「Thanks Giving」 ラ・ムー
「Thanks Giving」 (1988 バップ)
ラ・ムー

<members>
菊池桃子:vocal
松浦義和:keyboards・chorus
中西望:drums
Rosaiyu Renee Keel:backing vocal
Darelle Foster-Holden:backing vocal
1.「Rainy Night Lady」 詞:田口俊 曲:和泉常寛 編:新川博
2.「Carnaval」 詞:田口俊 曲・編:松浦義和
3.「夏と秋のGood-Luck」 詞:麻生圭子 曲・編:新川博
4.「Two Years After」 詞:売野雅勇 曲:和泉常寛 編:新川博
5.「少年は天使を殺す」 詞:売野雅勇 曲:和泉常寛 編:新川博
6.「One And Only」 詞:麻生圭子 曲:杉山清貴 編:新川博
7.「Tokyo野蛮人」 詞:康珍化 曲:和泉常寛 編:新川博
8.「片想い同盟」 詞:田口俊 曲・編:新川博
9.「Late Night Heartache」 詞:売野雅勇 曲:和泉常寛 編:新川博
10.「Love Talk」 詞:菊池桃子・藤田浩一 曲:和泉常寛 編:新川博
<support musician>
Michael Landau:electric guitar
Paul Jackson Jr.:electric guitar
松原正樹:electric guitar
Nathan East:bass
John Robinson:drums
Tom Keane:keyboards
新川博:keyboards
Paulinho Da Costa:percussions
Gary Grant:trumpet
Jerry Hey:trumpet・brass attangement
Bill Reichenbach:trombone
Dan Higgins:sax
EVE:chorus
Joey McCoy:chorus
produced by 藤田浩一
mixing engineered by 内沼映二
recording engineered by 内沼映二・カズ松本・関根辰夫・ピン斎藤・松岡義昭・岡田コウジ・吉井聡・手塚雅夫・藤田浩
● ウィスパーボーカル&ブラコンコーラス!アイドルの意外な転身が物議を醸し出した問題作
人気絶頂のアイドルがいきなり黒人女性コーラスを従えてロックバンドを結成・・・みんな呆然目が点・・・ということで、現在に至るまでネタにされることはあってもなかなか正当な評価を得ることができないアイドル史上異色のユニット、それがラ・ムーです。事実上は人気が一段落ついた菊池桃子が目先を変えるための先手を打ったということだと思いますが、それまで林哲司プロデュースによるリゾートミュージックからシティポップへの流れを汲み、菊池独特のウィスパーボイスを生かした優れた楽曲群が評価されてきたソロ作品から、強力なリズムとコーラスに支えられたデジタルロックサウンドに乗っかるウィスパーボイスという方針転換は、当時は違和感を持って迎えられたものでした。しかし、そのサウンドの変化は直前のソロアルバム「Escape from Dimension」およびシングル「Nile in Blue」で既に試みられたものであり、決して突然変異ではないのです。
本作は「愛は心の仕事です」「少年は天使を殺す」「Tokyo野蛮人」という奇抜なタイトルの3枚のシングルリリース後に満を持して制作された唯一のアルバムです。リゾートミュージックと黒人ファンクをいいとこ取りしたサウンドを一貫して志向していたトライアングルプロダクション(杉山清貴&オメガトライブ、池田政典など)所属ということもあり、ファンクを基調とした優れたリズムワークと2人の黒人女性コーラスが目立つシングルと比較しても、リゾート面を強く押し出した作品となっています。シングルがインパクトがありキワモノ扱いされてしまいがちであったが、このアルバムでは良質かつキャッチーなメロディと安定感のある演奏でレベルの高さが感じられ非常に侮れません。また菊池桃子特有のウィスパーボイスとの相性がよく取り沙汰される件についても、このミスマッチが好影響を与えていると言ってよいでしょう。同時期の原田知世にも同じことが言えるかもしれません。「Carnaval」や「Late Night Heartache」想像以上にゴリゴリのデジタルビートを効かせる楽曲もあり、テクノ的、いわゆるTECHNOLOGY POPSの1つの形と言ってもよい名盤と評価されるべきでしょう。
<Favorite Songs>
