「PARALLELISME」 越美晴
「PARALLELISME」 (1984 アルファ)
越美晴:vocal・keyboards・computer programming

1.「龍宮城の恋人」 詞・曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
2.「Capricious Salad」 詞:越美晴・児玉真澄 曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
3.「IMAGE」 詞・曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
4.「サン・タマンの森で」
詞:Barbara(訳詞:羽切美代子) 曲:Barbara 編:越美晴・細野晴臣
5.「メフィストフェレスを探せ!」 詞・曲:越美晴 編:川島裕二
6.「逃亡者」 詞・曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
7.「パラレリズム」 詞・曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
8.「Decadence120」 詞・曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
9.「薔薇の夜会~あるいは甘い蜜の戒め」 詞・曲:越美晴 編:川島裕二
<support musician>
RA:guitar
岡野ハジメ:bass
川島裕二:synthesizer
細野晴臣:keyboards・computer programming・chorus
松武秀樹:computer programming
produced by 細野晴臣
mixing engineered by 寺田康彦・細野晴臣
recording engineered by 寺田康彦
● 細野流テクノポップの完成!前作の絵エレガントなエレクトリック路線を過激に推し進めたテクノ歌姫の名盤
ニューミュージック系歌謡曲において期待の若手シンガーソングライターであった越美晴が、細野晴臣との出会いによって急激なテクノポップ志向へと転向し、一躍テクノの歌姫として物議を醸しながらも注目を浴びた前作「TU TU」から1年、彼女は引き続き細野との共同作業による耽美的テクノポップサウンドの確立を目指し本作をリリースします。前作ではニューミュージック時代の残り香漂うメロディラインが無意識に表出していた楽曲が目立っていましたが、本作ではメロディセンスはそのままに、よりサウンド志向が目立つようになり、プログラミングはより緻密に且つスピード感あふれるシーケンスの占める割合が多くなり、あくまで機械的にこだわる打ち込みサウンドのキレは楽曲のクオリティとして最高潮に達していると言っても過言ではなく、ガールズ(テクノロジー)ポップの歴史においても、一時代を築いた名盤と語り継ぎたい作品です。
YMO散開直後の細野との共同作業ということもあって、ほぼ全編シンセサウンドで占められる楽曲群はアナログシンセ中心ながら時代の流れもあってメタリックな質感も感じさせますが、「サン・タマンの森で」や「逃亡者」といったバラードを除けば、とにかく金属的な響きが耽美的なシンセ音色とそれを利用した打ち込みシーケンスやジャストなリズムを刻むリズムマシンが大活躍する、一大テクノサウンド博覧会の様相を呈しています。また秀逸なのは細野以外に勢い十分な「メフィストフェレスを探せ!」や妖艶なニューウェーブ「薔薇の夜会~あるいは甘い蜜の戒め」のアレンジを担当したBANANAこと川島裕二の若さならではのパワーとシンセサウンドへのこだわりが感じられるサウンドメイクです。太田裕美や井上陽水、原マスミなどでPOPSの範疇の中でエレクトリックで前衛的なサウンドによるアレンジを手掛けていたBANANAだけあり、非常に勢いのある怖いもの知らずのサウンドを聴かせてくれます。川島アレンジ曲には、ギターのRAやベースの岡野ハジメ(PINK)などセンスとテクニックを併せ持った若手プレイヤーも参加しその力量を発揮していますが、貫禄の細野仕事に負けず劣らないクオリティで本作の価値を十二分に高めています。本作でテクノサウンドとしての頂点を極めた彼女は、その後徐々にクラシカルなアプローチが中心になっていますが、前作と本作の思い切った方向転換が現在もなお音楽界で活躍する彼女の基盤となっていることには間違いありません。
<Favorite Songs>
・「龍宮城の恋人」
均等に刻むシーケンスと多彩なシンセ音色が光るオープニングナンバー。リズムトラック以外は全編シンセサウンドで占める潔さと、人形然とした人間味のない高音ヴォーカルはまさにテクノそのものです。それでいてサビでは泣きのフレーズを垣間見せるなどソツがありません。
・「Capricious Salad」
不思議な音色のイントロが妖しさを表現した本作の耽美テクノを象徴する楽曲。シンプルなプログラミングながら随所で光るメタリックな音色のフレーズが入ってくるタイミングは気持ちいいくらいです。またこの楽曲はBメロが印象的でCパートに入るまでの高音に推移していくフレーズが秀逸です。
・「メフィストフェレスを探せ!」
川島裕二(BANANA)の若さ溢れるアレンジが堪能できるニューウェーブチューン。抜群のキレを持つシンセとゴリゴリのベースフレーズ、やり過ぎとも言える間奏部分など、細野に負けず劣らずエネルギッシュなシンセアレンジに仕上げています。
<評点>
・サウンド ★★★★★ (プログラミングされた緻密なシンセを存分に堪能)
・メロディ ★★★★ (明らかにサウンド志向ながらこの聴きやすさは越の才能)
・リズム ★★★★ (複雑な打ち込みがほぼ全体を占めるリズムトラック)
・曲構成 ★★★★★ (ノリが良く攻撃的な楽曲も多く楽曲による隙は全くない)
・個性 ★★★★★ (最後まで世界観が全く崩れず自身に満ちあふれている)
総合評点: 10点
