「NEUROMANTIC」 高橋幸宏
「NEUROMANTIC」(1981 アルファ)
高橋幸宏:vocal・drums・keyboards

1.「GLASS」 詞:Peter Barakan・高橋幸宏 曲・編:高橋幸宏
2.「GRAND ESPOIR」 詞・曲:細野晴臣 編:高橋幸宏
3.「CONNECTION」 詞:高橋幸宏・Peter Barakan 曲・編:高橋幸宏
4.「NEW (RED) ROSES」 曲・編:高橋幸宏
5.「EXTRA-ORDINARY」 詞:高橋幸宏・Peter Barakan 曲・編:高橋幸宏
6.「DRIP DRY EYES」 詞:Chris Mosdell 曲・編:高橋幸宏
7.「CURTAINS」 詞:高橋幸宏・Peter Barakan 曲:坂本龍一 編:高橋幸宏
8.「CHARGE」 曲・編:高橋幸宏
9.「SOMETHING IN THE AIR」 詞:高橋幸宏・Peter Barakan 曲・編:高橋幸宏
<support musician>
Phil Manzanera:guitars
大村憲司:guitars
Tony Mansfield:keyboards・backing vocals
坂本龍一:keyboards
細野晴臣:keyboards
Andy Mackay:sax・oboe
Renata Blauel:voice
松武秀樹:computer programming and opelation
produced by 高橋幸宏
engineered by Steve Nye・小池光夫
● 病的シンセポップの最高峰!躁と鬱が見事に融合したニューウェーヴの傑作
1981年といえばYMOでいうところの中期と呼ばれるニューウェーブ転換期であり、「BGM」「TECHNODELIC」という2枚の名盤をリリースするなど精力的かつ劇的な活動を見せていた年でしたが、高橋幸宏にとっても鈴木慶一とのTHE BEATNIKSで傑作「出口主義」をリリース、才気ほとばしる音楽活動を繰り広げていました。しかもそれに飽き足らず彼自身のソロアルバムまで発表しているというのですから、この年の彼の音楽的ランナーズハイともいうべき創作意欲と、それに追随する稀代のサウンドセンスには今さらながら頭が下がる思いです。3枚目のソロアルバムである本作は、前述の日本のロック史に記憶される3枚の名盤を凌駕するほどのサウンドクオリティとポップセンスを持ち合わせた、テクノポップの範疇にとどまらない新感覚POPSの超名盤であり、高橋幸宏という不世出のドラマーとしてだけではなく、サウンドクリエイターとしての才能を一躍世に知らしめた最重要作品でもあるのです。
微妙なコード感によるシンセリフと強烈なスネアによる渋さが光るニューウェーブ「GLASS」から始まり、光るが見えるような開放感あふれる爽快エレポップ「SOMETHING IN THE AIR」に終わる、全く隙のない構成の本作において、一際光るのが当時では珍しくパワフルに加工されたドラムと、Prophet5の倍音を駆使した多彩な音づくりから生まれる多種多様なシンセフレーズで、全編にわたるドラム&シンセの存在感は前作「音楽殺人」とは比較にならないほどです。プログラマーの元祖ともいうべき松武秀樹のサポートを受けた病的なシンセサウンドは、それまでのシンセの使い方は微妙にズレており、およそPOPSには使いにくい不思議な音色が散りばめられていて、このあたりのセンスはまさに副題である「ロマン神経症」の名に違わない部分と言えるでしょう。また、忘れてはならないのは打ち込みであろうシンセベースの緻密な符の置き方で、音を微分する能力に長けたドラマーならではの微妙なノリを生み出したそのベースラインにこそ、彼の(テクノ的)サウンドデザインの希有の才能が感じられるわけです。またROXY MUSIC勢やNew MusikのTony Mansfieldのゲスト参加が奇しくもサウンド面というより彼のロマンティックなメロディを引き立てる役割に徹しているところも興味深いです。結果としてその後の欧米にひけをとらない彼の作品群の礎となった本作ですが、次第に大人しくシンプルに(しかし存在感はある)サウンドとなった後作とは異なった、やんちゃで奔放なサウンドを楽しむことができる、実は貴重な作品であることも忘れてはならない、本ブログ読者には必聴の名盤であることは今さら言うまでもないでしょう。
