「Ashes And Diamonds」 Zaine Griff
「Ashes And Diamonds」 (1980 Wea)
Zaine Griff:vocals・electric bass・backing vocals

1.「Tonight」 Zaine Griff
2.「Run」 Zaine Griff
3.「Ashes And Diamonds」 Zaine Griff
4.「Secret Pleasures」 Zaine Griff
5.「She's My Man」 Zaine Griff
6.「Things You Say」 Zaine Griff
7.「The Scandinavian」 Zaine Griff
8.「Orient」 Zaine Griff
9.「The Iron Curtain」 Zaine Griff
10.「Ta Cigarette Apres L'Amour」 Zaine Griff
11.「The Sentimentalists」 Zaine Griff
<support musician>
Steve Bolton:guitar・treated synthsized guitar
Tony Visconti:electric bass・balalaika・percussion・backing vocals
Andy Duncan:hi-hat・bass drums・snare drums
Andy Clark:Yamaha CS80・piano・farfisa
Hans Zimmer:Roland Micro Composer・2 Moog 55 modulars・Roland System700+100・Prophet5・Sequential Circuit sequencers・Selidor Computer Programmer・Remote Control Programmer+Productions
produced by Tony Visconti
mixing engineered by Tony Visconti
recording engineered by Tony Visconti・Ray Henriksen・Chris Birkett・Graham Myer
● グラムロック色を残しつつもエレクトロニクスを大胆に取り入れたニューロマンティクスの名盤
ニュージーランド出身のデンマーク人シンガーとしてニューロマンティクス重要人物として名を馳せたZaine Griff。世界的な舞踏家Lindsay Kempが主宰するLindsay Kemp mime companyに在籍したこともあるパフォーマーとしての素質を生かしながら、豪奢な楽曲に乗って歌い上げるスタイルは、いかにも80年代初頭のニューロマムーブメントの申し子といった印象でした。そんな彼もデビューは何気に古く、1974年にロックバンドThe Human Instinctのベーシストとしてデビューし1枚のアルバムを残し(2枚目は長年オクラ入りの後21世紀に奇跡的にリリース)、その後Screemerとのジョイントシングルを2枚残した後、待望のソロデビューを果たしたのが1980年、シングル「Tonight」でした。そして「Ashes and Diamonds」「Run」と立て続けにシングルリリース後に制作されたのが記念すべき1stアルバムである本作というわけです。
先行シングルを3枚続けてぶちかます構成でその自信のほどが窺える本作のプロデュースは、T.REXやDavid Bowieを手掛けた大御所プロデューサーTony Viscontiで、Zaine Griffから漂う濃厚なBowie臭さは彼のプロデュース力による部分も大きいと思われます。グラムロック以降ニューウェーブに至る当時としては斬新なエレクトロニクスサウンドの導入に積極的であったDavid Bowieの影響が大きいそのサウンドデザインを支えているのは、後年映画音楽の巨匠として大出世を果たす若き日のHans Zimmerで、Moog ModularやRoland System700といった大型モジュラーシンセを惜しげもなく使用した大胆なシンセワークで、その独特な音色使いで楽曲に華やかな彩りを加えていますが、この1stアルバムではまだまだTony Viscontiに遠慮してか大人しめで、グラムロック直系のギターサウンドの中で生かされる電子音といった域を出ない控えめなパフォーマンスに終始しています。Zaineのヴォーカルも本作では熱唱型で、シアトリカルな彼のパフォーマンスには豪華なバックアップに負けず劣らずのスター性を感じたわけですが・・・期待した程のセールスは得られませんでした。しかしセールスと作品の価値は必ずしもリンクするわけではないことは、名盤の誉れ高い2ndアルバム「Figures」にて証明されることになるのです。
<Favorite Songs>
・「She's My Man」
グイグイギターで攻めて来る熱いロックチューン。裏で蠢くシンセパッドにも重みがあり、いかにも盛り上がるサビのコーラスとヴォーカルの掛け合いは絶妙です。狂ったピアノが乱れ飛ぶ間奏のソロフレーズは圧巻です。
・「The Scandinavian」
