「モールス」 福間未紗
福間未紗:vocal・acoustic guitar

1.「押し花」 詞・曲:福間未紗 編:斉藤哲也・福間創
2.「シンクロ・ウィンド」 詞・曲・編:福間未紗
3.「マイクロ・チップ」 詞・曲:福間未紗 編:斉藤哲也・福間創
4.「ねこじた」 詞・曲:福間未紗 編:斉藤哲也・福間未紗
5.「ダンダン」 詞・曲:福間未紗 編:斉藤哲也・福間創
6.「Take 5」
詞:福間未紗 曲:France Gall・Robert Gall・Jusques Datin 編:福間未紗
7.「見つける」 詞・曲:福間未紗 編:斉藤哲也・福間創
8.「エンドレス・フラワーズ」
詞:福間未紗 曲:Jill Bryson・Rose Macdowell 編:斉藤哲也・福間創
<support musician>
カノウシンジ:guitar
吉田茂生:electric guitar
吉野弘志:wood bass
斉藤哲也:keyboard・pianica・electric guitar・piano
横澤龍太郎:percussion
福間創:synthesizer programming・guitar
produced by 伊藤亮
engineered by カノウシンジ
● フォーキーなアコースティックPOPSに弟が創り出すシンセサウンドが融合したソロデビュー作
漫画家の友沢ミミヨらとスペイシーフォークバンドRISUとしての活動や女優として活動していた福間未紗は、RISUを解散した後ソロ活動へとシフトし、1996年には本作のリリースによりデビューを果たします。バンド時代からフォークシンガーとして定評があったように、ソロ活動においても基本は弾き語りである彼女のサウンドスタイルはそのままに、本作には当時既にP-MODELの一員としてメジャーデビューを果たしていた実の弟である福間創をシンセ&プログラミングに迎え、アコースティックな中に宇宙を感じさせる電子音を織り込ませた独自の方向性を既に確立した作品に仕上げています。弾き語り中心のアコースティック系のアーティストが電子楽器や打ち込みのようなサウンドを敬遠しがちな中、彼女は違和感なく積極的に電子音を採用し、「福間宇宙四部作」のスタートを飾る1枚として自身の音宇宙をいかんなく表現し切っているように思えます。
福間創のエレクトリックアレンジが施されているとはいえ、基本はアコースティック。サウンドプロデューサーには後に高野寛らとナタリーワイズを結成するキーボーディスト斉藤哲也を迎え、どちらかといえば彼の色が濃いアレンジとなっています。「ねこじた」や「Take 5」といったジャジーな楽曲もしっかり歌いこなし、「押し花」や「マイクロ・チップ」のようなリズムが強調された楽曲でも個性的なメロディと歌唱で主導権を握り、「見つける」「エンドレス・フラワーズ」で神秘的に歌い上げる彼女のポテンシャルは非常に高く、新世代のフォークシンガーとして期待できる作品だったと思われます。もっとも本作はエレクトリックとアコースティックの狭間で試行錯誤して実験しているというように思えなくもないですが、その狭間で生まれる良い意味での「粗さ」がこのインディーズリリースの本作においては個性として認められています。彼女の試行錯誤は4thアルバム「Festa Manifesto」の強力なコンセプトアルバムによって音楽性が完結するまで四部作の最後まで続くことになりますが、結局はこの1stアルバムの時既に彼女の個性はしっかりアピールできていたと思います。それだけの個性を本作は放っていると思うのです。
<Favorite Songs>
・「押し花」
歌に力が感じられるフォーキー&エレクトリックなオープニングナンバー。弾き語り調にゆったりした重厚なリズムを施した個性的なサウンドも興味深いのですが、サビの日本的メロディから放たれる独特の声質と歌唱による底知れぬパワーに圧倒されます。
・「マイクロ・チップ」
軽快なリズムに乗るキュートで爽やかなポップソング。シンセストリングスの混ざり具合のバランスが良く、その繊細さが間奏の激しいギターソロを際立たせています。福間創の全体を壊さない控えめなアレンジもそれで良いと思います。
・「エンドレス・フラワーズ」
弾き語りで真摯に歌い上げるラストナンバー。よく通りよく伸びる歌声で魅了し、ギターのみから荘厳なシンセパッドが入ってくる壮大な流れはアルバムのラストにふさわしい地平線の広がりを感じさせます。
<評点>
・サウンド ★ (打ち込みとの融合を目指したとはいえ音質面は不満足)
・メロディ ★ (覚えやすいメロディではあるが無駄に力が入ってしまう)
・リズム ★★ (「押し花」のリズムは強烈だが基本はリズムは重要でない)
・曲構成 ★ (彼女の質の高い楽曲があればスタンダード曲は必要ない?)
