「FUTURITY」 CUTEMEN
「FUTURITY」 (1993 ビクター)
CUTEMEN

<members>
CMJK:computer programming・synthesizer・electric guitar・electric bass・background vocals
PICORIN:vocals
1.「GO YOUR WAY」 詞・曲・編:CMJK
2.「TRIBAL BEAT」 詞・曲・編:CMJK
3.「FRIENDS」 詞:CMJK・PICORIN 曲・編:CMJK
4.「3-D ON CD [JUNORBIT MIX]」 詞:CMJK・PICORIN 曲・編:CMJK
5.「TORMENT」 詞・曲・編:CMJK
6.「TIME'S UP」 詞:CMJK・PICORIN 曲・編:CMJK
7.「RESON 8」 詞・曲・編:CMJK
8.「FUTURE IS OURS [SUBMARINE MIX]」 詞:CMJK・PICORIN 曲・編:CMJK
9.「ENJOY THE LIFE」 詞・曲・編:CMJK
10.「MY HEART」 詞:CMJK・PICORIN 曲・編:CMJK
<support musician>
アベジュンコ:background vocals
伊藤仁:background vocals
真城めぐみ:background vocals
produced by CUTEMEN
mixing engineered by 渡辺省二郎
recording engineered by 石塚真一
● 疾走するリズム&シーケンス!若さの中に渋味すら感じさせるラストアルバムにして最高傑作
電気グルーヴを早々に脱退したCMJKがヴォーカリストPICORINを誘って結成した歌モノテクノユニット、CUTEMENは、1992年にミニアルバム「age of "E"」、1stアルバム「Check Manifest」、そしてリメイク作品を中心とした企画盤「Covers&Mellow Tunes」と1年の間に3枚もの作品をハイペースでリリースしていきましたが、その勢いのまま2ndアルバムの制作にとりかかり、翌93年には早くも本作をリリースします。日本人には珍しくDepeche ModeのDave Gahanばりの低音が光る声質を持つPICORINのヴォーカルに、80年代テクノポップの文脈とは全く関係ないデトロイトテクノに端を発するクラブ系テクノミュージックの手法でサウンドを形成するCMJKのトラックが持ち味であったこのユニットは、デビュー当初は粗さと頼りなさが同居している感もありましたが、この2枚目にしてクオリティは格段に上がり、しかも泣きのメロディを意識した歌モノPOPSとしての完成度も高く、若くして名盤に相応しい作品に仕上がっています。
SF感覚が強かった前作から一段とダンスビートが強くなった本作は、クラブ系テクノへの影響が本領発揮されています。特にスタートの3曲「GO YOUR WAY」~「TRIBAL BEAT」~「FRIENDS」の息つく暇もないノンストップな構成で否が応にもテンションがあがります。もともとが低音に魅力のあったPICORINに高い音階のサビを歌わせることによって、これまでのCUTEMEN楽曲に新鮮味をプラスしていますが、本作におけるスピード感の増したシーケンス&リズムとエッジの効いたギターサウンドも相まって暗闇に光が差したように、これまで封じられて来た音楽性の殻を破ったような変身ぶりが感じられます。そして何よりも彼らの強みは、クラブ系テクノサウンドに自然と歌モノを乗せて起承転結のはっきりしたエレクトリックなPOPSに仕上げるセンスが並外れていることです。一歩間違えれば歌謡曲と思わせるほどのキャッチーで泣きの入ったメロディラインに、PICORINの若さの中にある渋みを感じさせる低音系ヴォーカルとシーケンス制御されたプログラミングサウンドが乗るからこそ得られるカタルシスは、本作でも遺憾なく発揮されており、この手の歌モノテクノの完成度としては最高潮に達していると個人的には思います。彼らも本作でやり切った感があったのか、その後1枚のシングルを残して活動休止となりますが、21世紀に入ってからは時々活動を再開しているようです。
<Favorite Songs>
・「GO YOUR WAY」
いかにもアナログなシンセをフィルタリングしたイントロが印象的な4つ打ちオープニングチューン。低く始まるAメロと開放感のあるサビとのコントラストが絶妙です。また全編にわたるシーケンスにかかるフィルターの使い方にもセンスが感じられます。
・「3-D ON CD [JUNORBIT MIX]」
ミディアムテンポの哀愁メロディシングルをRolandのシンセJUNO-106をほとんどの音色に使用しアルバム用に仕上げられたリミックス曲。ディレイのかかったコクのあるレゾナンスサウンドがまさにJUNO音色ですが、やはりこの楽曲はサビの哀愁フレーズとコード感覚がすべてであると言ってよいでしょう。
・「MY HEART」
ラストを飾るにふさわしい幸福感あふれる希望に満ちたエレクトロポップソング。シンプルで涼しげなAメロとBメロがこの楽曲のストロングポイントで、これがあるからこそサビの2パートが生きるというものです。後半流れるようなパートの繰り返しによる演出も申し分ありません。
<評点>
・サウンド ★★★★★(機械制御された打ち込みサウンド特有の緊張感は格別)
・メロディ ★★★★ (この手のサウンドでしっかり歌を聴かせる意志がある)
・リズム ★★★★ (スピード感を演出する緻密に構成された軽快なリズム)
・曲構成 ★★★★★(曲間のノンストップを上手く利用してコンセプチュアル)
・個性 ★★★★ (TECHNOと歌モノをここまで融合させた例は少ない)
総合評点: 10点
CUTEMEN

<members>
