「夏」 ヒカシュー
「夏」 (1980 東芝EMI)
ヒカシュー

<members>
巻上公一:vocal・bass・cornet
海琳正道:guitar・12strings guitar・electric sitar・vocal
戸辺哲:sax・prepared guitar・vocal
井上誠:synthesizers・Mellotron・piano・Hammond
山下康: synthesizers・rhythm box・celesta・piano・timpani
1.「アルタネイティヴ・サン」 詞・曲:巻上公一 編:ヒカシュー
2.「不思議のマーチ」 詞・曲:巻上公一 編:ヒカシュー
3.「パイク」 詞:巻上公一 曲:山下康 編:ヒカシュー
4.「イルカは笑う」 詞:巻上公一 曲:海琳正道 編:ヒカシュー
5.「モーニング・ウォーター」 詞:巻上公一 曲:戸辺哲 編:ヒカシュー
6.「謎の呪文」 詞:巻上公一 曲:海琳正道 編:ヒカシュー
7.「オアシスの夢」 詞:巻上公一 曲:海琳正道・巻上公一 編:ヒカシュー
8.「マスク」 詞:巻上公一 曲:井上誠 編:ヒカシュー
9.「ふやけた■■」 詞:巻上公一 曲:海琳正道 編:ヒカシュー
10.「スイカの行進」 詞:巻上公一 曲:戸辺哲 編:ヒカシュー
11.「ビノ・パイク」 曲:山下康 編:ヒカシュー
12.「瞳の歌」 詞:巻上公一 曲:海琳正道 編:ヒカシュー
<support musician>
高木利夫:drums
produced by 近田春夫・加藤和彦
engineered by 渡辺喜久
● デビュー作より間髪入れずリリースされ底力と勢いに満ちる初期のスタイルが確立された2ndアルバム
デビュー当初はテクノポップ御三家という範疇でくくられることが多かったヒカシューは、シンセサイザーやリズムボックスを使用していたもののそれはサウンドへの味つけの1つの手法に過ぎないものであり、演劇がかった個性的なパフォーマンスや奇妙なフレーズを生み出すセンスが突出していたという点では、ニューウェーブバンドと呼ぶことはできますがテクノポップと呼ぶには機械らしさや近未来的な部分が足りないように思えます(唯一それらしいのは「ビノ・パイク」くらい)。1980年リリースの1stアルバム「ヒカシュー」はシンセによるフレーズを主体にしつつもいなたいギターの主張も激しく、プラスチックスやP-MODELといった他の御三家連中と比べてテクノポップ特有の楽天的な明るさが足りなかったものの、彼らの個性的な音楽性の代名詞にはなった記念碑的作品でした。そして半年も待たずにリリースされた2ndアルバムの本作は、前作に引き続き近田春夫プロデュースということで1stアルバムの兄弟作品と呼べる作品でありながらメロディ、サウンド共に成長の跡が見られる好作品に仕上がっています。
まずはジューシィフルーツの高木利夫が参加するなど生ドラムによる楽曲も増え楽曲の躍動感が増し、「アルタネイティヴ・サン」や「モーニング・ウォーター」といったいわゆるバンドサウンドを志向したライブ映えするような楽曲におけるリズムの重要性を再認識させられます。またシンセ担当のイノヤマランド勢を向こうに回して奮闘する海琳正道のギターワークが秀逸で、奔放なのか計算されているのかわからない独特なフレーズの数々で、キュートでチープな音色からメロトロン等を駆使した豪快なストリングス系サウンドなど多彩な音色で楽曲の色彩を加えるシンセに全く負けることのない個性を放っています。もちろんテクノ的ではなくてもニューウェーブではあるわけで、エフェクトを駆使した妙に存在感のある電気的な音色を多用することで「マスク」や「スイカの行進」のようなポップサイドとは対角線上にある不思議楽曲を引き立たせているように思えます。とはいえシンセに頼り過ぎない「生きた」演奏を行うことができるのがこのバンドの強みであって、3rdアルバム以降は、いろいろと試行錯誤の実験を繰り返しながら、こうしたバンド独自の個性と特徴を生かしたフリーミュージック系の楽曲へと徐々に移行していくことになります。
<Favorite Songs>
・「アルタネイティヴ・サン」
フリーキーなサックスが後の即興ミュージックに傾倒する彼らを垣間見せる激しめのオープニングナンバー。間奏の荘厳なメロトロンの響き、そしてサビの即興ボイスでテンションは上がりっ放しです。
・「モーニング・ウォーター」
ディストーションの効いたカッティングギターがイメージを覆すいかにもロック調な楽曲。Bメロで16ビートに変化する部分などに勢いを感じます。その粗さの残るサウンドにはテクノはほとんど感じさせません。
・「ふやけた■■」
リングモジュレートされた金属的な音色のイントロが印象的なアップテンポチューン。なんといってもBメロが秀逸で、サビ前にポルタメントで上がっていくフレーズが素晴らしいです。この部分があってこそ奇妙なボイス変調による「■■~♪」が活きてくるわけです。
<評点>
・サウンド ★★ (魅力とも言えるがサウンドの輪郭は非常に粗さが目立つ)
・メロディ ★ (基本はPOPSを目指しているが奇妙な個性が先走る)
・リズム ★ (生ドラムの導入で勢いは増すが時代もあって至って安い)
・曲構成 ★ (楽曲が短いのでコンパクトではあるが物足りなさも)
・個性 ★★ (1stのインパクトがあるので2度目は余り驚かれないかも)
総合評点: 6点
ヒカシュー

<members>
巻上公一:vocal・bass・cornet
