「AUDIO SPONGE」 SKETCH SHOW
「AUDIO SPONGE」(2002 エイベックス)
SKETCH SHOW

<members>
高橋幸宏:vocal・all instruments
細野晴臣:vocal・all instruments
1.「TURN TURN」 詞・曲:高橋幸宏・細野晴臣 編:テイトウワ・SKETCH SHOW
2.「Wonderful to me」
詞:高橋幸宏・細野晴臣 曲:坂本龍一・高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW
3.「Microtalk」 曲:高橋幸宏・細野晴臣・木本靖夫 編:SKETCH SHOW・木本靖夫
4.「WILSON」 詞:高橋幸宏 曲:高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW・重住ひろこ
5.「Supreme Secret」
詞:高橋幸宏・細野晴臣 曲:坂本龍一・高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW
6.「Do you want to marry me」 詞:Corrine Tulipe 曲:Michel Magne 編:SKETCH SHOW
7.「Gokigen ikaga 1.2.3」 詞:Snakeman Show 曲:細野晴臣 編:SKETCH SHOW
8.「Reform」 曲:高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW
9.「Flying George」 詞:高橋幸宏・吉橋トモコ 曲:高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW
10.「Turn Down Day」 詞・曲:David Blume・Paul Jerry Keller 編:SKETCH SHOW
11.「Return」 曲:高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW
12.「Theme from a summer place」
詞:Mack Discant 曲:Max Steiner 編:SKETCH SHOW
<support musician>
Pase Wu:voices
坂本龍一:keyboards・sample guitar・clavinette
岡村玄:chorus
重住ひろこ:chorus
平慎也:chorus
森脇松平:chorus
テイトウワ:production data
produced by SKETCH SHOW
mixing engineered by 原口宏・Goh Hotoda・テイトウワ・松田直・木本靖夫・飯尾芳史・SKETCH SHOW
recording engineered by 原口宏
● 日本POPS界を牽引してきた重鎮の2人が挑戦するポストエレクトロニカPOPSの貫禄の意欲作
日本のロックシーンにおける最重要人物というべき細野晴臣と高橋幸宏。YMOでの活動が有名ではありますが、はっぴいえんどやサディスティック・ミカ・バンドといった70年代前半の日本ロック黎明期の伝説バンドのメンバーでもある彼らが、電子楽器という新しいツールによる新しい音楽を創り出そうという意欲が生み出したのがYMOであったと思われます。一時代を築いたこのバンドを散開(解散)後は、独自のテクノ道を邁進したり、ワールドミュージックやアンビエントに傾倒してみたり、日本式POPSに限りなく接近してみたりと、その豊富なキャリアと培ってきた多彩な音楽性、そして確かなサウンド面でのセンスとプレイヤーとしての技術によって、安定した活動でファンを楽しませてきました。そしてこの2人がエレクトロニカという共通言語を介して再びタッグを組んだのが2002年。SKETCH SHOWと銘打たれたこのユニットは、YMO時代においての相性の良さも手伝ってか、単なる懐古主義的なテクノポップというよりも最新式のエレクトリックPOPSを彼らなりに料理した、年齢問わず楽しめるポップミュージックを披露しました。本作はそんな彼らがフルアルバムとして唯一残している作品です。
SKETCH SHOWのサウンドはいわゆるエレクトロニカで、チリチリとした電子ノイズを多用したり、電子的なサンプルコラージュを散りばめながらもシンプルな音像が魅力的です。基本はワンコードで、そこにバリエーションを加えてフレーズやサウンドを発展させていくスタイルで(随所でYMO的なフレーズを多用するユーモアも)、このあたりは1993年の再生YMOの匂いを残しつつ、00年代当時の流行を抑えた最新のクールなポップミュージックを志向しています。また、2曲で坂本龍一まで参加してしまったおかげでYMO再結成か?とも思われそうな作品ですが、テクノっぽい志向とはいっても根底に流れているのは細野&高橋のアメリカンPOPSへの憧憬であり、カバー曲にもそのあたりが如実に感じられるところです。本作におけるこのエレクトロニカなサウンド手法は特にその後の高橋幸宏のソロワークに継承されていき、本作のアメリカンPOPSへの回帰という点では細野晴臣のソロ活動への火付け役になったという解釈もできますが、さらに坂本龍一を加えた久しぶりの邂逅が、後のHuman Audio Sponge→HASYMO→Yello Magic Orchestraとしての3人の再活動へとつながっていくわけで、別々に活動していた稀代の3名のミュージシャンが、再び集結する着火点となった、重要な位置づけの作品であることが言えると思います。
<Favorite Songs>
・「TURN TURN」
かのYMOの名盤「TECHNODELIC」収録曲を彷佛とさせるミニマル要素の強いエレクトリックチューン。幸宏らしい緻密なリズム構築と気怠いヴォーカルが絡み合います。このリピート感覚はまさにあの時代の先鋭性が時代に追いついてきた感があります。
・「Wonderful to me」
坂本龍一が参加して疑似YMOとなった本作のキラーチューン。この楽曲も基本はワンコードですが、不協和音と化した白玉パッドの苦みが心地良いです。この3人が集まるとやはりあのバンドの味になってくるのも興味深いです。
・「Gokigen ikaga 1.2.3」
約20年ぶりに甦ったスネークマンショーへの提供曲のリメイク。ラップの古典ともいえる原曲はダンサブルとも言えるファンクポップでしたが、このリメイクでは深みのあるテクノファンクに生まれ変わってさらに不気味さを増しています。分離の良いリズム構築はさすがの幸宏マジックです。
<評点>
・サウンド ★★★ (隙間を作る音のタイミングに豊富な経験を感じさせる)
・メロディ ★ (ミニマル要素を前面に出してオリジナルは地味に終始)
・リズム ★★★ (このリズムワークだけは本当に独特で唯一無二のもの)
・曲構成 ★★ (リメイクが多いのとあと数曲キラーソングが欲しかった)
・個性 ★★ (この2名だからこその安定感、3名加わるとあのサウンド)
総合評点: 7点
SKETCH SHOW

<members>
高橋幸宏:vocal・all instruments
