「IN A MODEL ROOM」 P-MODEL
「IN A MODEL ROOM」(1979 ワーナーパイオニア)
P-MODEL

<members>
平沢進:vocal・guitar・synthesizers
秋山勝彦:bass・synthesizers・backing vocals
田中靖美:organ・synthesizers・backing vocals
田井中貞利:drums
1.「美術館で会った人だろ」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
2.「ヘルス・エンジェル」 詞・曲:田中靖美 編:P-MODEL
3.「ルームランナー」 詞・曲:田中靖美 編:P-MODEL
4.「ソフィスティケイティッド」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
5.「子供たちどうも」 詞:平沢裕一 曲:平沢進 編:P-MODEL
6.「KAMEARI POP」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
7.「サンシャイン・シティー」 詞:平沢裕一 曲:田中靖美 編:P-MODEL
8.「偉大なる頭脳」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
9.「ホワイト・シガレット」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
10.「MOMO色トリック」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
11.「アート・ブラインド」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
produced by 佐久間正英・P-MODEL
engineered by 古川誠
● プログレの皮を脱ぎ捨ててパンキッシュでカラフルなシンセで楽曲を彩る近未来の暴れ馬的デビュー作
日本では数少ないMelotronを操るプログレバンドとしてコアなファンを獲得していたマンドレイク。その中心人物である平沢進と田中靖美が、それまでの手法をかなぐり捨てて、海外のパンク&ニューウェーブムーブメントに影響を受けて結成されたのがP-MODELです。生ドラムが活躍する熱い演奏主体のパンキッシュなスタイルに、シンセで味つけされた絶妙な近未来感は、電子機材の急激な進歩に沸く新しい音楽観を求めるリスナーにとって眩しく映ったに相違なく、一気に日本式ニューウェーブの波に乗っていきます。シンセやリズムボックスを多用しヴィジュアル的にもカラフルで洗練されたイメージでインパクトを与えた彼らは、時を同じくそれぞれのアプローチで似通ったサウンドを提示してきたPLASTICSやヒカシューと並んで、YMOとは異なったアプローチから「テクノポップ」という新ジャンルを与えられ、テクオポップ御三家としてもてはやされることになります。彼らの1stアルバムである本作はこれらのブームの火付け役となった名盤として、この手のジャンルのバイブルとして語り継がれている作品です。
本作はP-MODELとしてのサウンドと方向性を示す代名詞的な作品ということで、スピード感と荒々しさにあふれたパンキッシュビートと、KORG 800DVの特徴的なクラッカー音色がフィーチャーされたキュートなシンセワーク(この田中靖美のシンセフレーズを追うだけでもかなり楽しめます)が施された刺激的な楽曲が目白押しとなっています。緩急をつけてシニカルさと大胆さを巧みに操る平沢のヴォーカルも冴え渡り、この斜に構えた部分はサウンド面の変遷はあれども彼の音楽性の根幹を成していると言えるでしょう。「ソフィスティケイティッド」や「アート・ブラインド」における電子的なシンセの大活躍度も嬉しいところです。また本作はムーブメントの盟友でもあったPLASTICSの佐久間正英がプロデュースを手掛けていますが、もともとプログレ出身で難解さと戦略的な姿勢で一般に受け入れられにくかった彼らのアーティスト性を、若さと勢い、そしてポップなイメージ戦略で本作を良い意味でブレイクスルーさせており、1枚目に佐久間を起用したのは成功であったと思います。変拍子を多用したイントロのフレーズなどにプログレっぽさが抜け切れてないところや、捉え方によってはコミカルとも思わせる若気の至りなコーラスもご愛嬌ですが、いまだ機械に支配されていない「バンド」としてのセンスと力量を感じさせる本作は、TECHNOLOGY POPS的には弱いという印象ながらも、ここから全てが始まっているという点でやはり外してはいけない作品であるということなのです。
<Favorite Songs>
・「サンシャイン・シティー」
直線的ベースとスピード感に勢いを感じるエレクトリックパンクチューン。しかしなんといってもイントロの独創的なフレーズととっちらかったギターの掛け合いが楽しくて仕方がないです。この楽曲はこの部分に尽きます。
・「偉大なる頭脳」
怒濤の変拍子で攻めまくる難解な楽曲。本作で最もプログレっぽさが前面に出まくった楽曲で、特に複雑なベースラインが目立つサビ(というのか?)の熱さは圧巻です。
・「アート・ブラインド」
ロービットなロボボイスとノイジーなスネアが未来感を演出しているラストナンバー。メッセージ色が強い言葉をボコーダーで上手く中和しているのに好感が持てます。単純でミニマルな構成はかのドイツのグループを想起させますが、この楽曲も意外に重厚です。
<評点>
・サウンド ★★ (シンセの特徴を生かしたフレーズは当時の新しいセンス)
・メロディ ★ (デビュー作だけありキャッチーなメロが並ぶが単純さも)
・リズム ★★ (レコーディング技術が追いつかず軽く聴こえてしまう)
・曲構成 ★★ (最後から最後まで勢いと斜め目線の楽曲で通す根性が)
・個性 ★★ (パンクをシニカルに捉えながら振り切った明るさが・・)
総合評点: 7点
P-MODEL

<members>
