「新世紀への運河」 ゲルニカ
「新世紀への運河」(1988 テイチク)
ゲルニカ

<members>
戸川純:vocal
上野耕路:keyboards・computer programming
太田螢一:lyrics・visual
1.「磁力ビギン」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
2.「集団農場の秋」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
3.「水晶宮」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
4.「二百十日」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
5.「少年の一番の友」 詞:Caryl Churchill(訳詞:松岡和子) 曲・編:上野耕路
6.「クラウド9」
詞:Caryl Churchill(訳詞:松岡和子)・上野耕路 曲・編:上野耕路
7.「パノラマ・アワー」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
8.「輪転機」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
9.「交通賛歌」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
10.「電力組曲」
a. ダムの唄 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
b. 電力の道筋 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
c. 電化の暮らし 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
11.「髑髏の円舞曲」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
12.「絶海」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
<support musician>
熊谷弘:conduct
村山雄三:balalaika
宇都宮積善:mandolin
佐藤正治:drums
山本直樹:drums
加沢フミヒコ:accordion
吉川雅夫:timpani
岸義和:trumpet
白山文夫:trumpet
林研一郎:trumpet
横山均:trumpet
清岡太郎:trombone
花坂義孝:trombone
三田治美:trombone
和田美亀雄:trombone
岡田澄雄:bass trombone
清原カズト:bass trombone
今井彰:horn
長岡慎:horn
松崎裕:horn
山本真:horn
渡辺勝:horn
久保修平:tuba
佐野博美:soprano sax
吉永寿:soprano sax
金城寛文:tenor sax
斎藤清:tenor sax
石兼武美:baritone sax
相馬充:flute
西沢幸彦:flute
川村正明:oboe
柴山洋:oboe
常光誠治:english horn
小倉清澄:clarinet
関口仁:clarinet
中野賢:bass clarinet
大畑篠亭:fagotto
前田信吉:fagotto
前田正志:fagotto
山上貴司:contra fagotto
小出道也:ocarina
Zheng(arpa cinese):electric violin
金子飛鳥:electric violin・violin
姜小青:electric violin
会田ミホ:violin
岩井真美:violin
植田みゆき:violin
栄田嘉彦:violin
片岡マキ:violin
桑野千絵:violin
桑野聖:violin
小屋松香織:violin
佐川チアキ:violin
佐藤ナオコ:violin
竹内純:violin
栃谷若子:violin
中嶋弦一郎:violin
服部奈々:violin
深見邦代:violin
牧カズミ:violin
村上英子:violin
森由里子:violin
山森陽子:violin
横山俊朗:violin
岩田裕子:viola
佐川由紀緒:viola
筒井はるみ:viola
遠山常身:viola
新田綾子:viola
村山達哉:viola
両角里香:viola
山田雄司:viola
折笠満:cello
河田夏実:cello
寺井庸裕:cello
十代田光子:cello
藤沢俊樹:cello
向山佳絵子:cello
山本裕泰:cello
渡辺辰紀:cello
松永孝義:contrabass
渡辺等:contrabass
山川恵子:harp
山畑松枝:harp
佐藤タツヤ:computer programming
produced by ゲルニカ
engineered by 西須廣志
● 遂にフルオーケストラを導入!圧倒的かつ豪華なクラシックサウンドで魅了した復活の名作
日本のテクノ・ニューウェーブシーンを牽引したアルファレコードのYENレーベルより彗星のごとくデビューした戸川純と上野耕路、そして太田螢一のレトロポップユニット、ゲルニカは、1stアルバム「改造への躍動」のクラシカルなフレーズをチープなシンセ&リズムで表現する斬新なサウンド手法と大正~昭和初期を想起させる雰囲気抜群のヴィジュアルイメージと独特の説明的な歌詞世界、そして少女からオペラまで幅広い七色の声を操る圧倒的なヴォーカルによって聴き手に多大なインパクトを与えましたが、その1枚を残して未練もなく活動を停止、伝説のユニットになったかと思われました。しかしYENレーベルも解散し、ポストニューウェーブも一段落ついて歌謡界のデジタル化も飽和状態に陥った感のあった1988年、ゲルニカは本作のリリースによってまさかの復活を果たします。ジャケットを見てもわかるように世界観は引き継がれているということで、1stアルバムの複雑なフレーズのチープなシンセ無双を期待しているリスナーも多かったと思われますが、なんと本作ではフルオーケストラを導入、本格的なクラシックサウンドで攻めまくった「気合い」を感じる作品となっています。