細野晴臣:vocal・all instruments
1.「TURN TURN」 詞・曲:高橋幸宏・細野晴臣 編:テイトウワ・SKETCH SHOW
2.「Wonderful to me」
詞:高橋幸宏・細野晴臣 曲:坂本龍一・高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW
3.「Microtalk」 曲:高橋幸宏・細野晴臣・木本靖夫 編:SKETCH SHOW・木本靖夫
4.「WILSON」 詞:高橋幸宏 曲:高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW・重住ひろこ
5.「Supreme Secret」
詞:高橋幸宏・細野晴臣 曲:坂本龍一・高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW
6.「Do you want to marry me」 詞:Corrine Tulipe 曲:Michel Magne 編:SKETCH SHOW
7.「Gokigen ikaga 1.2.3」 詞:Snakeman Show 曲:細野晴臣 編:SKETCH SHOW
8.「Reform」 曲:高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW
9.「Flying George」 詞:高橋幸宏・吉橋トモコ 曲:高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW
10.「Turn Down Day」 詞・曲:David Blume・Paul Jerry Keller 編:SKETCH SHOW
11.「Return」 曲:高橋幸宏・細野晴臣 編:SKETCH SHOW
12.「Theme from a summer place」
詞:Mack Discant 曲:Max Steiner 編:SKETCH SHOW
<support musician>
Pase Wu:voices
坂本龍一:keyboards・sample guitar・clavinette
岡村玄:chorus
重住ひろこ:chorus
平慎也:chorus
森脇松平:chorus
テイトウワ:production data
produced by SKETCH SHOW
mixing engineered by 原口宏・Goh Hotoda・テイトウワ・松田直・木本靖夫・飯尾芳史・SKETCH SHOW
recording engineered by 原口宏
● 日本POPS界を牽引してきた重鎮の2人が挑戦するポストエレクトロニカPOPSの貫禄の意欲作
日本のロックシーンにおける最重要人物というべき細野晴臣と高橋幸宏。YMOでの活動が有名ではありますが、はっぴいえんどやサディスティック・ミカ・バンドといった70年代前半の日本ロック黎明期の伝説バンドのメンバーでもある彼らが、電子楽器という新しいツールによる新しい音楽を創り出そうという意欲が生み出したのがYMOであったと思われます。一時代を築いたこのバンドを散開(解散)後は、独自のテクノ道を邁進したり、ワールドミュージックやアンビエントに傾倒してみたり、日本式POPSに限りなく接近してみたりと、その豊富なキャリアと培ってきた多彩な音楽性、そして確かなサウンド面でのセンスとプレイヤーとしての技術によって、安定した活動でファンを楽しませてきました。そしてこの2人がエレクトロニカという共通言語を介して再びタッグを組んだのが2002年。SKETCH SHOWと銘打たれたこのユニットは、YMO時代においての相性の良さも手伝ってか、単なる懐古主義的なテクノポップというよりも最新式のエレクトリックPOPSを彼らなりに料理した、年齢問わず楽しめるポップミュージックを披露しました。本作はそんな彼らがフルアルバムとして唯一残している作品です。
SKETCH SHOWのサウンドはいわゆるエレクトロニカで、チリチリとした電子ノイズを多用したり、電子的なサンプルコラージュを散りばめながらもシンプルな音像が魅力的です。基本はワンコードで、そこにバリエーションを加えてフレーズやサウンドを発展させていくスタイルで(随所でYMO的なフレーズを多用するユーモアも)、このあたりは1993年の再生YMOの匂いを残しつつ、00年代当時の流行を抑えた最新のクールなポップミュージックを志向しています。また、2曲で坂本龍一まで参加してしまったおかげでYMO再結成か?とも思われそうな作品ですが、テクノっぽい志向とはいっても根底に流れているのは細野&高橋のアメリカンPOPSへの憧憬であり、カバー曲にもそのあたりが如実に感じられるところです。本作におけるこのエレクトロニカなサウンド手法は特にその後の高橋幸宏のソロワークに継承されていき、本作のアメリカンPOPSへの回帰という点では細野晴臣のソロ活動への火付け役になったという解釈もできますが、さらに坂本龍一を加えた久しぶりの邂逅が、後のHuman Audio Sponge→HASYMO→Yello Magic Orchestraとしての3人の再活動へとつながっていくわけで、別々に活動していた稀代の3名のミュージシャンが、再び集結する着火点となった、重要な位置づけの作品であることが言えると思います。
<Favorite Songs>
・「TURN TURN」
かのYMOの名盤「TECHNODELIC」収録曲を彷佛とさせるミニマル要素の強いエレクトリックチューン。幸宏らしい緻密なリズム構築と気怠いヴォーカルが絡み合います。このリピート感覚はまさにあの時代の先鋭性が時代に追いついてきた感があります。
・「Wonderful to me」
坂本龍一が参加して疑似YMOとなった本作のキラーチューン。この楽曲も基本はワンコードですが、不協和音と化した白玉パッドの苦みが心地良いです。この3人が集まるとやはりあのバンドの味になってくるのも興味深いです。
・「Gokigen ikaga 1.2.3」
約20年ぶりに甦ったスネークマンショーへの提供曲のリメイク。ラップの古典ともいえる原曲はダンサブルとも言えるファンクポップでしたが、このリメイクでは深みのあるテクノファンクに生まれ変わってさらに不気味さを増しています。分離の良いリズム構築はさすがの幸宏マジックです。
<評点>
・サウンド ★★★ (隙間を作る音のタイミングに豊富な経験を感じさせる)
・メロディ ★ (ミニマル要素を前面に出してオリジナルは地味に終始)
・リズム ★★★ (このリズムワークだけは本当に独特で唯一無二のもの)
・曲構成 ★★ (リメイクが多いのとあと数曲キラーソングが欲しかった)
・個性 ★★ (この2名だからこその安定感、3名加わるとあのサウンド)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「Poison」 ALI PROJECT
「Poison」(2009 徳間ジャパン)
ALI PROJECT

<members>
宝野アリカ:vocal
片倉三起也:all instruments
1.「Poisoner」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
