「四月の魚 POISSON D'AVRIL」 高橋幸宏
「四月の魚 POISSON D'AVRIL」(1985 アルファ)
高橋幸宏:vocal・drums・keyboards etc

1.「四月の魚 POISSON D'AVRIL」 詞:高橋幸宏・Pierre Barouh 曲・編:高橋幸宏
2.「マリのテーマ」 曲・編:高橋幸宏
3.「CM SONG」 曲・編:高橋幸宏
4.「トイレの人のテーマ」 曲・編:高橋幸宏
5.「はやる心」 曲・編:高橋幸宏
6.「オーディナリー・デイ」 曲・編:高橋幸宏
7.「多分、南太平洋」 曲・編:高橋幸宏
8.「ブラン・ニュー・デイ」 詞:高橋幸宏・Peter Barakan 曲・編:高橋幸宏
9.「スピーク・イージー・クラブにて」 曲・編:高橋幸宏
10.「危うし!昌平」 曲・編:高橋幸宏
11.「不二子のテーマ」 曲・編:高橋幸宏
12.「メロ・ドラマ」 曲・編:高橋幸宏
13.「四月の魚(インストルメンタル)」 曲・編:高橋幸宏
<support musician>
Pierre Barouh:vocal
白井良明:guitar
細野晴臣:bass
上野耕路:acoustic piano・strings arrangement
produced by 高橋幸宏
mixing engineered by 高橋幸宏・田中信一
recording engineered by 田中信一・飯尾芳史
● 春の日射しを思わせる柔らかいシンセが心地よい本人主演映画のサウンドトラック
1984年YMO散開後の高橋幸宏は、その欧州エレクトロポップ感覚に磨きをかけテクノの残り香漂うアルバム「WILD & MOODY」をリリース、リズム音色に一層の質の高さを追求したこの作品は彼の健在ぶりをアピールするものでした。ソロとして音楽活動以外にも活動の幅を広げつつあった彼は、同年親交のあった大林宣彦監督作品映画「四月の魚」になんと主演男優として参加することになります。もちろん音楽家である彼は演技だけでなく音楽も全面的に担当することになるわけで、本作は彼自身が主演する映画のサウンドトラックとして翌85年にリリースされたものです。しかし本作はサントラという側面を忘れてしまうほど覚えやすく、それでいて高橋幸宏が持つロマンチシズムが滲み出た優雅でヨーロピアンセレブな印象の作品となっています。
特に映画はヨーロッパには関係なさそうなのですが、そこはおしゃれでダンディな高橋幸宏の真骨頂であり、決してただの劇伴では済ませません。思いっきりフレンチテイストを醸し出しながら(それもあくまで幸宏テイストは崩さず)、80年代中期特有の音色にこだわりが感じられるシンセサウンドで楽曲を彩っています。また映画の性格がラブコメということもあって、どちらかといえば肩の抜けたオプティミズムに溢れた楽曲も多く、この力の抜け具合も当時先鋭的なサウンドで日本のPOPS界を引っ張っていたと言える高橋にとって、よい気分転換になっていったのではないかと思われます。逆にこういった軽い気楽なサウンドが彼の本来の姿なのかもしれません。奇しくも彼がYMO時代から作品をリリースし続けてきたアルファレコード(YENレーベル)における最後の作品となってしまいましたが、最後ということで気を張らずにデザート感覚で楽しめる作品に仕上がっていると思います。そしてこの作品以降、彼はその先鋭的サウンドはそのままに日本の歌モノPOPSに急接近していくことになります。
<Favorite Songs>
・「四月の魚 POISSON D'AVRIL」
その名のとおり映画のメインテーマとなる主題歌。本映画のために作られたとは思えないほど高橋幸宏のヨーロピアン趣味が如実に表れたフレンチテクノポップです。サビではPierre Barouhとのフランス語デュオで聴かせてくれます。霧がかかったようなぼやけたシンセパッドとホルンのような音色のメインフレーズが心地良いです。
・「ブラン・ニュー・デイ」
お得意のヨーロピアンサウンドで雰囲気を盛り上げる映画挿入歌にあたるミディアムチューン。主題歌以上に幸宏サウンドはソロに近い印象を受ける楽曲で、特にAメロのロマンティック加減は彼にしか出すことのできないオシャレな感覚であると思います。
・「スピーク・イージー・クラブにて」