電子音をふんだんに使用したドラマティックなアレンジで聴き手を魅了するプログレッシブな楽曲。ジャストに刻むミニマルシーケンスが大活躍で、アーティストの世界観を多彩な音使いで聴き手を引き込んでいくテクニックにHanz Zimmerの映画音楽家としての素質が垣間見えています。
・「Ta Cigarette Apres L'Amour」
期待に違わぬグラム系ロックチューン。とにかく壁コーラスが加わったサビの開放感がたまりません。間奏の逆回転ギターもかっこいいし、まさしくロックスターのニューウェーブ接近戦ここに極まれりです。
<評点>
・サウンド ★★ (シンセサウンドがいかにも電気使ってます系で楽しい)
・メロディ ★★ (随所でキャッチー性も見えるが手持ちの札は多くない)
・リズム ★ (典型的なロックドラムですが、パワフル感は感じる)
・曲構成 ★ (冒険的な楽曲も含むが基本はグラムロック調に終始)
・個性 ★★ (熱いヴォーカルにスター性は感じるし先進性もあるが・・)
総合評点: 6点
Zaine Griff:vocals・electric bass・backing vocals

1.「Tonight」 Zaine Griff
2.「Run」 Zaine Griff
3.「Ashes And Diamonds」 Zaine Griff
4.「Secret Pleasures」 Zaine Griff
5.「She's My Man」 Zaine Griff
6.「Things You Say」 Zaine Griff
7.「The Scandinavian」 Zaine Griff
8.「Orient」 Zaine Griff
9.「The Iron Curtain」 Zaine Griff
10.「Ta Cigarette Apres L'Amour」 Zaine Griff
11.「The Sentimentalists」 Zaine Griff
<support musician>
Steve Bolton:guitar・treated synthsized guitar
Tony Visconti:electric bass・balalaika・percussion・backing vocals
Andy Duncan:hi-hat・bass drums・snare drums
Andy Clark:Yamaha CS80・piano・farfisa
Hans Zimmer:Roland Micro Composer・2 Moog 55 modulars・Roland System700+100・Prophet5・Sequential Circuit sequencers・Selidor Computer Programmer・Remote Control Programmer+Productions
produced by Tony Visconti
mixing engineered by Tony Visconti
recording engineered by Tony Visconti・Ray Henriksen・Chris Birkett・Graham Myer
● グラムロック色を残しつつもエレクトロニクスを大胆に取り入れたニューロマンティクスの名盤
ニュージーランド出身のデンマーク人シンガーとしてニューロマンティクス重要人物として名を馳せたZaine Griff。世界的な舞踏家Lindsay Kempが主宰するLindsay Kemp mime companyに在籍したこともあるパフォーマーとしての素質を生かしながら、豪奢な楽曲に乗って歌い上げるスタイルは、いかにも80年代初頭のニューロマムーブメントの申し子といった印象でした。そんな彼もデビューは何気に古く、1974年にロックバンドThe Human Instinctのベーシストとしてデビューし1枚のアルバムを残し(2枚目は長年オクラ入りの後21世紀に奇跡的にリリース)、その後Screemerとのジョイントシングルを2枚残した後、待望のソロデビューを果たしたのが1980年、シングル「Tonight」でした。そして「Ashes and Diamonds」「Run」と立て続けにシングルリリース後に制作されたのが記念すべき1stアルバムである本作というわけです。
先行シングルを3枚続けてぶちかます構成でその自信のほどが窺える本作のプロデュースは、T.REXやDavid Bowieを手掛けた大御所プロデューサーTony Viscontiで、Zaine Griffから漂う濃厚なBowie臭さは彼のプロデュース力による部分も大きいと思われます。グラムロック以降ニューウェーブに至る当時としては斬新なエレクトロニクスサウンドの導入に積極的であったDavid Bowieの影響が大きいそのサウンドデザインを支えているのは、後年映画音楽の巨匠として大出世を果たす若き日のHans Zimmerで、Moog ModularやRoland System700といった大型モジュラーシンセを惜しげもなく使用した大胆なシンセワークで、その独特な音色使いで楽曲に華やかな彩りを加えていますが、この1stアルバムではまだまだTony Viscontiに遠慮してか大人しめで、グラムロック直系のギターサウンドの中で生かされる電子音といった域を出ない控えめなパフォーマンスに終始しています。Zaineのヴォーカルも本作では熱唱型で、シアトリカルな彼のパフォーマンスには豪華なバックアップに負けず劣らずのスター性を感じたわけですが・・・期待した程のセールスは得られませんでした。しかしセールスと作品の価値は必ずしもリンクするわけではないことは、名盤の誉れ高い2ndアルバム「Figures」にて証明されることになるのです。
