「CHILD IN TIME」 白浜久
「CHILD IN TIME」(1986 ビクター)
白浜久:vocal・guitars

1.「25の時」 詞・曲・編:白浜久
2.「Communication Break Down」 詞・曲・編:白浜久
3.「Here Comes The Night」 詞・曲・編:白浜久
4.「同じ夢」 詞・曲・編:白浜久
5.「無邪気な惨酷」 詞・曲・編:白浜久
6.「Start Only One」 詞・曲・編:白浜久
7.「Breakin’ Glass」 詞・曲・編:白浜久
8.「アウト・オブ・タイム」 詞・曲・編:白浜久
9.「Kitchen Drunker」 詞・曲・編:白浜久
10.「Mother」 詞・曲・編:白浜久
11.「季節の終りに」 詞・曲・編:白浜久
12.「Only Time Will Tell」 詞・曲・編:白浜久
<support musician>
浅田孟:bass・slide guitar
上原裕:drums
寺田正治:drums
矢壁アツノブ:drums
倉富義隆:sax・flute
森の木児童合唱団:chorus
渡辺昌子:voice
星 渉:computer operate
日戸修平:guitar arrangement
produced by 白浜久
co-produced by 寺田正治
mixing engineered by 寺田仁
recording engineered by 比留間整
● ARBの活動と並行しソロアーティストとして星渉とのコンビでニューウェーブサウンドを積極的に取り入れたロックを聴かせる2ndアルバム
学生時代はTHE MODSの前身バンドTHE MOZZのメンバーとして活動していた福岡県出身のギタリスト白浜久は、同バンド脱退後1980年代に入ってからはしばらく沈黙していましたが、1985年にソロアーティストとしてアルバム「NONFICTION」でデビュー、UKニューウェーブを通過した繊細な作風と、沈黙時代に法務教官として少年院にて勤務していた体験を活かしたメッセージ性の強い歌詞で、どこか引っかかりのあるロックミュージシャンとして光を放ちつつありました。ロック色寄りながらもデジタルな要素を惜しみなく楽曲に反映することに積極的な彼は、原マスミやMENUといった先鋭的なアーティストが在籍したユピテルレコードのオムニバス「Technical Music Planning」にも参加、自身のソロ楽曲を収録するとともに、そこで出会ったMENUの星渉とRadio Musikなるユニットを結成し同アルバムに「フライデー・ナイトの悲劇」を収録、ニューウェーブ寄りな活動を続けていくことになります。そのような流れから翌86年にリリースされたのが本作ということになります。
レコーディング時期がちょうどユピテル関連人脈と近しい時期であったため、本作でのシンセサイザーおよびプログラミングのマニュピレートはMENUのサウンドメーカーであった星渉が全面的に担当、サウンド面での完全なる相棒としてMENU解散後の数少ない活躍の場となっています。ともあれ彼の参加によってシンセ度は確実にアップし、PCMドラムマシンにエフェクトをかけた硬質な音色とジャストなリズムとチープとも言えるデジタル系シンセサウンドはどこまでもニューウェーブ性を漂わせており、楽曲フォーマットはロックながらも凝りまくったエフェクティブギター音色も相まってテクノロジーPOPS特有のゴリッとした80'sサウンドを楽しむことができます。また、本作で際立っているのは星による生き生きとしたサンプルギミックで、ラジオのカットアップやグラスクラッシュを初めとしたごった煮のサンプリング音を随所で詰め込んでおり、サウンドの厚みと実験性を表現することで本職ではなさそうな白浜の線の細い声質を巧みにカバーする役割を担っています。音楽的な趣味が合致したと思われる白浜と星のRadio Muzikから続くコラボレーションの集大成が本作とも言えますが、彼ら2人がギタリストという側面からもギターの音処理にも優れており、しかもニューウェーブを通過した彼らだからこその(ユピテル直系の)一筋縄ではいかないエフェクト満載なギターは当然ユピテルレコードアーティスト達を手掛けた寺田仁のエンジニアリングの妙もありますが、志半ばで絶たれたユピテルアーティストの意地も感じられることも印象的な作品です。白浜は本作のレコーディング中に石橋凌率いる10年選手のロックバンドARBに参加、彼らのサウンド面に多大な影響を与えるとともに、自身のキャリアを着実に積み重ねていくことになります。