CMJK:computer programming・synthesizer・electric guitar・electric bass・background vocals
PICORIN:vocals
1.「GO YOUR WAY」 詞・曲・編:CMJK
2.「TRIBAL BEAT」 詞・曲・編:CMJK
3.「FRIENDS」 詞:CMJK・PICORIN 曲・編:CMJK
4.「3-D ON CD [JUNORBIT MIX]」 詞:CMJK・PICORIN 曲・編:CMJK
5.「TORMENT」 詞・曲・編:CMJK
6.「TIME'S UP」 詞:CMJK・PICORIN 曲・編:CMJK
7.「RESON 8」 詞・曲・編:CMJK
8.「FUTURE IS OURS [SUBMARINE MIX]」 詞:CMJK・PICORIN 曲・編:CMJK
9.「ENJOY THE LIFE」 詞・曲・編:CMJK
10.「MY HEART」 詞:CMJK・PICORIN 曲・編:CMJK
<support musician>
アベジュンコ:background vocals
伊藤仁:background vocals
真城めぐみ:background vocals
produced by CUTEMEN
mixing engineered by 渡辺省二郎
recording engineered by 石塚真一
● 疾走するリズム&シーケンス!若さの中に渋味すら感じさせるラストアルバムにして最高傑作
電気グルーヴを早々に脱退したCMJKがヴォーカリストPICORINを誘って結成した歌モノテクノユニット、CUTEMENは、1992年にミニアルバム「age of "E"」、1stアルバム「Check Manifest」、そしてリメイク作品を中心とした企画盤「Covers&Mellow Tunes」と1年の間に3枚もの作品をハイペースでリリースしていきましたが、その勢いのまま2ndアルバムの制作にとりかかり、翌93年には早くも本作をリリースします。日本人には珍しくDepeche ModeのDave Gahanばりの低音が光る声質を持つPICORINのヴォーカルに、80年代テクノポップの文脈とは全く関係ないデトロイトテクノに端を発するクラブ系テクノミュージックの手法でサウンドを形成するCMJKのトラックが持ち味であったこのユニットは、デビュー当初は粗さと頼りなさが同居している感もありましたが、この2枚目にしてクオリティは格段に上がり、しかも泣きのメロディを意識した歌モノPOPSとしての完成度も高く、若くして名盤に相応しい作品に仕上がっています。
SF感覚が強かった前作から一段とダンスビートが強くなった本作は、クラブ系テクノへの影響が本領発揮されています。特にスタートの3曲「GO YOUR WAY」~「TRIBAL BEAT」~「FRIENDS」の息つく暇もないノンストップな構成で否が応にもテンションがあがります。もともとが低音に魅力のあったPICORINに高い音階のサビを歌わせることによって、これまでのCUTEMEN楽曲に新鮮味をプラスしていますが、本作におけるスピード感の増したシーケンス&リズムとエッジの効いたギターサウンドも相まって暗闇に光が差したように、これまで封じられて来た音楽性の殻を破ったような変身ぶりが感じられます。そして何よりも彼らの強みは、クラブ系テクノサウンドに自然と歌モノを乗せて起承転結のはっきりしたエレクトリックなPOPSに仕上げるセンスが並外れていることです。一歩間違えれば歌謡曲と思わせるほどのキャッチーで泣きの入ったメロディラインに、PICORINの若さの中にある渋みを感じさせる低音系ヴォーカルとシーケンス制御されたプログラミングサウンドが乗るからこそ得られるカタルシスは、本作でも遺憾なく発揮されており、この手の歌モノテクノの完成度としては最高潮に達していると個人的には思います。彼らも本作でやり切った感があったのか、その後1枚のシングルを残して活動休止となりますが、21世紀に入ってからは時々活動を再開しているようです。
<Favorite Songs>
・「GO YOUR WAY」
いかにもアナログなシンセをフィルタリングしたイントロが印象的な4つ打ちオープニングチューン。低く始まるAメロと開放感のあるサビとのコントラストが絶妙です。また全編にわたるシーケンスにかかるフィルターの使い方にもセンスが感じられます。
・「3-D ON CD [JUNORBIT MIX]」
ミディアムテンポの哀愁メロディシングルをRolandのシンセJUNO-106をほとんどの音色に使用しアルバム用に仕上げられたリミックス曲。ディレイのかかったコクのあるレゾナンスサウンドがまさにJUNO音色ですが、やはりこの楽曲はサビの哀愁フレーズとコード感覚がすべてであると言ってよいでしょう。
・「MY HEART」
ラストを飾るにふさわしい幸福感あふれる希望に満ちたエレクトロポップソング。シンプルで涼しげなAメロとBメロがこの楽曲のストロングポイントで、これがあるからこそサビの2パートが生きるというものです。後半流れるようなパートの繰り返しによる演出も申し分ありません。
<評点>
・サウンド ★★★★★(機械制御された打ち込みサウンド特有の緊張感は格別)
・メロディ ★★★★ (この手のサウンドでしっかり歌を聴かせる意志がある)
・リズム ★★★★ (スピード感を演出する緻密に構成された軽快なリズム)
・曲構成 ★★★★★(曲間のノンストップを上手く利用してコンセプチュアル)
・個性 ★★★★ (TECHNOと歌モノをここまで融合させた例は少ない)
総合評点: 10点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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