「WITTY」 刀根麻理子
「WITTY」(1985 徳間ジャパン)
刀根麻理子:vocal

1.「RHAPSODY AGAIN」 詞:三浦徳子 曲:筒美京平 編:Larry Williams
2.「YOU DON’T HAVE TO GO」 詞:Tracey Gillett 曲:木森敏之 編:Larry Williams
3.「21世紀マヌカン」 詞:佐藤純子 曲:木森敏之 編:Larry Williams
4.「MIDNIGHT ESCAPE」 詞:有川正沙子 曲:筒美京平 編:Larry Williams
5.「デリンジャー」 詞:三浦徳子 曲:佐藤健 編:新川博
6.「彼女の自由」 詞:三浦徳子 曲:木森敏之 編:Larry Williams
7.「MIDAS TOUCH」 詞:Rinda Hennrick 曲:筒美京平 編:Larry Williams
8.「NEW YORK FANTASY」 詞:有川正沙子 曲:筒美京平 編:Larry Williams
9.「NIGHT IMAGINATION」 詞:刀根麻理子 曲:木森敏之 編:Larry Williams
10.「DIRECT MAIL」 詞:佐藤純子 曲:木森敏之 編:Larry Williams
<support musician>
Char:electric guitar
Dann Huff:guitar
Lee Ritenour:guitar
松原正樹:electric guitar
Dennis Belfield:bass
岡沢茂:bass
Vince Colauta:drums
山木秀夫:drums
Larry Williams:keyboards・synthesizers・sax
新川博:keyboards
数原晋:trumpet
Jake H.Concepcion:sax
Andrea Robinson:background vocals
Phillis St James:background vocals
Tom Kelly:background vocals
Tommy Funderburk:background vocals
EVE:chorus
produced by 木森敏之
engineered by Don Murray・清水邦彦
● ハイソでオシャレなニューヨーク録音の80’sシティポップが満載のOL出身シンガーデビューアルバム
OLの傍らフリーナレーターとしても活動していた刀根麻理子が歌手としてデビューしたのは、当時人気アニメであった「CAT'S EYE」の第2期オープニング主題歌「デリンジャー」でした。第1期がかの有名な大ヒット曲、杏里の「CAT'S EYE」でしたので、非常に期待された中でのデビューであったと思われますが、この 1stシングルは本人の音楽的志向とすれば、その後の作品の音楽性を見る限りではイレギュラーの存在だったかもしれません。元々がオシャレなファッションリーダー的存在で売り出そうとしていた彼女のこと、音楽性も洋楽志向ということで1stアルバムとなる本作も普通にニューヨーク録音、少しAORの入った大人の背伸びした歌謡POPSといった風情の作品に仕上がっています。
ハードタッチな先行シングル「RHAPSODY AGAIN」で始まる本作は、このオープニングチューンを含めて4曲を大御所・筒美京平が担当、アルバムプロデュースは杉本尚美「サンセット・メモリー」や中村雅俊「心の色」等のヒット曲を手掛けた80年代前半を席巻した作曲家、木森敏之が務め、アレンジはジャズ&フュージョン畑のハワイ出身キーボーディスト、Larry Williamsが担当しています。1985年という音楽的背景もありデジタル系特有のクールなサウンドとPCMリズムマシン&エレクトリックドラムが活躍するサウンドデザインが施されています。また、特徴的なのはDann HuffやLee Ritenourといった名ギタリストの参加により深みと技巧が感じられるギターワークが堪能できることで、デビューアルバムにして作品全体に漂う安定感は彼らのような才能溢れるギタリスト達の活躍あってこそであると思われます。しかしやはり強烈なインパクトはなんといっても本作に無理矢理押し込まれたといっても過言ではない、完全に浮いた形となっているデビューシングル「デリンジャー」でしょう。その他の楽曲が洋楽マナーのイミテーション歌謡といったイメージなのに対して、「デリンジャー」の開き直ったようなテンションとスピード感、そして何よりも異様なまでに主張するドラムの存在感は、聴き手に強烈なインパクトを与え過ぎており、そのためにアルバムのトータルプロデュースをある意味台無しにしてしまっている感もありますが、それもこの「デリンジャー」という楽曲の類稀な存在感が成せる業といったところでしょう。刀根麻理子といえば「デリンジャー」、本作はその認識を再確認させられた作品なのです。もちろんミディアムナンバーの安定感も含めて本作のクオリティの高さも認めなければいけないのですが・・・。
