「B-2 UNIT」 坂本龍一
「B-2 UNIT」(1980 アルファ)
坂本龍一:vocal・synthesizer・keyboard

1.「differencia」 曲・編:坂本龍一
2.「thatness and thereness」
詞:後藤美孝・坂本龍一(英訳:Peter Barakan)曲・編:坂本龍一
3.「participation mystique」 曲・編:坂本龍一
4.「E-3A」 曲・編:坂本龍一
5.「iconic storage」 曲・編:坂本龍一
6.「riot in Lagos」 曲・編:坂本龍一
7.「not the 6 o'clock news」 曲・編:坂本龍一
8.「the end of europe」 曲・編:坂本龍一
<support musician>
Andy Partridge:guitars
大村憲司:guitars
北条美奈子:chorus
松武秀樹:computer programming
produced by 坂本龍一
co-produced by 後藤美孝
engineered by Dennis Bovell・Steve Nye・Steve Churchyard・小池光夫・寺田康彦・Rick Isbell・Renate Blavel・坂本龍一
● 元祖テクノダブ!アヴァンギャルド坂本龍一最大の問題作
既にYMOでブレイクし絶頂にあった頃の坂本龍一がリリースしたこの2ndアルバムは、テクノポップの永遠の名盤として多くの方々に語り継がれています。攻撃的なリズムと複雑かつ緻密なシンセサウンド、才気ほとばしるとは本作のようなことを言うのでしょう。デビュー作「千のナイフ」ではいかにもアカデミックなシンセミュージックといった印象であった彼の音楽性は、YMOにおける活動でも揺らぐことはありませんでしたが、YMO的なるものへの反抗もあったのか、1980年を迎えるとソロシングル(坂本の最高傑作!)「WAR HEAD」をリリース。いかにも過激なサウンドと全く歌詞が聞き取れないほどグシャグシャにしたボコーダーヴォーカルでファンの度肝を抜きました。しかし、その後にそれ以上に驚かせる本作がリリースされたのです。
シンセ等の電子音を使いまくったという点では前作の延長線上にあるとも言えますが、本作が「リズム」にこだわっているという点が前作とは全く異なるとも言えるでしょう。Dennis BovellやSteve Nyeといった海外のエンジニア仕事によるところも大きいと思いますが、その計算され尽くしたディレイサウンドと共に、本作で目立つのは正確ながらどこか跳ねるように構築されたリズムです。思えば「WAR HEAD」もリズミカルな作品でした。これには恐らくYMOで共に活動してきた高橋幸宏の影響も少なからずあったのではないかと推測します。高橋の正確無比なリズム感覚がYMOの重要なファクターであったことは言うまでもありませんが、その気持ちよいリズム感覚を坂本的に消化した結果が本作のリズムへの傾倒ぶりにつながっていると思います。しかし、ここまで実験性を極めとっちらかった電子音で前衛性を前面に出しながら、どこか融通の利かないアカデミック性が抜け切らない印象を受けるのも坂本らしくて、ここに坂本龍一というアーティストとしての魅力があるのではないかと思います。
本作において彼のアヴァンギャルド性は極みに達します。しかし80年代中期の作品「未来派野郎」において再びその前衛感覚に相見えることになります。
<Favorite Songs>
・「thatness and thereness」
名曲として語り継がれるスローナンバー。朴訥としながら大事に単語を歌う坂本自身の歌声が奇をてらった楽曲が多い本作において唯一のオアシスとなっています。シンプルなシンセリフから後半のノイジーなパッドを駆使した盛り上がりはさすがです。
・「E-3A」
名曲「riot in Lagos」と並んでテクノダブの元祖というべきディレイ等のエフェクト満載の楽曲。シンセノイズで創られたリズムに乗ってエフェクティブな電子音が飛び交う実験的な構成ですが、オリエンタルなメロディに、アジア発テクノの自己主張が感じられます。
・「not the 6 o'clock news」
実験的な作風ながらアジアも感じさせるという意味では「E-3A」にも通じる楽曲。ラジオのカットアップを散りばめ、しかもリズムに同期させるおもしろい手法で、ギターやシンセの即興演奏が絡むという、実は本作のアヴァンギャルド性を最も表現した楽曲ではないでしょうか。
<評点>
・サウンド ★★★★★ (疑いもなく時代の最先端を走っていたシンセサウンド)
・メロディ ★★★ (実験的なサウンドを飽きずに聴けるのは優れたメロのため)
・リズム ★★★★ (坂本音楽史上最もリズムにこだわった作品と言える)
・曲構成 ★★ (当時のシングル2曲を再構築して曲数を増やしたら・・)
・個性 ★★★★ (どれだけ過激性を試みても教授は教授というわけで)
総合評点: 8点
坂本龍一:vocal・synthesizer・keyboard

