「RAGE IN EDEN」 ULTRAVOX
「RAGE IN EDEN」(1981 Chrysalis)
ULTRAVOX

<members>
Chris Cross:bass・synthesizers・vocals
Midge Ure:vocals・guitars・synthesizers
Warren Cann:drums・electronic percussion・vocals
Billy Currie:synthesizers・piano・violin・viola
1.「The Voice」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
2.「We Stand Alone」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
3.「Rage in Eden」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
4.「I Remember (Death in the Afternoon)」
Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
5.「The Thin Wall」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
6.「Stranger Within」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
7.「Accent on Youth」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
8.「The Ascent」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
9.「Your Name (Has Slipped My Mind Again)」
Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
produced by ULTRAVOX・Conny Plank
engineered by Conny Plank
● ポップソングの中にもニューウェーブ道をストイックに突き詰めた緊迫感溢れる空気感が魅力的な新生第2弾アルバム
カリスマ的ヴォーカリストであったJohn Foxxが脱退しMidge Ureを新たに迎えた新生ULTRAVOXがアルバム「Vienna」でブレイクを果たしたのが1980年。わかりやすい直線的なベースラインと泣きのヴォーカルで一世を風靡した彼らはその勢いをそのままに次作を制作、翌年夏に先行シングル「The Thin Wall」(名曲!)をリリース後、本作が発表されます。前作で披露されたMidge Ureのソングライティングは本作でも全開ですが、それ以上にサウンド面での充実ぶりが極まっており、さらに尖ったエレクトロセンスを見せつけるニューウェーバー達のバイブルとなるべき名盤として現在も語り継がれています。
なにせ当時はニューウェーブ全盛期ですからソレ系のグループはこぞってシンセサイザーを初めとした電子楽器を我れ先に使用したくなるわけですが、本作ではバンドサウンドのおけるシンセフレーズのお手本のような楽曲が並びます。生ベースとシンセベースを要所で使い分け、あくまでギターサウンドをフィーチャーしてロックバンドの型を維持しながら随所でねじりまくったシンセサウンド(&E-bowギター等のギミック)で新しさを追求する、これぞニューウェーブの典型というべき構成からもバンドの充実ぶりが窺えます。そしてこの手のバンドには不可欠なノンスウィング・ノングルーヴのドラミングをWarren Cannが忠実にこなすことで、楽曲に「芯」が生まれていることにも注目です。特にシーケンスによるシンセベースを多用する彼らのようなバンドにこそこのドラミングが必要で、シーケンスと生ドラムによる独特のマシナリーグルーヴは、その後のテクノ&エレクトリック系グループの礎となったと思われます。また顕著なのは淡々とリズムを繰り返すミニマルテンポを多用することで一種の陶酔効果を招き寄せることです。これはテクノポップ系の名プロデューサー&エンジニアであるConny Plankの成せる業で、特にジャーマンロックで見られるこのミニマル効果を生み出すにはジャストなテンポが必要なので、そこでWarren Cannのようなドラミングとお得意の直線的ベースラインが不可欠であり、それをベースにフリーダムなギターやシンセを遊ばせることで、幻惑のサウンドが生み出されるというわけです。当時のULTRAVOXにはそのようなマジックを生み出す神がかったサウンドセンスが備わっていたと思われるのですが、これもConny Plankの魔術師的サウンドメイクがあってこそで、それはConny が離れたその後の彼らの作品を聴いても明確になると思われます。
<Favorite Songs>
・「The Voice」
シングルカットされたオープニングナンバー。ジャストなリズム(アクセントのザップ音が素晴らしい)に支えられ、男なコーラスに泣きのサビという新生ULTRAVOX十八番の展開が実に良いです。間奏ではうねりまくるシンセソロで、期待を裏切りません。
・「The Thin Wall」
異常なテンションと魅惑のコードワークでニューウェーブ界に多大な影響を与えた稀代の名曲。何といっても特徴的なつんのめりベースラインでしょう。息継ぐ間もなくまくしたて歌い上げる盛り上がることこの上なしのヴォーカルからの陰鬱なコーラスに彩られた幻想的な世界、後半は例のベースラインとキレのあるカッティングで押しまくるミニマルな展開等見せ場も多く、恐らくULTRAVOXのレパートリーでも1、2を争う名曲です。
・「Stranger Within」
7分以上にも及ぶ大作ながら各パートに見せ場たっぷりのプログレッシブナンバー。およそロックらしからぬフレーズの挿入や効果的なエフェクトワーク、楽曲自体は地味めではあるもののギミカルなサウンドが飛び交う玄人好みの意欲的な楽曲です。
<評点>
・サウンド ★★★ (一言で言うとアクの強い音で粒立ちが良くヒネている)
・メロディ ★★ (ポップ性では前作には劣るがサビの強さは相変わらず)
・リズム ★★★★ (ベース&ドラムの麻薬効果は抜群で後世のお手本に)
・曲構成 ★ (後半になるにつれてマニアックな楽曲が続く)
・個性 ★★ (完全に立ち位置を確立するがベタなサビの兆候も)
総合評点: 7点
