【特別編第4弾】 「TRIBUTO A SUSUMU HIRASAWA」VIDRA
皆様、いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。
TECHNOLOGY POPS π3.14です。
当ブログは常々過去のTECHNOLOGY POPSな名盤を淡々と紹介しているレビューブログですが、昨年は海外のTECHNOLOGY POPSフォロワーのミュージシャンの熱いオファーを受けて「特別編」ということで2枚ほど特別レビューを書かせていただきました。
その最初のきっかけをいただいたのがイタリアのルネッサンス・シンセポップバンド、VIDRAのFrancesco Fecondo氏からのダイレクトメールで、ヴィオラとテクノポップを融合させたこの風変わりなグループの1stアルバム「la fine delle comunicazioni」を恐らく日本で初めてレビューさせていただいたのが昨年7月のことでした。その後、テクノ/ニューウェーブの伝道師的な東京中野のCDショップ「SHOP MECANO」にて取り扱いが始まったことから日本でも比較的容易に(というには首都圏に限定されてしまいますが)入手可能となり、ちらほら彼らの音楽を耳にした方も(恐らく当ブログをご覧の方々は)いらっしゃるのではないかと思います。
さて、日本からすると馴染みの薄いイタリアの、しかもマニアックなシンセポップバンドがなぜこうも局地的に注目されたかというと、それは当ブログのレビューなんかではなく、サウンドの核となっているFecondo氏が大の平沢進ファンであること、そして彼が「SHOP MECANO」に直接コンタクトをとり、アルバムの取り扱いが決まったことで、平沢/P-MODEL周辺音楽のフォロワー達の琴線に触れたことが大きな要因ではないかと思っています。既にそのフォロワーの方々にとってはVIDRAも平沢ファミリーの一員のような扱いをされているように見受けられますが、彼らの「平沢」愛はとどまることを知らず、遂には日本の(まだまだ数少ない)ファンへのプレゼント、ということで日本限定盤として平沢楽曲リメイク盤「TRIBUTO A SUSUMU HIRASAWA」を急遽リリースすることになったわけです。しかも平沢のレーベルTeslakiteや事務所Chaos Unionに許可を得た公式リメイク。海外からの平沢へのラブコールもここまで来ると尊敬すべきものがあります。
この3曲入りシングルがリリースされたのは昨年11月。それから4ヶ月程経ちましたが、このたび遂にプロモーションビデオまで公開されたことを機に、Fecondo氏から「またレビューしてよ!」と嬉しいオファーをいただきましたので、またまたレビューさせていただくと、こういった経緯というわけです。
平沢進のほかにも、YAPOOS、ZABADAK、越美晴といったニューウェーブかつプログレッシブなジャパニーズPOPSが大好きなFecondo氏が、丹精込めて作り上げた謹製の「TRIBUTO A SUSUMU HIRASAWA」。3曲ながら話題性も豊富なこのシングルのレビュー、拙い部分がありますがどうぞご覧下さい。
「TRIBUTO A SUSUMU HIRASAWA」 (2016 Rupa Rupa)
VIDRA

<members>
Antonella “Giga” Gigantino:vocal
Francesco “Frencio” Fecondo:alto voice・Kawai Spectra・Siel Cruise・Fender Mustang MIDI・Synth1・samples
Michela Coppola:viola
1.「AVATAR ALONE」
詞:Antonella Gigantino・Francesco Fecondo 曲:平沢進 (Susumu Hirasawa)
編:VIDRA・Gerardo Coppola・Gabriele Loria
2.「ALFA TAU!」
曲:Francesco Fecondo・Gerardo Coppola・Michela Coppola 編:VIDRA
3.「MORMYRIDAE」
詞:Can・Francesco Fecondo 曲:Francesco Fecondo・SYS 編:SYS
<support musician>
Fuyu (SYS):vocal
Can (SYS)::KORG Radias・sequence programming
Gerardo Coppola:electric bass・drum machine programming
