「水の中の小さな太陽」 杉本彩
「水の中の小さな太陽」(1988 クラウン)
杉本彩:vocal・back-up vocals

1.「13日のルナ(EXTENDED MIX)」 詞:森雪之丞 曲・編:百石元
2.「EVERYTHING IS O.K. NOW」 詞:岡本千歳永 曲・編:百石元
3.「Party Town」 詞:Lenzie Crosby 曲・編:勝又隆一
4.「水の中のナイフ」 詞:森雪之丞 曲・編:勝又隆一
5.「ブラック・ベルベット」 詞:森雪之丞 曲・編:百石元
6.「ゆっくり愛して」 詞:岡本千歳永 曲:緒里原洋子 編:勝又隆一・緒里原洋子
7.「月光」 詞:岡本千歳永 曲・編:勝又隆一
8.「流されて・・・楽園」 詞:森雪之丞 曲:高橋幸宏・菅原弘明 編:勝又隆一
9.「ILLUSION」 詞:森雪之丞 曲・編:勝又隆一
10.「光の魚たち」 詞:森雪之丞 曲・編:百石元
11.「Shaker」 詞:岡本千歳永 曲・編:緒里原洋子
<support musician>
Lenzie Crosby:vocal
百石元:guitars・synthesizers
緒里原洋子:keyboards
勝又隆一:keyboards・synthesizer programming
栗尾直樹:keyboards
土岐英史:sax
数原晋:flugelhorn
金山功:vibraphone
EVE:back-up vocals
岡本千歳永:back-up vocals
広谷順子:back-up vocals
山梨鐐平:back-up vocals
produced by 中根康旨
engineered by 市橋一宏
● グラビアアイドルらしからぬ緻密な打ち込みサウンドに乗ったしとやかな歌唱が意外性を持つ隠れた好作品
1980年代よりその大人びたルックスと日本人離れしたプロポーションによりモデルやキャンペーンガールとして引っ張りだこの存在であった杉本彩は、タレント活動のかたわら音楽活動にも積極的に関わるようになり、1988年4月にシングル「BOYS」で歌手デビュー、7月には1stアルバム「彩」をリリースしライブステージにも数多く出演、後に「学祭の女王」と呼ばれるほどの堂々としたパフォーマンスで、ルックスやスタイルだけでないパーソナリティーの強さをアピールしていくこととなります。その一方でアルバム作りには余念がなく、同年末には早くも2ndアルバムリリースを果たします。その2ndアルバムである本作は、1stのダンサブル路線を踏襲しながらも持ち前の艶やかさと当時20歳という年齢に似つかわしくない妖しさを兼ね備えたエレクトリック風味のファンクサウンドで聴き手を魅了する作品となっています。
既に80年代末〜90年代初頭の洗練されたサウンドを醸し出している本作は、イメージ以上に緻密なプログラミングによるシンセサウンドが強調されたデジタルファンクチューンが目白押しです。非常に粘っこさを感じる音色で縦横無尽に駆け巡るシンセベース、88年という時代を感じさせるキレとパワーを兼ね備えたスネアサウンド、この手の楽曲には必須ともいえる下世話さ全開のシンセブラス、どれをとってもかなりの濃い味です。本作のサウンドを手掛けるのは21世紀以降はアニメ「けいおん!」の劇伴&アレンジャーとしてその名を轟かせる若き日の百石元と、これも後年は劇伴のみならず多方面のサポート等活躍の場を広げたキーボーディストの勝又隆一で、彼らの大胆なファンクネスワールドは、これでもかとレゾナンスがかけられたシンセと、ゲートスネア&エレドラタムの80年代全開サウンドだからこそ映えるのではと思わせるほど完成度の高いものです。これらも杉本彩が持っている強烈な個性が音の反映されたと言ってもよいのですが、派手でしつこい粘り気全開のサウンドの中でメロディにはどこか陰が存在したり、歌はどちらかというとファニーでキュートな声質であるにもかかわらず、背伸びして大人ぶってみたりと、20歳前後特有の微妙な芯の揺れ方が楽曲自体にも波及しているのか、妙な危うさすら感じるのは言い過ぎでしょうか。しかしながらその危うさが本作を一歩突き抜けた印象として記憶させることに成功していますし、とてもタレント業の片手間の音楽活動とは思えない冒険的かつ高品質なサウンドを突き詰められているのではないでしょうか。その後彼女の音楽活動は91年までに4年間で6枚のアルバムリリースと積極的に続けられますが、徐々に沈静化、しかしながら紆余曲折を経ながらも現在もタレントとして芸能界を生き抜いています。
<Favorite Songs>
・「水の中のナイフ」
なんともねちっこいサウンドで艶やかさを増幅させるファンクチューン。シンプルな音構成ながらグチョグチョのシンセベースとは対照的なパワフルドラムがゴージャズです。サビのラストの何とも言えない侘しさから雪崩れ込むエレドラ連打と下世話ブラスのコラボレーションは本作のハイライトです。
・「ブラック・ベルベット」
余りの高速シンセベースにスペイシーな感覚すら感じるあえてテクノポップと呼ぶべき楽曲。キャッチーなサビへの持って行き方も申し分なく、単純に非常に構成が良くできています。前述のようにシンセベースのフリーダムなスピードが魅力的で、そのダンサブル感覚は当時の久保田利伸とタメを張っています。
・「月光」
これも非常に濃い味満点のデジタルファンクチューン。ミディアムテンポの落ち着いた楽曲でありながら、しつこいくらいのシンセベースとペラペラなギター、バスドラ連打(少しもつれ気味というニクい演出)も鮮やかなバキバキのマシナリーリズム(これもしつこい!)が素晴らしいです。
<評点>
・サウンド ★★★ (特にしつこさ満点のシンベがインパクト抜群)
・メロディ ★★ (サビ前まで考え抜かれた構成に上手さを感じる)
・リズム ★★★ (全編打ち込みながら気合いのパワーサウンド)
・曲構成 ★★ (後半は落ち着いたが中盤の名曲構成が濃度満点)
・個性 ★ (片手間でなく真剣に音楽に取り組む姿勢が◯)
総合評点: 7点
杉本彩:vocal・back-up vocals

1.「13日のルナ(EXTENDED MIX)」 詞:森雪之丞 曲・編:百石元
2.「EVERYTHING IS O.K. NOW」 詞:岡本千歳永 曲・編:百石元
3.「Party Town」 詞:Lenzie Crosby 曲・編:勝又隆一
4.「水の中のナイフ」 詞:森雪之丞 曲・編:勝又隆一
5.「ブラック・ベルベット」 詞:森雪之丞 曲・編:百石元
6.「ゆっくり愛して」 詞:岡本千歳永 曲:緒里原洋子 編:勝又隆一・緒里原洋子
7.「月光」 詞:岡本千歳永 曲・編:勝又隆一
8.「流されて・・・楽園」 詞:森雪之丞 曲:高橋幸宏・菅原弘明 編:勝又隆一
9.「ILLUSION」 詞:森雪之丞 曲・編:勝又隆一
10.「光の魚たち」 詞:森雪之丞 曲・編:百石元
11.「Shaker」 詞:岡本千歳永 曲・編:緒里原洋子
<support musician>
Lenzie Crosby:vocal
百石元:guitars・synthesizers
緒里原洋子:keyboards
勝又隆一:keyboards・synthesizer programming
栗尾直樹:keyboards
土岐英史:sax
数原晋:flugelhorn
金山功:vibraphone
EVE:back-up vocals
岡本千歳永:back-up vocals
広谷順子:back-up vocals
山梨鐐平:back-up vocals
produced by 中根康旨
engineered by 市橋一宏
● グラビアアイドルらしからぬ緻密な打ち込みサウンドに乗ったしとやかな歌唱が意外性を持つ隠れた好作品
