「PLASTIC」 Aira Mitsuki
「PLASTIC」(2009 D-topia)
Aira Mitsuki:vocal

1.「ロボットハニー」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
2.「Summeeeeeeeer set (feat.AYUSE KOZUE)」
詞:TO-WEST & Aira 曲:TO-WEST 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
3.「ニーハイガール」
詞・曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
4.「BAD trip」
詞:Aira Mitsuki 曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
5.「CHANGE MY WILL」
詞:TO-WEST 曲:TO-WEST/NExx WORKS 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
6.「HiGH SD スニーカー」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it/TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
7.「distant STARS」
詞・曲:TO-WEST 編:TOKYO IKEJIRI PLASTIC BABE & TO-WEST
8.「プラスティックドール」
詞:Aira Mitsuki 曲:NExx WORKS 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
9.「サプリ」
詞:Aira Mitsuki 曲:Kampkin Malkee 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
10.「夏飴 (feat.口ロロ)」
詞・曲:TO-WEST/口ロロ 編:口ロロ
11.「Time is (feat.Shigeo(SBK/TheSAMOS))」
詞・曲:TO-WEST/Shigeo 編:Shigeo
12.「サヨナラTECHNOPOLIS」
詞・曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
13.「BARBiE BARBiE」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
14.「Re: †」
詞・曲:TO-WEST 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
<support musician>
AYUSE KOZUE:vocal
Shigeo:vocal
口ロロ:vocal
sound produced by Terukado
mixing engineered by ELECTRIC INVADERS & TO-WEST・DISCOTICAoooo6969 & TO-WEST・TOKYO IKEJIRI PLASTIC BABE & TO-WEST・口ロロ・大石ヒトシ
recordjing engineered by 長岩隆文
● 00年代のエレクトロヒロインが提示する全編ディスコティックなますます過剰に苛烈に突き進むシンセポップアルバム
Perfumeのメジャーデビューとその後の快進撃により一般的には風化しつつあったテクノポップという単語が、全く別の意味でエレクトロの鎧をまとい復活し定着しつつあった2007年。Aira Mitsukiはオーディショングランプリの実績を引っ提げてシングル「カラフル・トーキョーサウンズ・NO.9」でインディーズデビューを果たします。「未来から生まれたテクノポップ・アイコン」というキャッチフレーズからもわかるように強烈にその方向性をアピール、明らかにPerfumeの「GAME」以降の音を意識した過激なエレクトロサウンドを標榜して一躍ムーブメント盛り上げの一役を担ったわけです。そして当然のことながら翌2008年にメジャーデビューを果たし1stアルバム「COPY」をリリース、立ち位置を確立した「ロボットハニー」「サヨナラ TECHNOPOLiS」「BARBiE BARBiE」の3枚のシングルリリースを経て2009年に勝負を賭けて発表された2ndアルバムが本作となります。