Gabriele Loria:drum machine programming・mastering
mixing engineered by Michela Coppola
recording engineered by Raffaele Cardone・SYS
● 尊敬する平沢進への愛と新進気鋭の若手エレクトロポップユニットとのコラボによる長靴の国から届けられた話題性豊かな企画盤シングル
昨年7月に突然イタリアから届けられた不思議な魅力を持つ新しいエレクトロポップアルバム「la fine delle comunicazioni」。この新機軸の作品はVIDRAという4人組グループによって生み出された、ヴィオラの芳醇な響きと宇宙を感じさせるエレクトロニクスが融合したルネッサンス・シンセポップともいうべき興味深いものでした。そして何といっても面白いのは中心人物であるFrancesco Fecondoが日本のテクノポップ&ニューウェーブの大ファンであるということでした。彼が特に衝撃を受けたP-MODELと平沢進、彼らからの影響を存分に自身の音楽性へと昇華させた結果、風変わりなアプローチによるシンセポップが完成しましたが、それはイタリア本国、そして日本でも好意的に受け入れられたのではないかと思われます。そんな彼らの感謝の心か、もしくはさらなるチャレンジなのかは不明ですが、まさに日本のファン、しかも平沢進等のP-MODEL系音楽周辺のファン向けといういささかマニアックながらも潜在的な数が多そうなファン層をターゲットとして、平沢進トリビュートシングルを企画、日本限定盤としてリリースに至りました。しかし蓋を開けてみるとこの3曲入りシングルのうち、平沢トリビュートは1曲「AVATAR ALONE」のみ、2曲目「ALFA TAU!」は彼らのオリジナルインスト、3曲目の「MORMYRIDAE」に至っては、平沢進の兄、平沢裕一が経営していたつくば市のカフェ「GAZIO」でのライブパフォーマンスが話題となり、昨年4曲入りシングル「DENSHIYOKU」をリリースした沖縄のテクノポップユニット、SYSとのコラボレーションによる楽曲であり、単なる平沢楽曲リメイク集とは言い切れない仕上がりとなっています。
そこで今回は3曲シングルという形態ですので、あくまでTECHNOLOGY POPS的な側面から各楽曲をそれぞれ解説していくことにいたしましょう。
1.「AVATAR ALONE」
知らないうちにDavide Zinnaが抜けて3人組になった彼らが数ある平沢楽曲からトリビュートとして選択したのは、現時点での最新アルバム「ホログラムを登る男」のリードチューンともいえる「アヴァター・アローン」。原曲は切迫感のあるストリングスを背景に、平沢らしい16ビートのリズムと斬りつけるような電子音が特徴的、かつ開放的なサビが強い印象を残すシリアスチューンでしたが、VIDRAは独自の宇宙観漂うイタリア語の歌詞もさることながら、フィーチャーされるのがMichelaのヴィオラなので弦の味が濃く、さらに恐らくKawai Spectraのエレピ音色のおかげで原曲の切迫感は薄れ、ほどよく牧歌的な雰囲気を漂わせています。ある種の危機感が原曲のポイントとなっていることを考えると、ある意味逆転の発想ともいえるこのゆったりとした、温かみのあるサウンドメイクは非常に興味深いと言えるでしょう。間奏ではボイスチェンジされたFecondoのオペラボイスも挿入されますが、ヴィオラの響きとの相乗効果でなんともクラシカルでルネッサンス。また、Gigantinoの相変わらず強烈な個性を持つAnnie Lennoxばりの味のある低音ボイスと共に、牧歌的な印象を決定づけているのがイタリア初のヴィンテージシンセサイザーSiel Cruiseのチープな電子音です。サビをなぞる剥き出しのフレーズは浮遊感のあるS.E.などはもはや彼らのヴィオラに次ぐ個性と言えるでしょう。そして圧巻なのはアウトロで、温かい空気を吹き飛ばすかのようなスペイシー感覚が炸裂。アルバムでも垣間見せた実験的な電子音ワールドを披露しながらも口笛風の音色によって、その牧歌感覚は忘れずにしっかり着地点を確保しています。まさにVIDRAとしての現在進行形サウンドを詰め込んだ愛の感じられるリメイクであると思います。
2.「ALFA TAU!」