<Favorite Songs>
・「She's My Man」
グイグイギターで攻めて来る熱いロックチューン。裏で蠢くシンセパッドにも重みがあり、いかにも盛り上がるサビのコーラスとヴォーカルの掛け合いは絶妙です。狂ったピアノが乱れ飛ぶ間奏のソロフレーズは圧巻です。
・「The Scandinavian」
電子音をふんだんに使用したドラマティックなアレンジで聴き手を魅了するプログレッシブな楽曲。ジャストに刻むミニマルシーケンスが大活躍で、アーティストの世界観を多彩な音使いで聴き手を引き込んでいくテクニックにHanz Zimmerの映画音楽家としての素質が垣間見えています。
・「Ta Cigarette Apres L'Amour」
期待に違わぬグラム系ロックチューン。とにかく壁コーラスが加わったサビの開放感がたまりません。間奏の逆回転ギターもかっこいいし、まさしくロックスターのニューウェーブ接近戦ここに極まれりです。
<評点>
・サウンド ★★ (シンセサウンドがいかにも電気使ってます系で楽しい)
・メロディ ★★ (随所でキャッチー性も見えるが手持ちの札は多くない)
・リズム ★ (典型的なロックドラムですが、パワフル感は感じる)
・曲構成 ★ (冒険的な楽曲も含むが基本はグラムロック調に終始)
・個性 ★★ (熱いヴォーカルにスター性は感じるし先進性もあるが・・)
総合評点: 6点
「白虎野」 平沢進
「白虎野」 (2006 ケイオスユニオン)
平沢進:vocals・all instruments

1.「時間の西方」 詞・曲・編:平沢進
2.「白虎野」 詞・曲・編:平沢進
3.「生まれなかった都市」 詞・曲・編:平沢進
4.「記憶から来た男」 詞・曲・編:平沢進
5.「水脈」 詞・曲・編:平沢進
6.「CODE-COSTARICA」 詞・曲・編:平沢進
7.「Σ星のシダ」 詞・曲・編:平沢進
8.「確率の丘」 詞・曲・編:平沢進
9.「白虎」 詞・曲・編:平沢進
10.「パレード」 詞・曲・編:平沢進
<support musician>
Nguyen Ngoc Hoa:voice
produced by 平沢進
engineered by 鎮西正憲
● 多彩なボイスパフォーマンスでますますSFストーリー性に拍車をかけつつ重厚な電子シンフォニーが冴え渡る3年ぶりの傑作
2000年代の平沢進ソロ活動は、激動の80年代〜90年代に比べるとやや安定期に入った印象で、初期の無国籍な民族的アプローチからタイショックに基づいた電脳アジア路線を経て、壮大なストリングス&多重コーラスによる音の壁の構築に全力を注いでいくことになり、「千年女優」をはじめとした今敏監督作品における傑作サウンドトラック制作の経験も作風に取り入れながら、唯一無二の世界感を構築するに至っています。本作は2003年リリースの前作「BLUE LIMBO」に続くディストピア3部作と呼ばれる作品群の2作目にあたり、1枚ごとに堅固なコンセプトを形成する平沢作品の例外に漏れず、ストーリー性を前面に押し出した電子シンフォニックワールドで聴き手を魅了する作品となっています。
もちろん、平沢サウンドの熟成ぶりはここでとやかく言うまでもありませんが、多少マンネリ感を感じる部分はあるにせよ、既に大御所ともいえる風格を纏ったかのような荘厳なオーレストレーション&バカコーラスの威力は破壊力抜群です。また、本作の特徴としては多彩な変調を駆使したギミカルなボイスパフォーマンスがあります。お得意の切り貼り感で継ぎはぎしながら奇妙なフレーズを作り出すセンスは彼の真骨頂ですが本作では特にその多用ぶりが顕著であり、この時期における彼のこだわりの手法であったことが窺えます。そんなボイス変調実験を繰り返す中でも、これも平沢サウンドの中核を成している底を蠢くシンセベースは健在で、相変わらずの大陸的メロディを中心とした世界観をがっちり底辺で支えるこの電脳的なシンセベースはもはや平沢独自の専売特許と言ってもよいかもしれません。前作から続く惑星紀行的な世界観は次作「点呼する惑星」へと引き継がれていくわけですが、テーマがテーマだけに電子的な音色も徐々に多用される傾向にあり、やはり平沢本人の電脳的欲求は奥深いものであることを再認識させられます。本作はそんなシリーズの中でも佳境に至る道程に咲いた重要作品と位置づけられるべきでしょう。
<Favorite Songs>
・「記憶から来た男」
コラージュ全開のボイスサンプリングでリズムを構築するトリッキーな楽曲。しかしながらサウンド全体は流麗なストリングスに包まれた柔らかさを基調としたもので、ウィスパー的な平沢の歌唱とボイスリズムのコントラストも不思議な楽曲です。
