「FRIEND or FOE?」 F.O.E
「FRIEND or FOE?」 (1985 テイチク)
F.O.E

<members>
細野晴臣:vocal・rap・all instruments
野中英紀:vocal・synthesizer・chorus
1.「WORLD FAMOUS TECHNO POP」 詞:細野晴臣・Giles Duke 曲・編:細野晴臣
2.「RETURN OF BODY SNATCHERS (Exterminated mix)」
詞:細野晴臣・Peter Barakan 曲・編:細野晴臣
3.「STRANGE LOVE (Fonk version)」
詞:細野晴臣・Peter Barakan 曲・編:細野晴臣
4.「OTT MANIFEST (OTT mix)」 詞:細野晴臣・野中英紀 曲・編:細野晴臣
<support musician>
越美晴:vocal
Peter Barakan:rap
produced by 細野晴臣
engineered by 細野晴臣・寺田康彦
● ラップを採用するなど新ユニット結成によりテクノの可能性を臨界点まで突き詰めた実験作
YMO散開後も「テクノの忘れ物」を探すかのようにエレクトロマシナリー化した傑作ソロ「S-F-X」や若手を巻き込んだSFストーリーオムニバス、アポジー&ペリジー「超時空コロダスタン旅行記」、また12インチ「スーパーゼビウス」のリリースなどによりゲーム音楽の礎を築くなど、実はテクノへの造詣が深まるばかりであった細野晴臣は、「S-F-X」において自身のレコーディング機材群を称して名付けた「Friends Of Earth」をユニットとして実体化することを試み、YENレーベルの盟友(弟子?)であったインテリアの野中英紀を相棒に迎え、「S-F-X」路線をさらに過激に推し進めたミニアルバムを1985年にリリースします。既にYMOが確立したレコーディング方法論が広く認知される中、オリジンとして本領発揮すべく、PCMリズムマシンによるマシナリービートが強調された実験作となっています。
オリジナル2曲+既存のremixが2曲という構成ながら、「S-F-X」でも見られた重厚な機械ビートはますます存在感を増し、過剰なまでに押しまくる脅迫的なリズムはまさに「Over The Top」(限界突破)を目指すかのようです。その開き直ったようなテクノぶりを見るにつけ、細野自身が他のメンバー以上にYMOを引きずっていたかのように思えてなりませんが、彼は志半ばであった(と思いたい)テクノポップへのおとしまえを果たそうとしたのではないでしょうか。それほどこの時期におけるF.O.Eとしての活動を通した彼の過激なエレクトロミュージックへの傾倒は鬼気迫るものがあったのです。しかしラップやボイスサンプリングの積極的利用によって、来るべきヒップホップの本格的流行を思わせるサウンドを構築するなど、後世にも何かしらの足跡をしっかり残していくのも細野らしいといえばそうかもしれません。結局頂点を極めれば後は下っていくばかりということもあって、ドーピングは長くは続かず2枚のアルバムを残してF.O.Eは活動停止ということになりましたが、細野が最もトンがっていた時代の産物として再評価に値する作品と言えると思います。
<Favorite Songs>
・「WORLD FAMOUS TECHNO POP」
テクノポップアンセムとして非常に完成度の高いオリジナリティあふれる名曲。低速ながら重量感のあるリズムにKraftwerkを意識した無機質なシーケンス、細野らしい「和」のテイストを感じさせるフレーズ、ラップやスクラッチを挿入するHIPHOPへの先見性など、テクノ要素満載のストイックな楽曲です。
・「OTT MANIFEST (OTT mix)」
切迫感を強調したビートが硬派なF.O.Eというユニットのテーマを最も端的に表現したリードチューン。ゲートリバーブを効かせまくったバスドラが執拗に連打する超機械的リズムは、もはやテクノジャンキーと言っても過言ではないでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★ (音色の選び方はテクノポップの師匠そのもの)
・メロディ ★ (この作品はメロディよりも音を聞くタイプ)
・リズム ★★★★★(圧倒的な過激デジタルビート連打にKO寸前)
・曲構成 ★ (次作と一緒にしてオリジナル曲はもっと欲しい)
・個性 ★★ (目が血走るほどの過激さの追求は吉と出たか?)