2分足らずのオリジナルインスト。しかしながらこのシングルのコンセプトを表現する潤滑油的役割を果たしていると思われます。本作のコンセプトは平沢進のトリビュートとSYSとのコラボ、そしてアルバムデザインとして強烈なインパクトを与えるエレファントノーズフィッシュ。このインストのおかげで性格の違う両楽曲に統一感をもたらすことに成功し、単なるトリビュート曲集ではないコンセプチュアルなシングルに仕上がったのではないでしょうか。サウンド面ではやはりGerardo Coppolaが打ち込んだドラムマシンの音が心地よいです。軽過ぎず重過ぎずの絶妙な響きであると思います。しかしながら本作ではますますヴィオラとSiel Cruiseの相性の良さが前面に押し出されているなあという印象が強くなってきました。チープな電子音と豊かな中低音を感じるヴィオラの音響。これからの彼らの楽曲にとって最大の武器になっていくことに違いありません。
3.「MORMYRIDAE」
そして本作のもう1つの目玉である日本でも知る人ぞ知る沖縄の新鋭テクノポップユニットSYSとのコラボ楽曲。ネット間の音源ファイルやりとりによって制作されたこの楽曲のモチーフであるMORMYRIDAEは、ナイル川周辺に生息するアフリカの淡水魚で、アルバムデザインからもわかるとおり象みたいな顔の突起部分が特徴の魚ですが、この魚のもう1つの特徴が「発電」するということ。夜行性のため微弱な電流を発してレーダーのような役割をするそうで、こうした不思議な性質がいわゆるテクノっぽいということなのでしょう。サウンド面ではこの楽曲に関してはSYS主導で、CanのKORG Radias魂が炸裂する完全なエレクトロポップ仕様です。間奏部分はFecondoっぽいなあという感じはするのですが少し定かではありません。やはりSYSがアレンジを手掛けているのでVIDRAというよりはSYSの楽曲というイメージが強いです。FecondoはソフトシンセSynth1で参戦のようでしたが、それこそSiel CruiseでKORGの異色のアナログモデリングシンセRadiasと対決してほしかったなあというのは、単なる個人的な願望です(笑)
いつもはここで評点というところですが、3曲のみでは評価などおこがましいので今回はなしです。
3曲とも非常に興味深い楽曲であることは言うまでもありませんが、やはり1stアルバム「la fine delle comunicazioni」が良かったので、オリジナル楽曲をもっと聴きたいところです。これからのVIDRAの作品に期待しています!
このアルバムが入手できるのはショップメカノのみです。あとiTunesで配信されていますね。
https://blogs.yahoo.co.jp/adoopt_s
TECHNOLOGY POPS π3.14です。
当ブログは常々過去のTECHNOLOGY POPSな名盤を淡々と紹介しているレビューブログですが、昨年は海外のTECHNOLOGY POPSフォロワーのミュージシャンの熱いオファーを受けて「特別編」ということで2枚ほど特別レビューを書かせていただきました。
その最初のきっかけをいただいたのがイタリアのルネッサンス・シンセポップバンド、VIDRAのFrancesco Fecondo氏からのダイレクトメールで、ヴィオラとテクノポップを融合させたこの風変わりなグループの1stアルバム「la fine delle comunicazioni」を恐らく日本で初めてレビューさせていただいたのが昨年7月のことでした。その後、テクノ/ニューウェーブの伝道師的な東京中野のCDショップ「SHOP MECANO」にて取り扱いが始まったことから日本でも比較的容易に(というには首都圏に限定されてしまいますが)入手可能となり、ちらほら彼らの音楽を耳にした方も(恐らく当ブログをご覧の方々は)いらっしゃるのではないかと思います。
さて、日本からすると馴染みの薄いイタリアの、しかもマニアックなシンセポップバンドがなぜこうも局地的に注目されたかというと、それは当ブログのレビューなんかではなく、サウンドの核となっているFecondo氏が大の平沢進ファンであること、そして彼が「SHOP MECANO」に直接コンタクトをとり、アルバムの取り扱いが決まったことで、平沢/P-MODEL周辺音楽のフォロワー達の琴線に触れたことが大きな要因ではないかと思っています。既にそのフォロワーの方々にとってはVIDRAも平沢ファミリーの一員のような扱いをされているように見受けられますが、彼らの「平沢」愛はとどまることを知らず、遂には日本の(まだまだ数少ない)ファンへのプレゼント、ということで日本限定盤として平沢楽曲リメイク盤「TRIBUTO A SUSUMU HIRASAWA」を急遽リリースすることになったわけです。しかも平沢のレーベルTeslakiteや事務所Chaos Unionに許可を得た公式リメイク。海外からの平沢へのラブコールもここまで来ると尊敬すべきものがあります。
