「ESPERANTO」 ELEKTRIC MUSIC
「ESPERANTO」 (1993 SPV)
ELEKTRIC MUSIC

<members>
Karl Bartos:voice・synthesizer・vocoder
Lother Manteuffel:synthesizer
1.「TV」 Karl Bartos/Lother Manteuffel
2.「SHOW BUSINESS」 Karl Bartos/Lother Manteuffel/Andy McCluskey
3.「KISSING THE MACHINE」 Karl Bartos/Andy McCluskey
4.「LIFESTYLE」 Karl Bartos
5.「CROSSTALK」 Karl Bartos/Lother Manteuffel/Emil Schult
6.「INFOMATION」 Karl Bartos
7.「ESPERANTO」 Karl Bartos
8.「OVERDRIVE」 Karl Bartos/Emil Schult
<support musician>
Andy McCluskey:vocal
produced by Karl Bartos
mixing engineered by Stefan Ingmann
recording engineered by Paul Grau
● Kraftwerk時代のサウンドデザインはそのままに本家にはないPOP性を発揮したテクノポップの名盤
ドイツが生んだテクノポップの父とも神とも呼ばれる不世出のグループKraftwerkは、Ralf HutterとFlorian Schneiderによる2人組からパーカッションの2人、Karl BartosとWolfgang Flurが加わりポップ化への流れを軌道に乗せていき全盛期へと突入していったわけですが、86年の「Electric Cafe」以降は活動ペースが格段に落ちていき、メンバーの中でも制作意欲が衰えていなかったKarl Bartosは、遂にグループに見切りをつけ脱退に至ります。Kraftwerk解散後、彼は早速ソロプロジェクトELEKTRIC MUSICを立ち上げ、B級ニューウェーブグループで知られるReingoldのメンバーであったLother Manteuffelをパートナーに迎え、93年に本作をリリース、その健在ぶりを見せつけました。ハウスムーブメント以降のダンサブルなテクノが流行する時代にあって彼が志向したのは、Kraftwerkから持ち出してきたかのような原点回帰の電力をふんだんに使用したかのような太い電子音と芳醇なボコーダーによるロボボイスであり、このなんともいえない「ブレなさ」が聴き手に与えたインパクトは強いものであったと思われます。
もともと気難しいKraftwerkのサウンドにわかりやすさを導入したのはKarl Bartosのポップセンスであったわけですが、わかりやすさはもちろんKraftwerk秘伝の音色というか、おなじみの電子音が散りばめられた、リスナーな彼に対して期待していた「あのサウンド」を裏切ることなく楽曲を作り上げている点においては、自身に求められている音楽性をよく理解している、空気の読めるアーティストと言えるのではないでしょうか。とはいえ90年代的アプローチも忘れておらず、あくまでKraftwerkなテイストを残したままではありますがよりダンサブルに、ハードコアに迫ったミニマルテクノを展開しています。また、なんといっても本家よりも徹底的に違うのはその「熱さ」です。機械的な音楽であることに徹するクールさが魅力の本家とは異なり、得意とする音色を惜しげもなく披露し使えるだけの技をこれでもかと繰り出す威勢の良さ、意気込みが本作には感じられるのです。抑圧からの開放感みたいなものが垣間見えて微笑ましくもあるわけです。当然のことながら彼のようなアーティストは、次作「Erectric Music」のようにErectric Musicと改名してまでギターポップに手を出しても意味がないわけで、ほどなくこのユニットが解体されKarl Bartosはソロとなり直球テクノポップの名盤「COMMUNICATION」を生み出すことになるわけです。そのテクノポップに対するストイックさには脱帽です。
<Favorite Songs>
・「TV」
タイトル通り各国のテレビ放送をのカットアップがフィーチャーされた本作のキラーチューン。ぶっといシンセベース、独特のシンセコーラス、メロトロンっぽいシンセストリングス、どこかのどかな雰囲気・・・どれをとってもKraftwerkの遺伝子を感じざるを得ない直系テクノポップです。
・「SHOW BUSINESS」
Kraftwerk「The Model」を彷佛とさせるようなどポップ路線のシンセポップ。OMDのAndy McCluskeyをヴォーカルを迎えて完全な歌モノとなっています。しかし次曲「KISSING THE MACHINE」のように完全なOMDに浸食されてはおらず、Bartos流を色濃く残しながらのキャッチー性であるので安心して聴けます。
・「CROSSTALK」
これでもかと強調されたレゾナンスと派手なボイスサンプリングにテクノの魂すら感じさせる濃い味のテクノミュージック。とにかく執拗なボイスの嵐がポイントで、それほどテンポが速いわけでもないのですがその多彩なボイスサンプルにテンションが高くなること請け合いです。
<評点>
・サウンド ★★★ (あの音色この音色それぞれがみんなが待っていたサウンド)
・メロディ ★★ (フレーズ1つ1つはわかりやすいがどこかで聴いたような)
・リズム ★★★ (チープなリズムマシンが流行する中強烈なリズムは嬉しい)
・曲構成 ★ (前半は過ぎたポップ仕様、後半はしつこいほどのダンス仕様)
・個性 ★★★ (自身の得意技を理解した上でのファンサービスに長けている)
総合評点: 7点
ELEKTRIC MUSIC

<members>
