「DEF」 大橋純子
「DEF」(1988 エピックソニー)
大橋純子:vocal

1.「眠れないダイヤモンド」 詞:松井五郎 曲:佐藤健 編:清水信之
2.「ある夜のWonder」 詞:松井五郎 曲:佐藤健 編:清水信之・佐藤健
3.「ふたとおりの告白」 詞:松井五郎 曲:佐藤健 編:清水信之・佐藤健
4.「さよならと同じRain」 詞:松井五郎 曲:佐藤健 編:清水信之
5.「ささやきに撃たれたい」 詞:松井五郎 曲:中崎英也 編:清水信之・佐藤健
6.「惑いのWicked Woman」 詞:徒然草 曲:佐藤健 編:清水信之・佐藤健
7.「遠いほゝえみ」 詞:松井五郎 曲:岸正之 編:奥慶一・佐藤健
8.「バーレスクがお似合い」 詞:山田ひろし 曲:中崎英也 編:清水信之・佐藤健
9.「真夜中の距離」 詞:森雪之丞 曲:中崎英也 編:清水信之・佐藤健
10.「夢の扉」 詞:松井五郎 曲:安部恭弘 編:清水信之・奥慶一
<support musician>
佐藤健:chorus arrangement
奥慶一:strings arrangement
produced by 大橋純子・長俊弘
mixing engineered by 吉野金次・入枝要平・内沼映二・森本信
recording engineered by 森本信・松田龍太・吉井聡・手塚雅夫
● 4年ぶりの作品にして大人のプログラミングを引っさげて貫禄のAORを聴かせてくれる実力派シンガーの傑作
1970年代より抜群の歌唱力と土屋昌巳も在籍した自身のバンド「美乃家セントラル・ステイション」引っさげて、「たそがれマイ・ラブ」「シルエット・ロマンス」といった大ヒット曲を持つ、いわゆる大御所女性シンガーである大橋純子は、もんたよしのりとのデュエットソング「夏女ソニア」(これもヒット)の翌年(84年)をもって一旦歌手活動を休止し、ニューヨークへ向かいます。おして4年の充電期間を経て帰ってきた彼女が満を持して提示した作品が本作です。レコーディングシステムの余りの急激な変化に戸惑ったというこの作品は、彼女自身のニューヨークで受けた音楽的刺激の成果と音楽に対する飢餓感が如実に表れた濃厚な仕上がりで、洋楽テイストのAORをデジタルな打ち込みビートも交えながら丁寧に制作された貫禄すら感じさせる充実作となっています。
リリースが88年ということもあってリズム&シンセ共にアタック感の強い本作のサウンドを紡ぎ出すのは、安定感抜群の大人繊細なシンセアレンジが特徴の清水信之で、夫でもあり渋いメロディラインが魅力の80年代を代表する作曲家でもある佐藤健らが担当する楽曲を、特に強烈なスネアをはじめとする腰の入ったリズムプログラミングと味のあるシンセベースによるフレージング、隙間を埋める各パートの円熟した演奏によって見事に昇華しています。ただでさえ強烈な歌唱力を持つ大橋純子のキャラクターとタメを張るかのような見事なコクとキレを使い分けたアレンジが光りますが、さらの音の壁としてサウンド全体に君臨する分厚いコーラスワークが楽曲に花を添えており、サウンドに与える重厚感は並々ならぬものがあります。とはいってもやはり本作のキモは大橋純子というキャリアに似つかわしくないほどのデジタル感とそれを象徴するかのような派手過ぎる重厚ドラム音色(とシンセベースとの絡み合い)に尽きます。これらと日本でも並び立つ者を探すのが難しいほどの圧倒的な歌唱力との融合が織りなす何とも言えない高揚感が本作の魅力であると思います。彼女の新境地とも言える本作が80年代の喧騒と共に忘れられがちなのが少々残念なところですが・・・。
<Favorite Songs>
・「ある夜のWonder」
圧倒的歌唱力に支えられる爽やかさと切なさを織り交ぜたセンチメンタルPOPS。クラップを混ぜたようなスネア音色によるビートが心地良い楽曲ですが、なんといってもサビがわかっていても泣けるキラーメロであるのが少し嬉しいです。
・「ささやきに撃たれたい」
