「GUSTO」 Especia
「GUSTO」(2014 つばさ)
Especia

<members>
冨永悠香:vocal・voice sample
三ノ宮ちか:vocal・voice sample
杉本暁音:vocal・voice sample
三瀬ちひろ:vocal・voice sample
脇田もなり:vocal・voice sample
森絵莉加:vocal・voice sample
1.「Intro」
2.「BayBlues」 詞:mirco 曲:miifuu 編:Schtein&Longer
3.「FOOLISH」 詞:mirco・ポウル守屋 曲・編:Schtein&Longer
4.「アバンチュールは銀色に(GUSTO Ver)」 詞・曲・編:マセラティ渚
5.「Mount Up」 詞:三瀬ちひろ 曲:大谷武史 編:大谷武史・Schtein&Longer
6.「BEHIND YOU」 詞:mirco 曲・編:Schtein&Longer
7.「嘘つきなアネラ」 詞:UKO 曲:柿平愛 編:Schtein&Longer
8.「Intermission」
9.「No1 Sweeper」 詞:mirco 曲・編:Schtein&Longer
10.「L’elisir d’amore」 詞:mirco・ナンブフトシ 曲:Schtein&Longer 編:AWA
11.「海辺のサティ(PellyColo Remix)」 詞:mirco 曲・編:PellyColo
12.「ミッドナイトConfusion(Pureness Waterman Edit)」
詞・曲:SAWA 編:Schtein&Longer
13.「くるかな」 詞・曲・編:マセラティ渚
14.「アビス」 詞:mirco 曲:ikkubaru 編:ikkubaru・Schtein&Longer
15.「YA・ME・TE!(GUSTO Ver)」 詞:mirco 曲:松隈ケンタ 編:Schtein&Longer
16.「Outro」
<support musician>
大谷武史:guitar
佐久間崇文:guitar
横山佑輝:guitar・bass・drum programming
柿平愛:piano・chorus
蝿田ミノル:piano
米原俊:trumpet
中川悦宏:tenor sax・alto sax
UKO:chorus
嵯峨根エラン:voice sample
新貝友輝:voice sample
山本大地:voice sample
山田由樹:voice sample
清水大充:rap・chorus
sound produced by Schtein&Longer
engineered by Rillsoul
● 濃厚な80’s臭を醸し出す音楽性で勝負する大阪ギャルアイドルグループの満を持したバブリー&ムーディーな1stフルアルバム
大阪堀江の80'sフレーバー豊かな地方アイドルグループEspeciaは、2012年のシングル「DULCE」、翌年の収録曲を一部入れ替えた2形態の変則ミニアルバム「AMARGA -Noche-」「AMARGA -Tarde-」が話題を呼び、その知名度を徐々に一部の音楽マニア達に浸透させていきます。BiS等の楽曲提供でその名を知られつつあったSchtein&Longerこと横山佑輝をサウンドプロデューサーに迎えていた彼女らの楽曲は、現在の80'シティポップ〜AORムーブメントの先鞭をつける役割を担うこととなり、そのアイドルらしからぬ渋さ全開のサウンドメイクは、個性を際立たせようとするあまり多様なジャンルに活路を求めていくことになる10年代アイドルグループの中でも確固たる地位を獲得し、アイドルソングに対する新たなファン層を増やしていくモデルケースとして注目を浴びる存在となっていきました。そして2014年、待望の1stフルアルバムがリリースされることとなるわけです。
十分に期待を持たせてからのフルアルバムということで、本作も実にがっつり16曲という大作となっていますが、キャッチーな楽曲でのっけから引き込むということもなく、いきなりムードたっぷりのインストから「Bay Blues」「FOOLISH」といったミディアムテンポの(良い意味での)地味な楽曲で勝負する、そのベテランのような風格というか貫禄たるや、まだメジャーデビューも果たしていないアイドルグループらしからぬ落ち着きが感じられます。対して宅録女子シンガーSAWAが手がけたキャッチー&ポップチューン「ミッドナイトConfusion」(本作のバージョンには全く納得がいってはいませんが)やVaporwave感満載の本作のリードチューン「No1 Sweeper」、Bis関係を手掛ける気鋭のサウンドプロデューサー松隈ケンタ作曲のシングルカット曲「YA・ME・TE!」といった打ち込み系ダンスチューンでは、覚えやすいキラーフレーズをしっかり混ぜ込みながら80'sサウンドを満喫できます。そしてその他のアルバム曲はアルバム曲らしく出過ぎず目立た過ぎず、Schtein&Longerお得意の「乾いたブラスセクションと煮え切らないメロディ」という古き良きシティポップマナーを踏襲した楽曲で音楽通を頷かせるような気遣いがなされており、若干の間延び感はあるものの、そのいなたさ具合がそのままEspeciaというグループ自体の個性として成立しているため、特に嫌味にも感じられません。まずはこの楽曲の充実ぶりとグループ個性の完成から考えても彼女らが全盛期に差し掛かってきたことが如実に理解できる作品と言えるでしょう。