・「CODE-COSTARICA」
逆回転サウンドとオーケストレーションのアヴァンギャルドなフレーズが興味深いセンス抜群のTHE平沢ソング。チープなサイン波がふんだんに使用され大活躍しています。
・「Σ星のシダ」
壮大なコーラスにインダストリアルなリズムが絡む重厚さ漂う楽曲。お得意の大陸的メロディを基本としながらも、これでもかとコーラスの勢いで攻め立てる、声へのこだわりを一層感じさせます。
<評点>
・サウンド ★★★ (いつもにも増して声の緻密な構築にこだわりを感じる)
・メロディ ★ (大陸調のメロディは少々マンネリ化も漂うが・・)
・リズム ★ (細かく刻んで軽さが目立つのも平沢楽曲の特徴か)
・曲構成 ★★ (長尺の楽曲も多くそれだけでも重厚感が伝わる)
・個性 ★★ (圧倒的な声のパワーを感じさせる円熟期の作品)
総合評点: 7点
平沢進:vocals・all instruments

1.「時間の西方」 詞・曲・編:平沢進
2.「白虎野」 詞・曲・編:平沢進
3.「生まれなかった都市」 詞・曲・編:平沢進
4.「記憶から来た男」 詞・曲・編:平沢進
5.「水脈」 詞・曲・編:平沢進
6.「CODE-COSTARICA」 詞・曲・編:平沢進
7.「Σ星のシダ」 詞・曲・編:平沢進
8.「確率の丘」 詞・曲・編:平沢進
9.「白虎」 詞・曲・編:平沢進
10.「パレード」 詞・曲・編:平沢進
<support musician>
Nguyen Ngoc Hoa:voice
produced by 平沢進
engineered by 鎮西正憲
● 多彩なボイスパフォーマンスでますますSFストーリー性に拍車をかけつつ重厚な電子シンフォニーが冴え渡る3年ぶりの傑作
2000年代の平沢進ソロ活動は、激動の80年代〜90年代に比べるとやや安定期に入った印象で、初期の無国籍な民族的アプローチからタイショックに基づいた電脳アジア路線を経て、壮大なストリングス&多重コーラスによる音の壁の構築に全力を注いでいくことになり、「千年女優」をはじめとした今敏監督作品における傑作サウンドトラック制作の経験も作風に取り入れながら、唯一無二の世界感を構築するに至っています。本作は2003年リリースの前作「BLUE LIMBO」に続くディストピア3部作と呼ばれる作品群の2作目にあたり、1枚ごとに堅固なコンセプトを形成する平沢作品の例外に漏れず、ストーリー性を前面に押し出した電子シンフォニックワールドで聴き手を魅了する作品となっています。
もちろん、平沢サウンドの熟成ぶりはここでとやかく言うまでもありませんが、多少マンネリ感を感じる部分はあるにせよ、既に大御所ともいえる風格を纏ったかのような荘厳なオーレストレーション&バカコーラスの威力は破壊力抜群です。また、本作の特徴としては多彩な変調を駆使したギミカルなボイスパフォーマンスがあります。お得意の切り貼り感で継ぎはぎしながら奇妙なフレーズを作り出すセンスは彼の真骨頂ですが本作では特にその多用ぶりが顕著であり、この時期における彼のこだわりの手法であったことが窺えます。そんなボイス変調実験を繰り返す中でも、これも平沢サウンドの中核を成している底を蠢くシンセベースは健在で、相変わらずの大陸的メロディを中心とした世界観をがっちり底辺で支えるこの電脳的なシンセベースはもはや平沢独自の専売特許と言ってもよいかもしれません。前作から続く惑星紀行的な世界観は次作「点呼する惑星」へと引き継がれていくわけですが、テーマがテーマだけに電子的な音色も徐々に多用される傾向にあり、やはり平沢本人の電脳的欲求は奥深いものであることを再認識させられます。本作はそんなシリーズの中でも佳境に至る道程に咲いた重要作品と位置づけられるべきでしょう。
<Favorite Songs>
・「記憶から来た男」
コラージュ全開のボイスサンプリングでリズムを構築するトリッキーな楽曲。しかしながらサウンド全体は流麗なストリングスに包まれた柔らかさを基調としたもので、ウィスパー的な平沢の歌唱とボイスリズムのコントラストも不思議な楽曲です。
・「CODE-COSTARICA」
逆回転サウンドとオーケストレーションのアヴァンギャルドなフレーズが興味深いセンス抜群のTHE平沢ソング。チープなサイン波がふんだんに使用され大活躍しています。
・「Σ星のシダ」
壮大なコーラスにインダストリアルなリズムが絡む重厚さ漂う楽曲。お得意の大陸的メロディを基本としながらも、これでもかとコーラスの勢いで攻め立てる、声へのこだわりを一層感じさせます。
<評点>
・サウンド ★★★ (いつもにも増して声の緻密な構築にこだわりを感じる)
・メロディ ★ (大陸調のメロディは少々マンネリ化も漂うが・・)
・リズム ★ (細かく刻んで軽さが目立つのも平沢楽曲の特徴か)
・曲構成 ★★ (長尺の楽曲も多くそれだけでも重厚感が伝わる)
・個性 ★★ (圧倒的な声のパワーを感じさせる円熟期の作品)
総合評点: 7点
「OH! CHAPPY」 我妻佳代
「OH! CHAPPY」(1988 CBSソニー)
我妻佳代:vocal

1.「アイツはハリケーン」 詞:谷穂ちろる 曲:岸正之 編:鷺巣詩郎
2.「リモコンボーイ」 詞:谷穂ちろる 曲:柴谷俊彦 編:鷺巣詩郎