これはまた重厚なデジタルファンクの良曲。前へ前へと出てくる激しいドラミングとそれに負けない歌唱力が80年代らしい過剰感を演出しているのが興味深いです。シンセの入り方もテクノっぽく感じる部分もあります。サビ頭のバキューン!なアタック音がかっこ良過ぎます。
・「惑いのWicked Woman」
本作で顕著なドラムとシンセベースが生み出す強力なグルーヴが最も生かされたデジファンク歌謡。ベル系&ブラス系のシンセフレーズの応酬、スラップと狂ったサックスの見せ場も満載で、その圧倒的な情報量が本作の代表曲として象徴的ですらあります。
<評点>
・サウンド ★★★★ (細部に行き渡ったフレーズの配置とメリハリにお腹一杯)
・メロディ ★★★ (ツボを押さえたサビへのつなげ方に非凡さを感じる)
・リズム ★★★★ (歌に挑戦するかのような超ド派手なドラム音処理)
・曲構成 ★★ (ダンスビートで押し切る中でもしっかりメロディアス)
・個性 ★★★ (とにかく歌唱力に圧倒されサウンドとの戦争のよう)
総合評点: 8点
大橋純子:vocal

1.「眠れないダイヤモンド」 詞:松井五郎 曲:佐藤健 編:清水信之
2.「ある夜のWonder」 詞:松井五郎 曲:佐藤健 編:清水信之・佐藤健
3.「ふたとおりの告白」 詞:松井五郎 曲:佐藤健 編:清水信之・佐藤健
4.「さよならと同じRain」 詞:松井五郎 曲:佐藤健 編:清水信之
5.「ささやきに撃たれたい」 詞:松井五郎 曲:中崎英也 編:清水信之・佐藤健
6.「惑いのWicked Woman」 詞:徒然草 曲:佐藤健 編:清水信之・佐藤健
7.「遠いほゝえみ」 詞:松井五郎 曲:岸正之 編:奥慶一・佐藤健
8.「バーレスクがお似合い」 詞:山田ひろし 曲:中崎英也 編:清水信之・佐藤健
9.「真夜中の距離」 詞:森雪之丞 曲:中崎英也 編:清水信之・佐藤健
10.「夢の扉」 詞:松井五郎 曲:安部恭弘 編:清水信之・奥慶一
<support musician>
佐藤健:chorus arrangement
奥慶一:strings arrangement
produced by 大橋純子・長俊弘
mixing engineered by 吉野金次・入枝要平・内沼映二・森本信
recording engineered by 森本信・松田龍太・吉井聡・手塚雅夫
● 4年ぶりの作品にして大人のプログラミングを引っさげて貫禄のAORを聴かせてくれる実力派シンガーの傑作
1970年代より抜群の歌唱力と土屋昌巳も在籍した自身のバンド「美乃家セントラル・ステイション」引っさげて、「たそがれマイ・ラブ」「シルエット・ロマンス」といった大ヒット曲を持つ、いわゆる大御所女性シンガーである大橋純子は、もんたよしのりとのデュエットソング「夏女ソニア」(これもヒット)の翌年(84年)をもって一旦歌手活動を休止し、ニューヨークへ向かいます。おして4年の充電期間を経て帰ってきた彼女が満を持して提示した作品が本作です。レコーディングシステムの余りの急激な変化に戸惑ったというこの作品は、彼女自身のニューヨークで受けた音楽的刺激の成果と音楽に対する飢餓感が如実に表れた濃厚な仕上がりで、洋楽テイストのAORをデジタルな打ち込みビートも交えながら丁寧に制作された貫禄すら感じさせる充実作となっています。
リリースが88年ということもあってリズム&シンセ共にアタック感の強い本作のサウンドを紡ぎ出すのは、安定感抜群の大人繊細なシンセアレンジが特徴の清水信之で、夫でもあり渋いメロディラインが魅力の80年代を代表する作曲家でもある佐藤健らが担当する楽曲を、特に強烈なスネアをはじめとする腰の入ったリズムプログラミングと味のあるシンセベースによるフレージング、隙間を埋める各パートの円熟した演奏によって見事に昇華しています。ただでさえ強烈な歌唱力を持つ大橋純子のキャラクターとタメを張るかのような見事なコクとキレを使い分けたアレンジが光りますが、さらの音の壁としてサウンド全体に君臨する分厚いコーラスワークが楽曲に花を添えており、サウンドに与える重厚感は並々ならぬものがあります。とはいってもやはり本作のキモは大橋純子というキャリアに似つかわしくないほどのデジタル感とそれを象徴するかのような派手過ぎる重厚ドラム音色(とシンセベースとの絡み合い)に尽きます。これらと日本でも並び立つ者を探すのが難しいほどの圧倒的な歌唱力との融合が織りなす何とも言えない高揚感が本作の魅力であると思います。彼女の新境地とも言える本作が80年代の喧騒と共に忘れられがちなのが少々残念なところですが・・・。
