「From the Tea-rooms of Mars ....」 LANDSCAPE
「From the Tea-rooms of Mars ....」(1981 BMG)
LANDSCAPE

<members>
Richard James Burgess:vocals・Roland MC-8 computer programming・Simmons SDS-V electronic drums・Burgess Amplified Percussion・Roland System 100 Modular Synths・drums・Simmons Claptrap
Christopher Heaton:Yamaha CS-80・piano・Fender Rhodes piano with ring modulator and effects・Casiotone 201・Minimoog・Roland Vocoders・vocals
Andy Pask:bass・fretless bass・bass synthesizers・vocals・Yamaha CS-80・Roland Pro Mars
Peter Thoms:electronic trombone・trombone・vocals・Roland Pitch/Voltage synthesizer
John Walters:Roland MC-8 computer programming・Computone wind synthesizer driver and Lyricon1・soprano sax・vocals・Roland ProMars・Roland System 100 synthesizers and vocoder
1.「European Man」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thoms/John Walters
2.「Shake The West Awake」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/John Walters/Peter Thoms
3.「Computer Person」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thoms/John Walters
4.「Alpine Tragedy~Sisters」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thoms/John Walters
5.「Face Of The 80’s」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/John Walters/Peter Thoms
6.「New Religion」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/John Walters/Peter Thoms
7.「Einstein A Go-Go」
John Walters/Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thomas
8.「Norman Bates」
John Walters/Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thomas
9.「The Doll’s House」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thoms/John Walters
10.「From the Tea-rooms of Mars .... To The Hell Holes Of Uranus」
“Beguine” Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thoms/John Walters
“Mambo” Richard James Burgess/Christopher Heaton/John Walters/
“Tango” Richard James Burgess/John Walters/Andy Pask/Peter Thoms
<support musician>
Mary Baird:screams
Peter Marinker:narration
produced by LANDSCAPE・Colin Thurston
engineered by John Etchells・John Hudson・Brian Tench・Huge Padgham・Andy Jackson・Peter Walsh・Rafe McKenna・Peter Smith・Steve Rance・Graeme Jackson・Rick Walton・Dave Hunt・David Baker・Colin Thurston・LANDSCAPE
● 惜しげもなく電子楽器を使用した一発屋B級エレクトロポップバンドのコンセプト主義を漂わす迷盤
1970年代末からフュージョン畑で活動し、メンバーそれぞれが手練のプレイヤーであったLANDSCAPEは、80年代に入ってニューロマンティクス・ニューウェーブの波に華麗に便乗し、シンセポップグループとして生まれ変わりました。初期Spandau BalletをプロデュースしたドラマーRichard James Burgessを中心としたこのグループは、80年代初頭でありながら電子楽器を思う存分多用し、自分たちのエレクトロポップ化を心底楽しんでいるかのようなマシナリーでスペイシーな楽曲を生み出していきます。そして81年にはシングル「Einstein A Go-Go」がUKチャートでトップ10に入る大ヒットとなり一躍注目を浴びました。その勢いでリリースされた彼ら最大のヒット作であり傑作である作品が本作です。
当時音楽界を席巻していたシーケンサーの代名詞Roland MC-8でプログラミングされたシーケンス(&ボコーダーサウンド)は、それだけでも80年代初頭にタイムスリップできるほどの独特の味がありますが、何よりも注目すべき点はRichard James BurgessがDave Simmonsと開発した、後に世界中に大きな影響を与えた電子ドラムの元祖、Simmons SDS-Vが大々的に使用されていることでしょう。その六角形の斬新なデザインによるエレクトリックドラムがBurgessによって世に送り出されたことだけでもこのグループの、そして本作の価値があるというものです。しかし、これだけシンセを多用してエレクトロポップ化を目指しながらどこか懐かしさを感じてしまうのは、楽曲の構成や彼らの演奏力にそこはかとなく感じられ、どうしても抜けきれないフュージョン臭さにあるのではないかと思います。そのあたりが彼らのシンセポップとしての知名度をいまいち低くさせているのかもしれません。ブームの終焉と共に活動を自然消滅させていったことも彼らの一発屋としての側面に拍車をかけていますが、個人的には前述のようにSimmonsドラム使用の先駆的作品として重要であると感じています。