3.「なないろ」 詞:和泉ゆかり 曲:岸正之 編:鷺巣詩郎
4.「夢だけ100%」 詞:谷穂ちろる 曲:林哲司 編:鷺巣詩郎
5.「チェイス!」 詞:谷穂ちろる 曲:羽田一郎 編:鷺巣詩郎
6.「シルク紀行」 詞:谷穂ちろる 曲:岸正之 編:鷺巣詩郎
7.「ナチュラル通信」 詞:谷穂ちろる 曲・編:後藤次利
8.「ひとさし指のワイパー」 詞:谷穂ちろる 曲:和泉一弥 編:中村哲
9.「夏への星座」 詞:大山朋子 曲:岸正之 編:鷺巣詩郎
10.「プライベートはデンジャラス」 詞:谷穂ちろる 曲:井上ヨシマサ 編:武部聡志
produced by 稲葉竜文
engineered by 渡辺茂実
● 末期おニャン子クラブに在籍した元気娘が解散後に満を持してリリースしたハイパーポップなデビュー作
おニャン子クラブ末期に加入した我妻佳代のソロデビューは解散直後の1987年。デビューシングル「プライベートはデンジャラス」はオリコンベスト10にランクインするなど良いスタートを切ったものの、既におニャン子の幻影は長く持続することはなく、4枚のシングルと2枚のアルバムを残し実質1年間のソロ活動に終止符を打つことになります(そして翌年には若くして結婚・出産)。しかしながら特に残した2枚のアルバムの完成度はなかなか高いもので、我妻本人の明るいキャラクターとはじけるようなサウンドが魅力的な楽曲が収録された、シングルに頼らない仕上がりぶりで、現在に至ってさらに評価されても良い作品達と言ってもよいと思われます。本作はその中でも2枚のシングルリリースの後発表された1stアルバムです。
まず本作を語る上で欠かせないのが、シングルカットの2曲以外の全てをアレンジする鷺巣詩郎のシンセブラスのしつこさでしょう。もはや鷺巣アレンジ曲のシンセのしつこさは既に語り尽くされているところですが、本作でもその傾向にブレはなく、それどころか本領発揮の様相を呈しています。4曲を任された渋いメロディラインに定評のある岸正之を中心に、林哲司や羽田一郎等が参加する作曲陣は(後藤次利も1曲参加)安定感のあるポップソングを提供していましたが、そこに派手でしつこさ満点の鷺巣サウンドが豪快に上塗りするという大胆な仕上がりが(良い意味で)笑いを禁じ得ません。もちろんシングル曲も中村哲とエレクトリックな方の武部聡志アレンジなので派手派手しさは彼女のキャラクターの裏返しとも言えますが、しつこさ全開に支える本作における鷺巣の功績は非常に大きく、「リモコンボーイ」のような狂気溢れる名曲も収録されるなど凡庸になりがちなアイドル歌謡に一滴の毒を仕込んだ興味深い作品と言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「リモコンボーイ」
80年代後半を代表するマッドなテクノ歌謡。多彩な音色と緻密に組まれたテッテケテッテケリズムが圧巻。それにオケヒットやボコーダーが絡んだり、我妻自身の変調ボイスが狂気を増幅させます。ラストに駆け上がる転調もしつこくて怖い。
・「チェイス!」
マイナー調の腰の入った歌謡POPS。羽田一郎の哀愁メロディが支配する中、含蓄ある白玉パッドで鷺巣も落ち着いたサウンドを聴かせると思いきや、やはり後半ではせわしなく動くシンセブラスが席巻することに。
・「プライベートはデンジャラス」
記念すべきデビューシングル。井上ヨシマサ作曲のアメリカナイズなTHE アイドルPOPS。オルガンにブラス、ここぞのシンセSEといい派手めのサウンドですが、ブラスのしつこさはやはり鷺巣に比べると素直な印象です。
<評点>
・サウンド ★★ (粘り全開のシンセフレーズは鷺巣サウンドの真髄)
・メロディ ★ (丁寧なメロディ構築であるが音に埋もれる印象も)
・リズム ★★ (楽曲によって構成力にムラがあるように思える)
・曲構成 ★ (キラーチューンに他の楽曲がついていけなく・・)
・個性 ★ (本人よりもどうしても鷺巣サウンドが耳につく)
総合評点: 6点
我妻佳代:vocal

1.「アイツはハリケーン」 詞:谷穂ちろる 曲:岸正之 編:鷺巣詩郎
2.「リモコンボーイ」 詞:谷穂ちろる 曲:柴谷俊彦 編:鷺巣詩郎
3.「なないろ」 詞:和泉ゆかり 曲:岸正之 編:鷺巣詩郎
4.「夢だけ100%」 詞:谷穂ちろる 曲:林哲司 編:鷺巣詩郎
5.「チェイス!」 詞:谷穂ちろる 曲:羽田一郎 編:鷺巣詩郎
6.「シルク紀行」 詞:谷穂ちろる 曲:岸正之 編:鷺巣詩郎
7.「ナチュラル通信」 詞:谷穂ちろる 曲・編:後藤次利
8.「ひとさし指のワイパー」 詞:谷穂ちろる 曲:和泉一弥 編:中村哲
9.「夏への星座」 詞:大山朋子 曲:岸正之 編:鷺巣詩郎
10.「プライベートはデンジャラス」 詞:谷穂ちろる 曲:井上ヨシマサ 編:武部聡志
produced by 稲葉竜文
engineered by 渡辺茂実
● 末期おニャン子クラブに在籍した元気娘が解散後に満を持してリリースしたハイパーポップなデビュー作