・「Rainy Night Lady」
アルバム全体を支えるリゾート感覚溢れる楽曲群の代表作。特筆すべきはスネアの音色で、ズシッ!ズシッ!と刻む独特の音がかっこいいです。2回目のAメロから導入されるシーケンスのタイミングも絶妙で、デジタルっぽさを残した高品位のリゾートミュージックとしても評価されてもよい楽曲だと思います。
・「Carnaval」
メンバーの松浦義和が作編曲したクリアチューン。しつこいブラコンコーラスがここでは爽やかな歌唱に徹していて、さらに日本語を駆使して前面に出るなど大活躍です。強烈なリズムとシンセブラスによるきらびやかなサウンドで、菊池の落ち着いたヴォーカルを差し引いても非常にハイパーな楽曲に仕上がっています。
・「少年は天使を殺す」
テンションの高過ぎるコーラスから移行するブラスセクションが素晴らしいシングルカット曲にしてラ・ムー最高傑作。強烈でデジタルな80's的リズム隊とパワフルなコーラス&ブラスというラ・ムーの特徴を完全に生かしきっています。そしてそのテンションの高さの中どこまでも落ち着いた菊池のヴォーカル。まさに完成型と言ってよいでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★★ (久保田利伸らの流れを汲むデジタルブラコンサウンドが◎)
・メロディ ★★★★ (和泉常寛に作曲家が変わっても揺るぎないメロディセンス)
・リズム ★★★★★ (時代特有のクッキリした強力リズム隊の功績は大きい)
・曲構成 ★★★ (オーソドックスな構成ながら捨て曲のないクオリティ)
・個性 ★★★★ (黒人ファンク&リゾートを表現するセンスが際立つ)
総合評点: 9点
ラ・ムー

<members>
菊池桃子:vocal
松浦義和:keyboards・chorus
中西望:drums
Rosaiyu Renee Keel:backing vocal
Darelle Foster-Holden:backing vocal
1.「Rainy Night Lady」 詞:田口俊 曲:和泉常寛 編:新川博
2.「Carnaval」 詞:田口俊 曲・編:松浦義和
3.「夏と秋のGood-Luck」 詞:麻生圭子 曲・編:新川博
4.「Two Years After」 詞:売野雅勇 曲:和泉常寛 編:新川博
5.「少年は天使を殺す」 詞:売野雅勇 曲:和泉常寛 編:新川博
6.「One And Only」 詞:麻生圭子 曲:杉山清貴 編:新川博
7.「Tokyo野蛮人」 詞:康珍化 曲:和泉常寛 編:新川博
8.「片想い同盟」 詞:田口俊 曲・編:新川博
9.「Late Night Heartache」 詞:売野雅勇 曲:和泉常寛 編:新川博
10.「Love Talk」 詞:菊池桃子・藤田浩一 曲:和泉常寛 編:新川博
<support musician>
Michael Landau:electric guitar
Paul Jackson Jr.:electric guitar
松原正樹:electric guitar
Nathan East:bass
John Robinson:drums
Tom Keane:keyboards
新川博:keyboards
Paulinho Da Costa:percussions
Gary Grant:trumpet
Jerry Hey:trumpet・brass attangement
Bill Reichenbach:trombone
Dan Higgins:sax
EVE:chorus
Joey McCoy:chorus
produced by 藤田浩一
mixing engineered by 内沼映二
recording engineered by 内沼映二・カズ松本・関根辰夫・ピン斎藤・松岡義昭・岡田コウジ・吉井聡・手塚雅夫・藤田浩
● ウィスパーボーカル&ブラコンコーラス!アイドルの意外な転身が物議を醸し出した問題作
人気絶頂のアイドルがいきなり黒人女性コーラスを従えてロックバンドを結成・・・みんな呆然目が点・・・ということで、現在に至るまでネタにされることはあってもなかなか正当な評価を得ることができないアイドル史上異色のユニット、それがラ・ムーです。事実上は人気が一段落ついた菊池桃子が目先を変えるための先手を打ったということだと思いますが、それまで林哲司プロデュースによるリゾートミュージックからシティポップへの流れを汲み、菊池独特のウィスパーボイスを生かした優れた楽曲群が評価されてきたソロ作品から、強力なリズムとコーラスに支えられたデジタルロックサウンドに乗っかるウィスパーボイスという方針転換は、当時は違和感を持って迎えられたものでした。しかし、そのサウンドの変化は直前のソロアルバム「Escape from Dimension」およびシングル「Nile in Blue」で既に試みられたものであり、決して突然変異ではないのです。