2.「処女懐胎、あるいは白骨塔より少女達は飛翔する」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
3.「お毒味LADY」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
4.「阿芙蓉寝台」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛・平野義久
5.「極色一代女」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
6.「Animals on the Earth」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
7.「上海繚乱ロマンチカ」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
8.「世紀末ゲネシス」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・平野義久
9.「この國の向こうに」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:平野義久
10.「discipline」 曲:片倉三起也 編:平野義久
<support musician>
伊藤浩紀:guitar
松本茂:wood bass
そうる透:drums
細田真子:cembalo
エリック宮城:trumpet
中川英二郎:trombone
宮崎明生:tenor sax
Robert Zung:baritone sax
中川昌三:flute
RUSH by 加藤高志:strings
渡辺剛Strings:strings
東京フィルハーモニックコーラス:chorus
渡辺剛:strings arrangement
平野義久:chorus arrangement
sound produced by 片倉三起也
engineered by 滝田二郎
● 切迫感のあるシンセサウンドとストリングスのせめぎ合いにロマンスすら感じる孤高のユニット10枚目のオリジナル作
2007年のオリジナルアルバム「Psychedelic Insanity」で大きく舵を切ったエレクトリックへの傾倒をひとまず溜め込みながら08年の9枚目のオリジナル作「禁書」では、ゴシックにどっぷり浸かった濃い世界観で聴き手を魅了したALI PROJECT。翌09年は「裸々イヴ新世紀」「地獄之門」「戦慄の子供たち」といったアニメタイアップをこなしながらしっかりとオリジナル作品を残すところは、さすが創作意欲の衰えない彼らだからこその多作ぶりと言えるでしょう。タイアップとオリジナルを割り切って成立させるほどのベテランならではの経験と多彩な音楽性を実現化する手数の多さを見せるアリプロですが、本作では前作から方向性に変化を加え、前々作のエレクトリックなサウンドを進化させ、かつゴシカル性を浄化したかのような滑らかさを楽曲に施した、ジャケからも感じられるように近年では珍しいあっさり味のサウンドに仕上げてきています。
あっさりとはいえそれはあくまで全体的な印象であり、実際の各楽曲におけるサウンドは非常に濃密です。相変わらずの流れるようなストリングスワークもさることながら、全面的に主張し始めた剥き出しのシンセフレーズによってサウンドの輪郭がはっきりしたおかげで、聴き手はよりそれらの楽曲からテクノロジーを感じることになります。中には「極色一代女」というビッグバンド従えた新機軸に挑戦した楽曲を収録するなど、音の組み立て方の完成度と実験精神は80年代から活動を続けている彼らにしていまだ衰えを知りません。特に「処女懐胎、〜」や「上海繚乱ロマンチカ」などで聴けるようなLow-Bitなストリングスのサウンド処理は挑戦的で、しかも電子音との相性も合うし、随所でトリッキーなフレーズで攪乱してくるため、前衛的エレクトロクラシックサウンドとしても十分に聴く価値がある作品となっています。本作後もオリジナル作品では試行錯誤を繰り返すALI PROJECTですが、本作は近年の作品でも初期の原点に帰ったかのようなアヴァンギャルド電子POPS的な側面を発揮した良作であると言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「Poisoner」
プログラミング&ストリングスの融合が冴えるタイトルチューン。チープなリズムとシーケンスを多用しながら、いつもながらのトリッキーなメロディラインで魅せます。圧巻なのは間奏の流麗なストリングスに絡む彼らにとっては珍しいグルーヴィーなベースラインです。
・「処女懐胎、あるいは白骨塔より少女達は飛翔する」
わざと濁した衝撃的なストリングスのイントロから始まる本作随一のエレクトロゴシックPOPS。いかにもサンプリングなストリングスが電子音響と混ざり合う攻撃的なサウンドで、美しいサビのメロディをグチャッと潰すかのような不協和音的ギミックのストリングスの使い方がポイントです。
・「Animals on the Earth」
これもストリングスとプログラミングが疾走しながらも開放感すら感じる潔い楽曲。タイアップ曲でも通用するようなポップな曲調ですが、Bメロ前の無機質なシンセフレーズにテクノ魂を感じます。流れるように展開していく曲調は彼らの十八番とも言えるでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★ (露出する電子音とわざと汚したづとリングすが大活躍)
・メロディ ★ (時折キャッチー性を見せるが基本は複雑で難解な旋律)
・リズム ★★ (全体的にチープだがサビでの畳み掛け方は円熟の味)
・曲構成 ★ (いつも思うがラスト2曲は弦楽器オンリーではなく・・)
・個性 ★★ (近年ではわかりやすいシンセ度高くテクノ好きする音)
総合評点: 7点
ALI PROJECT

<members>
宝野アリカ:vocal
片倉三起也:all instruments
1.「Poisoner」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
2.「処女懐胎、あるいは白骨塔より少女達は飛翔する」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
3.「お毒味LADY」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
4.「阿芙蓉寝台」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛・平野義久
5.「極色一代女」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
6.「Animals on the Earth」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
7.「上海繚乱ロマンチカ」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