おニャン子クラブ末期に加入した我妻佳代のソロデビューは解散直後の1987年。デビューシングル「プライベートはデンジャラス」はオリコンベスト10にランクインするなど良いスタートを切ったものの、既におニャン子の幻影は長く持続することはなく、4枚のシングルと2枚のアルバムを残し実質1年間のソロ活動に終止符を打つことになります(そして翌年には若くして結婚・出産)。しかしながら特に残した2枚のアルバムの完成度はなかなか高いもので、我妻本人の明るいキャラクターとはじけるようなサウンドが魅力的な楽曲が収録された、シングルに頼らない仕上がりぶりで、現在に至ってさらに評価されても良い作品達と言ってもよいと思われます。本作はその中でも2枚のシングルリリースの後発表された1stアルバムです。
まず本作を語る上で欠かせないのが、シングルカットの2曲以外の全てをアレンジする鷺巣詩郎のシンセブラスのしつこさでしょう。もはや鷺巣アレンジ曲のシンセのしつこさは既に語り尽くされているところですが、本作でもその傾向にブレはなく、それどころか本領発揮の様相を呈しています。4曲を任された渋いメロディラインに定評のある岸正之を中心に、林哲司や羽田一郎等が参加する作曲陣は(後藤次利も1曲参加)安定感のあるポップソングを提供していましたが、そこに派手でしつこさ満点の鷺巣サウンドが豪快に上塗りするという大胆な仕上がりが(良い意味で)笑いを禁じ得ません。もちろんシングル曲も中村哲とエレクトリックな方の武部聡志アレンジなので派手派手しさは彼女のキャラクターの裏返しとも言えますが、しつこさ全開に支える本作における鷺巣の功績は非常に大きく、「リモコンボーイ」のような狂気溢れる名曲も収録されるなど凡庸になりがちなアイドル歌謡に一滴の毒を仕込んだ興味深い作品と言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「リモコンボーイ」
80年代後半を代表するマッドなテクノ歌謡。多彩な音色と緻密に組まれたテッテケテッテケリズムが圧巻。それにオケヒットやボコーダーが絡んだり、我妻自身の変調ボイスが狂気を増幅させます。ラストに駆け上がる転調もしつこくて怖い。
・「チェイス!」
マイナー調の腰の入った歌謡POPS。羽田一郎の哀愁メロディが支配する中、含蓄ある白玉パッドで鷺巣も落ち着いたサウンドを聴かせると思いきや、やはり後半ではせわしなく動くシンセブラスが席巻することに。
・「プライベートはデンジャラス」
記念すべきデビューシングル。井上ヨシマサ作曲のアメリカナイズなTHE アイドルPOPS。オルガンにブラス、ここぞのシンセSEといい派手めのサウンドですが、ブラスのしつこさはやはり鷺巣に比べると素直な印象です。
<評点>
・サウンド ★★ (粘り全開のシンセフレーズは鷺巣サウンドの真髄)
・メロディ ★ (丁寧なメロディ構築であるが音に埋もれる印象も)
・リズム ★★ (楽曲によって構成力にムラがあるように思える)
・曲構成 ★ (キラーチューンに他の楽曲がついていけなく・・)
・個性 ★ (本人よりもどうしても鷺巣サウンドが耳につく)
総合評点: 6点
「フォトン」 AZUMA HITOMI
「フォトン」(2013 エピック)
AZUMA HITOMI:vocal・computer programming

1.「にちよう陽」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
2.「東京」 詞:AZUMA HITOMI 曲:AZUMA HITOMI・細海魚 編:AZUMAYA
3.「east」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
4.「かさぶたとチェリー」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
5.「情けない顔で」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
6.「おなじゆめ」 詞:AZUMA HITOMI 曲:AZUMA HITOMI・細海魚 編:AZUMAYA
7.「walk」 詞:AZUMA HITOMI 曲:AZUMA HITOMI・細海魚 編:細海魚
8.「太陽をみていた」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
9.「無人島」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
10.「ハリネズミ」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
11.「破壊者アート」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
12.「きらきら」 詞:AZUMA HITOMI 曲:AZUMA HITOMI・細海魚 編:AZUMAYA
13.「ドライブ」 詞:AZUMA HITOMI 曲:AZUMA HITOMI・細海魚 編:AZUMAYA
<support musician>
細海魚:electric guitar・acoustic guitar・electric piano・toy piano・organ・talking modulator・computer programming
三井律郎:electric guitar・bouzouki
