「時空の水」 平沢進
「時空の水」(1989 ポリドール)
平沢進:vocal・guitar・all instruments

1.「ハルディン・ホテル」 詞・曲・編:平沢進
2.「魂のふる里」 詞・曲:平沢進 編:平沢進・三宅純
3.「コヨーテ」 詞・曲・編:平沢進
4.「ソーラ・レイ」 詞・曲・編:平沢進
5.「仕事場はタブー」 詞・曲・編:平沢進
6.「デューン」 詞・曲・編:平沢進
7.「フローズン・ビーチ」 詞・曲・編:平沢進
8.「時空の水」 曲・編:平沢進
9.「スケルトン・コースト公園」 詞・曲・編:平沢進
10.「金星」 詞・曲・編:平沢進
<support musician>
原田ヒロシ:"Minyo" styled vocal
今堀恒雄:bass
友田真吾:drums・percussions
松本かよ:acoustic piano
吉沢実:krumme horn
金子飛鳥's Section:strings
秋元一秀:chorus
有島"神尾"明朗:chorus
ケラ:chorus・voice
戸川純:chorus
古川正弘:chorus
蒔苗ヒサユキ:chorus
Ozonotech computer:DUNE voice
Michael Saturnus:synthesizer programming
三宅純:strings arrangement
produced by 平沢進
engineered by 近藤祥昭
● 多彩なギミックを組み合わせつつ奇妙なフレーズを生み出す変則ギターが大活躍するソロデビュー作
1988年アルバム「Monster」の制作が暗礁に乗り上げたP-MODELを凍結させる決断をした平沢進は、すぐにソロ活動を開始、翌年にはソロデビューとなる本作をリリースします。もちろんソロとして活動するわけでP-MODELのような作り込まれたニューウェーブなサウンドとは異なり、ここでは音楽の幅を広げ無国籍かつバラエティに富んだ作風で、平沢自身のポテンシャルを感じさせる期待に満ちた作品になっています。P-MODELでは抑えられていた壮大な世界感を持つミディアムチューンや、アコースティック楽器を多用したアプローチなど、バンドとの差別化を必要以上に意識したかのような楽曲群は、ソロとしての活動指針をまだ探している最中であるからこそ手掛けられた迷いの産物と言えるのかもしれません。実際はそうでないのかもしれませんが、聴き手としてはそう感じられる部分もあるのです。
しかしそれによってクオリティが低下するということは全くありません。ソロ活動のスタートを飾る「ハルディン・ホテル」はなんと軍楽隊サウンドが施され、続く「魂のふる里」やタイトル曲のインスト「時空の水」では滑らかなストリングスやアコースティックギターと伸びきったヴォーカルでニューエイジミュージックのような癒し空間を演出するなど、P-MODEL時代の斜に構えた部分を極力排除した素直な楽曲が続きます。と思いきや「ソーラ・レイ」「仕事場はタブー」では変態ギターが炸裂するなどプログレ魂を見せたと思えば、「スケルトン・コースト公園」では民謡に接近、「金星」ではギター弾き語りと、そのバラエティの多彩さとそれぞれに作り込まれた真摯な姿勢は、このデビュー作が彼の作品の中でも1、2を争うのではないかと思います。ソロ作品をリリースするにしたがってエレクトリックなサウンドにシフトしていく平沢ですが、本作では超絶技巧なギターフレーズが楽しめるだけでも非常に価値があり、その多彩な楽曲からも彼の才能を再発見できる好作品と言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「ハルディン・ホテル」
軍楽隊アレンジで聴き手の度肝を抜いたオープニングナンバー。極端に上下する特徴的なメロディラインは平沢の専売特許と言えます。間奏のバグパイプな音色もこの初期ソロならではのサウンドです。
・「ソーラ・レイ」
イントロから目まぐるしく切り替わるキテレツフレーズが楽しめるストレンジな楽曲。落ち着いた歌唱法のAメロから場面が変わるBメロのフレーズが特に秀逸で、このメロディはなかなか考えつかないのではないでしょうか。
・「仕事場はタブー」
気持ち悪いメロディと奇妙で不安を煽るフレーズが光る本作きっての名曲。平沢特有のヨーデル奏法といわれる手がつりそうな名フレーズが、戸川純のヨーデルと重なってやはり凄みを感じます。そして間奏のトランペット音色のシンセソロはテンションがいやがおうでも上がります。
<評点>
・サウンド ★★ (思ったほどギターが目立ちテクノ度はそれほど感じない)
・メロディ ★★ (聴かせるメロもあるがやはり不安げなメロが最も得意か)
・リズム ★ (打ち込みリズムの楽曲はやはりチープさが否めない)
・曲構成 ★★ (地味めの楽曲も多いもののトータル的に格差はない)
・個性 ★★ (ソロとしてこの音楽性でやっていくかは判断しきれない)
総合評点: 7点
平沢進:vocal・guitar・all instruments

