「Freaks」 蛎崎弘+"r"Project
「Freaks」(1988 キティ)
蛎崎弘+"r"Project
<members>
蛎崎弘:vocals
武沢豊:electric guitars・12st guitar・computer programming・chorus
最上三樹生:synthesizer・percussion・computer programming
1.「邪魔はさせない」 詞:小林まさみ 曲・編:武沢豊
2.「Overture〜Misty Rose」 詞:小林まさみ 曲:蛎崎弘・武沢豊 編:武沢豊
3.「あなたがいい」 詞:小林まさみ 曲:蛎崎弘 編:武沢豊
4.「サクリファイス」 詞:小林まさみ 曲:蛎崎弘 編:武沢豊
5.「Modern Blue」 詞:小林まさみ 曲:蛎崎弘・武沢豊 編:武沢豊
<support musician>
矢萩渉:guitar
六土開正:bass
矢壁篤信:synthesizer drums
川島裕二 BAn[A]NA:synthesizer
本田昌生:synthesizer
松浦晃久:synthesizer・electric piano
長橋正浩:percussion
produced by 武沢豊・"r"Project
engineered by 井川彰夫
● 独特の響きを奏でるあのギターサウンドとデジタルサウンドの融合を目指した安全地帯サイドプロジェクト唯一のミニアルバム
1980年代中盤にスターダムにのし上がった日本が誇る都会派歌謡ロックバンド安全地帯は、86年以降はサウンドの進化が著しくサポートメンバーであった川島裕二(BAn[A]NA)によるキレのあるデジタルサウンドを生かしたアーバンエレクトロファンク風味の楽曲を持ち前の極上バラードと共に音楽性の柱に据えつつありましたが、スターダムに登り詰めたバンドにありがちなチャレンジ精神・実験精神の末にある音楽性の方向性の違いは、1度目のバンド活動休止へと導かれることになります。このサウンド進化に触発されたメンバーの1人がギターの武沢豊で、既に88年には安全地帯の活動と並行してソロプロジェクトを立ち上げます。82年にアルバム「夢路の果てに~センチメンタル・シンドローム~」でソロデビューしていた蛎崎弘をボーカリストに迎えたそのユニットは、蛎崎弘+"r"Projectと銘打たれ、安全地帯のMIDI System Operatorを担当していた最上三樹生のサポートを得ながら、早速テレビアニメ「F」のエンディングテーマのタイアップを獲得し、シングル「邪魔をさせない」でデビューを果たすことになります。そのシングルを収録した5曲入りのミニアルバムが本作です。
さて、武沢豊といえばあの特徴的なカッティングプレイですが、当然のことながら本ユニットでも存分にフィーチャーされています。あの繊細で几帳面なギターの音色に減衰音長めのコードが響けば一気に80's安全地帯、引いてはあの時代のノスタルジックな風景にタイムトリップしてしまうわけで、そういう意味でもこのカッティングの持つサウンド面での説得力は想像以上に世間に浸透していると言えるでしょう。そしてそのプレイと相性が良いのが本作でも試みられているシンセサイザーやデジタルな音像を形成するエフェクトによるギミックサウンドです。武沢が安全地帯を休止させてまで挑戦したのは、80's後半に顕著になったエレクトロファンクに傾倒し始めた安全地帯のサウンドに手応えを感じた武沢ギターの可能性を、さらにデジタル化したサウンドの中で追求したかったためではないかと思われますが、その試みが武沢本人として成功であったかどうかは別としても、ハスキーな高音ボーカルである蛎崎の声質との相性も良く、アーバンエレポップとしての一定のクオリティはクリアしている印象を受けます。そして参加しているサポートプレイヤーも含めてのプロジェクトということで、盟友の矢萩渉や六土開正、川島裕二や川島が引っ張ってきたと思われるPINKの矢壁篤信、現在では最もJ-POP界での活躍度が高い松浦晃久といった個性的な演奏陣のバックアップもしっかりハマっており、所期の目的は達せられたのではないかと思います。結局本プロジェクトは音源化は本作のみ、活動も短命で終了したようですが、昭和の終わりに微かな爪痕は残した作品として捉えています。
<Favorite Songs>
・「邪魔はさせない」
本ユニットの代名詞的なアーバンポップチューン。全編にわたり繊細な武沢のギタープレイが堪能できます。特にAメロや間奏におけるサスティンを効かせたカッティングはまさに80'sの象徴と言えるでしょう。シンセベースほかデジタルな音空間も楽しめるこれぞ都会派ロックの名曲です。
・「Modern Blue」
しつこいほどのカッティングがカットアップされたトリッキーなイントロが素直にカッコいいラストナンバー。目立たないながらもギミック的にシーケンスがプログラミングされており、特にマシナリーにFMピアノっぽいフレーズが駆け上がる部分などは印象的です。
<評点>
・サウンド ★★★ (やはりあの特徴的なギターはデジタルとの相性が良い)
・メロディ ★ (シングル曲はキャッチーだがその他は地味な印象)
・リズム ★ (ゲスト参加もあるが打ち込みリズムは総じて軽い)
・曲構成 ★ (5曲はプロジェクトの全貌を俯瞰するには少な過ぎる)
・個性 ★★ (あのカッティングがあるだけでサウンドがクールに)
総合評点: 6点
