blackwell/Brian Moss
9.「Cccan’t You See (Exxx-tended Re-Mixxx)」 Brian Moss/Josephine Warden
produced by Tony Mansfield・Gary Moberley
engineered by John "Tokes" Posotoker・Martin Webster
● 粗さの残るサイバーな質感が硬質な味を漂わせるマイナーエレポップデュオ唯一のベスト盤的アルバム
1982年「Private My Tokyo」というジャパンリスペクトなシングルでデビューしたシンセポップデュオVicious Pink Phenomena。Soft CellのバッキングヴォーカルとしてキャリアをスタートしたBrian MossとJosephine Wardenの2人によるこのユニットは、Soft CellのDavid Ballのプロデュースによる妖艶でストレンジなサウンドを引っ提げて前述の楽曲を含む2枚のシングルをリリースしたものの完全に当時のエレポップシーンの渦中に埋もれてしまう形となりました。しかし84年に心機一転、Vicious Pinkとユニット名を簡略化し、さらに元New MuzikのTony Mansfieldをプロデュースに迎えた3rdシングル「Cccan't You See... 」がマイナーヒットとなり、80'sを過ごした音楽好きの人々の記憶の片隅にその名を残すことになるわけです。その後も「Fetish」「Take Me Now」と立て続けにシングルをリリースした彼らですが、1stアルバムとしてレコーディングされた「Blue」はレコード会社との軋轢もあってお蔵入りとなってしまい、結局活動休止後の86年に申し訳程度にリリースされたシングル曲の編集盤が本作になります。
前述の通り本作はリネーム後の84年〜85年に彼らが残した3枚のシングルを集めた形となっているベスト盤ですが、そのサウンドはNew Muzikの3rdアルバム「Warp」からTony MansfieldがFairlight CMIに凝りまくっていたという背景もあって、PCM音源によるリズムを基調としたゴリゴリのサンプリング&シーケンスサウンドで埋め尽くされています。しかしながらFairlight CMIに耳を奪われがちなサウンドながら、Brian Mossが使用していた機材にはRoland製のシンセ&リズムマシンが多く、特に「Cccan’t You See」や「Fetish」といった楽曲にはTB-303が使用されており、まだアシッドマシーンとして認知される前のチープなベースシンセであったTB-303を(あの特徴的なレゾナンスを強調することなしに)活用していた先進性を垣間見せているところは興味深いものがあります。なお、5thシングル「Take Me Now」からは後年Prefab Sprout「From Langley Park To Memphis」にも参加していたGary Moberleyをプロデューサーに迎えていますが、彼もいわゆる「トニマンサウンド」を継承した硬質なミドル80'sサウンドを構築しており、シングル編集盤とはいえ意外と統一感の感じられる内容となっています。楽曲自体は平凡の域を出ないものの、Tony Mansfield直伝の人口甘味料的デジタリズムエレクトリックサウンドで魅了した彼らですが、この編集盤を持って活動を停止してしまいます。しかしお蔵入りとなった幻のアルバム「Blue」はまだロンドンのアビーロードスタジオに保管されているそうですので、いつの日か陽の目を見ることを期待したいところです。
<Favorite Songs>
・「Cccan’t You See」
彼らの名を一躍知らしめた最大(といってもマイナーですが)のヒットシングル。いかにもFairlight仕掛けですよ、と言わんばかりのサイバーなシーケンスにアンニュイなヴォーカルのリフレインがサンプリングまじりに繰り返されるというダンスチューンです。
・「Spooky」
4thシングル「Fetish」の両A面となった60年代オールディーズナンバーのリメイク。コクの深いベースフレーズにサンプラーによる強烈なスネアが楽曲を引っ張っており、その硬質な肌触りは原曲を忘れさせるほどの流石のTony Mansfield仕事です。
・「Always Hoping」
5thシングル「Take Me Now」のカップリング楽曲。彼ららしい実験精神が見え隠れするシンセポップで、軽快なシンセベースラインにキレのあるリズム、空間を意識したシンセサウンド、遊び感覚を感じるリズムトラックが楽しいB面ならではのマニアックチューンです。
<評点>
・サウンド ★★★ (トニマン人工サウンドによる仕掛け豊富なテクノ)
・メロディ ★ (典型的なサウンド偏重タイプの楽曲に特化している)
・リズム ★★★ (音作りと組み立て方は流石にミドル80'sらしさが)
・曲構成 ★ (シングルの寄せ集めではなくやはりアルバムを)
・個性 ★ (過激な音は光るが当のメンバーの個性につながらず)
総合評点: 6点
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