1980年代よりその大人びたルックスと日本人離れしたプロポーションによりモデルやキャンペーンガールとして引っ張りだこの存在であった杉本彩は、タレント活動のかたわら音楽活動にも積極的に関わるようになり、1988年4月にシングル「BOYS」で歌手デビュー、7月には1stアルバム「彩」をリリースしライブステージにも数多く出演、後に「学祭の女王」と呼ばれるほどの堂々としたパフォーマンスで、ルックスやスタイルだけでないパーソナリティーの強さをアピールしていくこととなります。その一方でアルバム作りには余念がなく、同年末には早くも2ndアルバムリリースを果たします。その2ndアルバムである本作は、1stのダンサブル路線を踏襲しながらも持ち前の艶やかさと当時20歳という年齢に似つかわしくない妖しさを兼ね備えたエレクトリック風味のファンクサウンドで聴き手を魅了する作品となっています。
既に80年代末〜90年代初頭の洗練されたサウンドを醸し出している本作は、イメージ以上に緻密なプログラミングによるシンセサウンドが強調されたデジタルファンクチューンが目白押しです。非常に粘っこさを感じる音色で縦横無尽に駆け巡るシンセベース、88年という時代を感じさせるキレとパワーを兼ね備えたスネアサウンド、この手の楽曲には必須ともいえる下世話さ全開のシンセブラス、どれをとってもかなりの濃い味です。本作のサウンドを手掛けるのは21世紀以降はアニメ「けいおん!」の劇伴&アレンジャーとしてその名を轟かせる若き日の百石元と、これも後年は劇伴のみならず多方面のサポート等活躍の場を広げたキーボーディストの勝又隆一で、彼らの大胆なファンクネスワールドは、これでもかとレゾナンスがかけられたシンセと、ゲートスネア&エレドラタムの80年代全開サウンドだからこそ映えるのではと思わせるほど完成度の高いものです。これらも杉本彩が持っている強烈な個性が音の反映されたと言ってもよいのですが、派手でしつこい粘り気全開のサウンドの中でメロディにはどこか陰が存在したり、歌はどちらかというとファニーでキュートな声質であるにもかかわらず、背伸びして大人ぶってみたりと、20歳前後特有の微妙な芯の揺れ方が楽曲自体にも波及しているのか、妙な危うさすら感じるのは言い過ぎでしょうか。しかしながらその危うさが本作を一歩突き抜けた印象として記憶させることに成功していますし、とてもタレント業の片手間の音楽活動とは思えない冒険的かつ高品質なサウンドを突き詰められているのではないでしょうか。その後彼女の音楽活動は91年までに4年間で6枚のアルバムリリースと積極的に続けられますが、徐々に沈静化、しかしながら紆余曲折を経ながらも現在もタレントとして芸能界を生き抜いています。
<Favorite Songs>
・「水の中のナイフ」
なんともねちっこいサウンドで艶やかさを増幅させるファンクチューン。シンプルな音構成ながらグチョグチョのシンセベースとは対照的なパワフルドラムがゴージャズです。サビのラストの何とも言えない侘しさから雪崩れ込むエレドラ連打と下世話ブラスのコラボレーションは本作のハイライトです。
・「ブラック・ベルベット」
余りの高速シンセベースにスペイシーな感覚すら感じるあえてテクノポップと呼ぶべき楽曲。キャッチーなサビへの持って行き方も申し分なく、単純に非常に構成が良くできています。前述のようにシンセベースのフリーダムなスピードが魅力的で、そのダンサブル感覚は当時の久保田利伸とタメを張っています。
・「月光」
これも非常に濃い味満点のデジタルファンクチューン。ミディアムテンポの落ち着いた楽曲でありながら、しつこいくらいのシンセベースとペラペラなギター、バスドラ連打(少しもつれ気味というニクい演出)も鮮やかなバキバキのマシナリーリズム(これもしつこい!)が素晴らしいです。
<評点>
・サウンド ★★★ (特にしつこさ満点のシンベがインパクト抜群)
・メロディ ★★ (サビ前まで考え抜かれた構成に上手さを感じる)
・リズム ★★★ (全編打ち込みながら気合いのパワーサウンド)
・曲構成 ★★ (後半は落ち着いたが中盤の名曲構成が濃度満点)
・個性 ★ (片手間でなく真剣に音楽に取り組む姿勢が◯)
総合評点: 7点
【特別レビュー第2弾】 「la fine delle comunicazioni」VIDRA
皆様、いつも当ブログをご覧いただきありがとうございます。
TECHNOLOGY POPS π3.14です。
当ブログは常々過去のTECHNOLOGY POPSな名盤を淡々と紹介しているレビューブログですが、昨年は初めてオファーを受ける形で初めて「特別編」ということで先行レビューに挑戦しました(THE HAKKIN「情緒」)。
そして2016年、再び当ブログにレビューのオファーがやってまいりました。そして驚くことに今度は何と海外!イタリアからのオファーです。
去る5月末、SNS経由である外国人からのDMが届きました。そこには、「I’m in love with "Technologypops"'s page, i discovered a lot of albums on it! You are as a lighthouse for technopop-fans」と記されてあり、海外の方にも本ブログは読まれているのか、全部日本語なのに。」と驚いていたのですが、続いて「So, can i sand you my new record for a music review? 」という言葉が。
DMの送り主の彼、Francesco Fecondoは「VIDRA」というバンドで活動していて、近々アルバムを出すからレビューのために送っていい?と言うのです。非常に直球な言葉に潔さを感じたのと、「a lighthouse for technopop-fan」という言葉が非常に気に入りまして、レビューを快諾しまして今回のレビューに至ったわけです。
聞くところによるとFecondo氏は日本のテクノポップファンであり、特にP-MODELと平沢進を自宅スタジオルームに肖像画を掲げるくらいに崇拝しているとのこと(趣味で平沢楽曲をカバーしたりする愛しっぷり)。お気に入りのアルバムは「Aurora」(渋い!)で、なんとP-MODELの存在を当ブログで知っていただいたとのことで、ほかにもP-MODELを紹介しているサイトが多々ある中から、きっかけを当ブログでつかんでいただいたことに感謝すると共に、そのような日本のTECHNOLOGY POPSを探して堪能しているコアでマニアックな人たちが海外に潜在していることに、身が引き締まる思いをさせられたわけです。
そのようなわけで、今回はそんなFecondo氏のバンド、VIDRAの記念すべき1stアルバム「la fine delle comunicazioni」をレビューさせていただきます。
非常に興味深い、個性的なTECHNOLOGY POPSに仕上がっていますので、是非レビューをお読みいただき、彼らを知ってもらうと共に彼らの活動に日本でも是非注目していってもらいたいと思います。
それではどうぞご覧下さい。
「la fine delle comunicazioni」 (2016 Rupa Rupa)
VIDRA

<members>
Antonella “Giga” Gigantino:voice
Francesco “Frencio” Fecondo:voice・keytar Yamaha KX5・Fender Mustang MIDI・Siel Cruise・Kawai Spectra・sampling・keyboards programming・electronic drums programming・pre-production arrangement
Michela Coppola:viola・pre-production arrangement
Davide Emanuele Zinna:electric guitars・electronic drums programming
1.「IL SEGNALE RADIO」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
