「Kiss」 藤井宏一
「Kiss」 (1988 ファンハウス)
藤井宏一:vocal・chorus

1.「In The Night」 詞:藤井宏一・三浦徳子 曲:藤井宏一 編:清水一登
2.「Voices」 詞:藤井宏一・浅田有理 曲:藤井宏一 編:西本明
3.「Cool September」 詞:浅田有理 曲:藤井宏一 編:西本明
4.「A Picture Tells Me」 詞:藤井宏一・三浦徳子 曲:藤井宏一 編:西本明
5.「Private Kiss」 詞:浅田有理 曲:藤井宏一 編:板倉文
6.「Together」 詞:浅田有理 曲:藤井宏一 編:板倉文
7.「48時間」 詞:三浦徳子 曲:藤井宏一 編:大村雅朗
8.「No Kiss」 詞:浅田有理 曲:藤井宏一 編:大村雅朗
9.「アメリカの朝」 詞:藤井宏一・浅田有理 曲:藤井宏一 編:清水一登
10.「Sweet Music」 詞:藤井宏一・浅田有理 曲:藤井宏一 編:西本明
<support musician>
板倉文:electric guitar
長田進:electric guitar
松原正樹:electric guitar
美久月千晴:bass
横山雅史:bass
青山純:drums
山木秀夫:drums
大村雅朗:keyboards
清水一登:keyboards
富樫春生:keyboards
西本明:keyboards
帆足哲昭:percussions
数原晋:trumpet
西山健治:trombone
Jake. H. Concepcion:sax
梅津和時:sax
篠田昌巳:sax
加藤Strings:strings
金子文枝:chorus
迫田到:synthesizer operate
藤井丈司:synthesizer operate
produced by 藤井宏一・金子文枝
sound produced by 飯泉俊之
mixing engineered by 飯泉俊之
recording engineered by 飯泉俊之・野村昌之・中林慶一・北岡一郎
● Killing Timeを起用するなど緻密なサウンドメイクとは裏腹にしっとりしたシティポップを聴かせる男性シンガーのデビューアルバム
永井真理子のヒット曲「ミラクル・ガール」の作曲者として知られている藤井宏一は、このヒット曲以前にソロデビューしているシンガーソングライターです。澄んだ美声とさっぱりしたルックスで見るからにニューミュージック、シティポップ系と思わせるイメージの彼ですが、そんな期待を裏切ることのない引っかかりのないナチュラルPOPS・・・と思っていました。しかし1988年リリースのこの1stアルバムはもともとメロディメイクに長けた彼の楽曲を4人のアレンジャーが渋く仕事をこなしてクオリティを見事に引き上げた、なんとも一筋縄でいかない作品に仕上げられています。
まず本作で目についてしまうのは、編曲に参加している清水一登と板倉文のKilling Time勢で、彼らの楽曲には当然のことながら青山純や横山雅史、WhachoといったKilling Timeのメンバーが全面的に参加しています。およそ似つかわしくない彼らのような個性的かつ技巧派メンバーの参加は、比較的地味な藤井の楽曲にボトムを築いて芯を入れることで安定感をもたらすことに成功しています。佐野元春のバックメンバー西本明や80年代最高の編曲家の1人ともいえる大村雅朗の仕事ぶりは言わずもがなで、どの楽曲もプロフェッショナルな演奏と緻密なアレンジ能力が堪能できます。特に大村アレンジの見事なデジタルPOPSぶりは、本作でも浮くか浮かないかのギリギリの線をわたりながら、メロディラインを見事に生かす匠の技として聴くことができる貴重な仕事であると思います。Killing Timeの参加で色めき立つというか、どこかひねくれたようなアレンジを楽しむことができるアルバムですが、西本と大村のアレンジ能力がそれに引けを取らない質の高さを持っていることを確認できる、アレンジャー同士が切磋琢磨した結果玄人好みの作品が出来上がったというべき、興味深いアルバムと言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「A Picture Tells Me」
直線的なドラミングでグイグイ引っ張っていくアップテンポな楽曲。イメージと似合わないロック調といえる楽曲ですが、正確に刻むドラムは打ち込みいらずといった感じのカクカクしたノングルーヴで、そこにテクノロジーPOPSな魂を感じます。
・「48時間」
本作中最もクールなプログラミングで聴かせる大村雅朗渾身のエレクトリックポップ。リズミカルなシンセベースが絶妙すぎて素晴らしいです。生ドラムとエレドラを混ぜ合わせた計算され尽くされたリズムトラックと共に複雑なリズム隊の仕事が白眉の良曲です。
・「No Kiss」
前曲と同じく大村アレンジの、こちらは藤井宏一のメロディセンスが全開となった楽曲。しかし複雑でギミック心にあふれたシーケンスリズムに、音色選びもセンスのあるシンセフレーズも相まってサウンド面でもレベルが高いです。後半転調する展開も開放感があって良いと思います。
