「SO RED THE ROSE」 ARCADIA
「SO RED THE ROSE」(1985 EMI)
ARCADIA

<members>
Roger Taylor:drums
Nick Rhodes:keyboards
Simon Le Bon:vocals
1.「Election Day」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
2.「Keep Me In The Dark」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
3.「Goodbye Is Forever」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
4.「The Flame」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
5.「Missing」 Nick Rhodes/Simon Le Bon
6.「Rose Arcana」 Nick Rhodes/Simon Le Bon
7.「The Promise」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
8.「El Diablo」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
9.「Lady Ice」 Nick Rhodes/Simon Le Bon
<support musician>
Sting:vocals
Carlos Alomar:guitars
David Gilmour:guitars
土屋昌巳:guitars
Mark Egan:bass
Steve Jordan:drums
Herbie Hancock:keyboards
David Van Tieghem:percussion
Rafael De Jesus:percussion
Andy Mackay:sax
Pierre Defay:violin
Gabriel Bindi:instruments
Jean Claude Dubois:instruments
produced by Alex Sadkin・Arcadia
mixing engineered by Alex Sadkin・Ron Saint Germain・Francois Kevorkian・Larry Alexander・Jay Mark
recording engineered by Larry Alexander
● DURAN DURANの音楽性により妖しさを追求!多彩なゲストを迎えた最後のニューロマ名盤
80年代の幕開けにニューロマンティクスムーブメントの中でその洗練されたヴィジュアルにより一気にスターダムにのし上がった世界的人気バンドであるDURAN DURANは、その凄まじい人気と共に8年代前半を駆け抜けていきましたが、ブームが一段落した80年代半ばになって行ったんグループを離れて各々の音楽性を追求するために2つのユニットに分かれて活動することになります。片方はJohn TaylorとAndy Taylorの弦楽器勢がRobert Palmerらと結成した強烈なリズムが印象的なThe Power Station、そして残ったSimon Le BonとRoger Taylor、Nick Rhodesの3人が結成したのが、みずからのロマンティシズムルーツの再確認とサウンド面においてさらなる深淵化を目指した最後(とおぼしき)のニューロマユニットARCADIAです。これまでニューウェーブ直系の音楽性とノーマライズされたUKロックの狭間に揺れていたDURAN DURANのサウンドを牽引してきたキーボードのNick Rhodesが、自身の音楽性を無制限に開放したこのユニットは、シングル「Election Day」が米英で大ヒットしたもののそのマニアックで耽美な音楽性は一般的には受け入れられず、唯一のアルバムである本作は商業的には成功とは言えないものでした。
DURAN DURANをはじめThompson Twinsなどを手掛けた名プロデューサーAlex Sadkinをプロデューサーに迎えた本作は、多彩で豪華なゲストプレイヤーが参加したことでも有名です。StingやHerbie Hancockといった著名なアーティストをはじめ、Pink FloydのDavid GilmourやRoxy MusicのAndy Mackay、前衛パーカッショニストDavid Van TieghemやJAPANのサポートとしての活動がUKにおいて認められた日本代表の土屋昌巳など、多方面から選りすぐられたアーティストが参加したお祭り的な作品となっていますが、サウンド面ではしっかりNick Roseがイニシアチブをとっており、緻密で神経質なその音づくりとフレーズ構成は彼の音楽的才能がDURAN DURANとしての活動時よりも遺憾なく発揮されていることがわかります。ところでどうしても比較されるThe Power Stationはその強力なドラム音色で後世にインパクトを残していますが、実はこのARCADIAも性質は違えどもリズム音色にはこだわりを見せており、文字通りパワフルな前者に比べて、非常に洗練されているものの特に音の「キレ」という面では負けず劣らないものがあると思います。ただの音色では終わらない効果音的な不思議フレーズを随所に織り交ぜながらマニアックに展開するARCADIAのこの作品は、ニューロマ最後の徒花として、そして洗練された80'sサウンドの象徴としても記憶に残すべき名盤と言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「Election Day」
大ヒットシングルだけあって80年代的わかりやすいメロディと分離のよいリズム&シンセフレーズの完成度が高い楽曲。音色にかなり凝りまくったDURAN DURANといったサウンドで(まさに本人達なので仕方ありませんが)、強烈なシンセブラスと大げさにエフェクトが施されたリズム音色がよいアクセントになっています。
・「Goodbye Is Forever」
ゆったりながらキレの良いドラムとシンプルであるがゆえに印象に残りやすいシンセフレーズが魅力の楽曲。The Power Stationほどの攻撃性は感じられないリズムですが、確実に打ち込むような真摯なリズムメイキングはもっと評価すべきであると思います。
・「The Flame」
アヴァンギャルドなパーカッションも凝りまくったリズムワークを見せる楽曲。その緻密なサウンドメイクに彼らならではの情熱的なメロディが乗る構成には高いテンションを感じます。
<評点>
・サウンド ★★★ (音色面に凝りまくったSE的フレーズをこれでもかと連発)
・メロディ ★ (DURAN DURAN的メロディがマニアック化したような)
・リズム ★★★ (別動グループと比較されつつも音色のこだわりは見せる)
・曲構成 ★ (後半に間延びした楽曲が並んでしまうところに趣味性が)
・個性 ★★ (多彩なゲストを迎えたにしては作品自体は地味の域を出ない)
総合評点: 7点
ARCADIA

<members>
Roger Taylor:drums