総合評点: 7点
F.O.E

<members>
細野晴臣:vocal・rap・all instruments
野中英紀:vocal・synthesizer・chorus
1.「WORLD FAMOUS TECHNO POP」 詞:細野晴臣・Giles Duke 曲・編:細野晴臣
2.「RETURN OF BODY SNATCHERS (Exterminated mix)」
詞:細野晴臣・Peter Barakan 曲・編:細野晴臣
3.「STRANGE LOVE (Fonk version)」
詞:細野晴臣・Peter Barakan 曲・編:細野晴臣
4.「OTT MANIFEST (OTT mix)」 詞:細野晴臣・野中英紀 曲・編:細野晴臣
<support musician>
越美晴:vocal
Peter Barakan:rap
produced by 細野晴臣
engineered by 細野晴臣・寺田康彦
● ラップを採用するなど新ユニット結成によりテクノの可能性を臨界点まで突き詰めた実験作
YMO散開後も「テクノの忘れ物」を探すかのようにエレクトロマシナリー化した傑作ソロ「S-F-X」や若手を巻き込んだSFストーリーオムニバス、アポジー&ペリジー「超時空コロダスタン旅行記」、また12インチ「スーパーゼビウス」のリリースなどによりゲーム音楽の礎を築くなど、実はテクノへの造詣が深まるばかりであった細野晴臣は、「S-F-X」において自身のレコーディング機材群を称して名付けた「Friends Of Earth」をユニットとして実体化することを試み、YENレーベルの盟友(弟子?)であったインテリアの野中英紀を相棒に迎え、「S-F-X」路線をさらに過激に推し進めたミニアルバムを1985年にリリースします。既にYMOが確立したレコーディング方法論が広く認知される中、オリジンとして本領発揮すべく、PCMリズムマシンによるマシナリービートが強調された実験作となっています。
オリジナル2曲+既存のremixが2曲という構成ながら、「S-F-X」でも見られた重厚な機械ビートはますます存在感を増し、過剰なまでに押しまくる脅迫的なリズムはまさに「Over The Top」(限界突破)を目指すかのようです。その開き直ったようなテクノぶりを見るにつけ、細野自身が他のメンバー以上にYMOを引きずっていたかのように思えてなりませんが、彼は志半ばであった(と思いたい)テクノポップへのおとしまえを果たそうとしたのではないでしょうか。それほどこの時期におけるF.O.Eとしての活動を通した彼の過激なエレクトロミュージックへの傾倒は鬼気迫るものがあったのです。しかしラップやボイスサンプリングの積極的利用によって、来るべきヒップホップの本格的流行を思わせるサウンドを構築するなど、後世にも何かしらの足跡をしっかり残していくのも細野らしいといえばそうかもしれません。結局頂点を極めれば後は下っていくばかりということもあって、ドーピングは長くは続かず2枚のアルバムを残してF.O.Eは活動停止ということになりましたが、細野が最もトンがっていた時代の産物として再評価に値する作品と言えると思います。
<Favorite Songs>
・「WORLD FAMOUS TECHNO POP」
テクノポップアンセムとして非常に完成度の高いオリジナリティあふれる名曲。低速ながら重量感のあるリズムにKraftwerkを意識した無機質なシーケンス、細野らしい「和」のテイストを感じさせるフレーズ、ラップやスクラッチを挿入するHIPHOPへの先見性など、テクノ要素満載のストイックな楽曲です。
・「OTT MANIFEST (OTT mix)」
切迫感を強調したビートが硬派なF.O.Eというユニットのテーマを最も端的に表現したリードチューン。ゲートリバーブを効かせまくったバスドラが執拗に連打する超機械的リズムは、もはやテクノジャンキーと言っても過言ではないでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★ (音色の選び方はテクノポップの師匠そのもの)
・メロディ ★ (この作品はメロディよりも音を聞くタイプ)
・リズム ★★★★★(圧倒的な過激デジタルビート連打にKO寸前)
・曲構成 ★ (次作と一緒にしてオリジナル曲はもっと欲しい)
・個性 ★★ (目が血走るほどの過激さの追求は吉と出たか?)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
まさにOTT!
Re: まさにOTT!
G/E/N/2さん、こんばんは。
いえいえ、お恥ずかしい限りです・・。
個人的にはメジャーな作品だと思っていましたので、そういう作品はレビューが難しいですね。
それほど細野さんに思い入れはないはずなのですが、結果的に細野さんが関わる作品を多く取り上げているような気がします。
この作品は「WORLD FAMOUS TECHNO POP」に尽きると思うんですよ。
細野さんがあからさまに「テクノ」を標榜したこの楽曲が持つ意味合いは大きいと思うんですけどね。
いえいえ、お恥ずかしい限りです・・。
個人的にはメジャーな作品だと思っていましたので、そういう作品はレビューが難しいですね。
それほど細野さんに思い入れはないはずなのですが、結果的に細野さんが関わる作品を多く取り上げているような気がします。
この作品は「WORLD FAMOUS TECHNO POP」に尽きると思うんですよ。
細野さんがあからさまに「テクノ」を標榜したこの楽曲が持つ意味合いは大きいと思うんですけどね。
コメントの投稿
いつもながら、文章が見事ですね。
よくぞ、1枚のアルバムからここまで考察できるなぁ、と関心しまくりです。
細野さんは以前「YMOに一番未練があったのは幸宏なんじゃないかな」と言っていましたが、こうしてその後の活動を俯瞰してみると、細野さんもYMOに(と言うか、テクノに)それなりの未練があったように思えてきますね。
世間的には、このアルバムはあまり評価されてないと聞きますが、ぼくはこのアルバム大好きです。