「A・r・i・e・s」 柏原芳恵
「A・r・i・e・s」(1987 東芝EMI)
柏原芳恵:vocal

1.「美少女党」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:萩田光雄
2.「くちびるかんで純愛」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:萩田光雄
3.「夏の夜は一度ほほえむ」 詞:阿久悠 曲:Frankie. T 編:萩田光雄
4.「Stranger」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:萩田光雄
5.「シャワーの下で」 詞:阿久悠 曲・編:萩田光雄
6.「不良の掟」 詞:阿久悠 曲:Frankie. T 編:船山基紀
7.「A・r・i・e・s」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:船山基紀
8.「ガラスの鍵」 詞:阿久悠 曲・編:船山基紀
9.「私のすべて」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:船山基紀
10.「最後のセーラー服」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:船山基紀
<support musician>
今 剛:electric guitar
角田順:electric guitar
松下誠:electric guitar
富倉安生:electric bass
美久月千晴:electric bass
岡本郭男:drums
宮崎まさひろ:drums
大河原るみ子:keyboard・synthesizer
倉田信雄:keyboards
永田"エルトン"一郎:keyboards
山田秀俊:keyboards
加藤JOEグループ:strings
木戸泰弘:chorus
比山貴咏史:chorus
平塚文子:chorus
広谷順子:chorus
梅原篤:synthesizer programming
坂下ヨシマサ:synthesizer programming
助川宏:synthesizer programming
船山基紀:synthesizer programming
伯耆弘徳:synthesizer programming
produced by 鈴木ジロウ
mixing engineered by 清水邦彦・柳原ヤスシ
recording engineered by 中村三郎・藤田浩・村瀬範恭・下川晴彦
● 2大編曲家の対照的なプロ仕事!デジタルサウンドをバックに貫禄の歌唱力を見せつけた傑作
年齢にそぐわない艶やかな声質と確かな歌唱力で80年代アイドルの中でも実力派と言われた柏原芳恵は、1984年のテクノ歌謡を世間に知らしめた名盤「Luster」リリース後は、大人の歌謡曲、もしくは演歌POPSと呼ばれるような作風に移行し、「最愛」「待ちくたびれてヨコハマ」といったシングルヒットは飛ばしたものの、年齢相応とは言い難いイメージ戦略の中で徐々にアイドル歌手としては微妙な立ち位置に置かれつつありました。そのような中、87年に久しぶりに時代を感じさせるデジタルPOPS歌謡路線が復活し、南野陽子主演のドラマ「アリエスの乙女たち」の主題歌「A・r・i・e・s」がヒットとなり、同名タイトルのPOPS路線アルバムである本作がリリースされました。
昭和を代表する名作詞家、阿久悠が全曲の歌詞を担当した本作は、収録曲の約半数に菊池桃子の一連の楽曲で脚光を浴びていた哀愁メロディの技巧派作曲家である林哲司を起用、そして当時の両翼を担う名アレンジャーの2人、萩田光雄と船山基紀を迎えるなど、楽曲を支えるスタッフは豪華の一言に尽きます。また、林哲司の都会的なメロディライオンのおかげでシティPOPSの雰囲気すら漂わせている楽曲群ですが、80年代後期の時代らしく硬質なデジタルシンセとキレの良いリズムトラックが目立つアレンジとなっています。かの「Luster」ではFairlight CMIサウンドで驚きのテクノアレンジを聴かせた船山基紀のサウンドメイクは本作でも健在で、本作の後半(B面)にあたる船山アレンジ楽曲は、シンセによる多彩なフレーズを相変わらず随所に忍び込ませる職人技を披露しています。しかし注目すべきはどちらかといえばアナログ的なサウンド志向が強い前半(A面)を担当する萩田光雄が、船山サウンドに引っ張られるかのようにデジタルでゴリゴリした音色や、エレドラを多用するなど硬派なサウンドで攻めているところです。これはプログラマー陣の傑出した仕事ぶりにもよる部分が大きいと思いますが、萩田光雄のこのようなデジタル系(テクノ系?)編曲は非常に珍しいと思われるので、それだけでも本作の価値はあるのではないでしょうか。時流に乗った年齢相応の作品でありキャッチーな仕上がりであったのにもかかわらず、その後演歌POPS路線に逆戻りしてしまい、徐々に活動ペースが衰えていく彼女ですが、本作は彼女の作品の中でも楽曲自体のクオリティとしては申し分のない好盤と言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「Stranger」
本作では萩田のデジタルロックなサウンドが目立っていますが、この楽曲は風通しの良い爽やかなニューミュージック風の曲調に、緻密なシーケンス&リズムが絡むという玄人好みのクオリティを持っていると思います。
・「不良の掟」
突き刺さるようなバスドラに代表される力強いリズムが印象的なデジタル歌謡ロック。サビの細かいシーケンスベースのマシナリー感覚も嬉しいのですが、SE的に挿入される多彩なフィルインの芸が細かいです。
・「ガラスの鍵」
軽快なシーケンスにこれも絶妙なエフェクトのリズムが心地良いアップテンポナンバー。隙間の多いシンセフレーズですが、その中途半端さが何とも言えない微妙なニュアンスを感じさせます。とはいえやはり(本作全体を通じてですが)ドラムのキレの良さが目立っています。
<評点>
・サウンド ★★★ (多彩なプログラマー陣の緻密なデジタル仕事が目立つ)
・メロディ ★★★ (林哲司の起用で爽やか哀愁なフレーズが新風を吹き込む)
・リズム ★★★★ (これまでの路線が嘘のように強烈なドラムサウンド)
・曲構成 ★ (アルバム構成としては限りなくノーマルで驚きはない)
・個性 ★ (ロックやニューミュージックを通過した良質な歌謡POPS)
総合評点: 7点
柏原芳恵:vocal