さて、Aira Mitsukiを全面的にプロデュースしているのは、古くは90年代後半に元カシオペアのドラマー熊谷徳明や徳永暁人らと結成したビーイング系バンド、XLでデビューしていた大西輝門で、彼はTerukadoと名前を変えながら愛内里菜やハレンチ☆パンチ等を手掛けるサウンドプロデューサーとして活動していましたが、その才気が覚醒したのはこのAira Mitsukiを手掛けてからでしょう。本作でもPerfumeを向こうに回して相乗効果なのかますます激しくなっていくブリブリのベースラインを中心とした剥き出しも辞さない、時には唐辛子をぶっかけるように過剰な電子音は、時にAiraのヴォーカルが益々音の一部と化してしまい、いわゆるエレクトロ期のcapsule現象を引き起こしていますが、もはや売れ線など全く気にする様子もない吹っ切れたサウンドデザインには、聴き手の好き嫌いは別にしてもそのチャレンジ精神に脱帽せざるを得ません。それでもこの手のバリバリのクラブシーンで活躍できそうなサウンドを歌モノJ-POP界で挑戦するからこそこの個性が光っているのであり、AYUSE KOZUEや口ロロといったゲスト陣に主役を奪われることなく自身の音として昇華し自我を保っていられる部分に、Aira & Terukadoの野心が感じられるのが興味深いです。また、バラードの「distant STARS」を挟んでサウンドカラーをヘビーな前半とライトな後半(ラストの「Re: †」は悪魔の所業ですが)で分割しているのもコンセプトとして良く考えられている作品です。
しかし哀しいかなムーブメントというのは終わりも早いわけで、彼女もその波に流されるように数枚のアルバムをリリースした後、一部には惜しまれつつ、テクノポップ・アイコンとしてのプロジェクトは休止してしまいました・・・が、最近アイラミツキ名義で再び音楽界にチャレンジしています(やはりエレクトロ歌謡)。
<Favorite Songs>
・「ニーハイガール」
四つ打ちのリズムにしつこいくらいのアシッドなベースラインが絡んでいく激しいエレクトロダンスチューン。幾重にも重ねられた高速シーケンスにノイジーなパッドをインパクトにして適度に暴れ回るフィルインのタイミングもセンスに溢れています。
・「プラスティックドール」
前半のノイジーで過激なエレクトロから一変しての軽めのスペイシーエレポップチューン。ほどよいスピード感とライトなアルペジオ&キラキラしたシンセリフに装飾されてメロディも親しみやすく、アルバムのメインテーマでありながらシングルを切ってもおかしくないクオリティを持った好楽曲です。
・「Re: †」
最後だからって何でもやりたい放題すればいいってもんじゃないぞ!というツッコミも届かないお祭り的過激なエレクトロ音満載のラストチューン。明らかにクラブ仕様に考えられたロングバージョンにギミックも満載。途中のスラップベースのコクのある音も鮮やかです。
<評点>
・サウンド ★★ (音数も多くとにかくどぎつい音を放り込むスタイル)
・メロディ ★ (音に気をとられてサラッと流されてしまう旋律)
・リズム ★ (手数は多いが電子音に比べてある種の軽さも目立つ)
・曲構成 ★★ (前後半でカラーを変えるのは面白いがゲスト曲が散漫)
・個性 ★ (アクの強さを存分に披露するが肝心の本人が薄まって)
総合評点: 6点
Aira Mitsuki:vocal

1.「ロボットハニー」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
2.「Summeeeeeeeer set (feat.AYUSE KOZUE)」
詞:TO-WEST & Aira 曲:TO-WEST 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
3.「ニーハイガール」
詞・曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
4.「BAD trip」
詞:Aira Mitsuki 曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
5.「CHANGE MY WILL」
詞:TO-WEST 曲:TO-WEST/NExx WORKS 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
6.「HiGH SD スニーカー」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it/TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
7.「distant STARS」
詞・曲:TO-WEST 編:TOKYO IKEJIRI PLASTIC BABE & TO-WEST
8.「プラスティックドール」
詞:Aira Mitsuki 曲:NExx WORKS 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
9.「サプリ」
詞:Aira Mitsuki 曲:Kampkin Malkee 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
10.「夏飴 (feat.口ロロ)」
詞・曲:TO-WEST/口ロロ 編:口ロロ
11.「Time is (feat.Shigeo(SBK/TheSAMOS))」
詞・曲:TO-WEST/Shigeo 編:Shigeo
12.「サヨナラTECHNOPOLIS」
詞・曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
13.「BARBiE BARBiE」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
14.「Re: †」