相澤大樹:toms
produced by AZUMA HITOMI・細海魚
mixing engineered by 奥田裕亮・熊坂敏・甲斐俊郎・細海魚
recording engineered by 細海魚・奥田裕亮・齊藤隆之
● 新世代の打ち込み少女が類稀なサウンドセンスで疾走感豊かに奏でるキラキラデジポップな1stアルバム
00年代となると既にDigital Audio Workstation(DAW)が生まれた時から当たり前のように存在している世代が、当たり前のように使いこなして自宅録音でも既に完パケ同然のクオリティによる作品を生み出すアーティストが増えてきます。1988年生まれのAZUMA HITOMIもそんなクリエイターの1人で、既に成熟し切ったDAWとシンセサイザーを違和感なく自身のサウンドメイクの重要な武器として利用し、作詞作曲をこなすシンガーソングライター的な側面から鍵盤弾き語りシンガーへ傾きがちなタイプながら、あえて電子機材に囲まれたデジタルPOPSへと身を投じている彼女の音楽性は、異彩を放ちつつも今後期待されるものであると言えるでしょう。本作はそんな彼女の記念すべき1stアルバムで、シングル「ハリネズミ」のデビューから2年の歳月をかけてじっくり作り上げられた渾身の1枚となっています。
中学生の時期からDTMをこなしている彼女なのでアレンジからミックスまで全てこなせるとはいうものの、そこはやはりメジャーデビューということでエンジニアはプロフェッショナルにお任せ、そしてサウンドプロデューサーとして古くは高浪慶太郎やかの香織楽曲の編曲者して、現在は新居昭乃や保刈正明とのユニット活動等多方面で活躍するキーボーディスト&アレンジャーである細海魚を迎えています。これが本作にとっては非常に重要であり、AZUMA自身が持ち合わせている才能とサウンドセンスを洗練された安定感のある電子POPSに仕上げているのは、細海魚の功績も大きいと思われます。時にはノスタルジックに、時には4つ打ちダンスビートに、楽曲によっては生ベースやアコースティックギターも導入することで幅を持たせるなど、全編直球シンセポップに見えて細かいところでの多彩さが見え隠れしています。ヴォーカルとしての声質としては通りが良い方ではないので歌が少し苦しそうなため、歌パートがふわっとしてしまうところが玉にキズですが、ここまで攻撃的な電子音で疾走するサウンドに乗るポップソングはありそうでなく、本作リリース後には矢野顕子に見初められて楽曲提供を行ったり、頻繁にライブ活動を行うなど現在のところは順風満帆のようですので、宅録女子・シンセ女子の成功例としてのますますの活躍を期待したいところです。
<Favorite Songs>
・「にちよう陽」
センスほとばしる電子音が散りばめられるノスタルジーシンセポップ。白玉シンセの滲むような音色だけでもご飯何杯でもいけます。弾き語り系特有のわかりやすいメロディラインでもしっかり電子音が「ハマって」いることが大事であり、才能であると思います。
・「破壊者アート」
アシッドなシーケンスで押しまくる本作中最も激しい前衛的シンセポップ。四つ打ちもこの楽曲ではサビのみで、そのサビも高速シーケンスにレゾナンスが効いてコクの深さを感じます。ノイジーな音色の大胆で開けっ広げな使い方による攻撃性が最大の魅力です。
・「ドライブ」
爽やかな5度のシンセワークが心地良いラストナンバー。これだけイントロとサビの爽快感を持っているのにAメロのグニョグニョした意外性のあるメロディが面白いです。間奏の高速シーケンスが現れてからの盛り上がり(ラストはモジュレーション系エフェクトで締める)は聴かせます。
<評点>
・サウンド ★★ (随所に現れる電子音の尖り方にこだわりを感じる)
・メロディ ★ (ポップとも言えるが普遍的で流れる印象もあり)
・リズム ★ (単調な四つ打ちなので少し工夫があると面白い)
・曲構成 ★ (細かい違いがあるとはいえ似た曲が多いのも事実)
・個性 ★★ (弾き語り系楽曲をあえて電子音で攻める意気は買い)
総合評点: 6点
AZUMA HITOMI:vocal・computer programming

1.「にちよう陽」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
2.「東京」 詞:AZUMA HITOMI 曲:AZUMA HITOMI・細海魚 編:AZUMAYA
3.「east」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
4.「かさぶたとチェリー」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
5.「情けない顔で」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
6.「おなじゆめ」 詞:AZUMA HITOMI 曲:AZUMA HITOMI・細海魚 編:AZUMAYA
7.「walk」 詞:AZUMA HITOMI 曲:AZUMA HITOMI・細海魚 編:細海魚
8.「太陽をみていた」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
