「FAN THE FLAME (PART I)」 DEAD OR ALIVE
「FAN THE FLAME (PART I)」(1990 CBS)
DEAD OR ALIVE
<members>
Pete Burns:vocals
Steve Coy:keyboards・percussion
1.「YOUR SWEETNESS (IS YOUR WEAKNESS)」
Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
2.「UNHAPPY BIRTHDAY」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
3.「GONE 2 LONG」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
4.「TOTAL STRANGER」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
5.「LUCKY DAY」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
6.「WHAT HAVE U DONE (2 MAKE ME CHANGE)」
Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
7.「AND THEN I MET U」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
8.「BLUE CHRISTMAS」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
<support musician>
London Beat:backing vocals
Tracy Ackerman:backing vocals
The London Community Gospel Choir:additional backing vocals
produced by DEAD OR ALIVE
co-produced by Tim Weidner
engineered by Tim Weidner
● ユーロビートの寵児が70'sディスコに回帰!爽やかな旋律とハウスのリズムが心地よい隠れた名盤
1984年、デジタルなシーケンスによるダンサブルPOPS、いわゆるユーロビートの隆盛の礎となった名曲「You spin me round」で一躍スターダムにのし上がったPete Burns率いるDEAD OR ALIVEは、「Youthquake」「Mad, Bad, and Dangerous to Know」といったオリジナルアルバムがStock Aitken Watermanのプロデュース力も相まって大ヒット、セルフプロデュースとなった88年の「Nude」でも完成された貫禄のユーロビートを見せつけ、80年代を全力疾走して駆け抜けていきました。しかしユーロビートも下火となり、テクノやハウスといった新たなクラブカルチャーが芽吹き始めた80年代末から90年代にかけて、さすがのDEAD OR ALIVEも方向転換を余儀なくされてしまいます。そのような中生まれたアルバムが本作で、これまでの攻撃的かつハイテンションな高速シーケンスに基づいたユーロビートをかなぐり捨て、Pete Burnsの特徴のある美声とグルーヴの感じられるハウスリズムに乗った柔らかくヒューマンなトラックに乗った、「大人」のダンサブルPOPSに仕上がっています。
まず本作で驚かされるのは、攻撃的でとげとげしかった彼らの音楽性がやけに幸福感に満ちあふれているハッピーチューンに変身しているところです。「GONE 2 LONG」「TOTAL STRANGER」みたいなメジャー中のメジャー調の楽曲は今まででは考えられなかったでしょう。その変身によってもたらされたのは誰でも親しみやすい甘過ぎるポップなメロディラインで、本作ではそのサウンド面での変化よりもポップ性の変化の方が大きいと思います。過剰になり過ぎた打ち込みサウンドへの傾倒から70'sディスコのようなメロディアスダンスポップへの回帰という90年代に誰もが味わった傾向に彼らも例外なく沿っているということでしょう。またメロディとともに重要視されているのが「声」への執着が見られることです。ブラックミュージックに影響されたのか黒人特有の圧倒的なパワーとリズム感、ゴスペルを意識した壮大なコーラス等で軽くなりがちなダンスポップに重みを加えています(ラストにはなんとエレピ中心のバラードも)。結果的に非常に聴きやすく肌触りが良く仕上がった本作は、PART Iと冠されているように今後もシリーズ化していくかと思っていたのですが、結局こういった曲調は受け入れられなかったのか、その後の凋落の第一歩となってしまったのでした。
<Favorite Songs>
・「YOUR SWEETNESS (IS YOUR WEAKNESS)」
充実のコーラスとPete Burnsのヴォーカルに焦点を当てた新型DEAD OR ALIVEの象徴的楽曲。ハウス調リズムに情熱的なPete BurnsとTracy Ackermanのヴォーカルが絶妙過ぎます。そしてそれ以上に泣きの入ったメロディラインの美しさは今までの彼らにはなかった部分ではないでしょうか。
・「UNHAPPY BIRTHDAY」
前曲以上にハイテンションなエレクトロハウスビート。しかし底に存在するのは圧倒的なヴォーカル力と十二分に引き立てるゴスペルコーラス隊で、攻撃的ともいえる彼らのパワーがひしひしと感じられます。Bメロの哀愁のフレーズがサビを引き立てるという構成もよくできています。
・「TOTAL STRANGER」
もはや彼ららしからぬ可愛らしさすら感じさせるハッピーハウスチューン。こんなに優しくていいの?というくらいの明るく希望に満ちあふれたPOPSで全くイメージが思い浮かびません。後半に転調を見せますが甘ったるいフレーズがその転調によってさらに増幅されます。
<評点>
・サウンド ★★ (尖った部分が削られた優しく爽やかなシンセに)
・メロディ ★★★★ (格段に哀愁のメロディ構成力が上がった感がある)
・リズム ★★ (流行を敏感にとらえたハウス調のリズムトラック)
・曲構成 ★ (前半は飛ばすものの1曲の長さもあり後半中弛みも)
・個性 ★ (完全イメチェンを図ったが一般に受け入れられず)
総合評点: 7点
