「春がいっぱい」 大村憲司
「春がいっぱい」(1981 アルファ)
大村憲司:vocal・guitars・computer manipulate

1.「Intensive Love Course」 曲:大村憲司 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
2.「Under Heavy Hands And Hammers」
詞:Chris Mosdell 曲:大村憲司 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
3.「Seiko Is Always On Time」
曲:大村憲司・坂本龍一 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
4.「Far East Man」
詞・曲:George Harrison・Ron Wood 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
5.「Knife Life」
詞:Chris Mosdell 曲:大村憲司 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
6.「春がいっぱい (Spring Is Nearly Here)」
曲:Brian Bennett・Bruce Welch 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
7.「The Defector」
詞:Peter Barakan 曲:高橋幸宏 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
8.「Inaudible」 曲:大村憲司 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
9.「Maps」 詞:Chris Mosdell 曲:高橋幸宏 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
10.「The Prince Of Shaba」
詞:Chris Mosdell 曲:大村憲司 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
<support musician>
細野晴臣:bass
高橋幸宏:drums・percussion・computer manipulate・background vocals
岡田徹:keyboards
坂本龍一:keyboards・percussion
矢野顕子:acoustic piano・background vocals
羽山伸也:percussion
清水靖晃:tenor sax
松武秀樹:computer programming
produced by 大村憲司
co-produced by 高橋幸宏・坂本龍一
engineered by 小池光夫
● 世界に誇れるYMO御用達名ギタリストが開眼した渋めのニューウェーヴアルバム
日本の音楽界に確かな足跡を残した名ギタリスト大村憲司のYMO第2次ワールドツアーへの参加は、それまでフュージョンの亜流という評価すら聞かれたYMOの音楽性を一変させることに成功しました。それほどまでにいわゆるフュージョンっぽくない大村のギターが与えた影響は強く、YMOをニューウェーブへ傾倒させテクノポップへの道を歩ませた最重要人物と言っても過言ではないと思います。もちろん、YMO仕事以外にも80年代以降にかけての熟練のアレンジ&プレイヤー仕事には非の打ち所はなくここでは語り尽くせないほどですが、ここではYMO活動期の傑作として本作を紹介します。
高橋幸宏と坂本龍一を共同プロデュースに迎えたYMO色の濃い3rdアルバムである本作は、そのクオリティの高さによって現在も名盤として評価されている1枚です。印象としてはズバリYMO「増殖」期のサウンドで、「Nice Age」や「磁性紀-開け心-」といったニューウェーブ特有の実験的なギターサウンドが目立つ歌モノPOPSと、フュージョンの名残漂うギターインスト&「Inaudible」などの実験色の強いシンセインストがバランス良く配置されています。特にこれでもかというYMOサウンドが満載の本作ですが、さすがは名ギタリスト、自身のギターテクを生かしたテクニックだけに縛られない多彩なエフェクトを生かした味のあるギターフレーズで、サウンドにしっかりと芯を打ち込み楽曲を際立たせています。こうしたニューウェーブな楽曲は彼の一面でしかありませんが、本作は盟友のYMOメンバーとの共同作業によりまさに貫禄としかいいようがないほどのクオリティに仕上げており、このあたりはノンミュージシャン的な傾向が強い他のニューウェーブ系作品には手の届きにくい部分であると思います。日本でも5本の指に入るギタリストでありながら早く世を去ってしまい活躍を見ることはもうできないのが残念ですが、彼のプレイと本作の完成度の高さはこれからも語り継がれていくべきでしょう。
<Favorite Songs>
・「Under Heavy Hands And Hammers」
ピアノ中心の心に染み入るミディアムナンバー。電子音も飛び交う近未来なアレンジですが根本はバラードで、イコライズされた渋いヴォーカルといなたいギターソロがなんともノスタルジックです。
・「Knife Life」
イントロの渋いギターフレーズと近未来感あふれるシンセシーケンスが男気を感じさせる、高橋幸宏のソロ「音楽殺人」に近しいニューウェーブな楽曲。Aメロのエフェクトボイスによるリーディングは渋さ満点です。全体的にダウナーな雰囲気ですが当時はこうした影のあるニューウェーブがかっこいいとされていた時代でもあったのです。後半からラストにかけての逆回転ギターもやはり渋いです。
・「Maps」
YMO第2次ワールドツアーでも演奏されたニューウェーブ全開のシンセロック。高橋幸宏特有の前ノリドラムが引っ張るリズムは攻撃的ですが、それに負けじと唸りを上げるギターに大村のギタリストとしてのプライドが感じられ、あたかもドラムと戦争しているかのようです。
<評点>
・サウンド ★★★★ (YMO直系のシンセサウンドは既にテクノの王様の貫禄)
・メロディ ★★ (プレイヤーと思っていたがPOPSを書ける才能も感じる)
・リズム ★★ (幸宏ドラムはこうしたニューウェーブに映えるが大人しめ)
・曲構成 ★★ (歌モノとインストのバランスがよく上手くまとめている)
・個性 ★★ (当時の環境から考えるとYMOの亜種となっても仕方がない)
総合評点: 7点