海琳正道:guitar・12strings guitar・electric sitar・vocal
戸辺哲:sax・prepared guitar・vocal
井上誠:synthesizers・Mellotron・piano・Hammond
山下康: synthesizers・rhythm box・celesta・piano・timpani
1.「アルタネイティヴ・サン」 詞・曲:巻上公一 編:ヒカシュー
2.「不思議のマーチ」 詞・曲:巻上公一 編:ヒカシュー
3.「パイク」 詞:巻上公一 曲:山下康 編:ヒカシュー
4.「イルカは笑う」 詞:巻上公一 曲:海琳正道 編:ヒカシュー
5.「モーニング・ウォーター」 詞:巻上公一 曲:戸辺哲 編:ヒカシュー
6.「謎の呪文」 詞:巻上公一 曲:海琳正道 編:ヒカシュー
7.「オアシスの夢」 詞:巻上公一 曲:海琳正道・巻上公一 編:ヒカシュー
8.「マスク」 詞:巻上公一 曲:井上誠 編:ヒカシュー
9.「ふやけた■■」 詞:巻上公一 曲:海琳正道 編:ヒカシュー
10.「スイカの行進」 詞:巻上公一 曲:戸辺哲 編:ヒカシュー
11.「ビノ・パイク」 曲:山下康 編:ヒカシュー
12.「瞳の歌」 詞:巻上公一 曲:海琳正道 編:ヒカシュー
<support musician>
高木利夫:drums
produced by 近田春夫・加藤和彦
engineered by 渡辺喜久
● デビュー作より間髪入れずリリースされ底力と勢いに満ちる初期のスタイルが確立された2ndアルバム
デビュー当初はテクノポップ御三家という範疇でくくられることが多かったヒカシューは、シンセサイザーやリズムボックスを使用していたもののそれはサウンドへの味つけの1つの手法に過ぎないものであり、演劇がかった個性的なパフォーマンスや奇妙なフレーズを生み出すセンスが突出していたという点では、ニューウェーブバンドと呼ぶことはできますがテクノポップと呼ぶには機械らしさや近未来的な部分が足りないように思えます(唯一それらしいのは「ビノ・パイク」くらい)。1980年リリースの1stアルバム「ヒカシュー」はシンセによるフレーズを主体にしつつもいなたいギターの主張も激しく、プラスチックスやP-MODELといった他の御三家連中と比べてテクノポップ特有の楽天的な明るさが足りなかったものの、彼らの個性的な音楽性の代名詞にはなった記念碑的作品でした。そして半年も待たずにリリースされた2ndアルバムの本作は、前作に引き続き近田春夫プロデュースということで1stアルバムの兄弟作品と呼べる作品でありながらメロディ、サウンド共に成長の跡が見られる好作品に仕上がっています。
まずはジューシィフルーツの高木利夫が参加するなど生ドラムによる楽曲も増え楽曲の躍動感が増し、「アルタネイティヴ・サン」や「モーニング・ウォーター」といったいわゆるバンドサウンドを志向したライブ映えするような楽曲におけるリズムの重要性を再認識させられます。またシンセ担当のイノヤマランド勢を向こうに回して奮闘する海琳正道のギターワークが秀逸で、奔放なのか計算されているのかわからない独特なフレーズの数々で、キュートでチープな音色からメロトロン等を駆使した豪快なストリングス系サウンドなど多彩な音色で楽曲の色彩を加えるシンセに全く負けることのない個性を放っています。もちろんテクノ的ではなくてもニューウェーブではあるわけで、エフェクトを駆使した妙に存在感のある電気的な音色を多用することで「マスク」や「スイカの行進」のようなポップサイドとは対角線上にある不思議楽曲を引き立たせているように思えます。とはいえシンセに頼り過ぎない「生きた」演奏を行うことができるのがこのバンドの強みであって、3rdアルバム以降は、いろいろと試行錯誤の実験を繰り返しながら、こうしたバンド独自の個性と特徴を生かしたフリーミュージック系の楽曲へと徐々に移行していくことになります。
<Favorite Songs>
・「アルタネイティヴ・サン」
フリーキーなサックスが後の即興ミュージックに傾倒する彼らを垣間見せる激しめのオープニングナンバー。間奏の荘厳なメロトロンの響き、そしてサビの即興ボイスでテンションは上がりっ放しです。
・「モーニング・ウォーター」
ディストーションの効いたカッティングギターがイメージを覆すいかにもロック調な楽曲。Bメロで16ビートに変化する部分などに勢いを感じます。その粗さの残るサウンドにはテクノはほとんど感じさせません。
・「ふやけた■■」
リングモジュレートされた金属的な音色のイントロが印象的なアップテンポチューン。なんといってもBメロが秀逸で、サビ前にポルタメントで上がっていくフレーズが素晴らしいです。この部分があってこそ奇妙なボイス変調による「■■~♪」が活きてくるわけです。
<評点>
・サウンド ★★ (魅力とも言えるがサウンドの輪郭は非常に粗さが目立つ)
・メロディ ★ (基本はPOPSを目指しているが奇妙な個性が先走る)
・リズム ★ (生ドラムの導入で勢いは増すが時代もあって至って安い)
・曲構成 ★ (楽曲が短いのでコンパクトではあるが物足りなさも)
・個性 ★★ (1stのインパクトがあるので2度目は余り驚かれないかも)
総合評点: 6点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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