<Favorite Songs>
・「Communication Break Down」
ヒンヤリしたソリッドな感覚が研ぎ澄まされたニューウェーブロック。硬質なリズムトラックに導かれたUKニューウェーブっぽい哀愁のメロディラインと枯れたギターサウンドが楽しめます。後半挿入されるギミカルなラジオカットアップや、カウントで締めるエンディングといった仕掛けも効いています。
・「Breakin’ Glass」
イントロのリフにのっけからアクの強さを感じるアップチューン。疾走感のあるリズムの中にメタリックな音色を織り交ぜながら、ハードなギターサウンド(当然デジタル風味)でグイグイ攻めてくる本作中で最も攻撃的な楽曲です。
・「Kitchen Drunker」
地に足の着いたリズムトラックと渋めのメロディが魅力の楽曲。淡々としたギターリフと決して鮮やかとは言えない地味なメロディラインを引き立てているのは、パワフルに処理されたマシンによる正確なリズムで、本作では全面的にこうしたPCMドラムマシンが大活躍してサウンドの芯となる役割を担っています。
<評点>
・サウンド ★★★ (チープな中に実験的要素を忍ばせる粋な音処理)
・メロディ ★ (聴きやすさもあるが全体的には抑揚のなさも)
・リズム ★★★ (マシンの打ち込みに自家製臭さも感じるがそこが◯)
・曲構成 ★ (楽曲は多めだが短めの曲も多く物足りなさも)
・個性 ★★ (歌は弱いがサウンドメイカーとしての魅力は感じる)
総合評点: 7点
白浜久:vocal・guitars

1.「25の時」 詞・曲・編:白浜久
2.「Communication Break Down」 詞・曲・編:白浜久
3.「Here Comes The Night」 詞・曲・編:白浜久
4.「同じ夢」 詞・曲・編:白浜久
5.「無邪気な惨酷」 詞・曲・編:白浜久
6.「Start Only One」 詞・曲・編:白浜久
7.「Breakin’ Glass」 詞・曲・編:白浜久
8.「アウト・オブ・タイム」 詞・曲・編:白浜久
9.「Kitchen Drunker」 詞・曲・編:白浜久
10.「Mother」 詞・曲・編:白浜久
11.「季節の終りに」 詞・曲・編:白浜久
12.「Only Time Will Tell」 詞・曲・編:白浜久
<support musician>
浅田孟:bass・slide guitar
上原裕:drums
寺田正治:drums
矢壁アツノブ:drums
倉富義隆:sax・flute
森の木児童合唱団:chorus
渡辺昌子:voice
星 渉:computer operate
日戸修平:guitar arrangement
produced by 白浜久
co-produced by 寺田正治
mixing engineered by 寺田仁
recording engineered by 比留間整
● ARBの活動と並行しソロアーティストとして星渉とのコンビでニューウェーブサウンドを積極的に取り入れたロックを聴かせる2ndアルバム