蛎崎弘+"r"Project
<members>
蛎崎弘:vocals
武沢豊:electric guitars・12st guitar・computer programming・chorus
最上三樹生:synthesizer・percussion・computer programming
1.「邪魔はさせない」 詞:小林まさみ 曲・編:武沢豊
2.「Overture〜Misty Rose」 詞:小林まさみ 曲:蛎崎弘・武沢豊 編:武沢豊
3.「あなたがいい」 詞:小林まさみ 曲:蛎崎弘 編:武沢豊
4.「サクリファイス」 詞:小林まさみ 曲:蛎崎弘 編:武沢豊
5.「Modern Blue」 詞:小林まさみ 曲:蛎崎弘・武沢豊 編:武沢豊
<support musician>
矢萩渉:guitar
六土開正:bass
矢壁篤信:synthesizer drums
川島裕二 BAn[A]NA:synthesizer
本田昌生:synthesizer
松浦晃久:synthesizer・electric piano
長橋正浩:percussion
produced by 武沢豊・"r"Project
engineered by 井川彰夫
● 独特の響きを奏でるあのギターサウンドとデジタルサウンドの融合を目指した安全地帯サイドプロジェクト唯一のミニアルバム
1980年代中盤にスターダムにのし上がった日本が誇る都会派歌謡ロックバンド安全地帯は、86年以降はサウンドの進化が著しくサポートメンバーであった川島裕二(BAn[A]NA)によるキレのあるデジタルサウンドを生かしたアーバンエレクトロファンク風味の楽曲を持ち前の極上バラードと共に音楽性の柱に据えつつありましたが、スターダムに登り詰めたバンドにありがちなチャレンジ精神・実験精神の末にある音楽性の方向性の違いは、1度目のバンド活動休止へと導かれることになります。このサウンド進化に触発されたメンバーの1人がギターの武沢豊で、既に88年には安全地帯の活動と並行してソロプロジェクトを立ち上げます。82年にアルバム「夢路の果てに~センチメンタル・シンドローム~」でソロデビューしていた蛎崎弘をボーカリストに迎えたそのユニットは、蛎崎弘+"r"Projectと銘打たれ、安全地帯のMIDI System Operatorを担当していた最上三樹生のサポートを得ながら、早速テレビアニメ「F」のエンディングテーマのタイアップを獲得し、シングル「邪魔をさせない」でデビューを果たすことになります。そのシングルを収録した5曲入りのミニアルバムが本作です。
さて、武沢豊といえばあの特徴的なカッティングプレイですが、当然のことながら本ユニットでも存分にフィーチャーされています。あの繊細で几帳面なギターの音色に減衰音長めのコードが響けば一気に80's安全地帯、引いてはあの時代のノスタルジックな風景にタイムトリップしてしまうわけで、そういう意味でもこのカッティングの持つサウンド面での説得力は想像以上に世間に浸透していると言えるでしょう。そしてそのプレイと相性が良いのが本作でも試みられているシンセサイザーやデジタルな音像を形成するエフェクトによるギミックサウンドです。武沢が安全地帯を休止させてまで挑戦したのは、80's後半に顕著になったエレクトロファンクに傾倒し始めた安全地帯のサウンドに手応えを感じた武沢ギターの可能性を、さらにデジタル化したサウンドの中で追求したかったためではないかと思われますが、その試みが武沢本人として成功であったかどうかは別としても、ハスキーな高音ボーカルである蛎崎の声質との相性も良く、アーバンエレポップとしての一定のクオリティはクリアしている印象を受けます。そして参加しているサポートプレイヤーも含めてのプロジェクトということで、盟友の矢萩渉や六土開正、川島裕二や川島が引っ張ってきたと思われるPINKの矢壁篤信、現在では最もJ-POP界での活躍度が高い松浦晃久といった個性的な演奏陣のバックアップもしっかりハマっており、所期の目的は達せられたのではないかと思います。結局本プロジェクトは音源化は本作のみ、活動も短命で終了したようですが、昭和の終わりに微かな爪痕は残した作品として捉えています。
<Favorite Songs>
・「邪魔はさせない」
本ユニットの代名詞的なアーバンポップチューン。全編にわたり繊細な武沢のギタープレイが堪能できます。特にAメロや間奏におけるサスティンを効かせたカッティングはまさに80'sの象徴と言えるでしょう。シンセベースほかデジタルな音空間も楽しめるこれぞ都会派ロックの名曲です。
・「Modern Blue」
しつこいほどのカッティングがカットアップされたトリッキーなイントロが素直にカッコいいラストナンバー。目立たないながらもギミック的にシーケンスがプログラミングされており、特にマシナリーにFMピアノっぽいフレーズが駆け上がる部分などは印象的です。
<評点>
・サウンド ★★★ (やはりあの特徴的なギターはデジタルとの相性が良い)
・メロディ ★ (シングル曲はキャッチーだがその他は地味な印象)
・リズム ★ (ゲスト参加もあるが打ち込みリズムは総じて軽い)
・曲構成 ★ (5曲はプロジェクトの全貌を俯瞰するには少な過ぎる)
・個性 ★★ (あのカッティングがあるだけでサウンドがクールに)
総合評点: 6点
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