「GETTING THE HOLY GHOST ACROSS」 Bill Nelson
「GETTING THE HOLY GHOST ACROSS」(1986 CBS)
Bill Nelson:vocals・electric guitar・acoustic guitar・keyboards・marimba・drums・percussion・bass

1.「SUVASINI」 Bill Nelson
2.「CONTEMPLATION」 Bill Nelson
3.「THEOLOGY」 Bill Nelson
4.「WILDEST DREAMS」 Bill Nelson
5.「LOST IN YOUR MYSTERY」 Bill Nelson
6.「RISE LIKE A FOUNTAIN」 Bill Nelson
7.「AGE OF REASON」 Bill Nelson
8.「THE HIDDEN FLAME」 Bill Nelson
9.「BECAUSE OF YOU」 Bill Nelson
10.「PANSOPHIA」 Bill Nelson
<support musician>
Iain Denby:bass
Andy Davis:keyboards
Preston Heyman:percussion
Dick Morrisey:sax
Ian Nelson:sax
William Gregory:soprano sax
Peter Geeves:violin
produced by Bill Nelson
engineered by Steve Nye・Bill Nelson・Leon Phillips・John Leckie
● 不変の大陸的E-BOWサウンドが美しい円熟のエレポップギタリストのポップサイド意欲作
高橋幸宏やMick Karnが参加した名盤中の名盤「Chimera」から3年、POPS路線を一時封印しインストゥルメンタル路線を邁進していたグラムロック~ニューウェーブの稀有なギタリストBill Nelsonは、自身が設立したコクトーレーベルから一時離れ、なんと大手メジャーレーベルCBSより久方振りのPOPS作品をリリースします。英国と米国におけるリリースなったこの作品は、若干の曲順を変更しリリースする国によってタイトルを変更しており、米国では「ON A BLUE WING」、そして欧州では「GETTING THE HOLY GHOST ACROSS」というタイトルを冠されております(ここでは欧州のタイトルでレビューします)。「The Love That Whirls」「Chimera」といった珠玉の名盤に続く期待作ということで一部で注目された本作でしたが、相変わらず多彩なパートをBill本人が担当するマルチプレイヤーぶりを見せつけながらも、さすがに3年のキャリアを経てエレクトリックな手法はそのままに、落ち着きを感じさせる作風にマイナーチェンジしている様子が窺える作品となっています。
幻想的なギターインスト「SUVASINI」からの機械的なリズムながら大陸的な広がりを見せる8分以上に及ぶ大作「CONTEMPLATION」で幕を開ける本作のサウンドは、彼ならではの流れるようなE-BOWの旋律が心地良いギターサウンドに、カッチリと刻む打ち込みリズムによる独特のノリが魅力的です。またシンセサウンドは時代の流れに即したようなメタリックなデジタル音色を多用するなど、そこはかとなく80年代中期~後期の匂いを醸し出しています。しかしそれらの中で目立つのはやはりリズム音色のエフェクト処理で、この時代ならではのパワフルなミックスによるドラムサウンドは、決してスピード感に任せた楽曲が多くない本作にあっても確かな存在感を見せてくれています。ところがそのようなエレクトリックなノリのリズムにあって牧歌的な雰囲気にさせられるのは、ニューウェーブというには不釣り合いなBill Nelson自身の開放的なメロディラインによる部分が大きいと思われます。特に本作はそうした楽曲を意図的に集めた節があり、異なるタイプの楽曲は同時期にリリースされたよりシンセポップ魂をくすぐるミニアルバム「Living For The Spangled Moment」において発散されています。
<Favorite Songs>
・「LOST IN YOUR MYSTERY」
ねちっこいシンセブラスが独特なオリエンタルフレーズ満載のシンセポップ。シンセベースとドラムの絡み合いは地味ながらも楽曲を安定させ、シンセとサックスで音の隙間を埋めていくことで単純なメロディを感じさせない楽曲に仕上げています。
・「THE HIDDEN FLAME」
明るさの中にほんのちょっと切なさを忍び込ませたお得意のフレーズを使用したBill流エレクトリックポップソング。メタリックな音色を効果的に使っているものの、圧巻なのはやはり後半の自由なギターソロです。ただこれくらいのソロフレーズは彼にとって造作もないことでしょう。
・「BECAUSE OF YOU」
本作中でも最もマシナリーと言ってよいリズムトラックによるダンスポップ。複雑なベースフレーズがファンキーな上にニューウェーブっぽさを感じさせます。しかし途中に挿入されるギターはオールドスタイルなロックな匂いも感じさせるなど、意外と組み合わせの妙を感じる楽曲です。
<評点>
・サウンド ★★ (時代を感じさせるデジアナシンセブラスが特徴的)
・メロディ ★ (この単純なメロディが彼の良いところであり弱点でもある)
・リズム ★★★★ (全編打ち込みでもプログラミングのセンスは相変わらず)
・曲構成 ★ (同タイプの楽曲が並んでしまい過去の作品と比べると・・)
・個性 ★★ (注目すべきは年齢を重ねたからこそ全くブレない安定感)
総合評点: 7点