1.「ハルディン・ホテル」 詞・曲・編:平沢進
2.「魂のふる里」 詞・曲:平沢進 編:平沢進・三宅純
3.「コヨーテ」 詞・曲・編:平沢進
4.「ソーラ・レイ」 詞・曲・編:平沢進
5.「仕事場はタブー」 詞・曲・編:平沢進
6.「デューン」 詞・曲・編:平沢進
7.「フローズン・ビーチ」 詞・曲・編:平沢進
8.「時空の水」 曲・編:平沢進
9.「スケルトン・コースト公園」 詞・曲・編:平沢進
10.「金星」 詞・曲・編:平沢進
<support musician>
原田ヒロシ:"Minyo" styled vocal
今堀恒雄:bass
友田真吾:drums・percussions
松本かよ:acoustic piano
吉沢実:krumme horn
金子飛鳥's Section:strings
秋元一秀:chorus
有島"神尾"明朗:chorus
ケラ:chorus・voice
戸川純:chorus
古川正弘:chorus
蒔苗ヒサユキ:chorus
Ozonotech computer:DUNE voice
Michael Saturnus:synthesizer programming
三宅純:strings arrangement
produced by 平沢進
engineered by 近藤祥昭
● 多彩なギミックを組み合わせつつ奇妙なフレーズを生み出す変則ギターが大活躍するソロデビュー作
1988年アルバム「Monster」の制作が暗礁に乗り上げたP-MODELを凍結させる決断をした平沢進は、すぐにソロ活動を開始、翌年にはソロデビューとなる本作をリリースします。もちろんソロとして活動するわけでP-MODELのような作り込まれたニューウェーブなサウンドとは異なり、ここでは音楽の幅を広げ無国籍かつバラエティに富んだ作風で、平沢自身のポテンシャルを感じさせる期待に満ちた作品になっています。P-MODELでは抑えられていた壮大な世界感を持つミディアムチューンや、アコースティック楽器を多用したアプローチなど、バンドとの差別化を必要以上に意識したかのような楽曲群は、ソロとしての活動指針をまだ探している最中であるからこそ手掛けられた迷いの産物と言えるのかもしれません。実際はそうでないのかもしれませんが、聴き手としてはそう感じられる部分もあるのです。
しかしそれによってクオリティが低下するということは全くありません。ソロ活動のスタートを飾る「ハルディン・ホテル」はなんと軍楽隊サウンドが施され、続く「魂のふる里」やタイトル曲のインスト「時空の水」では滑らかなストリングスやアコースティックギターと伸びきったヴォーカルでニューエイジミュージックのような癒し空間を演出するなど、P-MODEL時代の斜に構えた部分を極力排除した素直な楽曲が続きます。と思いきや「ソーラ・レイ」「仕事場はタブー」では変態ギターが炸裂するなどプログレ魂を見せたと思えば、「スケルトン・コースト公園」では民謡に接近、「金星」ではギター弾き語りと、そのバラエティの多彩さとそれぞれに作り込まれた真摯な姿勢は、このデビュー作が彼の作品の中でも1、2を争うのではないかと思います。ソロ作品をリリースするにしたがってエレクトリックなサウンドにシフトしていく平沢ですが、本作では超絶技巧なギターフレーズが楽しめるだけでも非常に価値があり、その多彩な楽曲からも彼の才能を再発見できる好作品と言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「ハルディン・ホテル」
軍楽隊アレンジで聴き手の度肝を抜いたオープニングナンバー。極端に上下する特徴的なメロディラインは平沢の専売特許と言えます。間奏のバグパイプな音色もこの初期ソロならではのサウンドです。
・「ソーラ・レイ」
イントロから目まぐるしく切り替わるキテレツフレーズが楽しめるストレンジな楽曲。落ち着いた歌唱法のAメロから場面が変わるBメロのフレーズが特に秀逸で、このメロディはなかなか考えつかないのではないでしょうか。
・「仕事場はタブー」
気持ち悪いメロディと奇妙で不安を煽るフレーズが光る本作きっての名曲。平沢特有のヨーデル奏法といわれる手がつりそうな名フレーズが、戸川純のヨーデルと重なってやはり凄みを感じます。そして間奏のトランペット音色のシンセソロはテンションがいやがおうでも上がります。
<評点>
・サウンド ★★ (思ったほどギターが目立ちテクノ度はそれほど感じない)
・メロディ ★★ (聴かせるメロもあるがやはり不安げなメロが最も得意か)
・リズム ★ (打ち込みリズムの楽曲はやはりチープさが否めない)
・曲構成 ★★ (地味めの楽曲も多いもののトータル的に格差はない)
・個性 ★★ (ソロとしてこの音楽性でやっていくかは判断しきれない)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
コメントの投稿
« 「つみきみほ」 つみきみほ l Home l 「THE POWER OF LOVE」 Captain Sensible »