「YEN」 福岡ユタカ
「YEN」 (1993 アルファ)
福岡ユタカ:voice・computer programming・background vocals

1.「HOT TOWN」 詞:吉田美奈子 曲・編:福岡ユタカ・MECKEN
2.「HALATION」
詞:福岡ユタカ 曲:福岡ユタカ・MECKEN・大村憲司・青山純 編:福岡ユタカ・MECKEN
3.「BLOOM」 詞:サエキけんぞう 曲:福岡ユタカ 編:福岡ユタカ・MECKEN
4.「SHIPS」 詞:サエキけんぞう 曲:福岡ユタカ 編:福岡ユタカ・MECKEN
5.「CARNIVAL」 詞:福岡ユタカ 曲・編:福岡ユタカ・MECKEN
6.「遠い瞳」 詞:杉林恭雄 曲:福岡ユタカ 編:福岡ユタカ・MECKEN
7.「ENCHANTED FOREST」 曲:福岡ユタカ 編:福岡ユタカ・MECKEN
8.「千の目」 詞:福岡ユタカ 曲・編:福岡ユタカ・MECKEN
9.「FAREWELL」 詞:杉林恭雄 曲:福岡ユタカ 編:福岡ユタカ・MECKEN
<support musician>
大村憲司:guitar
窪田晴男:guitar
板倉文:acoustic guitar
MECKEN:bass・acoustic bass・synthesizer・brush・computer programming・loops
青山純:drums
BAnaNA-UG:keyboard・synth-bass・novas FX・brass stab
富樫春生:keyboard
Ma*To:synthesizer
小滝満:synthesizer
小玉和文:trumpet
瀬木貴将:zanpona
小川美潮:voice・chorus
produced by 福岡ユタカ・MECKEN
engineered by 寺田康彦・小池光夫・梶善則・Bruce Miller
● おなじみのクセ者演奏陣をバックに個性的なボーカルを重視したAOR的な最後のPOPS作品
80年代ニューウェーブの流れを汲むハイセンス&ハイテクニックなスーパーバンド、PINKのフロントマンにしてメインコンポーザーでもあった福岡ユタカは、PINK解散後も盟友であるドラマー矢壁アツノブとコンビを組み、HALOとしてキレの良過ぎるデジタルファンクで聴き手を魅了しました。しかしそのHALOも2枚のアルバムを残しほどなく活動を終了してしまいます。その後ソロに転じた福岡は1993年、自身のニックネームをタイトルに冠した本作をリリースしますが、はじけるようなエスニックファンクぶりはやや後退し、個性的な声質を生かした「聴かせる」ヴォーカルにに重点を置いた、どちらかと言えば落ち着いた作風に仕上がっています。いわゆる「AOR的」と揶揄されるほど小さくまとまってしまったとの評価もある作品ですが、その落ち着きがあるがゆえに深みを感じさせる通好みのアルバムという言い方もできるでしょう。
親交の深いKillin Time勢をバックに従えているためそのセンスの良い演奏力には絶対的な自信が感じられますが、本作では「HOT TOWN」「BLOOM」「遠い瞳」といった歌重視のミディアムテンポの癒しソングが目立ち、それがどこか魂を売ったかのような評価のされ方をしているものと思われます。しかしそこはクセのあるサポート陣が黙っているはずがありません。「HALATION」「CARNIVAL」ではPINK時代を感じさせる骨太のデジタルファンクを聴かせ、「SHIPS」「千の目」では複雑な演奏を生かしながらAOR要素を上手く昇華したポップチューンで新境地を開拓しています。特に青山純と共同プロデュースも務めたMECKENによるリズム隊の活躍が目立っており、緩急交えた彼らのボトムがあってこそ、ビブラトーンズ時代の盟友でもある窪田晴男のギターや、BANANAや小滝満、Ma*Toらのシンセフレーズが生きてくるのです。このように非常に演奏力が高いだけでなく個性も兼ね備えた彼らの演奏をバックに、福岡はこれまで以上に「歌」を歌い上げ本作を貫禄あるものに作り上げており、アーティストとしての価値を一段と高めた作品となったと個人的には思っています。結局この作品を持っていわゆる「POPS」に一区切りをつけインプロビゼーションヴォーカルの世界に身を投じていきますが、時折ニュース番組やアニメの劇判などで少しずつメディアに露出しつつ、自身の音楽道を邁進し続けています。
<Favorite Songs>
・「HOT TOWN」
PINK時代の「Private Story」を彷佛とさせる落ち着いたミディアムポップチューン。クセのあるバッキング陣らしからぬ無難でありながら味のある演奏(特に窪田晴男のギター)により癒しのリゾート感覚すら感じさせます。