2.「LA FINE DELLE COMUNICAZIONI」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
3.「TITANIO (feat.Raza)」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
4.「COSA NASCONDE IL CIELO?」
Alessandro Orlando Graziano/Francesco Fecondo-Antonella Gigantino
5.「TRIMOTORE IDROVOLANTE」 Gaio Chicchio/Amedeo Minghi
6.「NELLE PAUSE」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
7.「EMME DA BERLINO」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
8.「ROSSETTO E CIOCCOLATO」 Oscar Avogadro-Ornella Vanoni/Roberto Pacco
9.「PAULINE (feat.Alessandro Orlando Graziano)」
Antonella Gigantino-Francesco Fecondo
10.「CUMULI DI TE」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
11.「APRILE PASSA IN FRETTA」
Antonella Gigantino/Francesco Fecondo-Antonella Gigantino
<support musician>
Alessandro Orlando Graziano:voice
Nazario “Raza” Bizzoco:voice
Cesare Savastano:electric guitars
Gerardo Coppola:electric guitars・electric bass・EVM synth bassline・keyboards programming・electronic drums programming・pre-production arrangement
Peppino De Florio:electric guitars
Gabriele Loria:keyboards programming・electronic drums programming・Roland Space Echo RE-201
Raffaele “Raffaman” Cassese:tenor sax
produced by Gabriele Loria
engineered by Gabriele Loria
● 過去と未来が交錯する魅惑のルネッサンス・シンセポップ!イタリアから颯爽と登場した個性派エレクトリックバンド待望の1stアルバム
イタリアとTECHNOLOGY POPS……そもそもイタリアとエレクトリックな音楽スタイルの相性の良さは、過去の歴史からも証明されているところです。イタリアの音楽シーンにほとんど詳しくない筆者から見ても、「I Like Chopin」(日本人も大好きな「雨音はショパンの調べ」の原曲)で有名なGazeboや、80’sユーロビートの神的存在であるMichael Fortunati、フランス人バンドながらイタリア中心に活動していた銀塗りスキンヘッド宇宙人スペースロックバンドRockets、80年代初頭に活躍したGaznevada、暗黒プログレからシンセサイザーミュージックの女帝として名を馳せたDoris Norton……数々の個性的なテクノ&ニューウェーブ系バンドやアーティストが、日本では知られたり知られなかったりしながら、潜在的に、時にはまばゆい光を放ちながら活動していたわけです。そして忘れてはならないのが、イタロ・ディスコの存在。80’sユーロビートはこのいなたい歌謡メロディとマシナリーなビートの絶妙な相性がポイントのこのジャンルに先導されていたと言っても過言ではなく、少なくとも日本においては非常に親和性を感じる音楽として広く知られているところです。
翻って日本のテクノポップ・ニューウェーブ界隈がイタリアの伝統音楽(例えばカンツォーネ等)を積極的に取り入れた例として有名なのが、かの香織率いる伝説的なバンド、Ciocollata(ショコラータ)ですが、彼らの前衛的なサウンドを改めて聴いてみると、実にイタリアンミュージックとエレクトリックミュージックのケミストリーによる可能性は無限に広がっていると言わざるを得ませんが、このショコラータ以来、こうしたカンツォーネニューウェーブ的なバンドサウンドに挑戦するようなグループが存在しないのも残念な事実です。
今回取り上げるVIDRAはそんなテクノロジーな音楽と抜群の相性を持つイタリアから現れた新進気鋭のシンセポップグループです。VIDRAは2006年にイタリアのサレルノで結成、当時はAntonella Gigantino(Vocal)とFrancesco Fecondo(keyboards)の男女デュオとしてYazooやEurythmicsのようなシンセポップデュオを目指していたようですが、紆余曲折の後Davide Emanuele Zinna(electric guitars & programming)とMichela Coppola(viola)が加わって、4人組のバンドとなり現在のスタイルに落ち着いているということです。その後いくつかのライブイベントに出演してきた彼らは、2015年に本格的に音源を発表すべくRupa Rupa Recordsと契約、配信シングルとしてイタリアの有名なシンガーソングライターAmedeo Minghiの1986年アルバム「Cuori di pace」収録曲のリメイク「TRIMOTORE IDROVOLANTE」と1stアルバムのタイトルチューンとなる「LA FINE DELLE COMUNICAZIONI」をリリース、その斬新なスタイルのシンセポップサウンドである種のインパクトを与え、翌2016年、いよいよ満を持して本作がリリースされました。
それでは彼らの1stアルバム「la fine delle comunicazioni」について、あくまでTECHNOLOGY POPS的な側面から見ていきたいと思います。
さて、このVIDRAの最大の特徴は何といってもMichela Coppolaのヴィオラでしょう。この美しき女性ヴィオリストのクラシカルな旋律はおよそシンセポップサウンドと交わるにはいささか異質なものであり、それゆえに既存の同時代のエレクトリックミュージックの枠にとらわれない類稀な個性を導き出しています。何よりもヴァイオリンではなくてヴィオラというのが実に良いです。ワンランク低い音でありながらチェロのような重心を感じさせることのない、その微妙かつ芳醇な音感覚は比較的チープでスペイシーなシーケンスとも絶妙なマッチングを見せており、その化学変化は大成功と言えるでしょう。
そして、VIDRAサウンドの中心であり、ほとんどのオリジナル楽曲を手掛けるFrancesco Fecondoのサウンドメイクも緻密かつ丁寧に編み込まれており、さすがはシンセポップバンドと銘打つだけあると言えますが、何といっても興味深いのはその使用機材です。イタリア産のアナログシンセサイザーSiel Cruise。String Machineとも呼ばれたKORG Mono/Polyスタイルと言える1音モノ/10音ポリのチープなシンセが本作では大活躍で、随所で聴かれる電子音ギミックや空間を支配するような柔らかいパッド系音色によって楽曲に鮮やかな彩りを与えることに成功しています。そして忘れてはならないのがKawai Spectra。この軽量著しいデジタルシンセをメインで使用するキーボーディストは、解凍P-MODEL時代のことぶき光の「シンセ砦」の斬新な縦置きスタンディングに使用されて以来ほとんど出会っていませんが、チープな中にも主張する電子音としての存在感の一角を担っていて、この珍しい組み合わせがメインのシンセサウンドが独特のVIDRAサウンドをデザインしていると言っても過言ではありません。