<Favorite Songs>
・「European Man」
サックスが絡む大ヒット前夜のシングルカット曲。電子音を強調したリズムにシーケンスが絡み合い切迫感のあるテクノポップに仕上がっていますが、バンドサウンドとしてもしっかり楽しめる作りになっているのが彼らの特徴です。
・「Computer Person」
チープなリズムボックスにシンプルなシーケンスがキュートな典型的なシンセポップ。ボコーダーによるヴォーカルの余りに機械的な印象に、彼らのストイックな一面を感じざるを得ません。
・「Einstein A Go-Go」
大ヒットしたシンセポップの1つの完成形とも言える楽曲。曲調は比較的単調とも言えますが、シンプルで牧歌的なメロディと無機質なシンセ音の混ざり具合が本作の秀逸な点であると思います。
<評点>
・サウンド ★★★ (これでもかとシンセや電子音を強調し力が入っている)
・メロディ ★ (お世辞にもポップとはいえない凡庸なメロに終始)
・リズム ★★ (SIMMONSの使い方はまだまだ試行錯誤の感が否めず)
・曲構成 ★ (コンセプト作品ではあるが凡庸な楽曲が多く印象薄)
・個性 ★ (ブームに乗ったもののタイミングを間違えた感も)
総合評点: 6点
LANDSCAPE

<members>
Richard James Burgess:vocals・Roland MC-8 computer programming・Simmons SDS-V electronic drums・Burgess Amplified Percussion・Roland System 100 Modular Synths・drums・Simmons Claptrap
Christopher Heaton:Yamaha CS-80・piano・Fender Rhodes piano with ring modulator and effects・Casiotone 201・Minimoog・Roland Vocoders・vocals
Andy Pask:bass・fretless bass・bass synthesizers・vocals・Yamaha CS-80・Roland Pro Mars
Peter Thoms:electronic trombone・trombone・vocals・Roland Pitch/Voltage synthesizer
John Walters:Roland MC-8 computer programming・Computone wind synthesizer driver and Lyricon1・soprano sax・vocals・Roland ProMars・Roland System 100 synthesizers and vocoder
1.「European Man」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thoms/John Walters
2.「Shake The West Awake」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/John Walters/Peter Thoms
3.「Computer Person」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thoms/John Walters
4.「Alpine Tragedy~Sisters」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thoms/John Walters
5.「Face Of The 80’s」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/John Walters/Peter Thoms
6.「New Religion」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/John Walters/Peter Thoms
7.「Einstein A Go-Go」
John Walters/Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thomas
8.「Norman Bates」
John Walters/Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thomas
9.「The Doll’s House」
Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thoms/John Walters
10.「From the Tea-rooms of Mars .... To The Hell Holes Of Uranus」
“Beguine” Richard James Burgess/Christopher Heaton/Andy Pask/Peter Thoms/John Walters
“Mambo” Richard James Burgess/Christopher Heaton/John Walters/
“Tango” Richard James Burgess/John Walters/Andy Pask/Peter Thoms
<support musician>
Mary Baird:screams
Peter Marinker:narration
produced by LANDSCAPE・Colin Thurston
engineered by John Etchells・John Hudson・Brian Tench・Huge Padgham・Andy Jackson・Peter Walsh・Rafe McKenna・Peter Smith・Steve Rance・Graeme Jackson・Rick Walton・Dave Hunt・David Baker・Colin Thurston・LANDSCAPE
● 惜しげもなく電子楽器を使用した一発屋B級エレクトロポップバンドのコンセプト主義を漂わす迷盤