・「CARNIVAL」
HALO時代に開拓したエスニックデジタルファンク路線を継承した本作において最もはじけたある意味ダンスチューンとも言える楽曲。暴れ回るドラムとスラップを交える安定感のあるベース、そしてなんといっても絶妙なリズム感のBANANAのbrass stabとラストの窪田ギターがイコライズされながらのパン回しは「熱い」です。
・「千の目」
ファンク要素をAORに取り込んだと言える福岡ならではの無国籍ポップチューン。相変わらず安定感のあるリズムに乗り、クセのある音と構成で楽曲を成立させるセンスはさすがです。特にBメロからサビ前に至る「タメ」部分のサウンドがポイントでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★★ (落ち着きを増しても幻想的な作風は不変)
・メロディ ★★ (全曲聴きやすく作られているがマンネリも)
・リズム ★★★★★ (複雑なフレーズもなんのその力量に憂いなし)
・曲構成 ★★ (もう少し狂気を感じる楽曲の割合が欲しい)
・個性 ★★ (地味になろうとも彼の個性的な声質は唯一無二)
総合評点: 8点
福岡ユタカ:voice・computer programming・background vocals

1.「HOT TOWN」 詞:吉田美奈子 曲・編:福岡ユタカ・MECKEN
2.「HALATION」
詞:福岡ユタカ 曲:福岡ユタカ・MECKEN・大村憲司・青山純 編:福岡ユタカ・MECKEN
3.「BLOOM」 詞:サエキけんぞう 曲:福岡ユタカ 編:福岡ユタカ・MECKEN
4.「SHIPS」 詞:サエキけんぞう 曲:福岡ユタカ 編:福岡ユタカ・MECKEN
5.「CARNIVAL」 詞:福岡ユタカ 曲・編:福岡ユタカ・MECKEN
6.「遠い瞳」 詞:杉林恭雄 曲:福岡ユタカ 編:福岡ユタカ・MECKEN
7.「ENCHANTED FOREST」 曲:福岡ユタカ 編:福岡ユタカ・MECKEN
8.「千の目」 詞:福岡ユタカ 曲・編:福岡ユタカ・MECKEN
9.「FAREWELL」 詞:杉林恭雄 曲:福岡ユタカ 編:福岡ユタカ・MECKEN
<support musician>
大村憲司:guitar
窪田晴男:guitar
板倉文:acoustic guitar
MECKEN:bass・acoustic bass・synthesizer・brush・computer programming・loops
青山純:drums
BAnaNA-UG:keyboard・synth-bass・novas FX・brass stab
富樫春生:keyboard
Ma*To:synthesizer
小滝満:synthesizer
小玉和文:trumpet
瀬木貴将:zanpona
小川美潮:voice・chorus
produced by 福岡ユタカ・MECKEN
engineered by 寺田康彦・小池光夫・梶善則・Bruce Miller
● おなじみのクセ者演奏陣をバックに個性的なボーカルを重視したAOR的な最後のPOPS作品
80年代ニューウェーブの流れを汲むハイセンス&ハイテクニックなスーパーバンド、PINKのフロントマンにしてメインコンポーザーでもあった福岡ユタカは、PINK解散後も盟友であるドラマー矢壁アツノブとコンビを組み、HALOとしてキレの良過ぎるデジタルファンクで聴き手を魅了しました。しかしそのHALOも2枚のアルバムを残しほどなく活動を終了してしまいます。その後ソロに転じた福岡は1993年、自身のニックネームをタイトルに冠した本作をリリースしますが、はじけるようなエスニックファンクぶりはやや後退し、個性的な声質を生かした「聴かせる」ヴォーカルにに重点を置いた、どちらかと言えば落ち着いた作風に仕上がっています。いわゆる「AOR的」と揶揄されるほど小さくまとまってしまったとの評価もある作品ですが、その落ち着きがあるがゆえに深みを感じさせる通好みのアルバムという言い方もできるでしょう。