・個性 ★★ (興味深い声質とフォーキーなサウンドは正直合っている)
総合評点: 6点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「THE GOLDEN AGE OF WIRELESS」 Thomas Dolby
Thomas Dolby:vocals・synthesizer・piano・PPG Wave computer・drum programming・electronic percussion・backing vocals・monks

1.「FLYING NORTH」 Thomas Dolby
2.「COMMERCIAL BREAKUP」 Thomas Dolby/Tim Kerr
3.「WEIGHTLESS」 Thomas Dolby
4.「EUROPA AND THE PIRATE TWINS」 Thomas Dolby
5.「WINDPOWER」 Thomas Dolby
6.「THE WRECK OF THE FAIRCHILD」 Thomas Dolby
7.「AIRWAVES」 Thomas Dolby
8.「RADIO SILENCE」 Thomas Dolby
9.「CLOUDBURST AT SHINGLE STREET」 Thomas Dolby
<support musician>
Dave Birch:guitars・monks
Kevin Armstrong:guitar
Mark Heyward-Chaplin:bass
Justin Hildreth:drums・percussion
Daniel Miller:synthesizer
Matthew Seligman:Moog bass
Andy Partridge:harmonica
Simon Lloyd:leadline brass・flute
Simon House:violin
Bruce Woolley:backing vocals・monks
James allen:backing vocals
Judy Evans:backing vocals
Lene Lovich:backing vocals・operatics
Les Chappell:backing vocals・operatics
Lesley Fairbairn:backing vocals
Miriam Stockley:backing vocals
Mutt Lange:backing vocals
矢野顕子:backing vocals
Dr. M Pyke:voiceovers
John Marsh:shipping forecast
produced by Thomas Dolby・Tim Friese-Green
engineered by Thomas Dolby・Daniel Miller
● エレポップの範疇でくくるには余りに多彩な音楽性を見せる稀代のプロデューサー渾身のデビュー作
1970年代後半からシンセプレイヤーとして数々のアーティストのサポートをこなしBluce Woolley and the Camera Clubのデビューアルバムにも関わっていた当時よしては新世代アーティストの1人であったThomas Dolbyは、1981年にシングル「Urges/Leipzig」でソロデビューを果たし、さらに2ndシングル「Europa and the Pirate Twins」のリリース、82年には待望の1stアルバムである本作をリリースします。イギリスで先行リリースされた当初は地味な売れ行きだったものの、シングル「She Blinded Me With Science」がアメリカで空前の大ヒットとなり、程なく本作の収録曲も「She Blinded Me With Science」の収録曲と一部入れ替えとなるという紆余曲折を経た作品となっています(ここで紹介しているのは初回盤の収録曲)。