劇伴の1シーンとは思えないほどインスト楽曲として成立している楽曲。シンセベースを初めとしたシーケンスや穏やかなシンセパッド、そしてこれぞ十八番の幸宏ドラムが堪能できる、BGMにはもったいないファインチューンです。
<評点>
・サウンド ★★ (特に難しいことはしていないが丁寧な音づくり)
・メロディ ★ (コミカルさが目立つがメインフレーズはさすが)
・リズム ★★ (ソロ作品としては作品の性格上控えめなリズムに)
・曲構成 ★ (サントラの性格上統一感はあれど散漫になりがち)
・個性 ★★ (彼が劇伴を担当するだけで彼色に染めてしまう)
総合評点: 6点
高橋幸宏:vocal・drums・keyboards etc

1.「四月の魚 POISSON D'AVRIL」 詞:高橋幸宏・Pierre Barouh 曲・編:高橋幸宏
2.「マリのテーマ」 曲・編:高橋幸宏
3.「CM SONG」 曲・編:高橋幸宏
4.「トイレの人のテーマ」 曲・編:高橋幸宏
5.「はやる心」 曲・編:高橋幸宏
6.「オーディナリー・デイ」 曲・編:高橋幸宏
7.「多分、南太平洋」 曲・編:高橋幸宏
8.「ブラン・ニュー・デイ」 詞:高橋幸宏・Peter Barakan 曲・編:高橋幸宏
9.「スピーク・イージー・クラブにて」 曲・編:高橋幸宏
10.「危うし!昌平」 曲・編:高橋幸宏
11.「不二子のテーマ」 曲・編:高橋幸宏
12.「メロ・ドラマ」 曲・編:高橋幸宏
13.「四月の魚(インストルメンタル)」 曲・編:高橋幸宏
<support musician>
Pierre Barouh:vocal
白井良明:guitar
細野晴臣:bass
上野耕路:acoustic piano・strings arrangement
produced by 高橋幸宏
mixing engineered by 高橋幸宏・田中信一
recording engineered by 田中信一・飯尾芳史
● 春の日射しを思わせる柔らかいシンセが心地よい本人主演映画のサウンドトラック
1984年YMO散開後の高橋幸宏は、その欧州エレクトロポップ感覚に磨きをかけテクノの残り香漂うアルバム「WILD & MOODY」をリリース、リズム音色に一層の質の高さを追求したこの作品は彼の健在ぶりをアピールするものでした。ソロとして音楽活動以外にも活動の幅を広げつつあった彼は、同年親交のあった大林宣彦監督作品映画「四月の魚」になんと主演男優として参加することになります。もちろん音楽家である彼は演技だけでなく音楽も全面的に担当することになるわけで、本作は彼自身が主演する映画のサウンドトラックとして翌85年にリリースされたものです。しかし本作はサントラという側面を忘れてしまうほど覚えやすく、それでいて高橋幸宏が持つロマンチシズムが滲み出た優雅でヨーロピアンセレブな印象の作品となっています。
特に映画はヨーロッパには関係なさそうなのですが、そこはおしゃれでダンディな高橋幸宏の真骨頂であり、決してただの劇伴では済ませません。思いっきりフレンチテイストを醸し出しながら(それもあくまで幸宏テイストは崩さず)、80年代中期特有の音色にこだわりが感じられるシンセサウンドで楽曲を彩っています。また映画の性格がラブコメということもあって、どちらかといえば肩の抜けたオプティミズムに溢れた楽曲も多く、この力の抜け具合も当時先鋭的なサウンドで日本のPOPS界を引っ張っていたと言える高橋にとって、よい気分転換になっていったのではないかと思われます。逆にこういった軽い気楽なサウンドが彼の本来の姿なのかもしれません。奇しくも彼がYMO時代から作品をリリースし続けてきたアルファレコード(YENレーベル)における最後の作品となってしまいましたが、最後ということで気を張らずにデザート感覚で楽しめる作品に仕上がっていると思います。そしてこの作品以降、彼はその先鋭的サウンドはそのままに日本の歌モノPOPSに急接近していくことになります。
<Favorite Songs>
・「四月の魚 POISSON D'AVRIL」
その名のとおり映画のメインテーマとなる主題歌。本映画のために作られたとは思えないほど高橋幸宏のヨーロピアン趣味が如実に表れたフレンチテクノポップです。サビではPierre Barouhとのフランス語デュオで聴かせてくれます。霧がかかったようなぼやけたシンセパッドとホルンのような音色のメインフレーズが心地良いです。