彼はMIDIギターやnumark orbitなどのワイヤレスMIDIシステムも操るなど、電子的ガジェットをライブパフォーマンスで積極的に使用しており(このあたりに平沢進の影響が如実に現れていますが)、シンセマニアにも興味深い部分であると思われます。
また、Michela Coppolaの兄である「5人目のVIDRA」と呼ばれるGerardo Coppolaの活躍ぶりも見逃せません。ベースやドラムといったリズム隊が存在しないVIDRAにあって、ギタリスト兼ベーシストでもある彼の存在は大きく、(推測ではありますが)特にベースラインの構築には彼のセンスによる部分も大きいのかもしれません。バンドを俯瞰的に見ながら全体をサポートする影のプロデューサー的な立場で関わっていると言った方が良さそうですが、エンジニアとしてサウンドを支えるGabriele Loriaと並んで、VIDRAの大切なパートナー達の功績も称えるべきでしょう。
加えて、情熱的である意味男性的とも言える情感豊かなヴォーカルを聴かせるAntonella Gigantinoはもちろんのこと、Davide Emanuele Zinnaも目立たないものの側面的にバンドサウンドの一端を担っており、現在の4人組のシンセポップバンドというスタイルは安定期にあると言っても良いのではないでしょうか。
それにしても彼らのサウンドはいわゆるトラディショナルかつクラシカルなフレーズと近未来的な電子音が混在する、過去と未来のエアポケットに入ったような不思議感覚満載の音世界であり、これを安直なネーミングですが「ルネッサンス・シンセポップ」と名付けたいと思います。
ジャパニーズテクノポップが好きなFecondoがイニシアチブを取りながらも、GigantinoはR&Bやブラックミュージック、Davideは90’s Pop & Rock、Michelaは近代〜現代の前衛的なクラシック音楽がルーツということで、様々な志向が混在しながらも今後のサウンドの方向性にも期待が持てそうです。
こうしているうちにもFecondoは日本のTECHNOLOGY POPSを熱心に探求し自身の音楽性の糧にしているところですので、将来的にはP-MODELファミリー的なサウンドにもシフトしていくかもしれません。日本のリスナーにも彼らの今後の行く末に興味を持ってもらいたいところです。
それでは最後にアルバム「la fine delle comunicazioni」に収録された各楽曲ごとに一口レビューします。
1.「IL SEGNALE RADIO」
イントロダクション的なオープニングナンバー。荘厳なヴィオラのフレーズから始まるますが、すぐにバリバリのエレクトリカルなフレーズが畳み掛けられます。四つ打ちピコピコシーケンスに、濁ったシンセフレーズ(ここがまさにラジオノイズ的!)からのランダムフレーズが実にスペイシー。短いながらも多彩な要素が詰まったもったいなさすら感じる好楽曲です。
2.「LA FINE DELLE COMUNICAZIONI」
彼らの代名詞的なタイトルチューン。淡々とした四つ打ちリズムに牧歌的でチープなシーケンスが絡みます。そして独特なヴィオラの響きが中世なのか未来なのかを惑わせる不思議な感覚を演出しています。Cパートのアトモスフィア感溢れる見事なディレイワーク、そしてアウトロへつながるバロックなヴィオラフレーズの多幸感など、彼らの魅力が詰まった名曲です。
3.「TITANIO」
プログレ風味のインテリジェンステクノ的なシンセポップ。リバーブたっぷりのスネア、多彩なシンセ音色と緻密なエフェクトワークがポイントです。イコライジングされたGigantinoとRaza(本作のアートワークも手掛けている)のヴォーカルとボコーダーも雰囲気たっぷりで、ヴィオラの芳醇な音像もあってそこはかとないロマンチシズムが感じられます。めくるめくプログレッシブな展開からの激しいギターも彼らのサウンドにしては硬派な部類に入るでしょう。
4.「COSA NASCONDE IL CIELO?」
ノスタルジックなイメージが豊富なミディアムチューン。Aメロのギター系音色のフレーズやBメロのピアノ等に施されるリバーブ&ディレイ等の空間処理の使い方が秀逸で、流麗なヴィオラの後ろでかぶさっているSiel Gruise(と思われる)ロングトーンのシンセパッドがロマンティックで、この浮遊感がこの楽曲の最大の魅力と言えるでしょう。
5.「TRIMOTORE IDROVOLANTE」
先行配信されたAmedeo Minghi楽曲のリメイク。原曲は楽天的な雰囲気すら漂うイタリアンPOPSでしたが、このリメイクでは緊張感漂うスペイシーテクノ気味なシンセポップイントロとハウス調に刻むピアノで独自性を演出、イントロ前の「ピュイ〜ン!」という電子ギミックが味わい深いです。そしてシンセパッドとヴィオラの滲み方はここでも非凡なセンスを見せており、ヴィオラとテクノポップマナー漂うシーケンスとの抜群の相性を再確認できます。無機質なテクノフレーズがヴィオラによって一気に生命が与えられロマンティックに高揚させるところが実に興味深いです。
6.「NELLE PAUSE」
この楽曲も宇宙を感じさせる壮大な音世界を彷佛とさせるミディアムチューン。うっすらとしたディレイがスペイシーですが、この楽曲のポイントはサビの実に柔らかいコードワーク+土着的リズムの味わい、そして平沢ライクなデストロイギターの導入といったところでしょうか。それにしてもここまでヴィオラが活躍するPOPSはこれまでにあったでしょうか。
7.「EMME DA BERLINO」
彼らの3曲目のPVも制作された本作中でもニューウェーブ感が強い楽曲。それはPeppino De Florioの開放的で乾いたギターワークによる部分が大きいのですが、ここでも控えめながらも硬質なシーケンスでバックを支えながらフレットレスベース的な音色でアクセントを加えています。そうは言いながらも基本的な曲調はゆったりとした情緒豊かなロマンティックPOPSで、アウトロではやはりフワッとしたヴィオラがフィーチャーされていきます。
8.「ROSSETTO E CIOCCOLATO」
イタリアが誇るシンガーOrnella Vanoniの1996年の名曲をリカバー。ここでは比較的原曲に忠実なリメイクを施していますが、粒の立ったヴィオラによってバロック風味がさらに強まっています。Gigantinoの中性的な声質を生かしたハーモナイズからの情感溢れるサックスソロは本作の中でも異色のAORな雰囲気を漂わせています。
9.「PAULINE」
この楽曲も比較的ポップテイスト全開なAORナンバー。電子音は控えめでいなたさも残るメロディではあるものの、こういった楽曲でこそヴァイオリンではなくヴィオラのような高低音な音階が映えます。現在も活躍するシンガー&クリエイターのAlessandro Orlando Grazianoも、イタリアらしいしつこいくらいの情感豊かなヴォーカルでサポートしています。
10.「CUMULI DI TE」
Fecondoの趣味がモロに出たようなレトロ80'sなエレポップ風味なロックチューン。80'sのチープなかっこよさを極限までに追求したサウンドが眩し過ぎます。イントロのリードシンセの滲み方やスネアのゲートリバーブのキレの良さ、習作的にすら感じられるほどチープなシンセパッド、そして陰のあるマイナーメロディにはJ-POPからの影響も感じられます。サンプルボイスで遊びの要素を入れたり、SIel Cruise大活躍のギターライクな歪み系シンセソロ等見せ場もたっぷりな個人的な本作随一のキラーチューンです。
11.「APRILE PASSA IN FRETTA」