「She Blinded Me With Science」のヒットによりマッドサイエンティストという異名を得た彼が創り出すサウンドは疑いもないエレポップです。当時のニューウェーブ、とりわけニューロマンティクスなバンドが持つ妖艶かつ哀愁漂う楽曲ではなく、わざと汚したようなヴォーカルは比較的ロックに根ざしたもので、どちらかというとカラッとした明るさを感じさせる楽曲が多く収録されています。同じUK出身のエレポップアーティストであるBill Nelsonに共通する部分があるように思えるのですが、70年代ロックもしっかり経験したからこそ生まれるテイストなのでしょう。基本はロック&POPS、しかし80年を通過しているためニューウェーブへの影響が強く、さらに機材へも精通した彼だからこそなし得る計算され尽くしたシンセサウンドがフィーチャーされた作品として、エレポップの代表的な名盤に数えられています。本作で培ったサウンドプロデュース能力は、以後のソロ作品やPrefab Sproutを手掛けた珠玉のプロデュース作品などによって生かされていくことになります。
<Favorite Songs>
・「FLYING NORTH」
イントロのマシナリーなリズムが心地良いエレポップの教科書的な楽曲。オープニングらしく明るく快活な雰囲気ですが、そこはUKぽいマイナーメロディのAメロがあっての印象です。ラストのシンセソロもクールな感じです。
・「EUROPA AND THE PIRATE TWINS」
エレポップのスタイルをとりながらサビ以外は抑えめな地味にも思える2ndシングル。ハンドクラップの連打が強烈で耳に痛いほど。XTCのAndy Partridgeが奏でるハーモニカなども聴き所の1つです。
・「RADIO SILENCE」
本作中最もキュートでエレクトロな楽曲。不思議なメロディ展開が特徴で一筋縄ではいかない構成ですが、ハイライトはすぐに彼女だとわかってしまう矢野顕子のbacking vocalsで、独特の声質で楽曲に「味」をもたらし、後の坂本龍一とのコラボ(Field Work)の礎を築いています。
<評点>
・サウンド ★★★ (各楽曲で凝ったアレンジを聴かせるがまだ荒削りな面も)
・メロディ ★★★ (わかりやすい構成をわざと捻ったフレーズにしている印象)
・リズム ★★ (リズムマシンを効果的に使っているがノリはまだ浅い)
・曲構成 ★★ (一種のコンセプト作品ながら後に収録曲が変わるのは・・)
・個性 ★★ (実は鋼のコンセプト感覚の持ち主で理想は後に生きてくる)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「光の子」 PINK
PINK

<members>
福岡ユタカ:vocal・guitars
岡野ハジメ:bass・guitars
矢壁アツノブ:drums
ホッピー神山:keyboards
スティーブ衛藤:percussion
渋谷ヒデヒロ:guitars
1.「光の子」 詞・曲:福岡ユタカ 編:PINK
2.「SHISUNO」 曲:福岡ユタカ・矢壁アツノブ 編:PINK
3.「日蝕譚-SOLAR ECLIPSE-」 詞:吉田美奈子 曲:福岡ユタカ 編:PINK
4.「HIDING FACE」 詞:安藤芳彦 曲:福岡ユタカ 編:PINK
5.「GOLD ANGEL」 詞:渋谷ヒデヒロ 曲:福岡ユタカ 編:PINK
6.「DON'T STOP PASSENGERS」 詞:安藤芳彦 曲:福岡ユタカ 編:PINK
7.「ISOLATED RUNNER」 詞:安藤芳彦 曲・編:PINK
8.「青い羊の夢」 詞・曲:福岡ユタカ 編:PINK
9.「星のPICNIC」 詞・曲:福岡ユタカ 編:PINK
10.「LUCCIA」 詞:吉田美奈子 曲:福岡ユタカ 編:PINK
<support musician>
RA:guitars
横山英規:sax
吉田美奈子:voices
produced by PINK
engineered by 寺田康彦
● ますます唸るシンセと超絶ベース!ボーカルスタイルを確立した完成度の高い2nd
個性的かつテクニカルなプレイヤー集団、PINKの1stアルバム「PINK」は緊張感のある演奏とシャープなアレンジでその勢いそのままに突っ走った名盤でしたが、翌年早くもPINKサウンドを確立する前作を凌ぐ作品をリリースします。左利きのタイトなドラマー矢壁アツノブのドラム&野生感溢れるスティーブ衛藤のパーカッションと岡野ハジメの超絶ベースが噛み合う強烈なリズムワークはますますキレを増し、静かなるテクニカルギタリスト渋谷ヒデヒロは表に出ず地味ながらも味のあるプレイでバックを支え(これがこのバンドの持ち味でもある)、当時アレンジャーとしても全盛期にあったホッピー神山のワンフレーズが印象に残るシンセで魔法をかける、そんな魅力的なサウンドでPINKというバンドとしての一体感を演出しているといった点では本作が彼らの絶頂期と言えると思います。