9.「無人島」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
10.「ハリネズミ」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
11.「破壊者アート」 詞・曲:AZUMA HITOMI 編:AZUMAYA
12.「きらきら」 詞:AZUMA HITOMI 曲:AZUMA HITOMI・細海魚 編:AZUMAYA
13.「ドライブ」 詞:AZUMA HITOMI 曲:AZUMA HITOMI・細海魚 編:AZUMAYA
<support musician>
細海魚:electric guitar・acoustic guitar・electric piano・toy piano・organ・talking modulator・computer programming
三井律郎:electric guitar・bouzouki
相澤大樹:toms
produced by AZUMA HITOMI・細海魚
mixing engineered by 奥田裕亮・熊坂敏・甲斐俊郎・細海魚
recording engineered by 細海魚・奥田裕亮・齊藤隆之
● 新世代の打ち込み少女が類稀なサウンドセンスで疾走感豊かに奏でるキラキラデジポップな1stアルバム
00年代となると既にDigital Audio Workstation(DAW)が生まれた時から当たり前のように存在している世代が、当たり前のように使いこなして自宅録音でも既に完パケ同然のクオリティによる作品を生み出すアーティストが増えてきます。1988年生まれのAZUMA HITOMIもそんなクリエイターの1人で、既に成熟し切ったDAWとシンセサイザーを違和感なく自身のサウンドメイクの重要な武器として利用し、作詞作曲をこなすシンガーソングライター的な側面から鍵盤弾き語りシンガーへ傾きがちなタイプながら、あえて電子機材に囲まれたデジタルPOPSへと身を投じている彼女の音楽性は、異彩を放ちつつも今後期待されるものであると言えるでしょう。本作はそんな彼女の記念すべき1stアルバムで、シングル「ハリネズミ」のデビューから2年の歳月をかけてじっくり作り上げられた渾身の1枚となっています。
中学生の時期からDTMをこなしている彼女なのでアレンジからミックスまで全てこなせるとはいうものの、そこはやはりメジャーデビューということでエンジニアはプロフェッショナルにお任せ、そしてサウンドプロデューサーとして古くは高浪慶太郎やかの香織楽曲の編曲者して、現在は新居昭乃や保刈正明とのユニット活動等多方面で活躍するキーボーディスト&アレンジャーである細海魚を迎えています。これが本作にとっては非常に重要であり、AZUMA自身が持ち合わせている才能とサウンドセンスを洗練された安定感のある電子POPSに仕上げているのは、細海魚の功績も大きいと思われます。時にはノスタルジックに、時には4つ打ちダンスビートに、楽曲によっては生ベースやアコースティックギターも導入することで幅を持たせるなど、全編直球シンセポップに見えて細かいところでの多彩さが見え隠れしています。ヴォーカルとしての声質としては通りが良い方ではないので歌が少し苦しそうなため、歌パートがふわっとしてしまうところが玉にキズですが、ここまで攻撃的な電子音で疾走するサウンドに乗るポップソングはありそうでなく、本作リリース後には矢野顕子に見初められて楽曲提供を行ったり、頻繁にライブ活動を行うなど現在のところは順風満帆のようですので、宅録女子・シンセ女子の成功例としてのますますの活躍を期待したいところです。
<Favorite Songs>
・「にちよう陽」
センスほとばしる電子音が散りばめられるノスタルジーシンセポップ。白玉シンセの滲むような音色だけでもご飯何杯でもいけます。弾き語り系特有のわかりやすいメロディラインでもしっかり電子音が「ハマって」いることが大事であり、才能であると思います。
・「破壊者アート」
アシッドなシーケンスで押しまくる本作中最も激しい前衛的シンセポップ。四つ打ちもこの楽曲ではサビのみで、そのサビも高速シーケンスにレゾナンスが効いてコクの深さを感じます。ノイジーな音色の大胆で開けっ広げな使い方による攻撃性が最大の魅力です。
・「ドライブ」
爽やかな5度のシンセワークが心地良いラストナンバー。これだけイントロとサビの爽快感を持っているのにAメロのグニョグニョした意外性のあるメロディが面白いです。間奏の高速シーケンスが現れてからの盛り上がり(ラストはモジュレーション系エフェクトで締める)は聴かせます。
<評点>
・サウンド ★★ (随所に現れる電子音の尖り方にこだわりを感じる)
・メロディ ★ (ポップとも言えるが普遍的で流れる印象もあり)
・リズム ★ (単調な四つ打ちなので少し工夫があると面白い)
・曲構成 ★ (細かい違いがあるとはいえ似た曲が多いのも事実)
・個性 ★★ (弾き語り系楽曲をあえて電子音で攻める意気は買い)
総合評点: 6点
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