Nick Rhodes:keyboards
Simon Le Bon:vocals
1.「Election Day」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
2.「Keep Me In The Dark」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
3.「Goodbye Is Forever」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
4.「The Flame」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
5.「Missing」 Nick Rhodes/Simon Le Bon
6.「Rose Arcana」 Nick Rhodes/Simon Le Bon
7.「The Promise」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
8.「El Diablo」 Roger Taylor/Nick Rhodes/Simon Le Bon
9.「Lady Ice」 Nick Rhodes/Simon Le Bon
<support musician>
Sting:vocals
Carlos Alomar:guitars
David Gilmour:guitars
土屋昌巳:guitars
Mark Egan:bass
Steve Jordan:drums
Herbie Hancock:keyboards
David Van Tieghem:percussion
Rafael De Jesus:percussion
Andy Mackay:sax
Pierre Defay:violin
Gabriel Bindi:instruments
Jean Claude Dubois:instruments
produced by Alex Sadkin・Arcadia
mixing engineered by Alex Sadkin・Ron Saint Germain・Francois Kevorkian・Larry Alexander・Jay Mark
recording engineered by Larry Alexander
● DURAN DURANの音楽性により妖しさを追求!多彩なゲストを迎えた最後のニューロマ名盤
80年代の幕開けにニューロマンティクスムーブメントの中でその洗練されたヴィジュアルにより一気にスターダムにのし上がった世界的人気バンドであるDURAN DURANは、その凄まじい人気と共に8年代前半を駆け抜けていきましたが、ブームが一段落した80年代半ばになって行ったんグループを離れて各々の音楽性を追求するために2つのユニットに分かれて活動することになります。片方はJohn TaylorとAndy Taylorの弦楽器勢がRobert Palmerらと結成した強烈なリズムが印象的なThe Power Station、そして残ったSimon Le BonとRoger Taylor、Nick Rhodesの3人が結成したのが、みずからのロマンティシズムルーツの再確認とサウンド面においてさらなる深淵化を目指した最後(とおぼしき)のニューロマユニットARCADIAです。これまでニューウェーブ直系の音楽性とノーマライズされたUKロックの狭間に揺れていたDURAN DURANのサウンドを牽引してきたキーボードのNick Rhodesが、自身の音楽性を無制限に開放したこのユニットは、シングル「Election Day」が米英で大ヒットしたもののそのマニアックで耽美な音楽性は一般的には受け入れられず、唯一のアルバムである本作は商業的には成功とは言えないものでした。
DURAN DURANをはじめThompson Twinsなどを手掛けた名プロデューサーAlex Sadkinをプロデューサーに迎えた本作は、多彩で豪華なゲストプレイヤーが参加したことでも有名です。StingやHerbie Hancockといった著名なアーティストをはじめ、Pink FloydのDavid GilmourやRoxy MusicのAndy Mackay、前衛パーカッショニストDavid Van TieghemやJAPANのサポートとしての活動がUKにおいて認められた日本代表の土屋昌巳など、多方面から選りすぐられたアーティストが参加したお祭り的な作品となっていますが、サウンド面ではしっかりNick Roseがイニシアチブをとっており、緻密で神経質なその音づくりとフレーズ構成は彼の音楽的才能がDURAN DURANとしての活動時よりも遺憾なく発揮されていることがわかります。ところでどうしても比較されるThe Power Stationはその強力なドラム音色で後世にインパクトを残していますが、実はこのARCADIAも性質は違えどもリズム音色にはこだわりを見せており、文字通りパワフルな前者に比べて、非常に洗練されているものの特に音の「キレ」という面では負けず劣らないものがあると思います。ただの音色では終わらない効果音的な不思議フレーズを随所に織り交ぜながらマニアックに展開するARCADIAのこの作品は、ニューロマ最後の徒花として、そして洗練された80'sサウンドの象徴としても記憶に残すべき名盤と言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「Election Day」
大ヒットシングルだけあって80年代的わかりやすいメロディと分離のよいリズム&シンセフレーズの完成度が高い楽曲。音色にかなり凝りまくったDURAN DURANといったサウンドで(まさに本人達なので仕方ありませんが)、強烈なシンセブラスと大げさにエフェクトが施されたリズム音色がよいアクセントになっています。
・「Goodbye Is Forever」
ゆったりながらキレの良いドラムとシンプルであるがゆえに印象に残りやすいシンセフレーズが魅力の楽曲。The Power Stationほどの攻撃性は感じられないリズムですが、確実に打ち込むような真摯なリズムメイキングはもっと評価すべきであると思います。
・「The Flame」
アヴァンギャルドなパーカッションも凝りまくったリズムワークを見せる楽曲。その緻密なサウンドメイクに彼らならではの情熱的なメロディが乗る構成には高いテンションを感じます。
<評点>
・サウンド ★★★ (音色面に凝りまくったSE的フレーズをこれでもかと連発)
・メロディ ★ (DURAN DURAN的メロディがマニアック化したような)
・リズム ★★★ (別動グループと比較されつつも音色のこだわりは見せる)
・曲構成 ★ (後半に間延びした楽曲が並んでしまうところに趣味性が)
・個性 ★★ (多彩なゲストを迎えたにしては作品自体は地味の域を出ない)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
コメントの投稿
« 「Quit Dreaming And Get On The Beam」 Bill Nelson l Home l 「HEAT SCALE」 SUNSETZ »