サウンド面、プレイ面での評価が高いPINKですが、なにはともあれ結局中心なのはヴォーカルの福岡ユタカです。彼の持って生まれたエスニックな声質を生かした個性あふれるヴォーカルもバンドの色を決定づけていますが、全曲を手掛けるメロディメイカーとしての才能も侮りがたい面があります。彼の時には開放感があり、時には憂いを含んだ緩急自在の楽曲によって、強烈な個性を放つ演奏陣によるゴージャスなサウンドが生きてくるのです。本作は特にバンドの充実期でもあるのでその効果が顕著に表れており、疾走感のあるファンクチューンもエスニックに聴かせるミディアムナンバーも、ストレートなシンセロックもPINKというバンドのブランドが保障された安心感が本作には感じられるという意味で、個人的には彼らの最高傑作に挙げたいところです。次作より楽曲に関しては福岡ワンマンから徐々に岡野やホッピーの主張が増えていきますが、後年の楽曲と比較してもやはりPINKには福岡楽曲が似合うことは否めず、結果的に彼のPINKというバンドへの貢献度は非常に大きいと言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「HIDING FACE」
ファンキーなスラップベースが小気味良いテクニカルな楽曲。本作中の他の作品と比べると地味な部類の楽曲かもしれませんが、跳ねるリズム隊に原マスミ等で活躍していたゲストギターのRAが繰り出すSFX的ギターサウンドが強烈で、これだけでも気分が高揚します。
・「ISOLATED RUNNER」
タイトル通り疾走感が心地良いダンサブルチューン。ベースがしっかり跳ねているところにただベースラインを走らせるだけの疾走感とはひと味違うところを見せています。リズムで引っ張る間奏から後半の開放的なサビにかけて盛り上がってくる部分がこの楽曲のキモでしょう。
・「青い羊の夢」
不思議な構成と複雑なフレーズが楽しいミディアムチューン。ホッピーのキレのあるシンセフレーズを中心にこれもまた跳ねるリズムでリードしていきます。そして福岡のヴォーカルはここでも気持ち良さそうに伸びていきます。特にサビメロの奇妙さが秀逸です。
<評点>
・サウンド ★★★★★(各パートの充実した演奏力から感じる色あせないサウンド)
・メロディ ★★★★ (福岡の独特の陰りがあるメロはPINKの重要ポイントの1つ)
・リズム ★★★★★(80年代中期では最も勢いのあったリズム隊と言える)
・曲構成 ★★★★ (どんなテンポやタイプの楽曲でもその質は変わらない)
・個性 ★★★★ (バンドの個性を確立し最もまとまっていた時期の傑作)
総合評点: 9点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「QUARTERBACK」 池田政典
池田政典:vocal

1.「NIGHT OF SUMMER SIDE」 詞:売野雅勇 曲:NOBODY 編:新川博
2.「Beat of Clash」 詞:売野雅勇 曲:林哲司 編:船山基紀
3.「All or Nothing」 詞:青木久美子 曲:杉山清貴 編:船山基紀
4.「SHADOW DANCER」 詞:売野雅勇 曲:林哲司 編:船山基紀
5.「Room Ocean View」 詞:田口俊 曲:杉山清貴 編:新川博
6.「Quarterback」 詞:田口俊 曲:高島信二 編:船山基紀
7.「Burning Eyes」 詞:風見律子 曲:和泉常寛 編:船山基紀
8.「RIVER SIDE ジレンマ」 詞:青木久美子 曲:杉山清貴 編:船山基紀
9.「LET ME LOVE」 詞:藤田浩一 曲:西原俊次 編:新川博
produced by 藤田浩一
engineered by 内沼映二
● オメガトライブ人脈を起用したリゾート&アーバンな都会派アイドルのデビュー作
