「HELLBLAU」 GOATBED
「HELLBLAU」(2012 ランティス)
GOATBED

<members>
石井秀仁:vocal・guitar・computer programming
石井雄次:keyboards
1.「D.O.G.M.A」 詞・曲・編:石井秀仁
2.「HELLBLAU」 詞・曲・編:石井秀仁
3.「M-D」 詞・曲・編:石井秀仁
4.「Paramidia+」 詞・曲・編:石井秀仁
5.「Hard Liminal」 曲・編:石井秀仁
6.「Only finally there is free END+」 詞・曲・編:石井秀仁
7.「KA NA SHI MI NO A N JI」 詞・曲・編:石井秀仁
produced by 櫻井優香
mixing engineered by 白石元久
recording engineered by GOATBED
● 思い出したように兄弟ユニットとして復活したもののサウンドはよりストイックかつシンプルに変化したテクノロジーアルバム
2000年代に甦ったニューウェーブマスター石井秀仁のソロユニットgoatbedは、GOATBEDと大文字に変化しながらも80年代を彷佛とさせるキラキラしたメロディラインと潔さすら感じるジャストなリズム+シーケンスを基調としたデジタルサウンドでこの手のスタイルを待ち望んでいた好事家たちの溜飲を下げていたわけですが、2009年のアルバム「V/A」でバンドスタイルは完全に終了、その後はパーマネントバンドであるcali≠gariの復活や元MALICE MIZERのKöziらとのXA-VATの活動等で3年間の沈黙を保つことになります。しかしXA-VAT終了後石井はGOATBEDを再始動させることになりますが、その姿は相棒に弟の石井雄次を迎えたドメスティックな兄弟ユニットに変貌していました。しかも復活のきっかけになったのはボーイズラブ系ゲーム「DRAMAtical Murder」のサウンドプロデュースを石井秀仁が手掛けたということもあり、復活作である本作はアニメソング系レーベルのランティスからのリリースという、これまでの経歴からすると異色の再スタートとなりました。
さて、沈黙期間を経て復活したGOATサウンドは、一聴してまずシンセの音色が剥き出しになってストイックさに拍車がかかったという印象です。Kraftwerk的なミニマルなシーケンスに純度の高い音の散りばめ方からもその電子音へのこだわり方が尋常でないことが理解できます。ソフトシンセ主体であったXA-VATからハードウェアのアナログシンセ主体での音づくりによって良い意味での深みと滲み方を醸し出すことに成功しており、その求道的なシンセサイザーミュージックへの愛情は計り知れないものがあります。逆に極端までサウンド志向に偏った結果、活動休止前のGOATBED楽曲のような美しいメロディラインは、前述の「DRAMAtical Murder」の主題歌として採用された「Only finally there is free END」のみに感じられるくらいで、その他の楽曲はシンプルなシンセ&シーケンスと攻撃的なジャストリズムを独特の浮遊感のある音の奥行きで勝負しており、持ち前のメロディセンスは意図的に隠し通した感もあります。しかしそのあたりは新生ユニットのスタートとしてのサウンドの方向性を高らかに宣言しているにふさわしい電子音の激しい主張が勝っており、そのあたりの賛否はあるとは思いますが、これも石井のニューウェーブ魂の成せる業とシンセポップアーティストとしての豊富な経験を生かした結果であると思われます。本作以降このソロユニットでは執拗なまでのストイックな電子音を主体としたエクスペリメンタルポップ道へ突き進むことになります。
<Favorite Songs>
・「Only finally there is free END+」
ゲーム主題歌として採用された古くからのGOATBEDファンも納得の哀愁シンセポップチューン。リズムは控えめに多彩なシンセフレーズの組み合わせでファンタジックにサウンドが構成されており、どこかオリエンタルなメロディを生かしながら、浮遊感のある楽曲に仕上げています。
・「KA NA SHI MI NO A N JI」
インダストリアル風味の渋めなラストナンバー。この楽曲は物凄く太さを強調したシンセベースが特徴で、シンプルなシーケンスとの対比が生きています。この楽曲もシンセサウンドが醸し出すのは浮遊感で、どこまでも幻想的です。
<評点>
・サウンド ★★★★ (格段にこだわりを深めた幻想的な電子音の匠の技)
・メロディ ★ (サウンド偏重により歌謡曲的なキラーメロは控えめに)
・リズム ★★ (リズムまでシンセで組み立てる執拗なこだわり方)
・曲構成 ★ (習作的な楽曲もありアルバムとしては不完全燃焼か)
・個性 ★★ (若さ溢れる作風から味のある円熟電子サウンドへ)
総合評点: 7点
GOATBED