8.「世紀末ゲネシス」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・平野義久
9.「この國の向こうに」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:平野義久
10.「discipline」 曲:片倉三起也 編:平野義久
<support musician>
伊藤浩紀:guitar
松本茂:wood bass
そうる透:drums
細田真子:cembalo
エリック宮城:trumpet
中川英二郎:trombone
宮崎明生:tenor sax
Robert Zung:baritone sax
中川昌三:flute
RUSH by 加藤高志:strings
渡辺剛Strings:strings
東京フィルハーモニックコーラス:chorus
渡辺剛:strings arrangement
平野義久:chorus arrangement
sound produced by 片倉三起也
engineered by 滝田二郎
● 切迫感のあるシンセサウンドとストリングスのせめぎ合いにロマンスすら感じる孤高のユニット10枚目のオリジナル作
2007年のオリジナルアルバム「Psychedelic Insanity」で大きく舵を切ったエレクトリックへの傾倒をひとまず溜め込みながら08年の9枚目のオリジナル作「禁書」では、ゴシックにどっぷり浸かった濃い世界観で聴き手を魅了したALI PROJECT。翌09年は「裸々イヴ新世紀」「地獄之門」「戦慄の子供たち」といったアニメタイアップをこなしながらしっかりとオリジナル作品を残すところは、さすが創作意欲の衰えない彼らだからこその多作ぶりと言えるでしょう。タイアップとオリジナルを割り切って成立させるほどのベテランならではの経験と多彩な音楽性を実現化する手数の多さを見せるアリプロですが、本作では前作から方向性に変化を加え、前々作のエレクトリックなサウンドを進化させ、かつゴシカル性を浄化したかのような滑らかさを楽曲に施した、ジャケからも感じられるように近年では珍しいあっさり味のサウンドに仕上げてきています。
あっさりとはいえそれはあくまで全体的な印象であり、実際の各楽曲におけるサウンドは非常に濃密です。相変わらずの流れるようなストリングスワークもさることながら、全面的に主張し始めた剥き出しのシンセフレーズによってサウンドの輪郭がはっきりしたおかげで、聴き手はよりそれらの楽曲からテクノロジーを感じることになります。中には「極色一代女」というビッグバンド従えた新機軸に挑戦した楽曲を収録するなど、音の組み立て方の完成度と実験精神は80年代から活動を続けている彼らにしていまだ衰えを知りません。特に「処女懐胎、〜」や「上海繚乱ロマンチカ」などで聴けるようなLow-Bitなストリングスのサウンド処理は挑戦的で、しかも電子音との相性も合うし、随所でトリッキーなフレーズで攪乱してくるため、前衛的エレクトロクラシックサウンドとしても十分に聴く価値がある作品となっています。本作後もオリジナル作品では試行錯誤を繰り返すALI PROJECTですが、本作は近年の作品でも初期の原点に帰ったかのようなアヴァンギャルド電子POPS的な側面を発揮した良作であると言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「Poisoner」
プログラミング&ストリングスの融合が冴えるタイトルチューン。チープなリズムとシーケンスを多用しながら、いつもながらのトリッキーなメロディラインで魅せます。圧巻なのは間奏の流麗なストリングスに絡む彼らにとっては珍しいグルーヴィーなベースラインです。
・「処女懐胎、あるいは白骨塔より少女達は飛翔する」
わざと濁した衝撃的なストリングスのイントロから始まる本作随一のエレクトロゴシックPOPS。いかにもサンプリングなストリングスが電子音響と混ざり合う攻撃的なサウンドで、美しいサビのメロディをグチャッと潰すかのような不協和音的ギミックのストリングスの使い方がポイントです。
・「Animals on the Earth」
これもストリングスとプログラミングが疾走しながらも開放感すら感じる潔い楽曲。タイアップ曲でも通用するようなポップな曲調ですが、Bメロ前の無機質なシンセフレーズにテクノ魂を感じます。流れるように展開していく曲調は彼らの十八番とも言えるでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★ (露出する電子音とわざと汚したづとリングすが大活躍)
・メロディ ★ (時折キャッチー性を見せるが基本は複雑で難解な旋律)
・リズム ★★ (全体的にチープだがサビでの畳み掛け方は円熟の味)
・曲構成 ★ (いつも思うがラスト2曲は弦楽器オンリーではなく・・)
・個性 ★★ (近年ではわかりやすいシンセ度高くテクノ好きする音)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「FENCE OF DEFENSE III」 FENCE OF DEFENSE
「FENCE OF DEFENSE III/2235 ZERO GENERATION」
(1988 エピックソニー)
FENCE OF DEFENSE

<members>
北島健二:guitar・vocal
西村麻聡:vocal・bass・synthesizer・piano
山田亘:drums・vocal
1.「DARKNESS REMAINS THE SAME」
I) 「2235」 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
II)「DARKNESS REMAINS THE SAME」 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
III)「THE DANGEROUS OPERA BEGINS」
詞:Chris Mosdell 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
2.「DATA NO.6」 詞:K. Inojo 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
3.「LAND OF THE LIAR」
詞:FENCE OF DEFENSE 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
4.「SARA」 詞:FENCE OF DEFENSE 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
5.「HONEY MONEY」 詞:K. Inojo 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
6.「AGAIN」 詞:FENCE OF DEFENSE 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