1stアルバム後のデビューシングル「銀輪は唄う」がフルオーケストラであったことを考えると既に本作のサウンド志向は予想できなくはありませんでしたが、そういった使用楽器の変化よりも驚かされるのがクラシカルな作曲手法をPOPSとして昇華させた上野耕路の匠のセンスです。前作ではアナログシンセやリズムボックスでクラシックフレーズをシミュレートしているのが興味深かったわけですが、本作はまっとうなオーケストレーションでありながら、全く難しくなくあたかも巷で流れる歌謡曲のようにすんなり耳に入ってくるポップ精神が素晴らしいです。もともと8 1/2やハルメンズのキーボードとして知られたニューウェーブ界隈の住人であったことから、POPSへの理解があったとはいえ、自身のクラシカルな作曲技術が生かされた目まぐるしい展開を見せる楽曲は、他に類を見ない存在感に満ちています。そして彼のテクニカルで豪奢なフレーズに負けないほどの個性的なヴォーカルで対峙する戸川純、この特異なコンビを際立たせる鋼のコンセプトを作り上げた太田螢一のゲルニカプロジェクトは、翌年3rdアルバム「電離層からの眼差し」が本作の成功による既定路線の継承であることを考えると、本作のフルオーケストラサウンドによって完成を見たのではないかと個人的には解釈しています。
<Favorite Songs>
・「パノラマ・アワー」
ハルメンズのレパートリーであった楽曲のセルフカバー。原曲よりもストリングスと本作で最も活躍するシンセフレーズにより豪華なアレンジが施されています。特にラストの上下を行き来するようなストリングスフレーズは原曲にはない緊張感があります。
・「輪転機」
本作唯一のブラスセクションが大活躍したジャズテイストの楽曲。前作収録の「復興の唄」に本格的なブラスを導入したらこうなった、という見本のような楽曲で、ヴォーカルとピアノのフレーズの掛け合いやミュージカル風なアレンジが、限りなく昭和ですが、歌詞が輪転機の説明に終始するというのも他にはまねできません。
・「髑髏の円舞曲」
タイトル通りワルツのリズムによるゴージャスな名曲。舞踏会にしては切迫感溢れるオーケストレーションにいやがおうでもテンションが上がります。特に怒濤の後半の畳みかけるようなストリングスフレーズの散りばめ方はまさに本作のハイライトと言えるでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★★★ (複雑に絡み合いながらも緻密なフレーズ構築に脱帽)
・メロディ ★★★★ (圧倒的な音に対するメロディの乗せ方は前作以降の高品質)
・リズム ★★★★ (オーケストレーションのキレだけでリズムを作り出す)
・曲構成 ★★★★★ (歌詞からイメージ戦略まで徹底したコンセプトに妥協なし)
・個性 ★★★★★ (POPSとして捉えるのは難しいほどの唯一無二感がスゴい)
総合評点: 10点
ゲルニカ

<members>
戸川純:vocal
上野耕路:keyboards・computer programming
太田螢一:lyrics・visual
1.「磁力ビギン」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
2.「集団農場の秋」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
3.「水晶宮」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
4.「二百十日」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
5.「少年の一番の友」 詞:Caryl Churchill(訳詞:松岡和子) 曲・編:上野耕路
6.「クラウド9」
詞:Caryl Churchill(訳詞:松岡和子)・上野耕路 曲・編:上野耕路
7.「パノラマ・アワー」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
8.「輪転機」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
9.「交通賛歌」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
10.「電力組曲」
a. ダムの唄 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
b. 電力の道筋 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
c. 電化の暮らし 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
11.「髑髏の円舞曲」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
12.「絶海」 詞:太田螢一 曲・編:上野耕路
<support musician>
熊谷弘:conduct
村山雄三:balalaika
宇都宮積善:mandolin
佐藤正治:drums
山本直樹:drums
加沢フミヒコ:accordion
吉川雅夫:timpani
岸義和:trumpet
白山文夫:trumpet
林研一郎:trumpet
横山均:trumpet
清岡太郎:trombone
花坂義孝:trombone
三田治美:trombone
和田美亀雄:trombone
岡田澄雄:bass trombone
清原カズト:bass trombone
今井彰:horn
長岡慎:horn
松崎裕:horn
山本真:horn
渡辺勝:horn
久保修平:tuba
佐野博美:soprano sax
吉永寿:soprano sax
金城寛文:tenor sax
斎藤清:tenor sax
石兼武美:baritone sax
相馬充:flute
西沢幸彦:flute
川村正明:oboe
柴山洋:oboe