ラストのロマンティックバラードはマジカル&ファンタジーなスペイシーチューンに。美しさと妖しさを内包した上下するランダムシーケンスが実にスピリチュアルです。メジャーに転調するサビでヴィオラが入ると一気にノスタルジーを感じさせますが、それまでのスピリチュアル全開のサウンドとのコントラストが不思議度を加速させます。ラストに近づくにつれてファンタジック性も強まり、ラストにはCesare Savastanoによる激しい前衛的なギターソロで最高潮で盛り上げながらそのまま終了するところも、一筋縄ではいかない彼ららしいと思わせる説得力があります。
<評点>
・サウンド ★★★★ (シンセ好きが高じた珍しいチープシンセの共演)
・メロディ ★★ (イタリアンPOPSマナーの独特のメロディ感覚)
・リズム ★★★ (現代的なリズム構築ながら80's音色もしっかり研究)
・曲構成 ★★★★ (想像以上に硬軟自在のバラエティに富んだ構成に)
・個性 ★★★★★(シンセ&ヴィオラの相乗効果は新たな発見に)
総合評点: 8点
日本ではショップメカノでも販売されています。
http://members3.jcom.home.ne.jp/mecano/
TECHNOLOGY POPS π3.14です。
当ブログは常々過去のTECHNOLOGY POPSな名盤を淡々と紹介しているレビューブログですが、昨年は初めてオファーを受ける形で初めて「特別編」ということで先行レビューに挑戦しました(THE HAKKIN「情緒」)。
そして2016年、再び当ブログにレビューのオファーがやってまいりました。そして驚くことに今度は何と海外!イタリアからのオファーです。
去る5月末、SNS経由である外国人からのDMが届きました。そこには、「I’m in love with "Technologypops"'s page, i discovered a lot of albums on it! You are as a lighthouse for technopop-fans」と記されてあり、海外の方にも本ブログは読まれているのか、全部日本語なのに。」と驚いていたのですが、続いて「So, can i sand you my new record for a music review? 」という言葉が。
DMの送り主の彼、Francesco Fecondoは「VIDRA」というバンドで活動していて、近々アルバムを出すからレビューのために送っていい?と言うのです。非常に直球な言葉に潔さを感じたのと、「a lighthouse for technopop-fan」という言葉が非常に気に入りまして、レビューを快諾しまして今回のレビューに至ったわけです。
聞くところによるとFecondo氏は日本のテクノポップファンであり、特にP-MODELと平沢進を自宅スタジオルームに肖像画を掲げるくらいに崇拝しているとのこと(趣味で平沢楽曲をカバーしたりする愛しっぷり)。お気に入りのアルバムは「Aurora」(渋い!)で、なんとP-MODELの存在を当ブログで知っていただいたとのことで、ほかにもP-MODELを紹介しているサイトが多々ある中から、きっかけを当ブログでつかんでいただいたことに感謝すると共に、そのような日本のTECHNOLOGY POPSを探して堪能しているコアでマニアックな人たちが海外に潜在していることに、身が引き締まる思いをさせられたわけです。
そのようなわけで、今回はそんなFecondo氏のバンド、VIDRAの記念すべき1stアルバム「la fine delle comunicazioni」をレビューさせていただきます。
非常に興味深い、個性的なTECHNOLOGY POPSに仕上がっていますので、是非レビューをお読みいただき、彼らを知ってもらうと共に彼らの活動に日本でも是非注目していってもらいたいと思います。
それではどうぞご覧下さい。
「la fine delle comunicazioni」 (2016 Rupa Rupa)
VIDRA

<members>
Antonella “Giga” Gigantino:voice
Francesco “Frencio” Fecondo:voice・keytar Yamaha KX5・Fender Mustang MIDI・Siel Cruise・Kawai Spectra・sampling・keyboards programming・electronic drums programming・pre-production arrangement
Michela Coppola:viola・pre-production arrangement
Davide Emanuele Zinna:electric guitars・electronic drums programming
1.「IL SEGNALE RADIO」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
2.「LA FINE DELLE COMUNICAZIONI」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
3.「TITANIO (feat.Raza)」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
4.「COSA NASCONDE IL CIELO?」
Alessandro Orlando Graziano/Francesco Fecondo-Antonella Gigantino
5.「TRIMOTORE IDROVOLANTE」 Gaio Chicchio/Amedeo Minghi
6.「NELLE PAUSE」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
7.「EMME DA BERLINO」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
8.「ROSSETTO E CIOCCOLATO」 Oscar Avogadro-Ornella Vanoni/Roberto Pacco
9.「PAULINE (feat.Alessandro Orlando Graziano)」
Antonella Gigantino-Francesco Fecondo
10.「CUMULI DI TE」 Antonella Gigantino/Francesco Fecondo
11.「APRILE PASSA IN FRETTA」
Antonella Gigantino/Francesco Fecondo-Antonella Gigantino
<support musician>
Alessandro Orlando Graziano:voice
Nazario “Raza” Bizzoco:voice
Cesare Savastano:electric guitars
Gerardo Coppola:electric guitars・electric bass・EVM synth bassline・keyboards programming・electronic drums programming・pre-production arrangement
Peppino De Florio:electric guitars
Gabriele Loria:keyboards programming・electronic drums programming・Roland Space Echo RE-201
Raffaele “Raffaman” Cassese:tenor sax
produced by Gabriele Loria
engineered by Gabriele Loria
● 過去と未来が交錯する魅惑のルネッサンス・シンセポップ!イタリアから颯爽と登場した個性派エレクトリックバンド待望の1stアルバム
