「REPEAT REPEAT」 Peter Baumann
「「REPEAT REPEAT」(1981 Virgin)
Peter Baumann:vocals・keyboards・synthesizer

1.「Repeat Repeat」 Peter Baumann
2.「Home Sweet Home」 Peter Baumann
3.「Deccadance」 Peter Baumann
4.「Realtimes」 Peter Baumann
5.「M.A.N. Series Two」 Peter Baumann
6.「Brain Damage」 Peter Baumann
7.「Kinky Dinky」 Peter Baumann
8.「Daytime Logic」 Peter Baumann/Carsten Bohn
9.「Playland Pleasure」 Peter Baumann
10.「What Is Your Use?」 Peter Baumann
<support musician>
Ritchie Fliegler:guitar
John Tropea:guitar
Carsten Bohn:drums・keyboards
Mike Dawe:drums
Linda Kay Brynan:backing vocals
produced by Robert Palmer・Peter Baumann
engineered by Jack Nuber・Jan Hammer・Alan Douglas・Peter Baumann
● 元Tangerine Dreamのシンセシストがニューウェーブに転身!ゲリマン節を彷佛とさせるシンセポップ挑戦の意欲作
エレクトリック、プログレ、ニューエイジ、クラウトロック等多彩なジャンルに大きな影響を与えてきたドイツが生んだ伝説のモンスターグループ、Tangerine Dreamの全盛期(1972年〜1977年)をメンバーきっての若手として支えてきたPeter Baumannは、ソロアーティストとしても「Romance '76」でデビュー、Tangerine Dream脱退後の79年にもアルバム「Trans Harmonic Nights」をリリース、ドイツの世界に誇る電子音楽ユニットClusterの名盤「Grosses Wasser」をプロデュースするなど、早くからシンセサイザーを導入した電子音楽の期待のサウンドメイカーとして活躍していました。しかし80年代に入ってリリースされた3rdアルバムの本作は、それまでの経歴を考えると呆気にとられるほどのイメチェンを図ります。長髪だった髪の毛もオールバックに整えられ、David BowieやJohn Foxx、Gary Numanといったニューウェーブなアーティストに影響されたためか、ヌメりのあるヴォーカルスタイルと無機質なビートに得意の電子音を散りばめた楽曲が多数収録され、これまでの彼のファン層を困惑させることとなりました。
それにしても2ndアルバムまでのTangerine Dreamの流れを汲んだ静謐でシンプルな電子音楽からの変貌ぶりには改めて目を見張るものがあります。しかしながらサウンド面での手法的には、単純に16音符を刻んでいくシーケンス、うっすらチープなボコーダー、多彩なシンセサウンドの滲み方、間奏等で聴かれるめくるめく大げさなシンセオーケストレーションに至るまで、それほど変化はないように思われます。前作までの決定的な違いはいわゆる「生」音の導入です。まずはBaumannみずからのボコーダーを介しない生歌の披露です。Gary Numanに代表される自然と倍音を含んだかのように喉に絡みついたような声質は決して美しいものではありませんが、80年代初頭のニューウェーブな空気感を演出するには十分な仕事を果たしていると思います。そしてもう1つはドラマーの起用です。本作では本格的に生ドラムを導入していますが、これが楽曲に肉感をもたらしロックテイストを醸すことで、彼の難解なエレクトリックサウンドをポピュラーな印象として伝えることに成功しています(しかも「Daytime Logic」「What Is Your Use?」等における力強いスネアは後の過剰なドラム音処理を彷佛とさせます)。結果的にこの路線はリスナーを驚かせるまでにとどまり、Baumann自身は83年に同路線のアルバムを1作リリースしてからは、実業家としての活動にほぼ専念していくことになりますが、70年代を通過した堅物なエレクトリックアーティストの冒険作として記憶に残しておきたい作品です。
<Favorite Songs>
・「Brain Damage」
ミニマルなシーケンスによる緊迫感に心躍らされるエレクトリックポップ。奇妙な音階を奏でるリフも気になりますが、後半へ進むにしたがってバラエティに富んだシンセギミックが繰り出されるところに、電子音への造詣とこだわりが感じられます。
・「Playland Pleasure」
瞑想的なエレクトリックシーケンスで幻惑させながら、その流れからシーケンスをそのままに直線的なロックテイストへと持っていく力技を感じる楽曲。しかしヴォーカルは斜に構えたままでクールに、というコントラストが魅力です。
・「What Is Your Use?」
コクのあるシンセベースとエフェクティブなドラムサウンドが魅力的なラストナンバー。SE的に使われる電子音と遠くで響くエレクトリックタムの連打、経験に裏打ちされたシンセソロフレーズ、最後になってもその熱さは衰えません。
<評点>
・サウンド ★★★ (電子音の大仰な使い方は70年代の豊富な経験の賜物)
・メロディ ★ (どれをとっても煮え切らない部分に融通の利かなさが)
・リズム ★★★ (生ドラムによる躍動感でスネアがエフェクティブ)
・曲構成 ★ (切迫感のある楽曲と呑気な楽曲とのギャップが・・)
・個性 ★★ (流行を察知して果敢にポップ路線に挑んだ結果問題作に)
総合評点: 7点
彼のソロアルバムは軒並み廃盤なので、このベストを聴くしかありません。本作から4曲を収録。