ジャパンアクションクラブの活動を経て1986年にシングル「ハートブレイカーは踊れない」でデビューした池田政典は、男性アイドル戦線に新風を送り込んだアスリート系アイドルであった吉川晃司の流れを汲み、スタイリッシュな出で立ちと運動能力を感じさせるパフォーマンスで一定の人気を博したアイドルシンガーです。「ハートブレイカーは踊れない」では船山基紀によるa-ha「Train Of Thought」のイントロをモチーフとしたデジタリックなアレンジと執拗なオケヒットで、過剰な80年代アイドルソングの象徴とも言えるサウンドでインパクトを与えましたが、デビューアルバムである本作も7割の楽曲を船山基紀が手掛け、デビューシングルの路線を継承しつつ彼のスタイリッシュな部分を生かした鋭角的なデジタルサウンドに乗った好印象の楽曲が多数収録されている隠れた傑作です。
アニメ「気まぐれオレンジロード」の主題歌「NIGHT OF SUMMER SIDE」やコーヒーのCMソング「SHADOW DANCER」といったシングル曲も、当時全盛期であったNOBODYや林哲司を作曲に迎えた非常にキャッチーな楽曲でしたが、本作で注目すべきはそれ以外の楽曲のクオリティの高さにあります。事務所が杉山清貴やオメガトライブ、菊池桃子らのトライアングルプロダクションということもあり、作家陣には杉山やオメガの高島信二や西原俊次を起用、リゾートサウンドならではのメロディでメロウな部分を見せつつ、尖ったシンセサウンドで時にはダンサブルな打ち込みサウンドで攻め立てる手法はトライアングルの得意とするサウンドで、しかも当時Fairlight CMIの使い手でありデジタルアレンジに凝りまくっていた船山基紀のバックアップによりシンセによるベースやブラスなど1つ1つの音色が突き刺さるようなフレーズがTECHNOLOGY POPSとして楽しめる部分です。しかし彼の歌手としての勢いはここまで、「君だけ夏タイム」という名曲を残しつつもその後は地味な活動に終始し、現在は俳優または声優としての活動が主となり歌手活動は停止しているようですが、本作は80年代にシンセダンサブルPOPSとしても興味深い作品ですので、ぜひリマスターして再発してほしいと願っています。
<Favorite Songs>
・「Beat of Clash」
キレの良いシンセブラスのイントロとマイナー調のメロディが特徴の楽曲。細かい譜割のシンセベースラインがスピード感を演出しています。間奏のレゾナンスの効いた音色のシンセソロはこの曲調にしてはおもしろい効果です。
・「Burning Eyes」
80年代のバブリーな雰囲気をメタリックなシンセサウンドが醸し出す楽曲。サビを始めとするコーラスワークが熱気にあふれ、淡々と刻むパワフルなドラムサウンドと間奏からラストにかけてのカオスな構成で盛り上げる部分は個人的に気に入っています。
・「RIVER SIDE ジレンマ」
ファンキーなシンセベースのフレーズが色っぽいダンサブルチューン。鋭くねちっこいシンセフレーズが耳に突き刺さります。Aメロ直前のシンセブラスを中心としたフレーズを入れるだけでタメができている部分が船山アレンジの秀逸なところです。
<評点>
・サウンド ★★★★ (いかにも鋭く尖角的なデジタルシンセ音色がかっこいい)
・メロディ ★★★★ (サビがしっかりしているので安心できるキャッチー性)
・リズム ★★★★ (80年代らしくパワフルにエフェクトされたドラムが○)
・曲構成 ★★★ (実は緩急自在でソツがない構成はさすがトライアングル)
・個性 ★★★ (リゾートPOPSとはいえ耳が痛い程のシンセで彩り豊かに)
総合評点: 9点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「Beginnings」 portable rock
portable rock

<members>
野宮真貴:vocal
中原信雄:bass・synthesizer
鈴木智文:guitar・synthesizer
1.「ピクニック」 詞:高橋修 曲:鈴木智文 編:portable rock
2.「グリーンブックス」 詞:高橋修 曲:鈴木智文 編:portable rock
3.「ゴーレムポルカ」 詞:太田螢一 曲:中原信雄 編:portable rock
4.「天体観測」 詞:太田螢一 曲:鈴木智文・中原信雄 編:portable rock
5.「冬の葡萄畑」 詞:高橋修 曲:鈴木智文 編:portable rock