7.「FLOATING TIME」 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
8.「IN MYSELF」 詞:柳川英己 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
9.「THIS WORLD」
I) 「GEO」 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
II)「THIS WORLD」 詞:FENCE OF DEFENSE 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
III)「THE LOST DANCE」 詞:Chris Mosdell 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
<support musician>
中西康晴:piano
木村誠:percussion
荒木敏男:trumpet
清岡太郎:trombone
平原まこと:sax
金子飛鳥グループ:strings
CINDY:chorus・chorus arrangement
Michael Wilson:chorus
佐々木久美:chorus
松木美音:chorus
小泉洋:synthesizer operate
白田朗:synthesizer operate
堀内孝太郎:synthesizer operate
溝口肇:strings arrangement
produced by FENCE OF DEFENSE
mixing engineered by 松本元成・Michael Zimmerling
recording engineered by 松本元成
● ヒット曲を飛ばした後にもかかわらず壮大なコンセプト作品で実力を披露したハードプログレな3rdアルバム
デジタルサウンドとハードロックの融合にいち早く挑戦すべく結成されたFENCE OF DEFENSE。北島健二のロック直系のハードなギターワークとパワフルながらデジタルなリズムにもしっかり追従する山田亘のドラミング、そしてサウンドメイクの中心である西村麻聡のボトムの効いたベースフレーズに華麗なメロディセンス、泣きの入ったヴォーカル、それらを彩るシャープなシンセサウンドは、2枚のアルバムリリースによってその全貌が明らかとなり、その先進性とわかりやすくポップとも言える楽曲の親しみやすさには、80年代後半を席巻したEPICソニーレコードからのリリースということもあり、一定の人気を博しつつありました。そして1988年には後にシングルカットされる「SARA」が人気アニメ「シティハンター2」の主題歌に抜擢され、これがスマッシュヒットし一般的にもその名を知られるようになりました。このシングル「SARA」と同日にリリースされたのが3枚目のアルバムとなる本作です。
前2作はどちらかといえば高クオリティの楽曲が集められた作品でしたが、本作は一転してがっちりとしたストーリー性で固められたアルバムとなっています。最初と最後を組曲風の楽曲で固めた近未来的なコンセプトは、作品全体をある「縛り」をかけていて、前2作と比べてもデジタルサウンドの比重を高くしているとともに、ギターのサウンド処理も心なしかシャープになった印象を受けます。ヒット曲「SARA」以外はあからさまにポップな路線の楽曲も少なく、重厚な楽曲が多くを締めていますが、既に彼らの求めるサウンドデザインが完成に近づいているからこその余裕が感じられます。ブラスやストリングス、コーラスの多用等これまでにないサウンド的アプローチも見せるなど、デジタルな味わいの中で引き出しの多さを感じさせる部分もありますが、特に組曲風の「DARKNESS REMAINS THE SAME」「THIS WORLD」やインスト「FLOATING TIME」あたりは80年代初期から亜蘭知子のプロデュースや細野晴臣らのF.O.Eへの参加などで培ってきた西村麻聡のクリエイターとしての経験が生きていると言えるでしょう。シングルヒットとは正反対の比較的難解で硬派なコンセプトアルバムとなったため、彼らの作品の中では最大の売り上げは記録したものの、あと一歩でスターダムにはのし上がれなかったF.O.Dですが、結果的にバンドとして息長く現在も活動を続けられる礎となった作品となったことは間違いありません。
<Favorite Songs>
・「LAND OF THE LIAR」
メタリックなベース音にクッキリしたギターリフがかっこよさを演出する渋めのロックチューン。ズシンズシンと響くバスドラがとてもいい味を出しています。オルガンやブラスも導入して大人の演出を怠らないところにも渋さを感じさせます。
・「SARA」
泣きのメロディラインと力強いドラム、きらびやか且つ大胆なシンセワークでキャッチー性を遺憾なく発揮したFOD最大のヒットシングル。重厚なギターサウンドが支配しているのにこの聴きやすさは西村麻聡のポップセンスの成せる業と言えます。サビの合間に入るオケヒットフレーズのスピード感がツボです。
・「AGAIN」
哀愁のメロディを前面に押し出したミディアムバラード。カラッとしたAメロから泣きの入るBメロへの流れが美しく、全体を包む白玉パッドが隠し味となっています。間奏にはストリングスを導入するなど新機軸も見せています。
<評点>
・サウンド ★★ (サウンド全体に重厚さが増してデジタルとの融合も円熟)
・メロディ ★ (キャッチー性はシングル曲を除いて後退した印象)
・リズム ★★ (パワフルな音処理もプラスされロックなドラムが好印象)
・曲構成 ★ (物語性を重んじて持ち前のわかりやすさが引っ込む)
・個性 ★★ (デジタルとロックの融合は本作で一旦確立されたか)
総合評点: 6点
(1988 エピックソニー)
FENCE OF DEFENSE

<members>
北島健二:guitar・vocal
西村麻聡:vocal・bass・synthesizer・piano
山田亘:drums・vocal
1.「DARKNESS REMAINS THE SAME」
I) 「2235」 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
II)「DARKNESS REMAINS THE SAME」 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
III)「THE DANGEROUS OPERA BEGINS」
詞:Chris Mosdell 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
2.「DATA NO.6」 詞:K. Inojo 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
3.「LAND OF THE LIAR」
詞:FENCE OF DEFENSE 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
4.「SARA」 詞:FENCE OF DEFENSE 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