平沢進:vocal・guitar・synthesizers
秋山勝彦:bass・synthesizers・backing vocals
田中靖美:organ・synthesizers・backing vocals
田井中貞利:drums
1.「美術館で会った人だろ」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
2.「ヘルス・エンジェル」 詞・曲:田中靖美 編:P-MODEL
3.「ルームランナー」 詞・曲:田中靖美 編:P-MODEL
4.「ソフィスティケイティッド」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
5.「子供たちどうも」 詞:平沢裕一 曲:平沢進 編:P-MODEL
6.「KAMEARI POP」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
7.「サンシャイン・シティー」 詞:平沢裕一 曲:田中靖美 編:P-MODEL
8.「偉大なる頭脳」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
9.「ホワイト・シガレット」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
10.「MOMO色トリック」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
11.「アート・ブラインド」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
produced by 佐久間正英・P-MODEL
engineered by 古川誠
● プログレの皮を脱ぎ捨ててパンキッシュでカラフルなシンセで楽曲を彩る近未来の暴れ馬的デビュー作
日本では数少ないMelotronを操るプログレバンドとしてコアなファンを獲得していたマンドレイク。その中心人物である平沢進と田中靖美が、それまでの手法をかなぐり捨てて、海外のパンク&ニューウェーブムーブメントに影響を受けて結成されたのがP-MODELです。生ドラムが活躍する熱い演奏主体のパンキッシュなスタイルに、シンセで味つけされた絶妙な近未来感は、電子機材の急激な進歩に沸く新しい音楽観を求めるリスナーにとって眩しく映ったに相違なく、一気に日本式ニューウェーブの波に乗っていきます。シンセやリズムボックスを多用しヴィジュアル的にもカラフルで洗練されたイメージでインパクトを与えた彼らは、時を同じくそれぞれのアプローチで似通ったサウンドを提示してきたPLASTICSやヒカシューと並んで、YMOとは異なったアプローチから「テクノポップ」という新ジャンルを与えられ、テクオポップ御三家としてもてはやされることになります。彼らの1stアルバムである本作はこれらのブームの火付け役となった名盤として、この手のジャンルのバイブルとして語り継がれている作品です。
本作はP-MODELとしてのサウンドと方向性を示す代名詞的な作品ということで、スピード感と荒々しさにあふれたパンキッシュビートと、KORG 800DVの特徴的なクラッカー音色がフィーチャーされたキュートなシンセワーク(この田中靖美のシンセフレーズを追うだけでもかなり楽しめます)が施された刺激的な楽曲が目白押しとなっています。緩急をつけてシニカルさと大胆さを巧みに操る平沢のヴォーカルも冴え渡り、この斜に構えた部分はサウンド面の変遷はあれども彼の音楽性の根幹を成していると言えるでしょう。「ソフィスティケイティッド」や「アート・ブラインド」における電子的なシンセの大活躍度も嬉しいところです。また本作はムーブメントの盟友でもあったPLASTICSの佐久間正英がプロデュースを手掛けていますが、もともとプログレ出身で難解さと戦略的な姿勢で一般に受け入れられにくかった彼らのアーティスト性を、若さと勢い、そしてポップなイメージ戦略で本作を良い意味でブレイクスルーさせており、1枚目に佐久間を起用したのは成功であったと思います。変拍子を多用したイントロのフレーズなどにプログレっぽさが抜け切れてないところや、捉え方によってはコミカルとも思わせる若気の至りなコーラスもご愛嬌ですが、いまだ機械に支配されていない「バンド」としてのセンスと力量を感じさせる本作は、TECHNOLOGY POPS的には弱いという印象ながらも、ここから全てが始まっているという点でやはり外してはいけない作品であるということなのです。
<Favorite Songs>
・「サンシャイン・シティー」
直線的ベースとスピード感に勢いを感じるエレクトリックパンクチューン。しかしなんといってもイントロの独創的なフレーズととっちらかったギターの掛け合いが楽しくて仕方がないです。この楽曲はこの部分に尽きます。
・「偉大なる頭脳」
怒濤の変拍子で攻めまくる難解な楽曲。本作で最もプログレっぽさが前面に出まくった楽曲で、特に複雑なベースラインが目立つサビ(というのか?)の熱さは圧巻です。
・「アート・ブラインド」
ロービットなロボボイスとノイジーなスネアが未来感を演出しているラストナンバー。メッセージ色が強い言葉をボコーダーで上手く中和しているのに好感が持てます。単純でミニマルな構成はかのドイツのグループを想起させますが、この楽曲も意外に重厚です。
<評点>
・サウンド ★★ (シンセの特徴を生かしたフレーズは当時の新しいセンス)
・メロディ ★ (デビュー作だけありキャッチーなメロが並ぶが単純さも)
・リズム ★★ (レコーディング技術が追いつかず軽く聴こえてしまう)
・曲構成 ★★ (最後から最後まで勢いと斜め目線の楽曲で通す根性が)
・個性 ★★ (パンクをシニカルに捉えながら振り切った明るさが・・)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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