1.「differencia」 曲・編:坂本龍一
2.「thatness and thereness」
詞:後藤美孝・坂本龍一(英訳:Peter Barakan)曲・編:坂本龍一
3.「participation mystique」 曲・編:坂本龍一
4.「E-3A」 曲・編:坂本龍一
5.「iconic storage」 曲・編:坂本龍一
6.「riot in Lagos」 曲・編:坂本龍一
7.「not the 6 o'clock news」 曲・編:坂本龍一
8.「the end of europe」 曲・編:坂本龍一
<support musician>
Andy Partridge:guitars
大村憲司:guitars
北条美奈子:chorus
松武秀樹:computer programming
produced by 坂本龍一
co-produced by 後藤美孝
engineered by Dennis Bovell・Steve Nye・Steve Churchyard・小池光夫・寺田康彦・Rick Isbell・Renate Blavel・坂本龍一
● 元祖テクノダブ!アヴァンギャルド坂本龍一最大の問題作
既にYMOでブレイクし絶頂にあった頃の坂本龍一がリリースしたこの2ndアルバムは、テクノポップの永遠の名盤として多くの方々に語り継がれています。攻撃的なリズムと複雑かつ緻密なシンセサウンド、才気ほとばしるとは本作のようなことを言うのでしょう。デビュー作「千のナイフ」ではいかにもアカデミックなシンセミュージックといった印象であった彼の音楽性は、YMOにおける活動でも揺らぐことはありませんでしたが、YMO的なるものへの反抗もあったのか、1980年を迎えるとソロシングル(坂本の最高傑作!)「WAR HEAD」をリリース。いかにも過激なサウンドと全く歌詞が聞き取れないほどグシャグシャにしたボコーダーヴォーカルでファンの度肝を抜きました。しかし、その後にそれ以上に驚かせる本作がリリースされたのです。
シンセ等の電子音を使いまくったという点では前作の延長線上にあるとも言えますが、本作が「リズム」にこだわっているという点が前作とは全く異なるとも言えるでしょう。Dennis BovellやSteve Nyeといった海外のエンジニア仕事によるところも大きいと思いますが、その計算され尽くしたディレイサウンドと共に、本作で目立つのは正確ながらどこか跳ねるように構築されたリズムです。思えば「WAR HEAD」もリズミカルな作品でした。これには恐らくYMOで共に活動してきた高橋幸宏の影響も少なからずあったのではないかと推測します。高橋の正確無比なリズム感覚がYMOの重要なファクターであったことは言うまでもありませんが、その気持ちよいリズム感覚を坂本的に消化した結果が本作のリズムへの傾倒ぶりにつながっていると思います。しかし、ここまで実験性を極めとっちらかった電子音で前衛性を前面に出しながら、どこか融通の利かないアカデミック性が抜け切らない印象を受けるのも坂本らしくて、ここに坂本龍一というアーティストとしての魅力があるのではないかと思います。
本作において彼のアヴァンギャルド性は極みに達します。しかし80年代中期の作品「未来派野郎」において再びその前衛感覚に相見えることになります。
<Favorite Songs>
・「thatness and thereness」
名曲として語り継がれるスローナンバー。朴訥としながら大事に単語を歌う坂本自身の歌声が奇をてらった楽曲が多い本作において唯一のオアシスとなっています。シンプルなシンセリフから後半のノイジーなパッドを駆使した盛り上がりはさすがです。
・「E-3A」
名曲「riot in Lagos」と並んでテクノダブの元祖というべきディレイ等のエフェクト満載の楽曲。シンセノイズで創られたリズムに乗ってエフェクティブな電子音が飛び交う実験的な構成ですが、オリエンタルなメロディに、アジア発テクノの自己主張が感じられます。
・「not the 6 o'clock news」
実験的な作風ながらアジアも感じさせるという意味では「E-3A」にも通じる楽曲。ラジオのカットアップを散りばめ、しかもリズムに同期させるおもしろい手法で、ギターやシンセの即興演奏が絡むという、実は本作のアヴァンギャルド性を最も表現した楽曲ではないでしょうか。
<評点>
・サウンド ★★★★★ (疑いもなく時代の最先端を走っていたシンセサウンド)
・メロディ ★★★ (実験的なサウンドを飽きずに聴けるのは優れたメロのため)
・リズム ★★★★ (坂本音楽史上最もリズムにこだわった作品と言える)
・曲構成 ★★ (当時のシングル2曲を再構築して曲数を増やしたら・・)
・個性 ★★★★ (どれだけ過激性を試みても教授は教授というわけで)
総合評点: 8点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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