<評点>
・サウンド ★★★ (個性的かつ技巧的な充実した演奏が楽しめる)
・メロディ ★★ (メロディメイカーにしては地味な印象が拭えない)
・リズム ★★★★ (青山純&山木秀夫のドラミングは80年代の象徴)
・曲構成 ★★ (とにかくアレンジ技術には注目すべき質の高さが)
・個性 ★ (アーティスト本人の顔が見えにくいのが難点か)
総合評点: 7点
藤井宏一:vocal・chorus

1.「In The Night」 詞:藤井宏一・三浦徳子 曲:藤井宏一 編:清水一登
2.「Voices」 詞:藤井宏一・浅田有理 曲:藤井宏一 編:西本明
3.「Cool September」 詞:浅田有理 曲:藤井宏一 編:西本明
4.「A Picture Tells Me」 詞:藤井宏一・三浦徳子 曲:藤井宏一 編:西本明
5.「Private Kiss」 詞:浅田有理 曲:藤井宏一 編:板倉文
6.「Together」 詞:浅田有理 曲:藤井宏一 編:板倉文
7.「48時間」 詞:三浦徳子 曲:藤井宏一 編:大村雅朗
8.「No Kiss」 詞:浅田有理 曲:藤井宏一 編:大村雅朗
9.「アメリカの朝」 詞:藤井宏一・浅田有理 曲:藤井宏一 編:清水一登
10.「Sweet Music」 詞:藤井宏一・浅田有理 曲:藤井宏一 編:西本明
<support musician>
板倉文:electric guitar
長田進:electric guitar
松原正樹:electric guitar
美久月千晴:bass
横山雅史:bass
青山純:drums
山木秀夫:drums
大村雅朗:keyboards
清水一登:keyboards
富樫春生:keyboards
西本明:keyboards
帆足哲昭:percussions
数原晋:trumpet
西山健治:trombone
Jake. H. Concepcion:sax
梅津和時:sax
篠田昌巳:sax
加藤Strings:strings
金子文枝:chorus
迫田到:synthesizer operate
藤井丈司:synthesizer operate
produced by 藤井宏一・金子文枝
sound produced by 飯泉俊之
mixing engineered by 飯泉俊之
recording engineered by 飯泉俊之・野村昌之・中林慶一・北岡一郎
● Killing Timeを起用するなど緻密なサウンドメイクとは裏腹にしっとりしたシティポップを聴かせる男性シンガーのデビューアルバム
永井真理子のヒット曲「ミラクル・ガール」の作曲者として知られている藤井宏一は、このヒット曲以前にソロデビューしているシンガーソングライターです。澄んだ美声とさっぱりしたルックスで見るからにニューミュージック、シティポップ系と思わせるイメージの彼ですが、そんな期待を裏切ることのない引っかかりのないナチュラルPOPS・・・と思っていました。しかし1988年リリースのこの1stアルバムはもともとメロディメイクに長けた彼の楽曲を4人のアレンジャーが渋く仕事をこなしてクオリティを見事に引き上げた、なんとも一筋縄でいかない作品に仕上げられています。
まず本作で目についてしまうのは、編曲に参加している清水一登と板倉文のKilling Time勢で、彼らの楽曲には当然のことながら青山純や横山雅史、WhachoといったKilling Timeのメンバーが全面的に参加しています。およそ似つかわしくない彼らのような個性的かつ技巧派メンバーの参加は、比較的地味な藤井の楽曲にボトムを築いて芯を入れることで安定感をもたらすことに成功しています。佐野元春のバックメンバー西本明や80年代最高の編曲家の1人ともいえる大村雅朗の仕事ぶりは言わずもがなで、どの楽曲もプロフェッショナルな演奏と緻密なアレンジ能力が堪能できます。特に大村アレンジの見事なデジタルPOPSぶりは、本作でも浮くか浮かないかのギリギリの線をわたりながら、メロディラインを見事に生かす匠の技として聴くことができる貴重な仕事であると思います。Killing Timeの参加で色めき立つというか、どこかひねくれたようなアレンジを楽しむことができるアルバムですが、西本と大村のアレンジ能力がそれに引けを取らない質の高さを持っていることを確認できる、アレンジャー同士が切磋琢磨した結果玄人好みの作品が出来上がったというべき、興味深いアルバムと言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「A Picture Tells Me」
直線的なドラミングでグイグイ引っ張っていくアップテンポな楽曲。イメージと似合わないロック調といえる楽曲ですが、正確に刻むドラムは打ち込みいらずといった感じのカクカクしたノングルーヴで、そこにテクノロジーPOPSな魂を感じます。
・「48時間」
本作中最もクールなプログラミングで聴かせる大村雅朗渾身のエレクトリックポップ。リズミカルなシンセベースが絶妙すぎて素晴らしいです。生ドラムとエレドラを混ぜ合わせた計算され尽くされたリズムトラックと共に複雑なリズム隊の仕事が白眉の良曲です。