・「ブラン・ニュー・デイ」
お得意のヨーロピアンサウンドで雰囲気を盛り上げる映画挿入歌にあたるミディアムチューン。主題歌以上に幸宏サウンドはソロに近い印象を受ける楽曲で、特にAメロのロマンティック加減は彼にしか出すことのできないオシャレな感覚であると思います。
・「スピーク・イージー・クラブにて」
劇伴の1シーンとは思えないほどインスト楽曲として成立している楽曲。シンセベースを初めとしたシーケンスや穏やかなシンセパッド、そしてこれぞ十八番の幸宏ドラムが堪能できる、BGMにはもったいないファインチューンです。
<評点>
・サウンド ★★ (特に難しいことはしていないが丁寧な音づくり)
・メロディ ★ (コミカルさが目立つがメインフレーズはさすが)
・リズム ★★ (ソロ作品としては作品の性格上控えめなリズムに)
・曲構成 ★ (サントラの性格上統一感はあれど散漫になりがち)
・個性 ★★ (彼が劇伴を担当するだけで彼色に染めてしまう)
総合評点: 6点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
観ました!
Re: 観ました!
80's manさん、こんばんは。
なんとワタシ、「四月の魚」を見ていないんです・・・。
それでサントラだけを聴いてレビューしているという。お恥ずかしい限りです。
完全に幸宏氏のソロアルバムとして聴いていたんです。
ピエール・バルー氏の「le pollen」はタイトル曲がやはりいいですよね。完全に幸宏節ですし。
やはり高橋幸宏プロデュースの楽曲というのは、彼の色が出過ぎですぐにわかってしまいますねw
「熱海殺人事件」といえばSandii & The Sunsetsの「Battery」が主題歌でしたよね。
あれも好きでした。PVの彼らの動きがテクノで。
なんとワタシ、「四月の魚」を見ていないんです・・・。
それでサントラだけを聴いてレビューしているという。お恥ずかしい限りです。
完全に幸宏氏のソロアルバムとして聴いていたんです。
ピエール・バルー氏の「le pollen」はタイトル曲がやはりいいですよね。完全に幸宏節ですし。
やはり高橋幸宏プロデュースの楽曲というのは、彼の色が出過ぎですぐにわかってしまいますねw
「熱海殺人事件」といえばSandii & The Sunsetsの「Battery」が主題歌でしたよね。
あれも好きでした。PVの彼らの動きがテクノで。
No title
“四月の魚”は幸宏ファンとしては、なかなかに楽しめる作品でしたが、
悲しいことに、DVD化もされていないようです。
“le pollen”名曲です。さすがreryoさん趣味が良いですね。
おまけにこのナンバー、S.E.でDavid Sylvianも参加しているのが、
当時のニューウェーブ青少年には感涙モノです!
p.s.
“熱海殺人事件”の主題歌がSandii & The Sunsetsだったとは知りませんでした。
今度、探して聴いてみます。
悲しいことに、DVD化もされていないようです。
“le pollen”名曲です。さすがreryoさん趣味が良いですね。
おまけにこのナンバー、S.E.でDavid Sylvianも参加しているのが、
当時のニューウェーブ青少年には感涙モノです!
p.s.
“熱海殺人事件”の主題歌がSandii & The Sunsetsだったとは知りませんでした。
今度、探して聴いてみます。
コメントの投稿
高橋幸宏の“四月の魚”ですか…大学生のときに、映画館まで観に行きましたよ~♪
(なぜか併映はつかこうへいの“熱海殺人事件”でした)
幸宏氏は料理が趣味の売れない映画監督という役柄で、演技の上手い下手は別にして彼のナイーブで都会的な雰囲気がピッタリはまっていた印象があります。
さてサントラですが、やっぱり主題歌の“POISSON D'AVRIL”が最高におしゃれで良かったですね。まさに、幸宏流ポップスの傑作として今後も聴き継がれるべき一曲だと思います。
それから、ここで共演しているピエール・バルーと言えば82年の“le pollen”も名作だと思いますが、如何でしょうか?