Peter Baumann:vocals・keyboards・synthesizer

1.「Repeat Repeat」 Peter Baumann
2.「Home Sweet Home」 Peter Baumann
3.「Deccadance」 Peter Baumann
4.「Realtimes」 Peter Baumann
5.「M.A.N. Series Two」 Peter Baumann
6.「Brain Damage」 Peter Baumann
7.「Kinky Dinky」 Peter Baumann
8.「Daytime Logic」 Peter Baumann/Carsten Bohn
9.「Playland Pleasure」 Peter Baumann
10.「What Is Your Use?」 Peter Baumann
<support musician>
Ritchie Fliegler:guitar
John Tropea:guitar
Carsten Bohn:drums・keyboards
Mike Dawe:drums
Linda Kay Brynan:backing vocals
produced by Robert Palmer・Peter Baumann
engineered by Jack Nuber・Jan Hammer・Alan Douglas・Peter Baumann
● 元Tangerine Dreamのシンセシストがニューウェーブに転身!ゲリマン節を彷佛とさせるシンセポップ挑戦の意欲作
エレクトリック、プログレ、ニューエイジ、クラウトロック等多彩なジャンルに大きな影響を与えてきたドイツが生んだ伝説のモンスターグループ、Tangerine Dreamの全盛期(1972年〜1977年)をメンバーきっての若手として支えてきたPeter Baumannは、ソロアーティストとしても「Romance '76」でデビュー、Tangerine Dream脱退後の79年にもアルバム「Trans Harmonic Nights」をリリース、ドイツの世界に誇る電子音楽ユニットClusterの名盤「Grosses Wasser」をプロデュースするなど、早くからシンセサイザーを導入した電子音楽の期待のサウンドメイカーとして活躍していました。しかし80年代に入ってリリースされた3rdアルバムの本作は、それまでの経歴を考えると呆気にとられるほどのイメチェンを図ります。長髪だった髪の毛もオールバックに整えられ、David BowieやJohn Foxx、Gary Numanといったニューウェーブなアーティストに影響されたためか、ヌメりのあるヴォーカルスタイルと無機質なビートに得意の電子音を散りばめた楽曲が多数収録され、これまでの彼のファン層を困惑させることとなりました。
それにしても2ndアルバムまでのTangerine Dreamの流れを汲んだ静謐でシンプルな電子音楽からの変貌ぶりには改めて目を見張るものがあります。しかしながらサウンド面での手法的には、単純に16音符を刻んでいくシーケンス、うっすらチープなボコーダー、多彩なシンセサウンドの滲み方、間奏等で聴かれるめくるめく大げさなシンセオーケストレーションに至るまで、それほど変化はないように思われます。前作までの決定的な違いはいわゆる「生」音の導入です。まずはBaumannみずからのボコーダーを介しない生歌の披露です。Gary Numanに代表される自然と倍音を含んだかのように喉に絡みついたような声質は決して美しいものではありませんが、80年代初頭のニューウェーブな空気感を演出するには十分な仕事を果たしていると思います。そしてもう1つはドラマーの起用です。本作では本格的に生ドラムを導入していますが、これが楽曲に肉感をもたらしロックテイストを醸すことで、彼の難解なエレクトリックサウンドをポピュラーな印象として伝えることに成功しています(しかも「Daytime Logic」「What Is Your Use?」等における力強いスネアは後の過剰なドラム音処理を彷佛とさせます)。結果的にこの路線はリスナーを驚かせるまでにとどまり、Baumann自身は83年に同路線のアルバムを1作リリースしてからは、実業家としての活動にほぼ専念していくことになりますが、70年代を通過した堅物なエレクトリックアーティストの冒険作として記憶に残しておきたい作品です。
<Favorite Songs>
・「Brain Damage」
ミニマルなシーケンスによる緊迫感に心躍らされるエレクトリックポップ。奇妙な音階を奏でるリフも気になりますが、後半へ進むにしたがってバラエティに富んだシンセギミックが繰り出されるところに、電子音への造詣とこだわりが感じられます。
・「Playland Pleasure」
瞑想的なエレクトリックシーケンスで幻惑させながら、その流れからシーケンスをそのままに直線的なロックテイストへと持っていく力技を感じる楽曲。しかしヴォーカルは斜に構えたままでクールに、というコントラストが魅力です。
・「What Is Your Use?」
コクのあるシンセベースとエフェクティブなドラムサウンドが魅力的なラストナンバー。SE的に使われる電子音と遠くで響くエレクトリックタムの連打、経験に裏打ちされたシンセソロフレーズ、最後になってもその熱さは衰えません。
<評点>
・サウンド ★★★ (電子音の大仰な使い方は70年代の豊富な経験の賜物)
・メロディ ★ (どれをとっても煮え切らない部分に融通の利かなさが)
・リズム ★★★ (生ドラムによる躍動感でスネアがエフェクティブ)
・曲構成 ★ (切迫感のある楽曲と呑気な楽曲とのギャップが・・)
・個性 ★★ (流行を察知して果敢にポップ路線に挑んだ結果問題作に)
総合評点: 7点
彼のソロアルバムは軒並み廃盤なので、このベストを聴くしかありません。本作から4曲を収録。
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