「Artificial Intelligence」 Doris Norton
「Artificial Intelligence」 (1985 Globo)
Doris Norton:vocals・Roland MKS-10・Roland MKS-30・Roland MKS-50・Akai S612・Roland Jupiter-6・Roland Juno-106・computer programming

1.「Artificial Intelligence」 Doris Norton/Antonius Rex
2.「Machine Language」 Doris Norton/Antonius Rex
3.「Advanced Micro Music」 Doris Norton/Antonius Rex
4.「Sylicon Valley」 Doris Norton/Antonius Rex
5.「Juno 106 Software」 Doris Norton/Antonius Rex
6.「Norton Institute」 Doris Norton/Antonius Rex
7.「Norton Musik Research」 Doris Norton/Antonius Rex
8.「Oh Supermac」 Doris Norton/Antonius Rex
9.「Bit Killed Hertz」 Doris Norton/Antonius Rex
10.「JX-3P Software」 Doris Norton/Antonius Rex
produced by Musik Reserch
engineered by Antonius Rex・Rudy Luksch
● 遂にサンプリングも導入しRolandシンセをフィーチャーして新機軸を見せるイタリアン女性シンセマニアの5thアルバム
70年代より黒魔術信仰のシンフォニックプログレロックバンドAntonius Rexで活躍していたイタリア人シンセサイザープレイヤーDoris Nortonは、同バンド脱退後80年代からは自身のソロ活動に没頭することとなります。81年の「Raptus」を皮切りに、84年の「Personal Computer」まで4枚のアルバムを残してきましたが、彼女の作品は日本の気鋭の電子楽器メーカーRolandとまだ勃興期にあったベンチャーコンピューター会社Appleの公式的なサポートを得ながら、それらの電子アイテムを使用した実験的かつプログレッシブなエレクトリックミュージックを展開していました。そんな硬派な電子音クリエイターであった彼女が85年にリリースした作品が本作です。「Personal Computer」(傑作!)においてアナログシンセサウンドに集大成を見た彼女が、その先をサウンド面で見据えたのは、当然DCOシンセ&サンプラーサウンド。本作ではRoland MKSシリーズの音源モジュール群と8bitサンプラーの画期的な廉価版であったAkai S612を駆使したLo-FiサンプリングとDCOらしい痩せ気味のシンセ音が程よく絡み合った実験音楽集に仕上がっています。
まずはオープニングの新兵器サンプラーによる執拗なドモリングサウンドに圧倒されますが、基本はRoland特有のDCOオシレーターによる安定感のあるシンセサウンドによるシーケンスフレーズを駆使した実験風楽曲です。JUNO-106やJX-3Pの音色データをカセットテープにより交換するための信号を収録するなど、ほとんどRolandの販促デモのような内容ですが、肝心の楽曲はプログレ的な目まぐるしい展開と多彩な音色による自由に動き回るフレーズが支配するアグレッシブな作風で、その雑多で混沌としたエレクトリックミュージックにはサンプリングという新しい要素を導入したといっても全くブレがありません。しかしながらそのブレのなさがある種のマンネリ感を引き起こしている点も否めず、これまでのNortonサウンドとサンプリングサウンドとの融合はまだまだ発展途上にあると言わざるを得ないのも事実です。そこでNortonは同年間髪入れずに大々的にデジタル&サンプラーをフィーチャーしたアルバム「Automatic Feeling」で、Nortonサウンドの新機軸と集大成に挑んでいくことになります。
<Favorite Songs>
・「Artificial Intelligence」
執拗なドモリングサンプリングが時代を感じさせる本作のリードチューン。どこかオリエンタルかつ攻撃的なメロディラインに、チープなシンセドラム&ハンドクラップ、そして惜しげもなく披露される犬の吠え声&人間ボイスサンプリング・・・新しいデバイスを積極的に利用しようとする姿勢が潔い楽曲です。
・「Norton Institute」
いかにもPCシーケンスっぽいマシナリーフレーズが目立つB面1曲目。まるで音色デモのように音数は少ないまでも自由奔放なフレーズが動き回ります。その中でアクセントとなるサンプルボイスもまさにデモのように鳴らしまくりです。
・「Bit Killed Hertz」
これも狂おしいほどのサンプリングで聴き手を惑わすラストナンバー。新しいおもちゃを手に入れた子供のように嬉々としてサンプラーを操作するDoris Nortonを想像すると微笑ましくすらあります。途中から入ってくるSuper SAWなシンセフレーズがカッコ良さを増幅させます。
<評点>
・サウンド ★★ (サンプラーの導入の仕方がなんとも大味)
・メロディ ★ (フレーズがすこぶる東洋的なのはRolandだから?)