この3曲入りシングルがリリースされたのは昨年11月。それから4ヶ月程経ちましたが、このたび遂にプロモーションビデオまで公開されたことを機に、Fecondo氏から「またレビューしてよ!」と嬉しいオファーをいただきましたので、またまたレビューさせていただくと、こういった経緯というわけです。
平沢進のほかにも、YAPOOS、ZABADAK、越美晴といったニューウェーブかつプログレッシブなジャパニーズPOPSが大好きなFecondo氏が、丹精込めて作り上げた謹製の「TRIBUTO A SUSUMU HIRASAWA」。3曲ながら話題性も豊富なこのシングルのレビュー、拙い部分がありますがどうぞご覧下さい。
「TRIBUTO A SUSUMU HIRASAWA」 (2016 Rupa Rupa)
VIDRA

<members>
Antonella “Giga” Gigantino:vocal
Francesco “Frencio” Fecondo:alto voice・Kawai Spectra・Siel Cruise・Fender Mustang MIDI・Synth1・samples
Michela Coppola:viola
1.「AVATAR ALONE」
詞:Antonella Gigantino・Francesco Fecondo 曲:平沢進 (Susumu Hirasawa)
編:VIDRA・Gerardo Coppola・Gabriele Loria
2.「ALFA TAU!」
曲:Francesco Fecondo・Gerardo Coppola・Michela Coppola 編:VIDRA
3.「MORMYRIDAE」
詞:Can・Francesco Fecondo 曲:Francesco Fecondo・SYS 編:SYS
<support musician>
Fuyu (SYS):vocal
Can (SYS)::KORG Radias・sequence programming
Gerardo Coppola:electric bass・drum machine programming
Gabriele Loria:drum machine programming・mastering
mixing engineered by Michela Coppola
recording engineered by Raffaele Cardone・SYS
● 尊敬する平沢進への愛と新進気鋭の若手エレクトロポップユニットとのコラボによる長靴の国から届けられた話題性豊かな企画盤シングル
昨年7月に突然イタリアから届けられた不思議な魅力を持つ新しいエレクトロポップアルバム「la fine delle comunicazioni」。この新機軸の作品はVIDRAという4人組グループによって生み出された、ヴィオラの芳醇な響きと宇宙を感じさせるエレクトロニクスが融合したルネッサンス・シンセポップともいうべき興味深いものでした。そして何といっても面白いのは中心人物であるFrancesco Fecondoが日本のテクノポップ&ニューウェーブの大ファンであるということでした。彼が特に衝撃を受けたP-MODELと平沢進、彼らからの影響を存分に自身の音楽性へと昇華させた結果、風変わりなアプローチによるシンセポップが完成しましたが、それはイタリア本国、そして日本でも好意的に受け入れられたのではないかと思われます。そんな彼らの感謝の心か、もしくはさらなるチャレンジなのかは不明ですが、まさに日本のファン、しかも平沢進等のP-MODEL系音楽周辺のファン向けといういささかマニアックながらも潜在的な数が多そうなファン層をターゲットとして、平沢進トリビュートシングルを企画、日本限定盤としてリリースに至りました。しかし蓋を開けてみるとこの3曲入りシングルのうち、平沢トリビュートは1曲「AVATAR ALONE」のみ、2曲目「ALFA TAU!」は彼らのオリジナルインスト、3曲目の「MORMYRIDAE」に至っては、平沢進の兄、平沢裕一が経営していたつくば市のカフェ「GAZIO」でのライブパフォーマンスが話題となり、昨年4曲入りシングル「DENSHIYOKU」をリリースした沖縄のテクノポップユニット、SYSとのコラボレーションによる楽曲であり、単なる平沢楽曲リメイク集とは言い切れない仕上がりとなっています。
そこで今回は3曲シングルという形態ですので、あくまでTECHNOLOGY POPS的な側面から各楽曲をそれぞれ解説していくことにいたしましょう。
1.「AVATAR ALONE」