5.「HONEY MONEY」 詞:K. Inojo 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
6.「AGAIN」 詞:FENCE OF DEFENSE 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
7.「FLOATING TIME」 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
8.「IN MYSELF」 詞:柳川英己 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
9.「THIS WORLD」
I) 「GEO」 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
II)「THIS WORLD」 詞:FENCE OF DEFENSE 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
III)「THE LOST DANCE」 詞:Chris Mosdell 曲:西村麻聡 編:FENCE OF DEFENSE
<support musician>
中西康晴:piano
木村誠:percussion
荒木敏男:trumpet
清岡太郎:trombone
平原まこと:sax
金子飛鳥グループ:strings
CINDY:chorus・chorus arrangement
Michael Wilson:chorus
佐々木久美:chorus
松木美音:chorus
小泉洋:synthesizer operate
白田朗:synthesizer operate
堀内孝太郎:synthesizer operate
溝口肇:strings arrangement
produced by FENCE OF DEFENSE
mixing engineered by 松本元成・Michael Zimmerling
recording engineered by 松本元成
● ヒット曲を飛ばした後にもかかわらず壮大なコンセプト作品で実力を披露したハードプログレな3rdアルバム
デジタルサウンドとハードロックの融合にいち早く挑戦すべく結成されたFENCE OF DEFENSE。北島健二のロック直系のハードなギターワークとパワフルながらデジタルなリズムにもしっかり追従する山田亘のドラミング、そしてサウンドメイクの中心である西村麻聡のボトムの効いたベースフレーズに華麗なメロディセンス、泣きの入ったヴォーカル、それらを彩るシャープなシンセサウンドは、2枚のアルバムリリースによってその全貌が明らかとなり、その先進性とわかりやすくポップとも言える楽曲の親しみやすさには、80年代後半を席巻したEPICソニーレコードからのリリースということもあり、一定の人気を博しつつありました。そして1988年には後にシングルカットされる「SARA」が人気アニメ「シティハンター2」の主題歌に抜擢され、これがスマッシュヒットし一般的にもその名を知られるようになりました。このシングル「SARA」と同日にリリースされたのが3枚目のアルバムとなる本作です。
前2作はどちらかといえば高クオリティの楽曲が集められた作品でしたが、本作は一転してがっちりとしたストーリー性で固められたアルバムとなっています。最初と最後を組曲風の楽曲で固めた近未来的なコンセプトは、作品全体をある「縛り」をかけていて、前2作と比べてもデジタルサウンドの比重を高くしているとともに、ギターのサウンド処理も心なしかシャープになった印象を受けます。ヒット曲「SARA」以外はあからさまにポップな路線の楽曲も少なく、重厚な楽曲が多くを締めていますが、既に彼らの求めるサウンドデザインが完成に近づいているからこその余裕が感じられます。ブラスやストリングス、コーラスの多用等これまでにないサウンド的アプローチも見せるなど、デジタルな味わいの中で引き出しの多さを感じさせる部分もありますが、特に組曲風の「DARKNESS REMAINS THE SAME」「THIS WORLD」やインスト「FLOATING TIME」あたりは80年代初期から亜蘭知子のプロデュースや細野晴臣らのF.O.Eへの参加などで培ってきた西村麻聡のクリエイターとしての経験が生きていると言えるでしょう。シングルヒットとは正反対の比較的難解で硬派なコンセプトアルバムとなったため、彼らの作品の中では最大の売り上げは記録したものの、あと一歩でスターダムにはのし上がれなかったF.O.Dですが、結果的にバンドとして息長く現在も活動を続けられる礎となった作品となったことは間違いありません。
<Favorite Songs>
・「LAND OF THE LIAR」
メタリックなベース音にクッキリしたギターリフがかっこよさを演出する渋めのロックチューン。ズシンズシンと響くバスドラがとてもいい味を出しています。オルガンやブラスも導入して大人の演出を怠らないところにも渋さを感じさせます。
・「SARA」
泣きのメロディラインと力強いドラム、きらびやか且つ大胆なシンセワークでキャッチー性を遺憾なく発揮したFOD最大のヒットシングル。重厚なギターサウンドが支配しているのにこの聴きやすさは西村麻聡のポップセンスの成せる業と言えます。サビの合間に入るオケヒットフレーズのスピード感がツボです。
・「AGAIN」
哀愁のメロディを前面に押し出したミディアムバラード。カラッとしたAメロから泣きの入るBメロへの流れが美しく、全体を包む白玉パッドが隠し味となっています。間奏にはストリングスを導入するなど新機軸も見せています。
<評点>
・サウンド ★★ (サウンド全体に重厚さが増してデジタルとの融合も円熟)
・メロディ ★ (キャッチー性はシングル曲を除いて後退した印象)
・リズム ★★ (パワフルな音処理もプラスされロックなドラムが好印象)
・曲構成 ★ (物語性を重んじて持ち前のわかりやすさが引っ込む)
・個性 ★★ (デジタルとロックの融合は本作で一旦確立されたか)
総合評点: 6点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
2014年あけましておめでとうございます
当ブログ読者の皆様、2014年新年あけましておめでとうございます。
さて、開始当初はひっそりと始めましたTECHNOLOGY POPS π3.14、遂に7年目を迎えることと相成りました。
当初はこのような自己満足なレビューブログなんか誰が見るのだろうと思い、軽い気持ちで衝動の赴くままに投稿していたのですが、いまやカウント数も40万に迫る勢い、まさかのいろいろな場所で記事が晒される有様で、本当に申し訳なく思っている次第です。
なにせ文章がほとんど条件反射的、自動筆記的に書かれていますので、2度と同じレビューができない状態ですので・・。
当初より基本的に週一ペースに投稿頻度は落ちましたが、1枚1枚好きな作品ばかりなのでネタが続く限り今年も頑張っていきたいと思います。