越美晴:vocal・keyboards・computer programming

1.「龍宮城の恋人」 詞・曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
2.「Capricious Salad」 詞:越美晴・児玉真澄 曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
3.「IMAGE」 詞・曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
4.「サン・タマンの森で」
詞:Barbara(訳詞:羽切美代子) 曲:Barbara 編:越美晴・細野晴臣
5.「メフィストフェレスを探せ!」 詞・曲:越美晴 編:川島裕二
6.「逃亡者」 詞・曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
7.「パラレリズム」 詞・曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
8.「Decadence120」 詞・曲:越美晴 編:越美晴・細野晴臣
9.「薔薇の夜会~あるいは甘い蜜の戒め」 詞・曲:越美晴 編:川島裕二
<support musician>
RA:guitar
岡野ハジメ:bass
川島裕二:synthesizer
細野晴臣:keyboards・computer programming・chorus
松武秀樹:computer programming
produced by 細野晴臣
mixing engineered by 寺田康彦・細野晴臣
recording engineered by 寺田康彦
● 細野流テクノポップの完成!前作の絵エレガントなエレクトリック路線を過激に推し進めたテクノ歌姫の名盤
ニューミュージック系歌謡曲において期待の若手シンガーソングライターであった越美晴が、細野晴臣との出会いによって急激なテクノポップ志向へと転向し、一躍テクノの歌姫として物議を醸しながらも注目を浴びた前作「TU TU」から1年、彼女は引き続き細野との共同作業による耽美的テクノポップサウンドの確立を目指し本作をリリースします。前作ではニューミュージック時代の残り香漂うメロディラインが無意識に表出していた楽曲が目立っていましたが、本作ではメロディセンスはそのままに、よりサウンド志向が目立つようになり、プログラミングはより緻密に且つスピード感あふれるシーケンスの占める割合が多くなり、あくまで機械的にこだわる打ち込みサウンドのキレは楽曲のクオリティとして最高潮に達していると言っても過言ではなく、ガールズ(テクノロジー)ポップの歴史においても、一時代を築いた名盤と語り継ぎたい作品です。
YMO散開直後の細野との共同作業ということもあって、ほぼ全編シンセサウンドで占められる楽曲群はアナログシンセ中心ながら時代の流れもあってメタリックな質感も感じさせますが、「サン・タマンの森で」や「逃亡者」といったバラードを除けば、とにかく金属的な響きが耽美的なシンセ音色とそれを利用した打ち込みシーケンスやジャストなリズムを刻むリズムマシンが大活躍する、一大テクノサウンド博覧会の様相を呈しています。また秀逸なのは細野以外に勢い十分な「メフィストフェレスを探せ!」や妖艶なニューウェーブ「薔薇の夜会~あるいは甘い蜜の戒め」のアレンジを担当したBANANAこと川島裕二の若さならではのパワーとシンセサウンドへのこだわりが感じられるサウンドメイクです。太田裕美や井上陽水、原マスミなどでPOPSの範疇の中でエレクトリックで前衛的なサウンドによるアレンジを手掛けていたBANANAだけあり、非常に勢いのある怖いもの知らずのサウンドを聴かせてくれます。川島アレンジ曲には、ギターのRAやベースの岡野ハジメ(PINK)などセンスとテクニックを併せ持った若手プレイヤーも参加しその力量を発揮していますが、貫禄の細野仕事に負けず劣らないクオリティで本作の価値を十二分に高めています。本作でテクノサウンドとしての頂点を極めた彼女は、その後徐々にクラシカルなアプローチが中心になっていますが、前作と本作の思い切った方向転換が現在もなお音楽界で活躍する彼女の基盤となっていることには間違いありません。
<Favorite Songs>
・「龍宮城の恋人」
均等に刻むシーケンスと多彩なシンセ音色が光るオープニングナンバー。リズムトラック以外は全編シンセサウンドで占める潔さと、人形然とした人間味のない高音ヴォーカルはまさにテクノそのものです。それでいてサビでは泣きのフレーズを垣間見せるなどソツがありません。
・「Capricious Salad」
不思議な音色のイントロが妖しさを表現した本作の耽美テクノを象徴する楽曲。シンプルなプログラミングながら随所で光るメタリックな音色のフレーズが入ってくるタイミングは気持ちいいくらいです。またこの楽曲はBメロが印象的でCパートに入るまでの高音に推移していくフレーズが秀逸です。
・「メフィストフェレスを探せ!」
川島裕二(BANANA)の若さ溢れるアレンジが堪能できるニューウェーブチューン。抜群のキレを持つシンセとゴリゴリのベースフレーズ、やり過ぎとも言える間奏部分など、細野に負けず劣らずエネルギッシュなシンセアレンジに仕上げています。
<評点>
・サウンド ★★★★★ (プログラミングされた緻密なシンセを存分に堪能)
・メロディ ★★★★ (明らかにサウンド志向ながらこの聴きやすさは越の才能)
・リズム ★★★★ (複雑な打ち込みがほぼ全体を占めるリズムトラック)
・曲構成 ★★★★★ (ノリが良く攻撃的な楽曲も多く楽曲による隙は全くない)
・個性 ★★★★★ (最後まで世界観が全く崩れず自身に満ちあふれている)
総合評点: 10点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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