イタリアとTECHNOLOGY POPS……そもそもイタリアとエレクトリックな音楽スタイルの相性の良さは、過去の歴史からも証明されているところです。イタリアの音楽シーンにほとんど詳しくない筆者から見ても、「I Like Chopin」(日本人も大好きな「雨音はショパンの調べ」の原曲)で有名なGazeboや、80’sユーロビートの神的存在であるMichael Fortunati、フランス人バンドながらイタリア中心に活動していた銀塗りスキンヘッド宇宙人スペースロックバンドRockets、80年代初頭に活躍したGaznevada、暗黒プログレからシンセサイザーミュージックの女帝として名を馳せたDoris Norton……数々の個性的なテクノ&ニューウェーブ系バンドやアーティストが、日本では知られたり知られなかったりしながら、潜在的に、時にはまばゆい光を放ちながら活動していたわけです。そして忘れてはならないのが、イタロ・ディスコの存在。80’sユーロビートはこのいなたい歌謡メロディとマシナリーなビートの絶妙な相性がポイントのこのジャンルに先導されていたと言っても過言ではなく、少なくとも日本においては非常に親和性を感じる音楽として広く知られているところです。
翻って日本のテクノポップ・ニューウェーブ界隈がイタリアの伝統音楽(例えばカンツォーネ等)を積極的に取り入れた例として有名なのが、かの香織率いる伝説的なバンド、Ciocollata(ショコラータ)ですが、彼らの前衛的なサウンドを改めて聴いてみると、実にイタリアンミュージックとエレクトリックミュージックのケミストリーによる可能性は無限に広がっていると言わざるを得ませんが、このショコラータ以来、こうしたカンツォーネニューウェーブ的なバンドサウンドに挑戦するようなグループが存在しないのも残念な事実です。
今回取り上げるVIDRAはそんなテクノロジーな音楽と抜群の相性を持つイタリアから現れた新進気鋭のシンセポップグループです。VIDRAは2006年にイタリアのサレルノで結成、当時はAntonella Gigantino(Vocal)とFrancesco Fecondo(keyboards)の男女デュオとしてYazooやEurythmicsのようなシンセポップデュオを目指していたようですが、紆余曲折の後Davide Emanuele Zinna(electric guitars & programming)とMichela Coppola(viola)が加わって、4人組のバンドとなり現在のスタイルに落ち着いているということです。その後いくつかのライブイベントに出演してきた彼らは、2015年に本格的に音源を発表すべくRupa Rupa Recordsと契約、配信シングルとしてイタリアの有名なシンガーソングライターAmedeo Minghiの1986年アルバム「Cuori di pace」収録曲のリメイク「TRIMOTORE IDROVOLANTE」と1stアルバムのタイトルチューンとなる「LA FINE DELLE COMUNICAZIONI」をリリース、その斬新なスタイルのシンセポップサウンドである種のインパクトを与え、翌2016年、いよいよ満を持して本作がリリースされました。
それでは彼らの1stアルバム「la fine delle comunicazioni」について、あくまでTECHNOLOGY POPS的な側面から見ていきたいと思います。
さて、このVIDRAの最大の特徴は何といってもMichela Coppolaのヴィオラでしょう。この美しき女性ヴィオリストのクラシカルな旋律はおよそシンセポップサウンドと交わるにはいささか異質なものであり、それゆえに既存の同時代のエレクトリックミュージックの枠にとらわれない類稀な個性を導き出しています。何よりもヴァイオリンではなくてヴィオラというのが実に良いです。ワンランク低い音でありながらチェロのような重心を感じさせることのない、その微妙かつ芳醇な音感覚は比較的チープでスペイシーなシーケンスとも絶妙なマッチングを見せており、その化学変化は大成功と言えるでしょう。
そして、VIDRAサウンドの中心であり、ほとんどのオリジナル楽曲を手掛けるFrancesco Fecondoのサウンドメイクも緻密かつ丁寧に編み込まれており、さすがはシンセポップバンドと銘打つだけあると言えますが、何といっても興味深いのはその使用機材です。イタリア産のアナログシンセサイザーSiel Cruise。String Machineとも呼ばれたKORG Mono/Polyスタイルと言える1音モノ/10音ポリのチープなシンセが本作では大活躍で、随所で聴かれる電子音ギミックや空間を支配するような柔らかいパッド系音色によって楽曲に鮮やかな彩りを与えることに成功しています。そして忘れてはならないのがKawai Spectra。この軽量著しいデジタルシンセをメインで使用するキーボーディストは、解凍P-MODEL時代のことぶき光の「シンセ砦」の斬新な縦置きスタンディングに使用されて以来ほとんど出会っていませんが、チープな中にも主張する電子音としての存在感の一角を担っていて、この珍しい組み合わせがメインのシンセサウンドが独特のVIDRAサウンドをデザインしていると言っても過言ではありません。
彼はMIDIギターやnumark orbitなどのワイヤレスMIDIシステムも操るなど、電子的ガジェットをライブパフォーマンスで積極的に使用しており(このあたりに平沢進の影響が如実に現れていますが)、シンセマニアにも興味深い部分であると思われます。
また、Michela Coppolaの兄である「5人目のVIDRA」と呼ばれるGerardo Coppolaの活躍ぶりも見逃せません。ベースやドラムといったリズム隊が存在しないVIDRAにあって、ギタリスト兼ベーシストでもある彼の存在は大きく、(推測ではありますが)特にベースラインの構築には彼のセンスによる部分も大きいのかもしれません。バンドを俯瞰的に見ながら全体をサポートする影のプロデューサー的な立場で関わっていると言った方が良さそうですが、エンジニアとしてサウンドを支えるGabriele Loriaと並んで、VIDRAの大切なパートナー達の功績も称えるべきでしょう。
加えて、情熱的である意味男性的とも言える情感豊かなヴォーカルを聴かせるAntonella Gigantinoはもちろんのこと、Davide Emanuele Zinnaも目立たないものの側面的にバンドサウンドの一端を担っており、現在の4人組のシンセポップバンドというスタイルは安定期にあると言っても良いのではないでしょうか。
それにしても彼らのサウンドはいわゆるトラディショナルかつクラシカルなフレーズと近未来的な電子音が混在する、過去と未来のエアポケットに入ったような不思議感覚満載の音世界であり、これを安直なネーミングですが「ルネッサンス・シンセポップ」と名付けたいと思います。
ジャパニーズテクノポップが好きなFecondoがイニシアチブを取りながらも、GigantinoはR&Bやブラックミュージック、Davideは90’s Pop & Rock、Michelaは近代〜現代の前衛的なクラシック音楽がルーツということで、様々な志向が混在しながらも今後のサウンドの方向性にも期待が持てそうです。
こうしているうちにもFecondoは日本のTECHNOLOGY POPSを熱心に探求し自身の音楽性の糧にしているところですので、将来的にはP-MODELファミリー的なサウンドにもシフトしていくかもしれません。日本のリスナーにも彼らの今後の行く末に興味を持ってもらいたいところです。
それでは最後にアルバム「la fine delle comunicazioni」に収録された各楽曲ごとに一口レビューします。
1.「IL SEGNALE RADIO」