<Favorite Songs>
・「ある夜のWonder」
圧倒的歌唱力に支えられる爽やかさと切なさを織り交ぜたセンチメンタルPOPS。クラップを混ぜたようなスネア音色によるビートが心地良い楽曲ですが、なんといってもサビがわかっていても泣けるキラーメロであるのが少し嬉しいです。
・「ささやきに撃たれたい」
これはまた重厚なデジタルファンクの良曲。前へ前へと出てくる激しいドラミングとそれに負けない歌唱力が80年代らしい過剰感を演出しているのが興味深いです。シンセの入り方もテクノっぽく感じる部分もあります。サビ頭のバキューン!なアタック音がかっこ良過ぎます。
・「惑いのWicked Woman」
本作で顕著なドラムとシンセベースが生み出す強力なグルーヴが最も生かされたデジファンク歌謡。ベル系&ブラス系のシンセフレーズの応酬、スラップと狂ったサックスの見せ場も満載で、その圧倒的な情報量が本作の代表曲として象徴的ですらあります。
<評点>
・サウンド ★★★★ (細部に行き渡ったフレーズの配置とメリハリにお腹一杯)
・メロディ ★★★ (ツボを押さえたサビへのつなげ方に非凡さを感じる)
・リズム ★★★★ (歌に挑戦するかのような超ド派手なドラム音処理)
・曲構成 ★★ (ダンスビートで押し切る中でもしっかりメロディアス)
・個性 ★★★ (とにかく歌唱力に圧倒されサウンドとの戦争のよう)
総合評点: 8点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
No title
Re: No title
返信が遅くなりました。
そう、ミュージシャンが載っていないのです。珍しく。
リズムがかっこいいと思うのは個人的には88年までなんですね。
89年くらいになってくると派手さが影を潜めてきたり音色が生っぽくなったりで。
久しぶりにハードシンセを導入しました。
Novation MININOVAです。
気軽にボコーダーができるシンセが欲しかったので。
あとグースネックのマイクが欲しかったのです。
MicroKorgじゃなんかありきたりなので、色も好きなこれを。
そう、ミュージシャンが載っていないのです。珍しく。
リズムがかっこいいと思うのは個人的には88年までなんですね。
89年くらいになってくると派手さが影を潜めてきたり音色が生っぽくなったりで。
久しぶりにハードシンセを導入しました。
Novation MININOVAです。
気軽にボコーダーができるシンセが欲しかったので。
あとグースネックのマイクが欲しかったのです。
MicroKorgじゃなんかありきたりなので、色も好きなこれを。
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« 「音楽産業廃棄物〜P-MODEL OR DIE」 P-MODEL l Home l 「BREATHLESS」 柴野繁幸 »
これ、出してましたね。この時代のリズムがカッコいいです。
ただ、ミュージシャンが載ってないのが(笑)。
次に出した「Pagoda」(1990年リリース)というアルバムは、参加ミュージシャンが載ってるんですよ。「DEF」に引き続き、清水信之さんがアレンジしてます。
清水さんの他に、井上 鑑さん、中村 哲さんが参加してます。
「眠れないダイヤモンド」は、生のストリングスが入ってるっぽいですね。サックスソロはJake.H.Conception氏かな、たぶん。
作曲した佐藤 健さんは、大橋さんの旦那さんです。