・「No Kiss」
前曲と同じく大村アレンジの、こちらは藤井宏一のメロディセンスが全開となった楽曲。しかし複雑でギミック心にあふれたシーケンスリズムに、音色選びもセンスのあるシンセフレーズも相まってサウンド面でもレベルが高いです。後半転調する展開も開放感があって良いと思います。
<評点>
・サウンド ★★★ (個性的かつ技巧的な充実した演奏が楽しめる)
・メロディ ★★ (メロディメイカーにしては地味な印象が拭えない)
・リズム ★★★★ (青山純&山木秀夫のドラミングは80年代の象徴)
・曲構成 ★★ (とにかくアレンジ技術には注目すべき質の高さが)
・個性 ★ (アーティスト本人の顔が見えにくいのが難点か)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
買い直したい
Re: 買い直したい
確かにこのアルバムの各曲ごとにはクレジットは掲載されていませんね。
しかし状況証拠で想像はできます。
藤井宏一の2ndアルバム「Your Song」では西本明はアレンジに参加していなくて、キリングタイムと大村雅朗がアレンジ参加なのですが、大村アレンジのプログラマーは迫田到と石川鉄男です。
この1stと2ndのプロジェクトは地続きと考えられますので、藤井丈司は大村アレンジに参加とも西本アレンジ参加とも、どちらとも取れると思いますね。
なお、90年の鈴木祥子のアルバム「Long Long Way Home」は佐橋佳幸と藤井丈司の共同プロデュースですが、西本明はプレイヤーとして数曲に参加しています。その関係性を考えれば、本作で西本アレンジ曲で共演していても不思議ではないかもしれません。
もちろん西本明は大村雅朗の弟子筋ですので、そのまま迫田到を起用するのも自然な話ですが・・。
しかし状況証拠で想像はできます。
藤井宏一の2ndアルバム「Your Song」では西本明はアレンジに参加していなくて、キリングタイムと大村雅朗がアレンジ参加なのですが、大村アレンジのプログラマーは迫田到と石川鉄男です。
この1stと2ndのプロジェクトは地続きと考えられますので、藤井丈司は大村アレンジに参加とも西本アレンジ参加とも、どちらとも取れると思いますね。
なお、90年の鈴木祥子のアルバム「Long Long Way Home」は佐橋佳幸と藤井丈司の共同プロデュースですが、西本明はプレイヤーとして数曲に参加しています。その関係性を考えれば、本作で西本アレンジ曲で共演していても不思議ではないかもしれません。
もちろん西本明は大村雅朗の弟子筋ですので、そのまま迫田到を起用するのも自然な話ですが・・。
オペレーターのお話
なるほど。某何とかオフがあったら「Kiss」を買いなおします。
次作の「Your Song」はまさにその通りですね。すみません、西本さんのアレンジありました。この頃の西本さん、大村さんアレンジのオペレーターは迫田さんと石川さん(当時、迫田・石川は同じ事務所)です。板倉文さんアレンジのオペレーターは藤井将登さんですね。リズムセクションだと聴いてみないとわかりませんが、この頃の大村さんのオペレーターは迫田さん・石川さんがほとんど多くて、松田聖子さん、大江千里さん、渡辺美里さん、薬師丸ひろ子さん、松岡英明さんなどで作品を見掛けますね。初期は松武秀樹さんがずば抜けて多いですが。そもそも、石川さんは迫田さんと浦田恵司さんのアシスタントでその敬意で大村さんのメインオペレーターになったのではないかと。若手と一緒に仕事をするのがすきだったのかな。大村さんアレンジのキーボードは西本さんか富樫さんがほぼ多かった気がします。
すみません、シンセサイザー・オペレーターのお話で。
次作の「Your Song」はまさにその通りですね。すみません、西本さんのアレンジありました。この頃の西本さん、大村さんアレンジのオペレーターは迫田さんと石川さん(当時、迫田・石川は同じ事務所)です。板倉文さんアレンジのオペレーターは藤井将登さんですね。リズムセクションだと聴いてみないとわかりませんが、この頃の大村さんのオペレーターは迫田さん・石川さんがほとんど多くて、松田聖子さん、大江千里さん、渡辺美里さん、薬師丸ひろ子さん、松岡英明さんなどで作品を見掛けますね。初期は松武秀樹さんがずば抜けて多いですが。そもそも、石川さんは迫田さんと浦田恵司さんのアシスタントでその敬意で大村さんのメインオペレーターになったのではないかと。若手と一緒に仕事をするのがすきだったのかな。大村さんアレンジのキーボードは西本さんか富樫さんがほぼ多かった気がします。
すみません、シンセサイザー・オペレーターのお話で。
コメントの投稿
このアルバムはたしか、ミュージシャンの詳細が載ってないんですよね。
大村雅朗 アレンジ
松原さん、美久月さん、大村さん、西本さん、富樫さん、迫田さん、藤井さん
西本 明 アレンジ
長田さん、美久月さん、西本さん、迫田さん
かなと。西本さんのアレンジに藤井丈司さんは参加しかことはないと思います。
久しぶりに買いなおしたくなりました。