知らないうちにDavide Zinnaが抜けて3人組になった彼らが数ある平沢楽曲からトリビュートとして選択したのは、現時点での最新アルバム「ホログラムを登る男」のリードチューンともいえる「アヴァター・アローン」。原曲は切迫感のあるストリングスを背景に、平沢らしい16ビートのリズムと斬りつけるような電子音が特徴的、かつ開放的なサビが強い印象を残すシリアスチューンでしたが、VIDRAは独自の宇宙観漂うイタリア語の歌詞もさることながら、フィーチャーされるのがMichelaのヴィオラなので弦の味が濃く、さらに恐らくKawai Spectraのエレピ音色のおかげで原曲の切迫感は薄れ、ほどよく牧歌的な雰囲気を漂わせています。ある種の危機感が原曲のポイントとなっていることを考えると、ある意味逆転の発想ともいえるこのゆったりとした、温かみのあるサウンドメイクは非常に興味深いと言えるでしょう。間奏ではボイスチェンジされたFecondoのオペラボイスも挿入されますが、ヴィオラの響きとの相乗効果でなんともクラシカルでルネッサンス。また、Gigantinoの相変わらず強烈な個性を持つAnnie Lennoxばりの味のある低音ボイスと共に、牧歌的な印象を決定づけているのがイタリア初のヴィンテージシンセサイザーSiel Cruiseのチープな電子音です。サビをなぞる剥き出しのフレーズは浮遊感のあるS.E.などはもはや彼らのヴィオラに次ぐ個性と言えるでしょう。そして圧巻なのはアウトロで、温かい空気を吹き飛ばすかのようなスペイシー感覚が炸裂。アルバムでも垣間見せた実験的な電子音ワールドを披露しながらも口笛風の音色によって、その牧歌感覚は忘れずにしっかり着地点を確保しています。まさにVIDRAとしての現在進行形サウンドを詰め込んだ愛の感じられるリメイクであると思います。
2.「ALFA TAU!」
2分足らずのオリジナルインスト。しかしながらこのシングルのコンセプトを表現する潤滑油的役割を果たしていると思われます。本作のコンセプトは平沢進のトリビュートとSYSとのコラボ、そしてアルバムデザインとして強烈なインパクトを与えるエレファントノーズフィッシュ。このインストのおかげで性格の違う両楽曲に統一感をもたらすことに成功し、単なるトリビュート曲集ではないコンセプチュアルなシングルに仕上がったのではないでしょうか。サウンド面ではやはりGerardo Coppolaが打ち込んだドラムマシンの音が心地よいです。軽過ぎず重過ぎずの絶妙な響きであると思います。しかしながら本作ではますますヴィオラとSiel Cruiseの相性の良さが前面に押し出されているなあという印象が強くなってきました。チープな電子音と豊かな中低音を感じるヴィオラの音響。これからの彼らの楽曲にとって最大の武器になっていくことに違いありません。
3.「MORMYRIDAE」
そして本作のもう1つの目玉である日本でも知る人ぞ知る沖縄の新鋭テクノポップユニットSYSとのコラボ楽曲。ネット間の音源ファイルやりとりによって制作されたこの楽曲のモチーフであるMORMYRIDAEは、ナイル川周辺に生息するアフリカの淡水魚で、アルバムデザインからもわかるとおり象みたいな顔の突起部分が特徴の魚ですが、この魚のもう1つの特徴が「発電」するということ。夜行性のため微弱な電流を発してレーダーのような役割をするそうで、こうした不思議な性質がいわゆるテクノっぽいということなのでしょう。サウンド面ではこの楽曲に関してはSYS主導で、CanのKORG Radias魂が炸裂する完全なエレクトロポップ仕様です。間奏部分はFecondoっぽいなあという感じはするのですが少し定かではありません。やはりSYSがアレンジを手掛けているのでVIDRAというよりはSYSの楽曲というイメージが強いです。FecondoはソフトシンセSynth1で参戦のようでしたが、それこそSiel CruiseでKORGの異色のアナログモデリングシンセRadiasと対決してほしかったなあというのは、単なる個人的な願望です(笑)
いつもはここで評点というところですが、3曲のみでは評価などおこがましいので今回はなしです。
3曲とも非常に興味深い楽曲であることは言うまでもありませんが、やはり1stアルバム「la fine delle comunicazioni」が良かったので、オリジナル楽曲をもっと聴きたいところです。これからのVIDRAの作品に期待しています!
このアルバムが入手できるのはショップメカノのみです。あとiTunesで配信されていますね。
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