DEAD OR ALIVE
<members>
Pete Burns:vocals
Steve Coy:keyboards・percussion
1.「YOUR SWEETNESS (IS YOUR WEAKNESS)」
Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
2.「UNHAPPY BIRTHDAY」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
3.「GONE 2 LONG」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
4.「TOTAL STRANGER」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
5.「LUCKY DAY」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
6.「WHAT HAVE U DONE (2 MAKE ME CHANGE)」
Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
7.「AND THEN I MET U」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
8.「BLUE CHRISTMAS」 Pete Burns/Steve Coy/Peter Oxendale
<support musician>
London Beat:backing vocals
Tracy Ackerman:backing vocals
The London Community Gospel Choir:additional backing vocals
produced by DEAD OR ALIVE
co-produced by Tim Weidner
engineered by Tim Weidner
● ユーロビートの寵児が70'sディスコに回帰!爽やかな旋律とハウスのリズムが心地よい隠れた名盤
1984年、デジタルなシーケンスによるダンサブルPOPS、いわゆるユーロビートの隆盛の礎となった名曲「You spin me round」で一躍スターダムにのし上がったPete Burns率いるDEAD OR ALIVEは、「Youthquake」「Mad, Bad, and Dangerous to Know」といったオリジナルアルバムがStock Aitken Watermanのプロデュース力も相まって大ヒット、セルフプロデュースとなった88年の「Nude」でも完成された貫禄のユーロビートを見せつけ、80年代を全力疾走して駆け抜けていきました。しかしユーロビートも下火となり、テクノやハウスといった新たなクラブカルチャーが芽吹き始めた80年代末から90年代にかけて、さすがのDEAD OR ALIVEも方向転換を余儀なくされてしまいます。そのような中生まれたアルバムが本作で、これまでの攻撃的かつハイテンションな高速シーケンスに基づいたユーロビートをかなぐり捨て、Pete Burnsの特徴のある美声とグルーヴの感じられるハウスリズムに乗った柔らかくヒューマンなトラックに乗った、「大人」のダンサブルPOPSに仕上がっています。
まず本作で驚かされるのは、攻撃的でとげとげしかった彼らの音楽性がやけに幸福感に満ちあふれているハッピーチューンに変身しているところです。「GONE 2 LONG」「TOTAL STRANGER」みたいなメジャー中のメジャー調の楽曲は今まででは考えられなかったでしょう。その変身によってもたらされたのは誰でも親しみやすい甘過ぎるポップなメロディラインで、本作ではそのサウンド面での変化よりもポップ性の変化の方が大きいと思います。過剰になり過ぎた打ち込みサウンドへの傾倒から70'sディスコのようなメロディアスダンスポップへの回帰という90年代に誰もが味わった傾向に彼らも例外なく沿っているということでしょう。またメロディとともに重要視されているのが「声」への執着が見られることです。ブラックミュージックに影響されたのか黒人特有の圧倒的なパワーとリズム感、ゴスペルを意識した壮大なコーラス等で軽くなりがちなダンスポップに重みを加えています(ラストにはなんとエレピ中心のバラードも)。結果的に非常に聴きやすく肌触りが良く仕上がった本作は、PART Iと冠されているように今後もシリーズ化していくかと思っていたのですが、結局こういった曲調は受け入れられなかったのか、その後の凋落の第一歩となってしまったのでした。
<Favorite Songs>
・「YOUR SWEETNESS (IS YOUR WEAKNESS)」
充実のコーラスとPete Burnsのヴォーカルに焦点を当てた新型DEAD OR ALIVEの象徴的楽曲。ハウス調リズムに情熱的なPete BurnsとTracy Ackermanのヴォーカルが絶妙過ぎます。そしてそれ以上に泣きの入ったメロディラインの美しさは今までの彼らにはなかった部分ではないでしょうか。
・「UNHAPPY BIRTHDAY」
前曲以上にハイテンションなエレクトロハウスビート。しかし底に存在するのは圧倒的なヴォーカル力と十二分に引き立てるゴスペルコーラス隊で、攻撃的ともいえる彼らのパワーがひしひしと感じられます。Bメロの哀愁のフレーズがサビを引き立てるという構成もよくできています。
・「TOTAL STRANGER」
もはや彼ららしからぬ可愛らしさすら感じさせるハッピーハウスチューン。こんなに優しくていいの?というくらいの明るく希望に満ちあふれたPOPSで全くイメージが思い浮かびません。後半に転調を見せますが甘ったるいフレーズがその転調によってさらに増幅されます。
<評点>
・サウンド ★★ (尖った部分が削られた優しく爽やかなシンセに)
・メロディ ★★★★ (格段に哀愁のメロディ構成力が上がった感がある)
・リズム ★★ (流行を敏感にとらえたハウス調のリズムトラック)
・曲構成 ★ (前半は飛ばすものの1曲の長さもあり後半中弛みも)
・個性 ★ (完全イメチェンを図ったが一般に受け入れられず)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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