<Favorite Songs>
・「CONNECTION」
いなたいシンセリフと突き刺さるようなシンセベースの高速シーケンスが後のテクノポップの指針となったシンセポップの名曲。メタリックな音色によるシンセバッキングのコード感覚(特にAメロ)の爽快感は尋常ではありませんが、なんといっても正確に刻むドラミングの微細なノリが素晴らしいです。
・「CURTAINS」
なんとドラムレスでシンセベースとギターでリズムを作る坂本龍一作曲のシンセポップ。比較的静かめの楽曲と思いきや、多彩で変な音色のシンセによるフレーズが存在感を持っており、特に間奏ではバネのように弾力のある音色でストレンジ性を増しています。
・「SOMETHING IN THE AIR」
ラストを飾るテクノポップ史上に残る名曲。なんといってもAメロのマイナーな陰鬱なメロディとサビの爽快なメジャー転調とのコントラストが素晴らしいです。全体的に神経質で鬱っぽい傾向にあった本作にあって、このラストのサビで全てが救われる気分にさせられるのがまた感傷的にしてくれます。
<評点>
・サウンド ★★★★★ (類稀なセンスによる多彩なストレンジシンセが満載)
・メロディ ★★★★ (ロマンチシズムに溢れた彼のポップ精神はそのままに)
・リズム ★★★★★ (正確無比かつ大胆に加工されたドラムは80'sの象徴)
・曲構成 ★★★★★ (難解なニューウェーブとポップ精神が見事に帰結)
・個性 ★★★★★ (この正確なリズムワークこそがテクノの快感である)
総合評点: 10点
高橋幸宏:vocal・drums・keyboards

1.「GLASS」 詞:Peter Barakan・高橋幸宏 曲・編:高橋幸宏
2.「GRAND ESPOIR」 詞・曲:細野晴臣 編:高橋幸宏
3.「CONNECTION」 詞:高橋幸宏・Peter Barakan 曲・編:高橋幸宏
4.「NEW (RED) ROSES」 曲・編:高橋幸宏
5.「EXTRA-ORDINARY」 詞:高橋幸宏・Peter Barakan 曲・編:高橋幸宏
6.「DRIP DRY EYES」 詞:Chris Mosdell 曲・編:高橋幸宏
7.「CURTAINS」 詞:高橋幸宏・Peter Barakan 曲:坂本龍一 編:高橋幸宏
8.「CHARGE」 曲・編:高橋幸宏
9.「SOMETHING IN THE AIR」 詞:高橋幸宏・Peter Barakan 曲・編:高橋幸宏
<support musician>
Phil Manzanera:guitars
大村憲司:guitars
Tony Mansfield:keyboards・backing vocals
坂本龍一:keyboards
細野晴臣:keyboards
Andy Mackay:sax・oboe
Renata Blauel:voice
松武秀樹:computer programming and opelation
produced by 高橋幸宏
engineered by Steve Nye・小池光夫
● 病的シンセポップの最高峰!躁と鬱が見事に融合したニューウェーヴの傑作