アイドルソングのみならずPOPSとしての質の高さが認められた本作を手土産に、メジャーフィールドへ進出、順風満帆に思われたEspeciaでしたが、そこからプロモーション戦略の失敗からかイメージチェンジ→失速→メンバー脱退→新メンバー加入によるイメージチェンジ→失速→解散というように、もったいない方向へと推移していきます。大阪特有の場末感が彼女達の魅力の1つでもあっただけに、東京進出による迷いが戦略に現れてしまった不幸な例となってしまったことは残念でなりません。
<Favorite Songs>
・「No1 Sweeper」
流麗なサックスソロから一気になだれ込んでくる80'sエレクトロファンクチューン。クッキリとしたリズムパターン、長尺に揺らしながらのシンセパッドが特徴ですが、それらが支えているのは彼女達の真摯なヴォーカルで、本作中でも最もリズム感や楽曲とのマッチ感に優れていると思います。
・「アビス」
皆さんお馴染みインドネシアのikkubaruが提供したド直球のシティポップナンバー。ブラスセクションや軽快なギターのカッティング以上に、非常にメロディラインが良いです。特にノスタルジックなAメロに心打たれます。
・「YA・ME・TE!(GUSTO Ver)」
跳ねるブラス、粒の立ったスラップベースにより抜群のノリを生み出したシングルカット曲。メインフレーズを動き回るブラスセクションに任せながら、ワウワウギターとピアノをバックにあくまでアナログに攻めまくります。間奏のサックスソロにも深みを感じます。
<評点>
・サウンド ★★★ (アイドルの必要性を感じさせないほどの貫禄の音像)
・メロディ ★ (本格派を追求するあまり地味なフレーズが多し)
・リズム ★★ (80'sの匂いも残しながらそれは現代風に再構築)
・曲構成 ★ (幾ら何でも16曲は放り込み過ぎで質に差も)
・個性 ★★ (本作以降何でもありのアイドルグループが増加)
総合評点: 7点
Especia

<members>
冨永悠香:vocal・voice sample
三ノ宮ちか:vocal・voice sample
杉本暁音:vocal・voice sample
三瀬ちひろ:vocal・voice sample
脇田もなり:vocal・voice sample
森絵莉加:vocal・voice sample
1.「Intro」
2.「BayBlues」 詞:mirco 曲:miifuu 編:Schtein&Longer
3.「FOOLISH」 詞:mirco・ポウル守屋 曲・編:Schtein&Longer
4.「アバンチュールは銀色に(GUSTO Ver)」 詞・曲・編:マセラティ渚
5.「Mount Up」 詞:三瀬ちひろ 曲:大谷武史 編:大谷武史・Schtein&Longer
6.「BEHIND YOU」 詞:mirco 曲・編:Schtein&Longer
7.「嘘つきなアネラ」 詞:UKO 曲:柿平愛 編:Schtein&Longer
8.「Intermission」
9.「No1 Sweeper」 詞:mirco 曲・編:Schtein&Longer
10.「L’elisir d’amore」 詞:mirco・ナンブフトシ 曲:Schtein&Longer 編:AWA
11.「海辺のサティ(PellyColo Remix)」 詞:mirco 曲・編:PellyColo
12.「ミッドナイトConfusion(Pureness Waterman Edit)」
詞・曲:SAWA 編:Schtein&Longer
13.「くるかな」 詞・曲・編:マセラティ渚
14.「アビス」 詞:mirco 曲:ikkubaru 編:ikkubaru・Schtein&Longer
15.「YA・ME・TE!(GUSTO Ver)」 詞:mirco 曲:松隈ケンタ 編:Schtein&Longer
16.「Outro」
<support musician>
大谷武史:guitar
佐久間崇文:guitar
横山佑輝:guitar・bass・drum programming
柿平愛:piano・chorus
蝿田ミノル:piano
米原俊:trumpet
中川悦宏:tenor sax・alto sax
UKO:chorus
嵯峨根エラン:voice sample
新貝友輝:voice sample
山本大地:voice sample
山田由樹:voice sample
清水大充:rap・chorus