まあ記事も大量になってきましたので、辞書代わりに使っていただいても結構ですが、記事はすべて個人的見解となっておりますので、他のレビューブロガーの方たちの記事も参照にしていただきながら、当ブログも頭の隅っこに置いておいていただけると幸いでございます。
さて、恒例の2013年TECHNOLOGY POPS的ベストアルバムの紹介です。
例年3枚のご紹介としておりますが、Twitterでもノミネート作品(つまり当ブログでレビューする作品ですね)を投稿しましたとおり、昨年は27枚候補がありましたので(分母ではないです。あくまで27枚に一旦絞ったというだけです)、今回は奮発(?)して上から5枚紹介したいと思います。
いろいろと年間ベストアルバムを投稿している方が多くいらっしゃる中で興味深いランキングが多く、自分は全く新譜を聴けていないなあと思うこともしばしばですが、そんな中でもいかにも「TECHNOLOGY POPS」的なランキングになったかなあと思っています。
それでは、2013年ベスト5は以下の5作品となりました。(でも結局ベスト10+αも挙げちゃうわけですが)
サエキけんぞう関係のリリースや、ラウンジエレクトロユニットELEKTEL、Cutie Paiの名曲「SIGNAL」「テクノ*ドール」等で緻密かつ大胆なサウンドメイクを聴かせていたサウンドクリエイターの塚田道雄(Mitchie Mitchell)が、Michie M名義でボーカロイド作品を手掛けた作品集としてのデビューアルバム。「FREELY TOMORROW」や「ビバハピ」といったネット上のヒット曲に代表されるような、ボカロを人間のように歌わせる「神調教」と呼ばれる調声技術が評価されていますが、彼の本質はやはり詰め込みに詰め込んだギミカルなサウンドデザイン+80年代を通過したアノ世代特有のキャッチーでわかりやすいメロディセンス。初音ミクのジャケなど必要ないほどの完成度を誇る高クオリティの楽曲を連発しており、2013年の作品の中ではこれが飛び抜けていました。調声技術だけでなく、じっくりサウンドの作り込みを聴いてもらいたい作品です。
人気声優の4枚のシングルを引っさげて満を持して発表された1stアルバム。ROUND TABLEの北川勝利がプロデュースした極上のPOPSアルバムで、沖井礼二や宮川弾、中塚武、カジヒデキなどのポスト渋谷系と呼ばれるクリエイターが参加しているため、渋谷系の復権などとも言われていますが、そんな枕詞はどうでもよく、ただ単純に彼らがこれまで積み上げてきた経験則に基づく芳醇なPOPS精神が滲み出た楽曲が、あらゆる作品で起用したくなるような存在感のある声質を持つ花澤の歌にまるでパズルのラストピースのようにピタリでハマった、そんな気持ちよさが感じられる作品となっています。
北方の歌姫(北海道出身)9年ぶりの4thオリジナルフルアルバム。完全ハンドメイド作品。彼女は遊佐未森的な雰囲気を醸し出しつつ弾き語りもできるし、素のままで楽曲を成立させる力を持っているのにもかかわらず、もうポリシーと言ってもよいほどアシッドな高速シーケンスでテクノポップ色に染めてしまう。そこに驚きもあるし痺れてしまうところでもあります。とにかく使う音色が表からのイメージとギャップがあるので、ジャケ買いすると面食らうかもしれません。
80'sを愛する中堅3人組の4年ぶりのアルバム。作品によって当たり外れのあるNONA REEVESですが、本作はタイトル通り「ポップ」を前面に押し出しているだけあって、気持ちいいくらいのキャッチー性で楽曲を固めてきました。FMラジオにぴったりの音というのかな。他者の楽曲提供も活発になってきた彼らにとって2013年は完全に当たり年になったと思います。今年の活躍も期待できそうですね。
シティポップリカバリーは2012年〜2013年にかけての潮流の1つであったと思うのですが、この無駄に熱いヴォーカリストもその1つ、というのもおこがましいほどの清々しい80's AORマインドを本作にぶつけています。あの時代の空気を嫌という程理解しているバックに支えられた、一聴してわかる音の存在感とグッとくるメロディ、当然本作をベストに挙げる方も多いと思っていたのですが、意外と全くいないんですねw 彼の信念と自信に基づいた挑戦を見守りたい気持ちも含めてベスト5に押したいと思います。
ではついでといってはなんですが、6位〜10位までも簡単に挙げちゃいましょう。
オリジナルフルアルバムとしてはメジャー2枚目。ふっくんの瑞々しいポップセンスが彼らの最大の武器ですが、前作まではマッチしているとは言い難かったマウマウや324Pといったサウンドチームも本作では存在感を出し始めています。
まさかの2枚目。前作のような突き刺すようなシンセフレーズは健在です。60歳手前にしてこの音楽性、変態です。相変わらずのノーマルを少しずつ逸脱するフレーズと難解なコンセプトがカリスマ的光を放ち、オリコンデイリーにランクされる異常事態にw
空想科学テクノポップと銘打ったKORG volcaのジャケも素敵なテクノポッパー5枚目のアルバム。彼らに関してはもはやアイデンティティと化したシンセ&シーケンスの博覧会を楽しむほかありません。変わらないことが良いことの好例です。
前作「CITY DIVE」よりシティポップに重心を移した個性派ヴォーカリストのサマーリゾート作品。バブリーな80年代シティポップにありがちな曖昧模糊なメロディラインを美しくも控えめなシンセサウンドで彩る、懐かしさに悶える作品です。
これまでの音楽性にプラスしてプログレ的様式美を携えた一大コンセプトアルバム。大げさな展開を見せる楽曲が多く、10曲を1つの組曲として考えるのも良いでしょう。タイアップも控えめに神々しさに拍車がかかった力作だと思います。
以上、2014年のベストアルバムでした。
結局10枚挙げてるじゃないですかw
ついでだから次点5作品です。
「フルカラー」 blue marble
「なんだこれくしょん」 きゃりーぱみゅぱみゅ
「星がみちる」 星野みちる
「コスモ越さぬも」 メテオール
「エウアル」 やなぎなぎ
というわけで、今年も楽しめるTECHNOLOGY POPSの名盤に出会うことを心より願っております。
それでは、本年もよろしくお願いいたします。
(次回から再び通常のレビューに戻ります)
さて、開始当初はひっそりと始めましたTECHNOLOGY POPS π3.14、遂に7年目を迎えることと相成りました。
当初はこのような自己満足なレビューブログなんか誰が見るのだろうと思い、軽い気持ちで衝動の赴くままに投稿していたのですが、いまやカウント数も40万に迫る勢い、まさかのいろいろな場所で記事が晒される有様で、本当に申し訳なく思っている次第です。
なにせ文章がほとんど条件反射的、自動筆記的に書かれていますので、2度と同じレビューができない状態ですので・・。
当初より基本的に週一ペースに投稿頻度は落ちましたが、1枚1枚好きな作品ばかりなのでネタが続く限り今年も頑張っていきたいと思います。
まあ記事も大量になってきましたので、辞書代わりに使っていただいても結構ですが、記事はすべて個人的見解となっておりますので、他のレビューブロガーの方たちの記事も参照にしていただきながら、当ブログも頭の隅っこに置いておいていただけると幸いでございます。
さて、恒例の2013年TECHNOLOGY POPS的ベストアルバムの紹介です。