6.「ミシンで縫おう!」
詞:太田螢一 曲:鈴木智文・中原信雄・宮田繁男 編:portable rock
7.「自動車レース」 詞:太田螢一 曲:鈴木智文 編:portable rock
8.「意地悪電波」 詞:高橋修 曲:中原信雄 編:portable rock
9.「クリケット」 詞:太田螢一 曲:中原信雄 編:portable rock
10.「真珠海岸」 詞:高橋修 曲:鈴木智文 編:portable rock
11.「アイドル」 詞:佐伯健三 曲:中原信雄 編:portable rock
<support musician>
鈴木さえ子:drum kit・castanets
鈴木慶一:chorus
金津宏:DMX programming
produced by portable rock
mixing engineered by 原口宏
recording engineered by 鈴木博文
● 独特の歌詞世界をノスタルジックな多重録音で表現するメジャーデビュー前音源の記録集
Pizzicato Fiveにおける活躍が有名な野宮真貴がそれ以前に在籍していたバンドであるportable rockは、元FILMSの中原信雄と元PRICEの鈴木智文と野宮のトリオ編成で80年代前半より活動を開始、「Q.T」「Dance Volunteer」の2枚のアルバムをメジャーからリリースしました。これらの作品を残してバンドは活動を停止することになりますが、メジャーデビュー以前に、自主制作にて録音した未発表曲集が1990年に突然リリースされました。インディーズ時代の作品は、MOON RIDERSのメンバーがサポートした徳間ジャパン傘下の新人発掘レーベル「水族館レーベル」からリリースされたオムニバス「陽気な若き水族館たち」に収録された楽曲(「グリーンブックス」「クリケット」)で雰囲気を味わうことができていましたが、本作ではその独特のほのぼのとした世界観が十二分に堪能できる、未発表曲を集めながらも統一感のある1つの作品として仕上げられています。
本作の収録は1983年、そして自主制作のため8トラックのMTRで多重録音されています。しかし8トラックならではの音数の少なさと良い意味での音質の粗さが、未完成ならではのナチュラル性を醸し出しています。ドラムレスの編成ということでリズムをとるのはリズムボックスとなっていますが、このリズム音色の軽さがエレクトリックな機材を多用しているにも関わらずオーガニックな質感を演出している1つの要因と言えるでしょう。また興味深いのはポップで泣きの入る鈴木楽曲と少々マニアックな味わいの中原楽曲の対照的な作風と、高橋修と太田螢一というこれまた対照的な歌詞世界という2種類のコントラストが交差するかのように組み合わさっている絶妙なバランスが本作の魅力と言ってよいと思います。
<Favorite Songs>
・「ピクニック」
全体にリバーブを効かせた夢見がちなサウンドがメルヘンティックな楽曲。シンセの音色も輪郭を丸くした柔らかい音を多用しています。基本はギターサウンドなのにしっかりシンセと溶け合っているバランス感が絶妙です。
・「自動車レース」
太田螢一の世界観とチープなサウンドのおかげでゲルニカにも似た印象を受ける楽曲。この楽曲に関してはサビのフレーズ一発勝負な感じで、このメロディは本作一番の出来であると思います。半音使いが絶品です。
・「クリケット」
オムニバス「陽気な若き水族館員たち」にも収録されたほのぼの楽曲。という印象ですが間奏では本作最もアシッドな音色で比較的攻撃的です。Bメロの「駆けろよ、駆けろ~♪」のフレーズは秀逸です。
<評点>
・サウンド ★ (シンセ音色はいたってシンプルだが音質面の不安は拭えない)
・メロディ ★★ (鈴木智文のポップセンスは既にこの頃から開花している)
・リズム ★ (リズムボックスを駆使し凝っているが時代的に軽さが目立つ)
・曲構成 ★ (未発表曲集という体裁のためかどちらかというとベスト盤)
・個性 ★★ (デジアナサウンドを自主制作にして既に演出している)
総合評点: 6点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「DIFFERENCE」 崎谷健次郎
崎谷健次郎:vocal・keyboards・synth bass