ULTRAVOX

<members>
Chris Cross:bass・synthesizers・vocals
Midge Ure:vocals・guitars・synthesizers
Warren Cann:drums・electronic percussion・vocals
Billy Currie:synthesizers・piano・violin・viola
1.「The Voice」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
2.「We Stand Alone」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
3.「Rage in Eden」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
4.「I Remember (Death in the Afternoon)」
Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
5.「The Thin Wall」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
6.「Stranger Within」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
7.「Accent on Youth」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
8.「The Ascent」 Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
9.「Your Name (Has Slipped My Mind Again)」
Warren Cann/Chris Cross/Billy Currie/Midge Ure
produced by ULTRAVOX・Conny Plank
engineered by Conny Plank
● ポップソングの中にもニューウェーブ道をストイックに突き詰めた緊迫感溢れる空気感が魅力的な新生第2弾アルバム
カリスマ的ヴォーカリストであったJohn Foxxが脱退しMidge Ureを新たに迎えた新生ULTRAVOXがアルバム「Vienna」でブレイクを果たしたのが1980年。わかりやすい直線的なベースラインと泣きのヴォーカルで一世を風靡した彼らはその勢いをそのままに次作を制作、翌年夏に先行シングル「The Thin Wall」(名曲!)をリリース後、本作が発表されます。前作で披露されたMidge Ureのソングライティングは本作でも全開ですが、それ以上にサウンド面での充実ぶりが極まっており、さらに尖ったエレクトロセンスを見せつけるニューウェーバー達のバイブルとなるべき名盤として現在も語り継がれています。
なにせ当時はニューウェーブ全盛期ですからソレ系のグループはこぞってシンセサイザーを初めとした電子楽器を我れ先に使用したくなるわけですが、本作ではバンドサウンドのおけるシンセフレーズのお手本のような楽曲が並びます。生ベースとシンセベースを要所で使い分け、あくまでギターサウンドをフィーチャーしてロックバンドの型を維持しながら随所でねじりまくったシンセサウンド(&E-bowギター等のギミック)で新しさを追求する、これぞニューウェーブの典型というべき構成からもバンドの充実ぶりが窺えます。そしてこの手のバンドには不可欠なノンスウィング・ノングルーヴのドラミングをWarren Cannが忠実にこなすことで、楽曲に「芯」が生まれていることにも注目です。特にシーケンスによるシンセベースを多用する彼らのようなバンドにこそこのドラミングが必要で、シーケンスと生ドラムによる独特のマシナリーグルーヴは、その後のテクノ&エレクトリック系グループの礎となったと思われます。また顕著なのは淡々とリズムを繰り返すミニマルテンポを多用することで一種の陶酔効果を招き寄せることです。これはテクノポップ系の名プロデューサー&エンジニアであるConny Plankの成せる業で、特にジャーマンロックで見られるこのミニマル効果を生み出すにはジャストなテンポが必要なので、そこでWarren Cannのようなドラミングとお得意の直線的ベースラインが不可欠であり、それをベースにフリーダムなギターやシンセを遊ばせることで、幻惑のサウンドが生み出されるというわけです。当時のULTRAVOXにはそのようなマジックを生み出す神がかったサウンドセンスが備わっていたと思われるのですが、これもConny Plankの魔術師的サウンドメイクがあってこそで、それはConny が離れたその後の彼らの作品を聴いても明確になると思われます。
<Favorite Songs>
・「The Voice」
シングルカットされたオープニングナンバー。ジャストなリズム(アクセントのザップ音が素晴らしい)に支えられ、男なコーラスに泣きのサビという新生ULTRAVOX十八番の展開が実に良いです。間奏ではうねりまくるシンセソロで、期待を裏切りません。
・「The Thin Wall」
異常なテンションと魅惑のコードワークでニューウェーブ界に多大な影響を与えた稀代の名曲。何といっても特徴的なつんのめりベースラインでしょう。息継ぐ間もなくまくしたて歌い上げる盛り上がることこの上なしのヴォーカルからの陰鬱なコーラスに彩られた幻想的な世界、後半は例のベースラインとキレのあるカッティングで押しまくるミニマルな展開等見せ場も多く、恐らくULTRAVOXのレパートリーでも1、2を争う名曲です。
・「Stranger Within」
7分以上にも及ぶ大作ながら各パートに見せ場たっぷりのプログレッシブナンバー。およそロックらしからぬフレーズの挿入や効果的なエフェクトワーク、楽曲自体は地味めではあるもののギミカルなサウンドが飛び交う玄人好みの意欲的な楽曲です。
<評点>
・サウンド ★★★ (一言で言うとアクの強い音で粒立ちが良くヒネている)
・メロディ ★★ (ポップ性では前作には劣るがサビの強さは相変わらず)
・リズム ★★★★ (ベース&ドラムの麻薬効果は抜群で後世のお手本に)
・曲構成 ★ (後半になるにつれてマニアックな楽曲が続く)
・個性 ★★ (完全に立ち位置を確立するがベタなサビの兆候も)
総合評点: 7点
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