イントロダクション的なオープニングナンバー。荘厳なヴィオラのフレーズから始まるますが、すぐにバリバリのエレクトリカルなフレーズが畳み掛けられます。四つ打ちピコピコシーケンスに、濁ったシンセフレーズ(ここがまさにラジオノイズ的!)からのランダムフレーズが実にスペイシー。短いながらも多彩な要素が詰まったもったいなさすら感じる好楽曲です。
2.「LA FINE DELLE COMUNICAZIONI」
彼らの代名詞的なタイトルチューン。淡々とした四つ打ちリズムに牧歌的でチープなシーケンスが絡みます。そして独特なヴィオラの響きが中世なのか未来なのかを惑わせる不思議な感覚を演出しています。Cパートのアトモスフィア感溢れる見事なディレイワーク、そしてアウトロへつながるバロックなヴィオラフレーズの多幸感など、彼らの魅力が詰まった名曲です。
3.「TITANIO」
プログレ風味のインテリジェンステクノ的なシンセポップ。リバーブたっぷりのスネア、多彩なシンセ音色と緻密なエフェクトワークがポイントです。イコライジングされたGigantinoとRaza(本作のアートワークも手掛けている)のヴォーカルとボコーダーも雰囲気たっぷりで、ヴィオラの芳醇な音像もあってそこはかとないロマンチシズムが感じられます。めくるめくプログレッシブな展開からの激しいギターも彼らのサウンドにしては硬派な部類に入るでしょう。
4.「COSA NASCONDE IL CIELO?」
ノスタルジックなイメージが豊富なミディアムチューン。Aメロのギター系音色のフレーズやBメロのピアノ等に施されるリバーブ&ディレイ等の空間処理の使い方が秀逸で、流麗なヴィオラの後ろでかぶさっているSiel Gruise(と思われる)ロングトーンのシンセパッドがロマンティックで、この浮遊感がこの楽曲の最大の魅力と言えるでしょう。
5.「TRIMOTORE IDROVOLANTE」
先行配信されたAmedeo Minghi楽曲のリメイク。原曲は楽天的な雰囲気すら漂うイタリアンPOPSでしたが、このリメイクでは緊張感漂うスペイシーテクノ気味なシンセポップイントロとハウス調に刻むピアノで独自性を演出、イントロ前の「ピュイ〜ン!」という電子ギミックが味わい深いです。そしてシンセパッドとヴィオラの滲み方はここでも非凡なセンスを見せており、ヴィオラとテクノポップマナー漂うシーケンスとの抜群の相性を再確認できます。無機質なテクノフレーズがヴィオラによって一気に生命が与えられロマンティックに高揚させるところが実に興味深いです。
6.「NELLE PAUSE」
この楽曲も宇宙を感じさせる壮大な音世界を彷佛とさせるミディアムチューン。うっすらとしたディレイがスペイシーですが、この楽曲のポイントはサビの実に柔らかいコードワーク+土着的リズムの味わい、そして平沢ライクなデストロイギターの導入といったところでしょうか。それにしてもここまでヴィオラが活躍するPOPSはこれまでにあったでしょうか。
7.「EMME DA BERLINO」
彼らの3曲目のPVも制作された本作中でもニューウェーブ感が強い楽曲。それはPeppino De Florioの開放的で乾いたギターワークによる部分が大きいのですが、ここでも控えめながらも硬質なシーケンスでバックを支えながらフレットレスベース的な音色でアクセントを加えています。そうは言いながらも基本的な曲調はゆったりとした情緒豊かなロマンティックPOPSで、アウトロではやはりフワッとしたヴィオラがフィーチャーされていきます。
8.「ROSSETTO E CIOCCOLATO」
イタリアが誇るシンガーOrnella Vanoniの1996年の名曲をリカバー。ここでは比較的原曲に忠実なリメイクを施していますが、粒の立ったヴィオラによってバロック風味がさらに強まっています。Gigantinoの中性的な声質を生かしたハーモナイズからの情感溢れるサックスソロは本作の中でも異色のAORな雰囲気を漂わせています。
9.「PAULINE」
この楽曲も比較的ポップテイスト全開なAORナンバー。電子音は控えめでいなたさも残るメロディではあるものの、こういった楽曲でこそヴァイオリンではなくヴィオラのような高低音な音階が映えます。現在も活躍するシンガー&クリエイターのAlessandro Orlando Grazianoも、イタリアらしいしつこいくらいの情感豊かなヴォーカルでサポートしています。
10.「CUMULI DI TE」
Fecondoの趣味がモロに出たようなレトロ80'sなエレポップ風味なロックチューン。80'sのチープなかっこよさを極限までに追求したサウンドが眩し過ぎます。イントロのリードシンセの滲み方やスネアのゲートリバーブのキレの良さ、習作的にすら感じられるほどチープなシンセパッド、そして陰のあるマイナーメロディにはJ-POPからの影響も感じられます。サンプルボイスで遊びの要素を入れたり、SIel Cruise大活躍のギターライクな歪み系シンセソロ等見せ場もたっぷりな個人的な本作随一のキラーチューンです。
11.「APRILE PASSA IN FRETTA」
ラストのロマンティックバラードはマジカル&ファンタジーなスペイシーチューンに。美しさと妖しさを内包した上下するランダムシーケンスが実にスピリチュアルです。メジャーに転調するサビでヴィオラが入ると一気にノスタルジーを感じさせますが、それまでのスピリチュアル全開のサウンドとのコントラストが不思議度を加速させます。ラストに近づくにつれてファンタジック性も強まり、ラストにはCesare Savastanoによる激しい前衛的なギターソロで最高潮で盛り上げながらそのまま終了するところも、一筋縄ではいかない彼ららしいと思わせる説得力があります。
<評点>
・サウンド ★★★★ (シンセ好きが高じた珍しいチープシンセの共演)
・メロディ ★★ (イタリアンPOPSマナーの独特のメロディ感覚)
・リズム ★★★ (現代的なリズム構築ながら80's音色もしっかり研究)
・曲構成 ★★★★ (想像以上に硬軟自在のバラエティに富んだ構成に)
・個性 ★★★★★(シンセ&ヴィオラの相乗効果は新たな発見に)
総合評点: 8点
日本ではショップメカノでも販売されています。
http://members3.jcom.home.ne.jp/mecano/
「Across Time & Space」 COR!S
「Across Time & Space」(2014 COR!S)
COR!S:vocal・all instruments

1.「INTRO」 曲・編:COR!S
2.「時空の扉」 詞・曲・編:COR!S
3.「テレパシー」 詞・曲・編:COR!S
4.「ビスケットタイム」 詞・曲・編:COR!S
5.「星空ワルツ」 詞・曲・編:COR!S
6.「Across Time & Space」 詞・曲・編:COR!S
7.「時空の扉 (AZUpubshool Remix)」 詞・曲・編:COR!S
8.「Biscuit Time (三浦コウ Remix)」 詞・曲・編:COR!S
produced by COR!S
engineered by COR!S
●自己完結型DTM女子がエレクトロとオーケストレーションを融合させポップな作風に仕上げた自主制作作品
Digital Audio Workstaion (DAW)に魅せられたDTM女子COR!Sは、2012年サウンド&レコーディングマガジンのコンテストで最優秀賞を受賞するなど若くして頭角を現した期待の若手クリエイターです。その後もmishmash*Julie WataiやYun*chiといったファッショナブルなガーリーポップ系楽曲を手掛けるなど作編曲家の道へ進むと思いきや、作家活動と並行してシンガーソングライターとして自身も「歌う」決意のもとソロ活動を開始、2014年の生まれた初のソロアルバムが本作というわけです。自主制作という形でのリリースですが、これは既に自身の音楽に対する確固たる世界観をフィルターなしに露出させることが目的であるとも思えますが、音楽活動を始める前から既に物語を構築されていたというコンセプトワーカーとしても才気を煥発させている彼女であるからして、本作も一気にめくるめくファンタジックワールドに聴き手を誘う麻薬的な魅力満載のアルバムとなっています。