詞・曲:TO-WEST 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
<support musician>
AYUSE KOZUE:vocal
Shigeo:vocal
口ロロ:vocal
sound produced by Terukado
mixing engineered by ELECTRIC INVADERS & TO-WEST・DISCOTICAoooo6969 & TO-WEST・TOKYO IKEJIRI PLASTIC BABE & TO-WEST・口ロロ・大石ヒトシ
recordjing engineered by 長岩隆文
● 00年代のエレクトロヒロインが提示する全編ディスコティックなますます過剰に苛烈に突き進むシンセポップアルバム
Perfumeのメジャーデビューとその後の快進撃により一般的には風化しつつあったテクノポップという単語が、全く別の意味でエレクトロの鎧をまとい復活し定着しつつあった2007年。Aira Mitsukiはオーディショングランプリの実績を引っ提げてシングル「カラフル・トーキョーサウンズ・NO.9」でインディーズデビューを果たします。「未来から生まれたテクノポップ・アイコン」というキャッチフレーズからもわかるように強烈にその方向性をアピール、明らかにPerfumeの「GAME」以降の音を意識した過激なエレクトロサウンドを標榜して一躍ムーブメント盛り上げの一役を担ったわけです。そして当然のことながら翌2008年にメジャーデビューを果たし1stアルバム「COPY」をリリース、立ち位置を確立した「ロボットハニー」「サヨナラ TECHNOPOLiS」「BARBiE BARBiE」の3枚のシングルリリースを経て2009年に勝負を賭けて発表された2ndアルバムが本作となります。
さて、Aira Mitsukiを全面的にプロデュースしているのは、古くは90年代後半に元カシオペアのドラマー熊谷徳明や徳永暁人らと結成したビーイング系バンド、XLでデビューしていた大西輝門で、彼はTerukadoと名前を変えながら愛内里菜やハレンチ☆パンチ等を手掛けるサウンドプロデューサーとして活動していましたが、その才気が覚醒したのはこのAira Mitsukiを手掛けてからでしょう。本作でもPerfumeを向こうに回して相乗効果なのかますます激しくなっていくブリブリのベースラインを中心とした剥き出しも辞さない、時には唐辛子をぶっかけるように過剰な電子音は、時にAiraのヴォーカルが益々音の一部と化してしまい、いわゆるエレクトロ期のcapsule現象を引き起こしていますが、もはや売れ線など全く気にする様子もない吹っ切れたサウンドデザインには、聴き手の好き嫌いは別にしてもそのチャレンジ精神に脱帽せざるを得ません。それでもこの手のバリバリのクラブシーンで活躍できそうなサウンドを歌モノJ-POP界で挑戦するからこそこの個性が光っているのであり、AYUSE KOZUEや口ロロといったゲスト陣に主役を奪われることなく自身の音として昇華し自我を保っていられる部分に、Aira & Terukadoの野心が感じられるのが興味深いです。また、バラードの「distant STARS」を挟んでサウンドカラーをヘビーな前半とライトな後半(ラストの「Re: †」は悪魔の所業ですが)で分割しているのもコンセプトとして良く考えられている作品です。
しかし哀しいかなムーブメントというのは終わりも早いわけで、彼女もその波に流されるように数枚のアルバムをリリースした後、一部には惜しまれつつ、テクノポップ・アイコンとしてのプロジェクトは休止してしまいました・・・が、最近アイラミツキ名義で再び音楽界にチャレンジしています(やはりエレクトロ歌謡)。
<Favorite Songs>
・「ニーハイガール」
四つ打ちのリズムにしつこいくらいのアシッドなベースラインが絡んでいく激しいエレクトロダンスチューン。幾重にも重ねられた高速シーケンスにノイジーなパッドをインパクトにして適度に暴れ回るフィルインのタイミングもセンスに溢れています。
・「プラスティックドール」
前半のノイジーで過激なエレクトロから一変しての軽めのスペイシーエレポップチューン。ほどよいスピード感とライトなアルペジオ&キラキラしたシンセリフに装飾されてメロディも親しみやすく、アルバムのメインテーマでありながらシングルを切ってもおかしくないクオリティを持った好楽曲です。
・「Re: †」
最後だからって何でもやりたい放題すればいいってもんじゃないぞ!というツッコミも届かないお祭り的過激なエレクトロ音満載のラストチューン。明らかにクラブ仕様に考えられたロングバージョンにギミックも満載。途中のスラップベースのコクのある音も鮮やかです。
<評点>
・サウンド ★★ (音数も多くとにかくどぎつい音を放り込むスタイル)
・メロディ ★ (音に気をとられてサラッと流されてしまう旋律)
・リズム ★ (手数は多いが電子音に比べてある種の軽さも目立つ)
・曲構成 ★★ (前後半でカラーを変えるのは面白いがゲスト曲が散漫)
・個性 ★ (アクの強さを存分に披露するが肝心の本人が薄まって)
総合評点: 6点
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