1970年代末からフュージョン畑で活動し、メンバーそれぞれが手練のプレイヤーであったLANDSCAPEは、80年代に入ってニューロマンティクス・ニューウェーブの波に華麗に便乗し、シンセポップグループとして生まれ変わりました。初期Spandau BalletをプロデュースしたドラマーRichard James Burgessを中心としたこのグループは、80年代初頭でありながら電子楽器を思う存分多用し、自分たちのエレクトロポップ化を心底楽しんでいるかのようなマシナリーでスペイシーな楽曲を生み出していきます。そして81年にはシングル「Einstein A Go-Go」がUKチャートでトップ10に入る大ヒットとなり一躍注目を浴びました。その勢いでリリースされた彼ら最大のヒット作であり傑作である作品が本作です。
当時音楽界を席巻していたシーケンサーの代名詞Roland MC-8でプログラミングされたシーケンス(&ボコーダーサウンド)は、それだけでも80年代初頭にタイムスリップできるほどの独特の味がありますが、何よりも注目すべき点はRichard James BurgessがDave Simmonsと開発した、後に世界中に大きな影響を与えた電子ドラムの元祖、Simmons SDS-Vが大々的に使用されていることでしょう。その六角形の斬新なデザインによるエレクトリックドラムがBurgessによって世に送り出されたことだけでもこのグループの、そして本作の価値があるというものです。しかし、これだけシンセを多用してエレクトロポップ化を目指しながらどこか懐かしさを感じてしまうのは、楽曲の構成や彼らの演奏力にそこはかとなく感じられ、どうしても抜けきれないフュージョン臭さにあるのではないかと思います。そのあたりが彼らのシンセポップとしての知名度をいまいち低くさせているのかもしれません。ブームの終焉と共に活動を自然消滅させていったことも彼らの一発屋としての側面に拍車をかけていますが、個人的には前述のようにSimmonsドラム使用の先駆的作品として重要であると感じています。
<Favorite Songs>
・「European Man」
サックスが絡む大ヒット前夜のシングルカット曲。電子音を強調したリズムにシーケンスが絡み合い切迫感のあるテクノポップに仕上がっていますが、バンドサウンドとしてもしっかり楽しめる作りになっているのが彼らの特徴です。
・「Computer Person」
チープなリズムボックスにシンプルなシーケンスがキュートな典型的なシンセポップ。ボコーダーによるヴォーカルの余りに機械的な印象に、彼らのストイックな一面を感じざるを得ません。
・「Einstein A Go-Go」
大ヒットしたシンセポップの1つの完成形とも言える楽曲。曲調は比較的単調とも言えますが、シンプルで牧歌的なメロディと無機質なシンセ音の混ざり具合が本作の秀逸な点であると思います。
<評点>
・サウンド ★★★ (これでもかとシンセや電子音を強調し力が入っている)
・メロディ ★ (お世辞にもポップとはいえない凡庸なメロに終始)
・リズム ★★ (SIMMONSの使い方はまだまだ試行錯誤の感が否めず)
・曲構成 ★ (コンセプト作品ではあるが凡庸な楽曲が多く印象薄)
・個性 ★ (ブームに乗ったもののタイミングを間違えた感も)
総合評点: 6点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
No title
Re: No title
9年前の記事にコメントいただき恐縮です。
記事を久しぶりに読み返してみましたら、なるほどヒドイことを書いていますね。
確かにRichard James Burgessは一発屋にしてはキャリアも豊富ですし、70年代から既にMC-8のプログラミングで音楽を制作していたわけですから、便乗というよりは単なる(戦略的に)デビューが遅れていただけなのでしょう。
誤解を与える表現ですね。ファンの方、申し訳ありません!
ここからは個人的な思いなのですが、やはり1981年のデビューは先駆者としては遅かったような気がします。
Spandau Balletを先にデビューさせる意図もわかるのですが、エレクトロポップとしてはあと1年早かったらという思いを禁じ得ません。
ニューロマンティックの名称の創始者という功績も大きいとは思いますが、LANDSCAPE自体はニューロマではない印象ですので、あくまでエレクトロポップとしては後発の印象が強かったのです(本来はレコーディングを済ませているので便乗ではないのですが)。
当時は日進月歩でシーンが移り変わっていきましたから、ほんの少しのタイミングの違いで乗り遅れた感があったというのが、個人的な見解です。
あと、余談ですがSpandau Balletは初期はニューロマのカテゴリーですが、余りピンと来ないのです。
楽曲が面白くないといいますか、やろうとする意図は見えるのですが・・・その辺りも含めてRichard James Burgess節なのかもしれませんね。
でも、機材好きとしてはこれ以上ない重要人物の1人であることには間違いないですよね!
記事を久しぶりに読み返してみましたら、なるほどヒドイことを書いていますね。
確かにRichard James Burgessは一発屋にしてはキャリアも豊富ですし、70年代から既にMC-8のプログラミングで音楽を制作していたわけですから、便乗というよりは単なる(戦略的に)デビューが遅れていただけなのでしょう。
誤解を与える表現ですね。ファンの方、申し訳ありません!
ここからは個人的な思いなのですが、やはり1981年のデビューは先駆者としては遅かったような気がします。
Spandau Balletを先にデビューさせる意図もわかるのですが、エレクトロポップとしてはあと1年早かったらという思いを禁じ得ません。
ニューロマンティックの名称の創始者という功績も大きいとは思いますが、LANDSCAPE自体はニューロマではない印象ですので、あくまでエレクトロポップとしては後発の印象が強かったのです(本来はレコーディングを済ませているので便乗ではないのですが)。
当時は日進月歩でシーンが移り変わっていきましたから、ほんの少しのタイミングの違いで乗り遅れた感があったというのが、個人的な見解です。
あと、余談ですがSpandau Balletは初期はニューロマのカテゴリーですが、余りピンと来ないのです。
楽曲が面白くないといいますか、やろうとする意図は見えるのですが・・・その辺りも含めてRichard James Burgess節なのかもしれませんね。
でも、機材好きとしてはこれ以上ない重要人物の1人であることには間違いないですよね!
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