例年3枚のご紹介としておりますが、Twitterでもノミネート作品(つまり当ブログでレビューする作品ですね)を投稿しましたとおり、昨年は27枚候補がありましたので(分母ではないです。あくまで27枚に一旦絞ったというだけです)、今回は奮発(?)して上から5枚紹介したいと思います。
いろいろと年間ベストアルバムを投稿している方が多くいらっしゃる中で興味深いランキングが多く、自分は全く新譜を聴けていないなあと思うこともしばしばですが、そんな中でもいかにも「TECHNOLOGY POPS」的なランキングになったかなあと思っています。
それでは、2013年ベスト5は以下の5作品となりました。(でも結局ベスト10+αも挙げちゃうわけですが)
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サエキけんぞう関係のリリースや、ラウンジエレクトロユニットELEKTEL、Cutie Paiの名曲「SIGNAL」「テクノ*ドール」等で緻密かつ大胆なサウンドメイクを聴かせていたサウンドクリエイターの塚田道雄(Mitchie Mitchell)が、Michie M名義でボーカロイド作品を手掛けた作品集としてのデビューアルバム。「FREELY TOMORROW」や「ビバハピ」といったネット上のヒット曲に代表されるような、ボカロを人間のように歌わせる「神調教」と呼ばれる調声技術が評価されていますが、彼の本質はやはり詰め込みに詰め込んだギミカルなサウンドデザイン+80年代を通過したアノ世代特有のキャッチーでわかりやすいメロディセンス。初音ミクのジャケなど必要ないほどの完成度を誇る高クオリティの楽曲を連発しており、2013年の作品の中ではこれが飛び抜けていました。調声技術だけでなく、じっくりサウンドの作り込みを聴いてもらいたい作品です。
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人気声優の4枚のシングルを引っさげて満を持して発表された1stアルバム。ROUND TABLEの北川勝利がプロデュースした極上のPOPSアルバムで、沖井礼二や宮川弾、中塚武、カジヒデキなどのポスト渋谷系と呼ばれるクリエイターが参加しているため、渋谷系の復権などとも言われていますが、そんな枕詞はどうでもよく、ただ単純に彼らがこれまで積み上げてきた経験則に基づく芳醇なPOPS精神が滲み出た楽曲が、あらゆる作品で起用したくなるような存在感のある声質を持つ花澤の歌にまるでパズルのラストピースのようにピタリでハマった、そんな気持ちよさが感じられる作品となっています。
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北方の歌姫(北海道出身)9年ぶりの4thオリジナルフルアルバム。完全ハンドメイド作品。彼女は遊佐未森的な雰囲気を醸し出しつつ弾き語りもできるし、素のままで楽曲を成立させる力を持っているのにもかかわらず、もうポリシーと言ってもよいほどアシッドな高速シーケンスでテクノポップ色に染めてしまう。そこに驚きもあるし痺れてしまうところでもあります。とにかく使う音色が表からのイメージとギャップがあるので、ジャケ買いすると面食らうかもしれません。
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80'sを愛する中堅3人組の4年ぶりのアルバム。作品によって当たり外れのあるNONA REEVESですが、本作はタイトル通り「ポップ」を前面に押し出しているだけあって、気持ちいいくらいのキャッチー性で楽曲を固めてきました。FMラジオにぴったりの音というのかな。他者の楽曲提供も活発になってきた彼らにとって2013年は完全に当たり年になったと思います。今年の活躍も期待できそうですね。
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シティポップリカバリーは2012年〜2013年にかけての潮流の1つであったと思うのですが、この無駄に熱いヴォーカリストもその1つ、というのもおこがましいほどの清々しい80's AORマインドを本作にぶつけています。あの時代の空気を嫌という程理解しているバックに支えられた、一聴してわかる音の存在感とグッとくるメロディ、当然本作をベストに挙げる方も多いと思っていたのですが、意外と全くいないんですねw 彼の信念と自信に基づいた挑戦を見守りたい気持ちも含めてベスト5に押したいと思います。
ではついでといってはなんですが、6位〜10位までも簡単に挙げちゃいましょう。
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オリジナルフルアルバムとしてはメジャー2枚目。ふっくんの瑞々しいポップセンスが彼らの最大の武器ですが、前作まではマッチしているとは言い難かったマウマウや324Pといったサウンドチームも本作では存在感を出し始めています。
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まさかの2枚目。前作のような突き刺すようなシンセフレーズは健在です。60歳手前にしてこの音楽性、変態です。相変わらずのノーマルを少しずつ逸脱するフレーズと難解なコンセプトがカリスマ的光を放ち、オリコンデイリーにランクされる異常事態にw
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空想科学テクノポップと銘打ったKORG volcaのジャケも素敵なテクノポッパー5枚目のアルバム。彼らに関してはもはやアイデンティティと化したシンセ&シーケンスの博覧会を楽しむほかありません。変わらないことが良いことの好例です。
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前作「CITY DIVE」よりシティポップに重心を移した個性派ヴォーカリストのサマーリゾート作品。バブリーな80年代シティポップにありがちな曖昧模糊なメロディラインを美しくも控えめなシンセサウンドで彩る、懐かしさに悶える作品です。
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これまでの音楽性にプラスしてプログレ的様式美を携えた一大コンセプトアルバム。大げさな展開を見せる楽曲が多く、10曲を1つの組曲として考えるのも良いでしょう。タイアップも控えめに神々しさに拍車がかかった力作だと思います。
以上、2014年のベストアルバムでした。
結局10枚挙げてるじゃないですかw
ついでだから次点5作品です。
「フルカラー」 blue marble
「なんだこれくしょん」 きゃりーぱみゅぱみゅ
「星がみちる」 星野みちる
「コスモ越さぬも」 メテオール
「エウアル」 やなぎなぎ
というわけで、今年も楽しめるTECHNOLOGY POPSの名盤に出会うことを心より願っております。
それでは、本年もよろしくお願いいたします。
(次回から再び通常のレビューに戻ります)
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