1981年といえばYMOでいうところの中期と呼ばれるニューウェーブ転換期であり、「BGM」「TECHNODELIC」という2枚の名盤をリリースするなど精力的かつ劇的な活動を見せていた年でしたが、高橋幸宏にとっても鈴木慶一とのTHE BEATNIKSで傑作「出口主義」をリリース、才気ほとばしる音楽活動を繰り広げていました。しかもそれに飽き足らず彼自身のソロアルバムまで発表しているというのですから、この年の彼の音楽的ランナーズハイともいうべき創作意欲と、それに追随する稀代のサウンドセンスには今さらながら頭が下がる思いです。3枚目のソロアルバムである本作は、前述の日本のロック史に記憶される3枚の名盤を凌駕するほどのサウンドクオリティとポップセンスを持ち合わせた、テクノポップの範疇にとどまらない新感覚POPSの超名盤であり、高橋幸宏という不世出のドラマーとしてだけではなく、サウンドクリエイターとしての才能を一躍世に知らしめた最重要作品でもあるのです。
微妙なコード感によるシンセリフと強烈なスネアによる渋さが光るニューウェーブ「GLASS」から始まり、光るが見えるような開放感あふれる爽快エレポップ「SOMETHING IN THE AIR」に終わる、全く隙のない構成の本作において、一際光るのが当時では珍しくパワフルに加工されたドラムと、Prophet5の倍音を駆使した多彩な音づくりから生まれる多種多様なシンセフレーズで、全編にわたるドラム&シンセの存在感は前作「音楽殺人」とは比較にならないほどです。プログラマーの元祖ともいうべき松武秀樹のサポートを受けた病的なシンセサウンドは、それまでのシンセの使い方は微妙にズレており、およそPOPSには使いにくい不思議な音色が散りばめられていて、このあたりのセンスはまさに副題である「ロマン神経症」の名に違わない部分と言えるでしょう。また、忘れてはならないのは打ち込みであろうシンセベースの緻密な符の置き方で、音を微分する能力に長けたドラマーならではの微妙なノリを生み出したそのベースラインにこそ、彼の(テクノ的)サウンドデザインの希有の才能が感じられるわけです。またROXY MUSIC勢やNew MusikのTony Mansfieldのゲスト参加が奇しくもサウンド面というより彼のロマンティックなメロディを引き立てる役割に徹しているところも興味深いです。結果としてその後の欧米にひけをとらない彼の作品群の礎となった本作ですが、次第に大人しくシンプルに(しかし存在感はある)サウンドとなった後作とは異なった、やんちゃで奔放なサウンドを楽しむことができる、実は貴重な作品であることも忘れてはならない、本ブログ読者には必聴の名盤であることは今さら言うまでもないでしょう。
<Favorite Songs>
・「CONNECTION」
いなたいシンセリフと突き刺さるようなシンセベースの高速シーケンスが後のテクノポップの指針となったシンセポップの名曲。メタリックな音色によるシンセバッキングのコード感覚(特にAメロ)の爽快感は尋常ではありませんが、なんといっても正確に刻むドラミングの微細なノリが素晴らしいです。
・「CURTAINS」
なんとドラムレスでシンセベースとギターでリズムを作る坂本龍一作曲のシンセポップ。比較的静かめの楽曲と思いきや、多彩で変な音色のシンセによるフレーズが存在感を持っており、特に間奏ではバネのように弾力のある音色でストレンジ性を増しています。
・「SOMETHING IN THE AIR」
ラストを飾るテクノポップ史上に残る名曲。なんといってもAメロのマイナーな陰鬱なメロディとサビの爽快なメジャー転調とのコントラストが素晴らしいです。全体的に神経質で鬱っぽい傾向にあった本作にあって、このラストのサビで全てが救われる気分にさせられるのがまた感傷的にしてくれます。
<評点>
・サウンド ★★★★★ (類稀なセンスによる多彩なストレンジシンセが満載)
・メロディ ★★★★ (ロマンチシズムに溢れた彼のポップ精神はそのままに)
・リズム ★★★★★ (正確無比かつ大胆に加工されたドラムは80'sの象徴)
・曲構成 ★★★★★ (難解なニューウェーブとポップ精神が見事に帰結)
・個性 ★★★★★ (この正確なリズムワークこそがテクノの快感である)
総合評点: 10点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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