常光誠治:english horn
小倉清澄:clarinet
関口仁:clarinet
中野賢:bass clarinet
大畑篠亭:fagotto
前田信吉:fagotto
前田正志:fagotto
山上貴司:contra fagotto
小出道也:ocarina
Zheng(arpa cinese):electric violin
金子飛鳥:electric violin・violin
姜小青:electric violin
会田ミホ:violin
岩井真美:violin
植田みゆき:violin
栄田嘉彦:violin
片岡マキ:violin
桑野千絵:violin
桑野聖:violin
小屋松香織:violin
佐川チアキ:violin
佐藤ナオコ:violin
竹内純:violin
栃谷若子:violin
中嶋弦一郎:violin
服部奈々:violin
深見邦代:violin
牧カズミ:violin
村上英子:violin
森由里子:violin
山森陽子:violin
横山俊朗:violin
岩田裕子:viola
佐川由紀緒:viola
筒井はるみ:viola
遠山常身:viola
新田綾子:viola
村山達哉:viola
両角里香:viola
山田雄司:viola
折笠満:cello
河田夏実:cello
寺井庸裕:cello
十代田光子:cello
藤沢俊樹:cello
向山佳絵子:cello
山本裕泰:cello
渡辺辰紀:cello
松永孝義:contrabass
渡辺等:contrabass
山川恵子:harp
山畑松枝:harp
佐藤タツヤ:computer programming
produced by ゲルニカ
engineered by 西須廣志
● 遂にフルオーケストラを導入!圧倒的かつ豪華なクラシックサウンドで魅了した復活の名作
日本のテクノ・ニューウェーブシーンを牽引したアルファレコードのYENレーベルより彗星のごとくデビューした戸川純と上野耕路、そして太田螢一のレトロポップユニット、ゲルニカは、1stアルバム「改造への躍動」のクラシカルなフレーズをチープなシンセ&リズムで表現する斬新なサウンド手法と大正~昭和初期を想起させる雰囲気抜群のヴィジュアルイメージと独特の説明的な歌詞世界、そして少女からオペラまで幅広い七色の声を操る圧倒的なヴォーカルによって聴き手に多大なインパクトを与えましたが、その1枚を残して未練もなく活動を停止、伝説のユニットになったかと思われました。しかしYENレーベルも解散し、ポストニューウェーブも一段落ついて歌謡界のデジタル化も飽和状態に陥った感のあった1988年、ゲルニカは本作のリリースによってまさかの復活を果たします。ジャケットを見てもわかるように世界観は引き継がれているということで、1stアルバムの複雑なフレーズのチープなシンセ無双を期待しているリスナーも多かったと思われますが、なんと本作ではフルオーケストラを導入、本格的なクラシックサウンドで攻めまくった「気合い」を感じる作品となっています。
1stアルバム後のデビューシングル「銀輪は唄う」がフルオーケストラであったことを考えると既に本作のサウンド志向は予想できなくはありませんでしたが、そういった使用楽器の変化よりも驚かされるのがクラシカルな作曲手法をPOPSとして昇華させた上野耕路の匠のセンスです。前作ではアナログシンセやリズムボックスでクラシックフレーズをシミュレートしているのが興味深かったわけですが、本作はまっとうなオーケストレーションでありながら、全く難しくなくあたかも巷で流れる歌謡曲のようにすんなり耳に入ってくるポップ精神が素晴らしいです。もともと8 1/2やハルメンズのキーボードとして知られたニューウェーブ界隈の住人であったことから、POPSへの理解があったとはいえ、自身のクラシカルな作曲技術が生かされた目まぐるしい展開を見せる楽曲は、他に類を見ない存在感に満ちています。そして彼のテクニカルで豪奢なフレーズに負けないほどの個性的なヴォーカルで対峙する戸川純、この特異なコンビを際立たせる鋼のコンセプトを作り上げた太田螢一のゲルニカプロジェクトは、翌年3rdアルバム「電離層からの眼差し」が本作の成功による既定路線の継承であることを考えると、本作のフルオーケストラサウンドによって完成を見たのではないかと個人的には解釈しています。
<Favorite Songs>
・「パノラマ・アワー」
ハルメンズのレパートリーであった楽曲のセルフカバー。原曲よりもストリングスと本作で最も活躍するシンセフレーズにより豪華なアレンジが施されています。特にラストの上下を行き来するようなストリングスフレーズは原曲にはない緊張感があります。
・「輪転機」
本作唯一のブラスセクションが大活躍したジャズテイストの楽曲。前作収録の「復興の唄」に本格的なブラスを導入したらこうなった、という見本のような楽曲で、ヴォーカルとピアノのフレーズの掛け合いやミュージカル風なアレンジが、限りなく昭和ですが、歌詞が輪転機の説明に終始するというのも他にはまねできません。
・「髑髏の円舞曲」
タイトル通りワルツのリズムによるゴージャスな名曲。舞踏会にしては切迫感溢れるオーケストレーションにいやがおうでもテンションが上がります。特に怒濤の後半の畳みかけるようなストリングスフレーズの散りばめ方はまさに本作のハイライトと言えるでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★★★ (複雑に絡み合いながらも緻密なフレーズ構築に脱帽)
・メロディ ★★★★ (圧倒的な音に対するメロディの乗せ方は前作以降の高品質)
・リズム ★★★★ (オーケストレーションのキレだけでリズムを作り出す)
・曲構成 ★★★★★ (歌詞からイメージ戦略まで徹底したコンセプトに妥協なし)
・個性 ★★★★★ (POPSとして捉えるのは難しいほどの唯一無二感がスゴい)
総合評点: 10点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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