大村憲司:vocal・guitars・computer manipulate

1.「Intensive Love Course」 曲:大村憲司 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
2.「Under Heavy Hands And Hammers」
詞:Chris Mosdell 曲:大村憲司 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
3.「Seiko Is Always On Time」
曲:大村憲司・坂本龍一 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
4.「Far East Man」
詞・曲:George Harrison・Ron Wood 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
5.「Knife Life」
詞:Chris Mosdell 曲:大村憲司 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
6.「春がいっぱい (Spring Is Nearly Here)」
曲:Brian Bennett・Bruce Welch 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
7.「The Defector」
詞:Peter Barakan 曲:高橋幸宏 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
8.「Inaudible」 曲:大村憲司 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
9.「Maps」 詞:Chris Mosdell 曲:高橋幸宏 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
10.「The Prince Of Shaba」
詞:Chris Mosdell 曲:大村憲司 編:大村憲司・高橋幸宏・坂本龍一
<support musician>
細野晴臣:bass
高橋幸宏:drums・percussion・computer manipulate・background vocals
岡田徹:keyboards
坂本龍一:keyboards・percussion
矢野顕子:acoustic piano・background vocals
羽山伸也:percussion
清水靖晃:tenor sax
松武秀樹:computer programming
produced by 大村憲司
co-produced by 高橋幸宏・坂本龍一
engineered by 小池光夫
● 世界に誇れるYMO御用達名ギタリストが開眼した渋めのニューウェーヴアルバム
日本の音楽界に確かな足跡を残した名ギタリスト大村憲司のYMO第2次ワールドツアーへの参加は、それまでフュージョンの亜流という評価すら聞かれたYMOの音楽性を一変させることに成功しました。それほどまでにいわゆるフュージョンっぽくない大村のギターが与えた影響は強く、YMOをニューウェーブへ傾倒させテクノポップへの道を歩ませた最重要人物と言っても過言ではないと思います。もちろん、YMO仕事以外にも80年代以降にかけての熟練のアレンジ&プレイヤー仕事には非の打ち所はなくここでは語り尽くせないほどですが、ここではYMO活動期の傑作として本作を紹介します。
高橋幸宏と坂本龍一を共同プロデュースに迎えたYMO色の濃い3rdアルバムである本作は、そのクオリティの高さによって現在も名盤として評価されている1枚です。印象としてはズバリYMO「増殖」期のサウンドで、「Nice Age」や「磁性紀-開け心-」といったニューウェーブ特有の実験的なギターサウンドが目立つ歌モノPOPSと、フュージョンの名残漂うギターインスト&「Inaudible」などの実験色の強いシンセインストがバランス良く配置されています。特にこれでもかというYMOサウンドが満載の本作ですが、さすがは名ギタリスト、自身のギターテクを生かしたテクニックだけに縛られない多彩なエフェクトを生かした味のあるギターフレーズで、サウンドにしっかりと芯を打ち込み楽曲を際立たせています。こうしたニューウェーブな楽曲は彼の一面でしかありませんが、本作は盟友のYMOメンバーとの共同作業によりまさに貫禄としかいいようがないほどのクオリティに仕上げており、このあたりはノンミュージシャン的な傾向が強い他のニューウェーブ系作品には手の届きにくい部分であると思います。日本でも5本の指に入るギタリストでありながら早く世を去ってしまい活躍を見ることはもうできないのが残念ですが、彼のプレイと本作の完成度の高さはこれからも語り継がれていくべきでしょう。
<Favorite Songs>
・「Under Heavy Hands And Hammers」
ピアノ中心の心に染み入るミディアムナンバー。電子音も飛び交う近未来なアレンジですが根本はバラードで、イコライズされた渋いヴォーカルといなたいギターソロがなんともノスタルジックです。
・「Knife Life」
イントロの渋いギターフレーズと近未来感あふれるシンセシーケンスが男気を感じさせる、高橋幸宏のソロ「音楽殺人」に近しいニューウェーブな楽曲。Aメロのエフェクトボイスによるリーディングは渋さ満点です。全体的にダウナーな雰囲気ですが当時はこうした影のあるニューウェーブがかっこいいとされていた時代でもあったのです。後半からラストにかけての逆回転ギターもやはり渋いです。
・「Maps」
YMO第2次ワールドツアーでも演奏されたニューウェーブ全開のシンセロック。高橋幸宏特有の前ノリドラムが引っ張るリズムは攻撃的ですが、それに負けじと唸りを上げるギターに大村のギタリストとしてのプライドが感じられ、あたかもドラムと戦争しているかのようです。
<評点>
・サウンド ★★★★ (YMO直系のシンセサウンドは既にテクノの王様の貫禄)
・メロディ ★★ (プレイヤーと思っていたがPOPSを書ける才能も感じる)
・リズム ★★ (幸宏ドラムはこうしたニューウェーブに映えるが大人しめ)
・曲構成 ★★ (歌モノとインストのバランスがよく上手くまとめている)
・個性 ★★ (当時の環境から考えるとYMOの亜種となっても仕方がない)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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