<members>
石井秀仁:vocal・guitar・computer programming
石井雄次:keyboards
1.「D.O.G.M.A」 詞・曲・編:石井秀仁
2.「HELLBLAU」 詞・曲・編:石井秀仁
3.「M-D」 詞・曲・編:石井秀仁
4.「Paramidia+」 詞・曲・編:石井秀仁
5.「Hard Liminal」 曲・編:石井秀仁
6.「Only finally there is free END+」 詞・曲・編:石井秀仁
7.「KA NA SHI MI NO A N JI」 詞・曲・編:石井秀仁
produced by 櫻井優香
mixing engineered by 白石元久
recording engineered by GOATBED
● 思い出したように兄弟ユニットとして復活したもののサウンドはよりストイックかつシンプルに変化したテクノロジーアルバム
2000年代に甦ったニューウェーブマスター石井秀仁のソロユニットgoatbedは、GOATBEDと大文字に変化しながらも80年代を彷佛とさせるキラキラしたメロディラインと潔さすら感じるジャストなリズム+シーケンスを基調としたデジタルサウンドでこの手のスタイルを待ち望んでいた好事家たちの溜飲を下げていたわけですが、2009年のアルバム「V/A」でバンドスタイルは完全に終了、その後はパーマネントバンドであるcali≠gariの復活や元MALICE MIZERのKöziらとのXA-VATの活動等で3年間の沈黙を保つことになります。しかしXA-VAT終了後石井はGOATBEDを再始動させることになりますが、その姿は相棒に弟の石井雄次を迎えたドメスティックな兄弟ユニットに変貌していました。しかも復活のきっかけになったのはボーイズラブ系ゲーム「DRAMAtical Murder」のサウンドプロデュースを石井秀仁が手掛けたということもあり、復活作である本作はアニメソング系レーベルのランティスからのリリースという、これまでの経歴からすると異色の再スタートとなりました。
さて、沈黙期間を経て復活したGOATサウンドは、一聴してまずシンセの音色が剥き出しになってストイックさに拍車がかかったという印象です。Kraftwerk的なミニマルなシーケンスに純度の高い音の散りばめ方からもその電子音へのこだわり方が尋常でないことが理解できます。ソフトシンセ主体であったXA-VATからハードウェアのアナログシンセ主体での音づくりによって良い意味での深みと滲み方を醸し出すことに成功しており、その求道的なシンセサイザーミュージックへの愛情は計り知れないものがあります。逆に極端までサウンド志向に偏った結果、活動休止前のGOATBED楽曲のような美しいメロディラインは、前述の「DRAMAtical Murder」の主題歌として採用された「Only finally there is free END」のみに感じられるくらいで、その他の楽曲はシンプルなシンセ&シーケンスと攻撃的なジャストリズムを独特の浮遊感のある音の奥行きで勝負しており、持ち前のメロディセンスは意図的に隠し通した感もあります。しかしそのあたりは新生ユニットのスタートとしてのサウンドの方向性を高らかに宣言しているにふさわしい電子音の激しい主張が勝っており、そのあたりの賛否はあるとは思いますが、これも石井のニューウェーブ魂の成せる業とシンセポップアーティストとしての豊富な経験を生かした結果であると思われます。本作以降このソロユニットでは執拗なまでのストイックな電子音を主体としたエクスペリメンタルポップ道へ突き進むことになります。
<Favorite Songs>
・「Only finally there is free END+」
ゲーム主題歌として採用された古くからのGOATBEDファンも納得の哀愁シンセポップチューン。リズムは控えめに多彩なシンセフレーズの組み合わせでファンタジックにサウンドが構成されており、どこかオリエンタルなメロディを生かしながら、浮遊感のある楽曲に仕上げています。
・「KA NA SHI MI NO A N JI」
インダストリアル風味の渋めなラストナンバー。この楽曲は物凄く太さを強調したシンセベースが特徴で、シンプルなシーケンスとの対比が生きています。この楽曲もシンセサウンドが醸し出すのは浮遊感で、どこまでも幻想的です。
<評点>
・サウンド ★★★★ (格段にこだわりを深めた幻想的な電子音の匠の技)
・メロディ ★ (サウンド偏重により歌謡曲的なキラーメロは控えめに)
・リズム ★★ (リズムまでシンセで組み立てる執拗なこだわり方)
・曲構成 ★ (習作的な楽曲もありアルバムとしては不完全燃焼か)
・個性 ★★ (若さ溢れる作風から味のある円熟電子サウンドへ)
総合評点: 7点
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