作詞・作曲・編曲・演奏・歌・ミキシング・マスタリングを全て1人で手掛ける完全家内制手工業な本作において最も強みにしているのが童話系映画のような壮大な世界感を構築するオーケストレーションとエレクトロニクスの見事な融合です。DTM女子なのでもちろんシンセ満載エレクトロニクスサウンドが基盤となっていますが、「テレパシー」のようなEDM風味な過激ガーリーエレポップな側面も見せたと思えば、「時空の扉」やラストの「Across Time & Space」ではめくるめく展開を壮大なオーケストレーションで彩るクラシカル&エレクトリックな挑戦的な楽曲でその天賦の才を見せつけるなど、本編5曲あまりの少ない楽曲数の中で持ち味を十二分に生かし切っています。キュートなガーリー系ヴォーカルはまだ拙い部分はあるとしても、それを補って余りある才気に溢れた独特の世界観に一気に引き込んでいくサウンドメイク、それだけでも本作の価値は高く評価されるに違いありません(特にタイトルチューンである「Across Time & Space」は衝撃的)。本作後はCOR!Sとしてのソロ活動はインスト中心という話も聞きましたが、ほどなく本作で美しいremixを聴かせてくれた京都のテクノクリエイターAZUpubschoolとユニットKiWiを結成、欧州ファンタジーなエレクトロ歌モノPOPSを志向した楽曲を精力的にリリースしています。是非KiWiでもフルアルバムを期待したいところです。
<Favorite Songs>
・「時空の扉」
ドリーミーでメランコリックなエレポップチューン。映画主題歌のような壮大な世界を演出しつつもサウンドはまごうことなきDTM。確実に刻んでいくリズムと無機質に処理されたヴォーカルに美しいオーケストレーションが緻密にかぶさっていく、まさに本作のリードナンバーです。
・「ビスケットタイム」
イントロの素晴らしい白玉シンセパッド&高速シーケンスがインパクト抜群のスペイシーシンセポップ。歌メロ部分の音の抜き方とイントロ&間奏の分厚い音の波とのコントラストが秀逸です。
・「Across Time & Space」
COR!Sの名を確実に知らしめることが可能な壮大過ぎるエレクトロニクスサウンドトラック。プログレ的な豪快極まりない展開力とウォブルベースやスクラッチ等を取り入れた刺激的な音色の数々、宇宙を遊泳するかのようなサウンドデザインは底知れぬ可能性を感じさせます。
<評点>
・サウンド ★★★ (音色やギミックの勢いも女性らしからぬ大胆さ)
・メロディ ★★★ (サウンドに隠れがちだがキャッチー性も非常に豊か)
・リズム ★★ (DTM的弱さも感じるが現代エレクトロマナー全開)
・曲構成 ★★ (もう少し多くの楽曲で展開力を見たかったが)
・個性 ★★★ (若手女性らしからぬDTM系を超えた才を感じる)
総合評点: 8点
CDは下記のサイトのみの販売です。配信はiTunesで。
http://snowgloberecords.net/release/
COR!S:vocal・all instruments

1.「INTRO」 曲・編:COR!S
2.「時空の扉」 詞・曲・編:COR!S
3.「テレパシー」 詞・曲・編:COR!S
4.「ビスケットタイム」 詞・曲・編:COR!S
5.「星空ワルツ」 詞・曲・編:COR!S
6.「Across Time & Space」 詞・曲・編:COR!S
7.「時空の扉 (AZUpubshool Remix)」 詞・曲・編:COR!S
8.「Biscuit Time (三浦コウ Remix)」 詞・曲・編:COR!S
produced by COR!S
engineered by COR!S
●自己完結型DTM女子がエレクトロとオーケストレーションを融合させポップな作風に仕上げた自主制作作品
Digital Audio Workstaion (DAW)に魅せられたDTM女子COR!Sは、2012年サウンド&レコーディングマガジンのコンテストで最優秀賞を受賞するなど若くして頭角を現した期待の若手クリエイターです。その後もmishmash*Julie WataiやYun*chiといったファッショナブルなガーリーポップ系楽曲を手掛けるなど作編曲家の道へ進むと思いきや、作家活動と並行してシンガーソングライターとして自身も「歌う」決意のもとソロ活動を開始、2014年の生まれた初のソロアルバムが本作というわけです。自主制作という形でのリリースですが、これは既に自身の音楽に対する確固たる世界観をフィルターなしに露出させることが目的であるとも思えますが、音楽活動を始める前から既に物語を構築されていたというコンセプトワーカーとしても才気を煥発させている彼女であるからして、本作も一気にめくるめくファンタジックワールドに聴き手を誘う麻薬的な魅力満載のアルバムとなっています。
作詞・作曲・編曲・演奏・歌・ミキシング・マスタリングを全て1人で手掛ける完全家内制手工業な本作において最も強みにしているのが童話系映画のような壮大な世界感を構築するオーケストレーションとエレクトロニクスの見事な融合です。DTM女子なのでもちろんシンセ満載エレクトロニクスサウンドが基盤となっていますが、「テレパシー」のようなEDM風味な過激ガーリーエレポップな側面も見せたと思えば、「時空の扉」やラストの「Across Time & Space」ではめくるめく展開を壮大なオーケストレーションで彩るクラシカル&エレクトリックな挑戦的な楽曲でその天賦の才を見せつけるなど、本編5曲あまりの少ない楽曲数の中で持ち味を十二分に生かし切っています。キュートなガーリー系ヴォーカルはまだ拙い部分はあるとしても、それを補って余りある才気に溢れた独特の世界観に一気に引き込んでいくサウンドメイク、それだけでも本作の価値は高く評価されるに違いありません(特にタイトルチューンである「Across Time & Space」は衝撃的)。本作後はCOR!Sとしてのソロ活動はインスト中心という話も聞きましたが、ほどなく本作で美しいremixを聴かせてくれた京都のテクノクリエイターAZUpubschoolとユニットKiWiを結成、欧州ファンタジーなエレクトロ歌モノPOPSを志向した楽曲を精力的にリリースしています。是非KiWiでもフルアルバムを期待したいところです。
<Favorite Songs>
・「時空の扉」
ドリーミーでメランコリックなエレポップチューン。映画主題歌のような壮大な世界を演出しつつもサウンドはまごうことなきDTM。確実に刻んでいくリズムと無機質に処理されたヴォーカルに美しいオーケストレーションが緻密にかぶさっていく、まさに本作のリードナンバーです。
・「ビスケットタイム」
イントロの素晴らしい白玉シンセパッド&高速シーケンスがインパクト抜群のスペイシーシンセポップ。歌メロ部分の音の抜き方とイントロ&間奏の分厚い音の波とのコントラストが秀逸です。
・「Across Time & Space」
COR!Sの名を確実に知らしめることが可能な壮大過ぎるエレクトロニクスサウンドトラック。プログレ的な豪快極まりない展開力とウォブルベースやスクラッチ等を取り入れた刺激的な音色の数々、宇宙を遊泳するかのようなサウンドデザインは底知れぬ可能性を感じさせます。
<評点>
・サウンド ★★★ (音色やギミックの勢いも女性らしからぬ大胆さ)
・メロディ ★★★ (サウンドに隠れがちだがキャッチー性も非常に豊か)
・リズム ★★ (DTM的弱さも感じるが現代エレクトロマナー全開)
・曲構成 ★★ (もう少し多くの楽曲で展開力を見たかったが)
・個性 ★★★ (若手女性らしからぬDTM系を超えた才を感じる)
総合評点: 8点
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