本作は「愛は心の仕事です」「少年は天使を殺す」「Tokyo野蛮人」という奇抜なタイトルの3枚のシングルリリース後に満を持して制作された唯一のアルバムです。リゾートミュージックと黒人ファンクをいいとこ取りしたサウンドを一貫して志向していたトライアングルプロダクション(杉山清貴&オメガトライブ、池田政典など)所属ということもあり、ファンクを基調とした優れたリズムワークと2人の黒人女性コーラスが目立つシングルと比較しても、リゾート面を強く押し出した作品となっています。シングルがインパクトがありキワモノ扱いされてしまいがちであったが、このアルバムでは良質かつキャッチーなメロディと安定感のある演奏でレベルの高さが感じられ非常に侮れません。また菊池桃子特有のウィスパーボイスとの相性がよく取り沙汰される件についても、このミスマッチが好影響を与えていると言ってよいでしょう。同時期の原田知世にも同じことが言えるかもしれません。「Carnaval」や「Late Night Heartache」想像以上にゴリゴリのデジタルビートを効かせる楽曲もあり、テクノ的、いわゆるTECHNOLOGY POPSの1つの形と言ってもよい名盤と評価されるべきでしょう。
<Favorite Songs>
・「Rainy Night Lady」
アルバム全体を支えるリゾート感覚溢れる楽曲群の代表作。特筆すべきはスネアの音色で、ズシッ!ズシッ!と刻む独特の音がかっこいいです。2回目のAメロから導入されるシーケンスのタイミングも絶妙で、デジタルっぽさを残した高品位のリゾートミュージックとしても評価されてもよい楽曲だと思います。
・「Carnaval」
メンバーの松浦義和が作編曲したクリアチューン。しつこいブラコンコーラスがここでは爽やかな歌唱に徹していて、さらに日本語を駆使して前面に出るなど大活躍です。強烈なリズムとシンセブラスによるきらびやかなサウンドで、菊池の落ち着いたヴォーカルを差し引いても非常にハイパーな楽曲に仕上がっています。
・「少年は天使を殺す」
テンションの高過ぎるコーラスから移行するブラスセクションが素晴らしいシングルカット曲にしてラ・ムー最高傑作。強烈でデジタルな80's的リズム隊とパワフルなコーラス&ブラスというラ・ムーの特徴を完全に生かしきっています。そしてそのテンションの高さの中どこまでも落ち着いた菊池のヴォーカル。まさに完成型と言ってよいでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★★ (久保田利伸らの流れを汲むデジタルブラコンサウンドが◎)
・メロディ ★★★★ (和泉常寛に作曲家が変わっても揺るぎないメロディセンス)
・リズム ★★★★★ (時代特有のクッキリした強力リズム隊の功績は大きい)
・曲構成 ★★★ (オーソドックスな構成ながら捨て曲のないクオリティ)
・個性 ★★★★ (黒人ファンク&リゾートを表現するセンスが際立つ)
総合評点: 9点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
素晴らしい総評です!
Re: 素晴らしい総評です!
ゆうさん、はじめまして。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
拙いレビューにもかかわらず楽しんでいただき光栄です。
このようなレビューでよろしければどうぞ引用して下さい。
ラ・ムーは冗談抜きにして音楽性は高いと思いますよ。
ネタだけでは終わるのはもったいないです。
あの時期のトライアングルプロダクションは良い作品ぞろいですよね。
当ブログにお越しいただきありがとうございます。
拙いレビューにもかかわらず楽しんでいただき光栄です。
このようなレビューでよろしければどうぞ引用して下さい。
ラ・ムーは冗談抜きにして音楽性は高いと思いますよ。
ネタだけでは終わるのはもったいないです。
あの時期のトライアングルプロダクションは良い作品ぞろいですよね。
コメントの投稿
あまりに素晴らしい総評に、ページに見入ってしまいました!
もしよろしければ、mixiの日記や関連コミュ等でご紹介させて頂きたいのですが‥☆
何卒よろしくお願いできましたら幸いです♪