sound produced by Schtein&Longer
engineered by Rillsoul
● 濃厚な80’s臭を醸し出す音楽性で勝負する大阪ギャルアイドルグループの満を持したバブリー&ムーディーな1stフルアルバム
大阪堀江の80'sフレーバー豊かな地方アイドルグループEspeciaは、2012年のシングル「DULCE」、翌年の収録曲を一部入れ替えた2形態の変則ミニアルバム「AMARGA -Noche-」「AMARGA -Tarde-」が話題を呼び、その知名度を徐々に一部の音楽マニア達に浸透させていきます。BiS等の楽曲提供でその名を知られつつあったSchtein&Longerこと横山佑輝をサウンドプロデューサーに迎えていた彼女らの楽曲は、現在の80'シティポップ〜AORムーブメントの先鞭をつける役割を担うこととなり、そのアイドルらしからぬ渋さ全開のサウンドメイクは、個性を際立たせようとするあまり多様なジャンルに活路を求めていくことになる10年代アイドルグループの中でも確固たる地位を獲得し、アイドルソングに対する新たなファン層を増やしていくモデルケースとして注目を浴びる存在となっていきました。そして2014年、待望の1stフルアルバムがリリースされることとなるわけです。
十分に期待を持たせてからのフルアルバムということで、本作も実にがっつり16曲という大作となっていますが、キャッチーな楽曲でのっけから引き込むということもなく、いきなりムードたっぷりのインストから「Bay Blues」「FOOLISH」といったミディアムテンポの(良い意味での)地味な楽曲で勝負する、そのベテランのような風格というか貫禄たるや、まだメジャーデビューも果たしていないアイドルグループらしからぬ落ち着きが感じられます。対して宅録女子シンガーSAWAが手がけたキャッチー&ポップチューン「ミッドナイトConfusion」(本作のバージョンには全く納得がいってはいませんが)やVaporwave感満載の本作のリードチューン「No1 Sweeper」、Bis関係を手掛ける気鋭のサウンドプロデューサー松隈ケンタ作曲のシングルカット曲「YA・ME・TE!」といった打ち込み系ダンスチューンでは、覚えやすいキラーフレーズをしっかり混ぜ込みながら80'sサウンドを満喫できます。そしてその他のアルバム曲はアルバム曲らしく出過ぎず目立た過ぎず、Schtein&Longerお得意の「乾いたブラスセクションと煮え切らないメロディ」という古き良きシティポップマナーを踏襲した楽曲で音楽通を頷かせるような気遣いがなされており、若干の間延び感はあるものの、そのいなたさ具合がそのままEspeciaというグループ自体の個性として成立しているため、特に嫌味にも感じられません。まずはこの楽曲の充実ぶりとグループ個性の完成から考えても彼女らが全盛期に差し掛かってきたことが如実に理解できる作品と言えるでしょう。
アイドルソングのみならずPOPSとしての質の高さが認められた本作を手土産に、メジャーフィールドへ進出、順風満帆に思われたEspeciaでしたが、そこからプロモーション戦略の失敗からかイメージチェンジ→失速→メンバー脱退→新メンバー加入によるイメージチェンジ→失速→解散というように、もったいない方向へと推移していきます。大阪特有の場末感が彼女達の魅力の1つでもあっただけに、東京進出による迷いが戦略に現れてしまった不幸な例となってしまったことは残念でなりません。
<Favorite Songs>
・「No1 Sweeper」
流麗なサックスソロから一気になだれ込んでくる80'sエレクトロファンクチューン。クッキリとしたリズムパターン、長尺に揺らしながらのシンセパッドが特徴ですが、それらが支えているのは彼女達の真摯なヴォーカルで、本作中でも最もリズム感や楽曲とのマッチ感に優れていると思います。
・「アビス」
皆さんお馴染みインドネシアのikkubaruが提供したド直球のシティポップナンバー。ブラスセクションや軽快なギターのカッティング以上に、非常にメロディラインが良いです。特にノスタルジックなAメロに心打たれます。
・「YA・ME・TE!(GUSTO Ver)」
跳ねるブラス、粒の立ったスラップベースにより抜群のノリを生み出したシングルカット曲。メインフレーズを動き回るブラスセクションに任せながら、ワウワウギターとピアノをバックにあくまでアナログに攻めまくります。間奏のサックスソロにも深みを感じます。
<評点>
・サウンド ★★★ (アイドルの必要性を感じさせないほどの貫禄の音像)
・メロディ ★ (本格派を追求するあまり地味なフレーズが多し)
・リズム ★★ (80'sの匂いも残しながらそれは現代風に再構築)
・曲構成 ★ (幾ら何でも16曲は放り込み過ぎで質に差も)
・個性 ★★ (本作以降何でもありのアイドルグループが増加)
総合評点: 7点
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