<Favorite Songs>
・「YOU DON’T HAVE TO GO」
エンジン発信音をリズムにする斬新なイントロから始まる洋楽ライクなエレポップチューン。残響音をカットしたクラップ、淡々としたフレージングのベースライン、圧力の高いエレドラのフィルインと、各パートも個性を発揮しており軽快なポップネスが光ります。
・「21世紀マヌカン」
ロックなギターワークが特徴的なポップチューンですが、この楽曲のポイントは全体的に意外性を見せる不思議なコードワークと、イントロや間奏の開放的なギターソロでしょう。乱れ打つエレドラをバックに粒立ったギターの存在感が際立っています。
・「デリンジャー」
80年代J-POP界を彩る稀代の名曲にしてデビューシングル。その全体を包み込むテンションの高さと疾走感は他の追随を許さないクオリティを感じさせます。特にギターソロが唸る狂気の後半では、山木秀夫がスピードに乗ったまま最高潮の密度を誇るエレドラのフィルインからの超ロング連打でカオスなエンディングを演出するなど、これだけでもお腹一杯です。
<評点>
・サウンド ★★ (ロックとAORを行き来するような技巧的な音)
・メロディ ★ (2名の名作曲家が手掛ける中でも地味な印象に)
・リズム ★★ (1曲だけ異常な存在感を発揮するが他の音にも満足)
・曲構成 ★ (インパクトの強い1曲に全体を消されてしまった)
・個性 ★ (最初から洋楽志向で勝負するが逆に個性が薄まる)
総合評点: 6点
amazonでは在庫がないので中古レコード屋等で足を運んで探しましょう。
刀根麻理子:vocal

1.「RHAPSODY AGAIN」 詞:三浦徳子 曲:筒美京平 編:Larry Williams
2.「YOU DON’T HAVE TO GO」 詞:Tracey Gillett 曲:木森敏之 編:Larry Williams
3.「21世紀マヌカン」 詞:佐藤純子 曲:木森敏之 編:Larry Williams
4.「MIDNIGHT ESCAPE」 詞:有川正沙子 曲:筒美京平 編:Larry Williams
5.「デリンジャー」 詞:三浦徳子 曲:佐藤健 編:新川博
6.「彼女の自由」 詞:三浦徳子 曲:木森敏之 編:Larry Williams
7.「MIDAS TOUCH」 詞:Rinda Hennrick 曲:筒美京平 編:Larry Williams
8.「NEW YORK FANTASY」 詞:有川正沙子 曲:筒美京平 編:Larry Williams
9.「NIGHT IMAGINATION」 詞:刀根麻理子 曲:木森敏之 編:Larry Williams
10.「DIRECT MAIL」 詞:佐藤純子 曲:木森敏之 編:Larry Williams
<support musician>
Char:electric guitar
Dann Huff:guitar
Lee Ritenour:guitar
松原正樹:electric guitar
Dennis Belfield:bass
岡沢茂:bass
Vince Colauta:drums
山木秀夫:drums
Larry Williams:keyboards・synthesizers・sax
新川博:keyboards
数原晋:trumpet
Jake H.Concepcion:sax
Andrea Robinson:background vocals
Phillis St James:background vocals
Tom Kelly:background vocals
Tommy Funderburk:background vocals
EVE:chorus
produced by 木森敏之
engineered by Don Murray・清水邦彦
● ハイソでオシャレなニューヨーク録音の80’sシティポップが満載のOL出身シンガーデビューアルバム
OLの傍らフリーナレーターとしても活動していた刀根麻理子が歌手としてデビューしたのは、当時人気アニメであった「CAT'S EYE」の第2期オープニング主題歌「デリンジャー」でした。第1期がかの有名な大ヒット曲、杏里の「CAT'S EYE」でしたので、非常に期待された中でのデビューであったと思われますが、この 1stシングルは本人の音楽的志向とすれば、その後の作品の音楽性を見る限りではイレギュラーの存在だったかもしれません。元々がオシャレなファッションリーダー的存在で売り出そうとしていた彼女のこと、音楽性も洋楽志向ということで1stアルバムとなる本作も普通にニューヨーク録音、少しAORの入った大人の背伸びした歌謡POPSといった風情の作品に仕上がっています。