・リズム ★★ (打ち込みのよるチープで執拗なリズムも大活躍)
・曲構成 ★ (実験音楽集なため同じようなサンプルデモ曲が並ぶ)
・個性 ★ (サンプラー導入も作風にはマンネリ感も漂う)
総合評点: 6点
Doris Norton:vocals・Roland MKS-10・Roland MKS-30・Roland MKS-50・Akai S612・Roland Jupiter-6・Roland Juno-106・computer programming

1.「Artificial Intelligence」 Doris Norton/Antonius Rex
2.「Machine Language」 Doris Norton/Antonius Rex
3.「Advanced Micro Music」 Doris Norton/Antonius Rex
4.「Sylicon Valley」 Doris Norton/Antonius Rex
5.「Juno 106 Software」 Doris Norton/Antonius Rex
6.「Norton Institute」 Doris Norton/Antonius Rex
7.「Norton Musik Research」 Doris Norton/Antonius Rex
8.「Oh Supermac」 Doris Norton/Antonius Rex
9.「Bit Killed Hertz」 Doris Norton/Antonius Rex
10.「JX-3P Software」 Doris Norton/Antonius Rex
produced by Musik Reserch
engineered by Antonius Rex・Rudy Luksch
● 遂にサンプリングも導入しRolandシンセをフィーチャーして新機軸を見せるイタリアン女性シンセマニアの5thアルバム
70年代より黒魔術信仰のシンフォニックプログレロックバンドAntonius Rexで活躍していたイタリア人シンセサイザープレイヤーDoris Nortonは、同バンド脱退後80年代からは自身のソロ活動に没頭することとなります。81年の「Raptus」を皮切りに、84年の「Personal Computer」まで4枚のアルバムを残してきましたが、彼女の作品は日本の気鋭の電子楽器メーカーRolandとまだ勃興期にあったベンチャーコンピューター会社Appleの公式的なサポートを得ながら、それらの電子アイテムを使用した実験的かつプログレッシブなエレクトリックミュージックを展開していました。そんな硬派な電子音クリエイターであった彼女が85年にリリースした作品が本作です。「Personal Computer」(傑作!)においてアナログシンセサウンドに集大成を見た彼女が、その先をサウンド面で見据えたのは、当然DCOシンセ&サンプラーサウンド。本作ではRoland MKSシリーズの音源モジュール群と8bitサンプラーの画期的な廉価版であったAkai S612を駆使したLo-FiサンプリングとDCOらしい痩せ気味のシンセ音が程よく絡み合った実験音楽集に仕上がっています。
まずはオープニングの新兵器サンプラーによる執拗なドモリングサウンドに圧倒されますが、基本はRoland特有のDCOオシレーターによる安定感のあるシンセサウンドによるシーケンスフレーズを駆使した実験風楽曲です。JUNO-106やJX-3Pの音色データをカセットテープにより交換するための信号を収録するなど、ほとんどRolandの販促デモのような内容ですが、肝心の楽曲はプログレ的な目まぐるしい展開と多彩な音色による自由に動き回るフレーズが支配するアグレッシブな作風で、その雑多で混沌としたエレクトリックミュージックにはサンプリングという新しい要素を導入したといっても全くブレがありません。しかしながらそのブレのなさがある種のマンネリ感を引き起こしている点も否めず、これまでのNortonサウンドとサンプリングサウンドとの融合はまだまだ発展途上にあると言わざるを得ないのも事実です。そこでNortonは同年間髪入れずに大々的にデジタル&サンプラーをフィーチャーしたアルバム「Automatic Feeling」で、Nortonサウンドの新機軸と集大成に挑んでいくことになります。
<Favorite Songs>
・「Artificial Intelligence」
執拗なドモリングサンプリングが時代を感じさせる本作のリードチューン。どこかオリエンタルかつ攻撃的なメロディラインに、チープなシンセドラム&ハンドクラップ、そして惜しげもなく披露される犬の吠え声&人間ボイスサンプリング・・・新しいデバイスを積極的に利用しようとする姿勢が潔い楽曲です。
・「Norton Institute」
いかにもPCシーケンスっぽいマシナリーフレーズが目立つB面1曲目。まるで音色デモのように音数は少ないまでも自由奔放なフレーズが動き回ります。その中でアクセントとなるサンプルボイスもまさにデモのように鳴らしまくりです。
・「Bit Killed Hertz」
これも狂おしいほどのサンプリングで聴き手を惑わすラストナンバー。新しいおもちゃを手に入れた子供のように嬉々としてサンプラーを操作するDoris Nortonを想像すると微笑ましくすらあります。途中から入ってくるSuper SAWなシンセフレーズがカッコ良さを増幅させます。
<評点>
・サウンド ★★ (サンプラーの導入の仕方がなんとも大味)
・メロディ ★ (フレーズがすこぶる東洋的なのはRolandだから?)
・リズム ★★ (打ち込みのよるチープで執拗なリズムも大活躍)
・曲構成 ★ (実験音楽集なため同じようなサンプルデモ曲が並ぶ)
・個性 ★ (サンプラー導入も作風にはマンネリ感も漂う)
総合評点: 6点
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