親交の深いKillin Time勢をバックに従えているためそのセンスの良い演奏力には絶対的な自信が感じられますが、本作では「HOT TOWN」「BLOOM」「遠い瞳」といった歌重視のミディアムテンポの癒しソングが目立ち、それがどこか魂を売ったかのような評価のされ方をしているものと思われます。しかしそこはクセのあるサポート陣が黙っているはずがありません。「HALATION」「CARNIVAL」ではPINK時代を感じさせる骨太のデジタルファンクを聴かせ、「SHIPS」「千の目」では複雑な演奏を生かしながらAOR要素を上手く昇華したポップチューンで新境地を開拓しています。特に青山純と共同プロデュースも務めたMECKENによるリズム隊の活躍が目立っており、緩急交えた彼らのボトムがあってこそ、ビブラトーンズ時代の盟友でもある窪田晴男のギターや、BANANAや小滝満、Ma*Toらのシンセフレーズが生きてくるのです。このように非常に演奏力が高いだけでなく個性も兼ね備えた彼らの演奏をバックに、福岡はこれまで以上に「歌」を歌い上げ本作を貫禄あるものに作り上げており、アーティストとしての価値を一段と高めた作品となったと個人的には思っています。結局この作品を持っていわゆる「POPS」に一区切りをつけインプロビゼーションヴォーカルの世界に身を投じていきますが、時折ニュース番組やアニメの劇判などで少しずつメディアに露出しつつ、自身の音楽道を邁進し続けています。
<Favorite Songs>
・「HOT TOWN」
PINK時代の「Private Story」を彷佛とさせる落ち着いたミディアムポップチューン。クセのあるバッキング陣らしからぬ無難でありながら味のある演奏(特に窪田晴男のギター)により癒しのリゾート感覚すら感じさせます。
・「CARNIVAL」
HALO時代に開拓したエスニックデジタルファンク路線を継承した本作において最もはじけたある意味ダンスチューンとも言える楽曲。暴れ回るドラムとスラップを交える安定感のあるベース、そしてなんといっても絶妙なリズム感のBANANAのbrass stabとラストの窪田ギターがイコライズされながらのパン回しは「熱い」です。
・「千の目」
ファンク要素をAORに取り込んだと言える福岡ならではの無国籍ポップチューン。相変わらず安定感のあるリズムに乗り、クセのある音と構成で楽曲を成立させるセンスはさすがです。特にBメロからサビ前に至る「タメ」部分のサウンドがポイントでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★★ (落ち着きを増しても幻想的な作風は不変)
・メロディ ★★ (全曲聴きやすく作られているがマンネリも)
・リズム ★★★★★ (複雑なフレーズもなんのその力量に憂いなし)
・曲構成 ★★ (もう少し狂気を感じる楽曲の割合が欲しい)
・個性 ★★ (地味になろうとも彼の個性的な声質は唯一無二)
総合評点: 8点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
真夏の夜の夢想...
Re: 真夏の夜の夢想...
80's manさん、こんばんは。
やっぱり地味ですよね。でも当時は結構気に入ってはいたのです。
特に「CARNAVAL」が。これだけでもいいっていうくらいに。
あのファンキーなノリはPINKやHALOも霞んで聞こえるくらいなのです。
アダルトなナンバーももちろん好きですが、やはり造語フェイクとデジタルファンクなリズムがそれ以上に好きなんですねw
でも、「HOT TOWN」の、特に窪田晴男ギターは名フレーズですよね・・。
やっぱり地味ですよね。でも当時は結構気に入ってはいたのです。
特に「CARNAVAL」が。これだけでもいいっていうくらいに。
あのファンキーなノリはPINKやHALOも霞んで聞こえるくらいなのです。
アダルトなナンバーももちろん好きですが、やはり造語フェイクとデジタルファンクなリズムがそれ以上に好きなんですねw
でも、「HOT TOWN」の、特に窪田晴男ギターは名フレーズですよね・・。
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福岡ユタカの1st.ソロですね。僕も発売当初に購入したものの、PINK時代に比べるとやや地味な印象があったため、ほとんど聴かないままずっと放置してました。
で、今回reryoさんに倣って久々に聴いてみたところ・・・実はなかなかに良いアルバムだったんだな、と認識を改めた次第です。(ついでに、HALOの二枚も聴き直しましたが、こちらも少しだけアク抜きしたPINKという感じでgoodでした。)
もともと、PINKの曲では「keep your view」(マクセルのCMも素敵でした)や「slip into fire」といったメロディアスなナンバーが好きだったので、本作でもreryoさんおっしゃるところのAOR的ナンバーが僕的にはお気に入りです。なかでも「HOT TOWN」はYENの素晴らしいヴォーカルはもちろん、吉田美奈子の幻想的な歌詞といい、窪田晴男のエキゾチックなギターといい、まさしく“真夏の夜の夢想”を思わせる名曲と言えますね。