Bill Nelson:vocals・electric guitar・acoustic guitar・keyboards・marimba・drums・percussion・bass

1.「SUVASINI」 Bill Nelson
2.「CONTEMPLATION」 Bill Nelson
3.「THEOLOGY」 Bill Nelson
4.「WILDEST DREAMS」 Bill Nelson
5.「LOST IN YOUR MYSTERY」 Bill Nelson
6.「RISE LIKE A FOUNTAIN」 Bill Nelson
7.「AGE OF REASON」 Bill Nelson
8.「THE HIDDEN FLAME」 Bill Nelson
9.「BECAUSE OF YOU」 Bill Nelson
10.「PANSOPHIA」 Bill Nelson
<support musician>
Iain Denby:bass
Andy Davis:keyboards
Preston Heyman:percussion
Dick Morrisey:sax
Ian Nelson:sax
William Gregory:soprano sax
Peter Geeves:violin
produced by Bill Nelson
engineered by Steve Nye・Bill Nelson・Leon Phillips・John Leckie
● 不変の大陸的E-BOWサウンドが美しい円熟のエレポップギタリストのポップサイド意欲作
高橋幸宏やMick Karnが参加した名盤中の名盤「Chimera」から3年、POPS路線を一時封印しインストゥルメンタル路線を邁進していたグラムロック~ニューウェーブの稀有なギタリストBill Nelsonは、自身が設立したコクトーレーベルから一時離れ、なんと大手メジャーレーベルCBSより久方振りのPOPS作品をリリースします。英国と米国におけるリリースなったこの作品は、若干の曲順を変更しリリースする国によってタイトルを変更しており、米国では「ON A BLUE WING」、そして欧州では「GETTING THE HOLY GHOST ACROSS」というタイトルを冠されております(ここでは欧州のタイトルでレビューします)。「The Love That Whirls」「Chimera」といった珠玉の名盤に続く期待作ということで一部で注目された本作でしたが、相変わらず多彩なパートをBill本人が担当するマルチプレイヤーぶりを見せつけながらも、さすがに3年のキャリアを経てエレクトリックな手法はそのままに、落ち着きを感じさせる作風にマイナーチェンジしている様子が窺える作品となっています。
幻想的なギターインスト「SUVASINI」からの機械的なリズムながら大陸的な広がりを見せる8分以上に及ぶ大作「CONTEMPLATION」で幕を開ける本作のサウンドは、彼ならではの流れるようなE-BOWの旋律が心地良いギターサウンドに、カッチリと刻む打ち込みリズムによる独特のノリが魅力的です。またシンセサウンドは時代の流れに即したようなメタリックなデジタル音色を多用するなど、そこはかとなく80年代中期~後期の匂いを醸し出しています。しかしそれらの中で目立つのはやはりリズム音色のエフェクト処理で、この時代ならではのパワフルなミックスによるドラムサウンドは、決してスピード感に任せた楽曲が多くない本作にあっても確かな存在感を見せてくれています。ところがそのようなエレクトリックなノリのリズムにあって牧歌的な雰囲気にさせられるのは、ニューウェーブというには不釣り合いなBill Nelson自身の開放的なメロディラインによる部分が大きいと思われます。特に本作はそうした楽曲を意図的に集めた節があり、異なるタイプの楽曲は同時期にリリースされたよりシンセポップ魂をくすぐるミニアルバム「Living For The Spangled Moment」において発散されています。
<Favorite Songs>
・「LOST IN YOUR MYSTERY」
ねちっこいシンセブラスが独特なオリエンタルフレーズ満載のシンセポップ。シンセベースとドラムの絡み合いは地味ながらも楽曲を安定させ、シンセとサックスで音の隙間を埋めていくことで単純なメロディを感じさせない楽曲に仕上げています。
・「THE HIDDEN FLAME」
明るさの中にほんのちょっと切なさを忍び込ませたお得意のフレーズを使用したBill流エレクトリックポップソング。メタリックな音色を効果的に使っているものの、圧巻なのはやはり後半の自由なギターソロです。ただこれくらいのソロフレーズは彼にとって造作もないことでしょう。
・「BECAUSE OF YOU」
本作中でも最もマシナリーと言ってよいリズムトラックによるダンスポップ。複雑なベースフレーズがファンキーな上にニューウェーブっぽさを感じさせます。しかし途中に挿入されるギターはオールドスタイルなロックな匂いも感じさせるなど、意外と組み合わせの妙を感じる楽曲です。
<評点>
・サウンド ★★ (時代を感じさせるデジアナシンセブラスが特徴的)
・メロディ ★ (この単純なメロディが彼の良いところであり弱点でもある)
・リズム ★★★★ (全編打ち込みでもプログラミングのセンスは相変わらず)
・曲構成 ★ (同タイプの楽曲が並んでしまい過去の作品と比べると・・)
・個性 ★★ (注目すべきは年齢を重ねたからこそ全くブレない安定感)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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