Karl Bartos:voice・synthesizer・vocoder
Lother Manteuffel:synthesizer
1.「TV」 Karl Bartos/Lother Manteuffel
2.「SHOW BUSINESS」 Karl Bartos/Lother Manteuffel/Andy McCluskey
3.「KISSING THE MACHINE」 Karl Bartos/Andy McCluskey
4.「LIFESTYLE」 Karl Bartos
5.「CROSSTALK」 Karl Bartos/Lother Manteuffel/Emil Schult
6.「INFOMATION」 Karl Bartos
7.「ESPERANTO」 Karl Bartos
8.「OVERDRIVE」 Karl Bartos/Emil Schult
<support musician>
Andy McCluskey:vocal
produced by Karl Bartos
mixing engineered by Stefan Ingmann
recording engineered by Paul Grau
● Kraftwerk時代のサウンドデザインはそのままに本家にはないPOP性を発揮したテクノポップの名盤
ドイツが生んだテクノポップの父とも神とも呼ばれる不世出のグループKraftwerkは、Ralf HutterとFlorian Schneiderによる2人組からパーカッションの2人、Karl BartosとWolfgang Flurが加わりポップ化への流れを軌道に乗せていき全盛期へと突入していったわけですが、86年の「Electric Cafe」以降は活動ペースが格段に落ちていき、メンバーの中でも制作意欲が衰えていなかったKarl Bartosは、遂にグループに見切りをつけ脱退に至ります。Kraftwerk解散後、彼は早速ソロプロジェクトELEKTRIC MUSICを立ち上げ、B級ニューウェーブグループで知られるReingoldのメンバーであったLother Manteuffelをパートナーに迎え、93年に本作をリリース、その健在ぶりを見せつけました。ハウスムーブメント以降のダンサブルなテクノが流行する時代にあって彼が志向したのは、Kraftwerkから持ち出してきたかのような原点回帰の電力をふんだんに使用したかのような太い電子音と芳醇なボコーダーによるロボボイスであり、このなんともいえない「ブレなさ」が聴き手に与えたインパクトは強いものであったと思われます。
もともと気難しいKraftwerkのサウンドにわかりやすさを導入したのはKarl Bartosのポップセンスであったわけですが、わかりやすさはもちろんKraftwerk秘伝の音色というか、おなじみの電子音が散りばめられた、リスナーな彼に対して期待していた「あのサウンド」を裏切ることなく楽曲を作り上げている点においては、自身に求められている音楽性をよく理解している、空気の読めるアーティストと言えるのではないでしょうか。とはいえ90年代的アプローチも忘れておらず、あくまでKraftwerkなテイストを残したままではありますがよりダンサブルに、ハードコアに迫ったミニマルテクノを展開しています。また、なんといっても本家よりも徹底的に違うのはその「熱さ」です。機械的な音楽であることに徹するクールさが魅力の本家とは異なり、得意とする音色を惜しげもなく披露し使えるだけの技をこれでもかと繰り出す威勢の良さ、意気込みが本作には感じられるのです。抑圧からの開放感みたいなものが垣間見えて微笑ましくもあるわけです。当然のことながら彼のようなアーティストは、次作「Erectric Music」のようにErectric Musicと改名してまでギターポップに手を出しても意味がないわけで、ほどなくこのユニットが解体されKarl Bartosはソロとなり直球テクノポップの名盤「COMMUNICATION」を生み出すことになるわけです。そのテクノポップに対するストイックさには脱帽です。
<Favorite Songs>
・「TV」
タイトル通り各国のテレビ放送をのカットアップがフィーチャーされた本作のキラーチューン。ぶっといシンセベース、独特のシンセコーラス、メロトロンっぽいシンセストリングス、どこかのどかな雰囲気・・・どれをとってもKraftwerkの遺伝子を感じざるを得ない直系テクノポップです。
・「SHOW BUSINESS」
Kraftwerk「The Model」を彷佛とさせるようなどポップ路線のシンセポップ。OMDのAndy McCluskeyをヴォーカルを迎えて完全な歌モノとなっています。しかし次曲「KISSING THE MACHINE」のように完全なOMDに浸食されてはおらず、Bartos流を色濃く残しながらのキャッチー性であるので安心して聴けます。
・「CROSSTALK」
これでもかと強調されたレゾナンスと派手なボイスサンプリングにテクノの魂すら感じさせる濃い味のテクノミュージック。とにかく執拗なボイスの嵐がポイントで、それほどテンポが速いわけでもないのですがその多彩なボイスサンプルにテンションが高くなること請け合いです。
<評点>
・サウンド ★★★ (あの音色この音色それぞれがみんなが待っていたサウンド)
・メロディ ★★ (フレーズ1つ1つはわかりやすいがどこかで聴いたような)
・リズム ★★★ (チープなリズムマシンが流行する中強烈なリズムは嬉しい)
・曲構成 ★ (前半は過ぎたポップ仕様、後半はしつこいほどのダンス仕様)
・個性 ★★★ (自身の得意技を理解した上でのファンサービスに長けている)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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