学生時代はTHE MODSの前身バンドTHE MOZZのメンバーとして活動していた福岡県出身のギタリスト白浜久は、同バンド脱退後1980年代に入ってからはしばらく沈黙していましたが、1985年にソロアーティストとしてアルバム「NONFICTION」でデビュー、UKニューウェーブを通過した繊細な作風と、沈黙時代に法務教官として少年院にて勤務していた体験を活かしたメッセージ性の強い歌詞で、どこか引っかかりのあるロックミュージシャンとして光を放ちつつありました。ロック色寄りながらもデジタルな要素を惜しみなく楽曲に反映することに積極的な彼は、原マスミやMENUといった先鋭的なアーティストが在籍したユピテルレコードのオムニバス「Technical Music Planning」にも参加、自身のソロ楽曲を収録するとともに、そこで出会ったMENUの星渉とRadio Musikなるユニットを結成し同アルバムに「フライデー・ナイトの悲劇」を収録、ニューウェーブ寄りな活動を続けていくことになります。そのような流れから翌86年にリリースされたのが本作ということになります。
レコーディング時期がちょうどユピテル関連人脈と近しい時期であったため、本作でのシンセサイザーおよびプログラミングのマニュピレートはMENUのサウンドメーカーであった星渉が全面的に担当、サウンド面での完全なる相棒としてMENU解散後の数少ない活躍の場となっています。ともあれ彼の参加によってシンセ度は確実にアップし、PCMドラムマシンにエフェクトをかけた硬質な音色とジャストなリズムとチープとも言えるデジタル系シンセサウンドはどこまでもニューウェーブ性を漂わせており、楽曲フォーマットはロックながらも凝りまくったエフェクティブギター音色も相まってテクノロジーPOPS特有のゴリッとした80'sサウンドを楽しむことができます。また、本作で際立っているのは星による生き生きとしたサンプルギミックで、ラジオのカットアップやグラスクラッシュを初めとしたごった煮のサンプリング音を随所で詰め込んでおり、サウンドの厚みと実験性を表現することで本職ではなさそうな白浜の線の細い声質を巧みにカバーする役割を担っています。音楽的な趣味が合致したと思われる白浜と星のRadio Muzikから続くコラボレーションの集大成が本作とも言えますが、彼ら2人がギタリストという側面からもギターの音処理にも優れており、しかもニューウェーブを通過した彼らだからこその(ユピテル直系の)一筋縄ではいかないエフェクト満載なギターは当然ユピテルレコードアーティスト達を手掛けた寺田仁のエンジニアリングの妙もありますが、志半ばで絶たれたユピテルアーティストの意地も感じられることも印象的な作品です。白浜は本作のレコーディング中に石橋凌率いる10年選手のロックバンドARBに参加、彼らのサウンド面に多大な影響を与えるとともに、自身のキャリアを着実に積み重ねていくことになります。
<Favorite Songs>
・「Communication Break Down」
ヒンヤリしたソリッドな感覚が研ぎ澄まされたニューウェーブロック。硬質なリズムトラックに導かれたUKニューウェーブっぽい哀愁のメロディラインと枯れたギターサウンドが楽しめます。後半挿入されるギミカルなラジオカットアップや、カウントで締めるエンディングといった仕掛けも効いています。
・「Breakin’ Glass」
イントロのリフにのっけからアクの強さを感じるアップチューン。疾走感のあるリズムの中にメタリックな音色を織り交ぜながら、ハードなギターサウンド(当然デジタル風味)でグイグイ攻めてくる本作中で最も攻撃的な楽曲です。
・「Kitchen Drunker」
地に足の着いたリズムトラックと渋めのメロディが魅力の楽曲。淡々としたギターリフと決して鮮やかとは言えない地味なメロディラインを引き立てているのは、パワフルに処理されたマシンによる正確なリズムで、本作では全面的にこうしたPCMドラムマシンが大活躍してサウンドの芯となる役割を担っています。
<評点>
・サウンド ★★★ (チープな中に実験的要素を忍ばせる粋な音処理)
・メロディ ★ (聴きやすさもあるが全体的には抑揚のなさも)
・リズム ★★★ (マシンの打ち込みに自家製臭さも感じるがそこが◯)
・曲構成 ★ (楽曲は多めだが短めの曲も多く物足りなさも)
・個性 ★★ (歌は弱いがサウンドメイカーとしての魅力は感じる)
総合評点: 7点
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