1.「美少女党」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:萩田光雄
2.「くちびるかんで純愛」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:萩田光雄
3.「夏の夜は一度ほほえむ」 詞:阿久悠 曲:Frankie. T 編:萩田光雄
4.「Stranger」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:萩田光雄
5.「シャワーの下で」 詞:阿久悠 曲・編:萩田光雄
6.「不良の掟」 詞:阿久悠 曲:Frankie. T 編:船山基紀
7.「A・r・i・e・s」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:船山基紀
8.「ガラスの鍵」 詞:阿久悠 曲・編:船山基紀
9.「私のすべて」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:船山基紀
10.「最後のセーラー服」 詞:阿久悠 曲:林哲司 編:船山基紀
<support musician>
今 剛:electric guitar
角田順:electric guitar
松下誠:electric guitar
富倉安生:electric bass
美久月千晴:electric bass
岡本郭男:drums
宮崎まさひろ:drums
大河原るみ子:keyboard・synthesizer
倉田信雄:keyboards
永田"エルトン"一郎:keyboards
山田秀俊:keyboards
加藤JOEグループ:strings
木戸泰弘:chorus
比山貴咏史:chorus
平塚文子:chorus
広谷順子:chorus
梅原篤:synthesizer programming
坂下ヨシマサ:synthesizer programming
助川宏:synthesizer programming
船山基紀:synthesizer programming
伯耆弘徳:synthesizer programming
produced by 鈴木ジロウ
mixing engineered by 清水邦彦・柳原ヤスシ
recording engineered by 中村三郎・藤田浩・村瀬範恭・下川晴彦
● 2大編曲家の対照的なプロ仕事!デジタルサウンドをバックに貫禄の歌唱力を見せつけた傑作
年齢にそぐわない艶やかな声質と確かな歌唱力で80年代アイドルの中でも実力派と言われた柏原芳恵は、1984年のテクノ歌謡を世間に知らしめた名盤「Luster」リリース後は、大人の歌謡曲、もしくは演歌POPSと呼ばれるような作風に移行し、「最愛」「待ちくたびれてヨコハマ」といったシングルヒットは飛ばしたものの、年齢相応とは言い難いイメージ戦略の中で徐々にアイドル歌手としては微妙な立ち位置に置かれつつありました。そのような中、87年に久しぶりに時代を感じさせるデジタルPOPS歌謡路線が復活し、南野陽子主演のドラマ「アリエスの乙女たち」の主題歌「A・r・i・e・s」がヒットとなり、同名タイトルのPOPS路線アルバムである本作がリリースされました。
昭和を代表する名作詞家、阿久悠が全曲の歌詞を担当した本作は、収録曲の約半数に菊池桃子の一連の楽曲で脚光を浴びていた哀愁メロディの技巧派作曲家である林哲司を起用、そして当時の両翼を担う名アレンジャーの2人、萩田光雄と船山基紀を迎えるなど、楽曲を支えるスタッフは豪華の一言に尽きます。また、林哲司の都会的なメロディライオンのおかげでシティPOPSの雰囲気すら漂わせている楽曲群ですが、80年代後期の時代らしく硬質なデジタルシンセとキレの良いリズムトラックが目立つアレンジとなっています。かの「Luster」ではFairlight CMIサウンドで驚きのテクノアレンジを聴かせた船山基紀のサウンドメイクは本作でも健在で、本作の後半(B面)にあたる船山アレンジ楽曲は、シンセによる多彩なフレーズを相変わらず随所に忍び込ませる職人技を披露しています。しかし注目すべきはどちらかといえばアナログ的なサウンド志向が強い前半(A面)を担当する萩田光雄が、船山サウンドに引っ張られるかのようにデジタルでゴリゴリした音色や、エレドラを多用するなど硬派なサウンドで攻めているところです。これはプログラマー陣の傑出した仕事ぶりにもよる部分が大きいと思いますが、萩田光雄のこのようなデジタル系(テクノ系?)編曲は非常に珍しいと思われるので、それだけでも本作の価値はあるのではないでしょうか。時流に乗った年齢相応の作品でありキャッチーな仕上がりであったのにもかかわらず、その後演歌POPS路線に逆戻りしてしまい、徐々に活動ペースが衰えていく彼女ですが、本作は彼女の作品の中でも楽曲自体のクオリティとしては申し分のない好盤と言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「Stranger」
本作では萩田のデジタルロックなサウンドが目立っていますが、この楽曲は風通しの良い爽やかなニューミュージック風の曲調に、緻密なシーケンス&リズムが絡むという玄人好みのクオリティを持っていると思います。
・「不良の掟」
突き刺さるようなバスドラに代表される力強いリズムが印象的なデジタル歌謡ロック。サビの細かいシーケンスベースのマシナリー感覚も嬉しいのですが、SE的に挿入される多彩なフィルインの芸が細かいです。
・「ガラスの鍵」
軽快なシーケンスにこれも絶妙なエフェクトのリズムが心地良いアップテンポナンバー。隙間の多いシンセフレーズですが、その中途半端さが何とも言えない微妙なニュアンスを感じさせます。とはいえやはり(本作全体を通じてですが)ドラムのキレの良さが目立っています。
<評点>
・サウンド ★★★ (多彩なプログラマー陣の緻密なデジタル仕事が目立つ)
・メロディ ★★★ (林哲司の起用で爽やか哀愁なフレーズが新風を吹き込む)
・リズム ★★★★ (これまでの路線が嘘のように強烈なドラムサウンド)
・曲構成 ★ (アルバム構成としては限りなくノーマルで驚きはない)
・個性 ★ (ロックやニューミュージックを通過した良質な歌謡POPS)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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