ハードタッチな先行シングル「RHAPSODY AGAIN」で始まる本作は、このオープニングチューンを含めて4曲を大御所・筒美京平が担当、アルバムプロデュースは杉本尚美「サンセット・メモリー」や中村雅俊「心の色」等のヒット曲を手掛けた80年代前半を席巻した作曲家、木森敏之が務め、アレンジはジャズ&フュージョン畑のハワイ出身キーボーディスト、Larry Williamsが担当しています。1985年という音楽的背景もありデジタル系特有のクールなサウンドとPCMリズムマシン&エレクトリックドラムが活躍するサウンドデザインが施されています。また、特徴的なのはDann HuffやLee Ritenourといった名ギタリストの参加により深みと技巧が感じられるギターワークが堪能できることで、デビューアルバムにして作品全体に漂う安定感は彼らのような才能溢れるギタリスト達の活躍あってこそであると思われます。しかしやはり強烈なインパクトはなんといっても本作に無理矢理押し込まれたといっても過言ではない、完全に浮いた形となっているデビューシングル「デリンジャー」でしょう。その他の楽曲が洋楽マナーのイミテーション歌謡といったイメージなのに対して、「デリンジャー」の開き直ったようなテンションとスピード感、そして何よりも異様なまでに主張するドラムの存在感は、聴き手に強烈なインパクトを与え過ぎており、そのためにアルバムのトータルプロデュースをある意味台無しにしてしまっている感もありますが、それもこの「デリンジャー」という楽曲の類稀な存在感が成せる業といったところでしょう。刀根麻理子といえば「デリンジャー」、本作はその認識を再確認させられた作品なのです。もちろんミディアムナンバーの安定感も含めて本作のクオリティの高さも認めなければいけないのですが・・・。
<Favorite Songs>
・「YOU DON’T HAVE TO GO」
エンジン発信音をリズムにする斬新なイントロから始まる洋楽ライクなエレポップチューン。残響音をカットしたクラップ、淡々としたフレージングのベースライン、圧力の高いエレドラのフィルインと、各パートも個性を発揮しており軽快なポップネスが光ります。
・「21世紀マヌカン」
ロックなギターワークが特徴的なポップチューンですが、この楽曲のポイントは全体的に意外性を見せる不思議なコードワークと、イントロや間奏の開放的なギターソロでしょう。乱れ打つエレドラをバックに粒立ったギターの存在感が際立っています。
・「デリンジャー」
80年代J-POP界を彩る稀代の名曲にしてデビューシングル。その全体を包み込むテンションの高さと疾走感は他の追随を許さないクオリティを感じさせます。特にギターソロが唸る狂気の後半では、山木秀夫がスピードに乗ったまま最高潮の密度を誇るエレドラのフィルインからの超ロング連打でカオスなエンディングを演出するなど、これだけでもお腹一杯です。
<評点>
・サウンド ★★ (ロックとAORを行き来するような技巧的な音)
・メロディ ★ (2名の名作曲家が手掛ける中でも地味な印象に)
・リズム ★★ (1曲だけ異常な存在感を発揮するが他の音にも満足)
・曲構成 ★ (インパクトの強い1曲に全体を消されてしまった)
・個性 ★ (最初から洋楽志向で勝負するが逆に個性が薄まる)
総合評点: 6点
amazonでは在庫がないので中古レコード屋等で足を運んで探しましょう。
コメント
No title
だいぶご無沙汰致しております。刀根麻理子は非常に懐かしいです。何かのTV番組にレギュラー出演していて、いつも番組内で歌を歌っていたのを覚えています。当時小僧だった自分には随分大人に見えたものです。
Re: No title
こちらこそご無沙汰しております。
刀根麻理子は「デリンジャー」が個人的にはスゴ過ぎる楽曲なので、それだけでも価値があるのです。
彼女の音楽的本質はもう少し洋楽テイストの別の所にあるみたいですが、あの楽曲の焦燥感には太刀打ちできないんですよね。
刀根麻理子は「デリンジャー」が個人的にはスゴ過ぎる楽曲なので、それだけでも価値があるのです。
彼女の音楽的本質はもう少し洋楽テイストの別の所にあるみたいですが、あの楽曲の焦燥感には太刀打ちできないんですよね。
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