1.「愛の時差 (difference in time)」 詞:秋元康 曲・編:崎谷健次郎
2.「思いがけないSITUATION」 詞:秋元康 曲・編:崎谷健次郎
3.「夏のポラロイド」 詞:秋元康 曲:崎谷健次郎 編:武部聡志・崎谷健次郎
4.「HALF MOON」 詞:有木林子 曲・編:崎谷健次郎
5.「愛されてもいない-ハーレムの天使達-」 詞:秋元康 曲・編:崎谷健次郎
6.「St. ELMO'S FIRE-幻の光-」 詞:有木林子 曲・編:崎谷健次郎
7.「僕には君だけ」 詞:秋元康 曲・編:崎谷健次郎
8.「KISSの花束」
詞:秋元康・湯川れい子 曲:崎谷健次郎 編:武部聡志・崎谷健次郎
9.「瓶の中の少年」 詞:秋元康 曲:崎谷健次郎 編:倉田信雄
<support musician>
窪田晴男:guitar
鳥山雄司:guitar
伊藤広規:bass
高水健司:bass
富倉安生:bass
美久月千晴:bass
青山純:drums
山木秀夫:drums
倉田信雄:keyboards
武部聡志:keyboards
松本晃彦:keyboards
木村誠:percussion
ペッカー:percussion
数原晋:flugel horn・trumpet
新井英治:trombone
平原智:sax
土岐英史:alto sax
JOE Strings:strings
Candy:chorus
EVE:chorus
浦田恵司:synthesizer operate
大竹徹夫:synthesizer operate
平石晴己:synthesizer operate
深沢順:synthesizer operate
produced by 秋元康・崎谷健次郎
mixing engineered by 佐藤康夫
recording engineered by 佐藤康夫・鈴木慶三・中里茂
● ミディアムバラードが絶品!稀代のメロディメーカーが満を持して放つデビュー盤
有賀啓雄や松本晃彦らと結成したバンドVIZIONでデビューした後サポートキーボーディストとして活動していた崎谷健次郎が作編曲家としての活動を開始したのが1985年。その代表的な仕事が斉藤由貴への楽曲提供となるわけですが、その類稀なメロディセンスを業界が放っておくわけがなく、水面下ではデビューへの準備が着々と進められておりました。作詞には当時絶好調であった秋元康に白羽の矢が立てられ、いざデビューとなるはずが崎谷のこだわり抜く制作姿勢のためかリリースは遅れ、87年にようやくデビュー作が世に出されることになります。その満を持してリリースされた1stアルバムにして名盤の誉れ高い作品が本作です。
次世代を担うシンガーソングライターとして多大な期待を背負ってデビューを果たした作品とあって、メロディ・サウンド・ヴォーカルすべてがハイレベルにあり非常に気合いが入っています。斉藤由貴等へ提供された楽曲でも定評のあったメロディ構築術は特にミディアムテンポのいわゆる「聴かせる」楽曲で最大限に発揮されており、「夏のポラロイド」「St. ELMO'S FIRE-幻の光-」などの美しい展開は絶品。大ヒットとなる必殺バラード3rdシングル「もう一度夜をとめて」の布石が打たれています。もちろん崎谷の男性でありながら透き通った高音ヴォーカルのインパクトも強いのですが、彼のメロディを引き立てる生演奏とプログラミングの巧みな融合によるダンサブルサウンドにおいても、しっかり時流を研究して先端を取り入れている先見性も見逃せません。意外とアップテンポの楽曲になるとハードボイルドっぽく硬派な印象になるのも興味深いところです。その後自身の3rdアルバム「Kiss of Life」や斉藤由貴の「アージュ」でハウスミュージックをPOPSに昇華する手法をいち早く取り入れるなど新境地に挑戦しつつも、ミディアムバラードにおけるキラーメロディは威力を発揮していくことになり、「ラブソングの帝王」と呼ばれるまでになっていきます。
<Favorite Songs>
・「夏のポラロイド」
流麗なメロディが美しいミディアムバラードの2ndシングル。Aメロからサビに至るまで全く無駄がないメロディは彼の得意とするところで、またストリングスやコーラスで盛り上げたり間奏ではシンセソロを披露したりと隙がありません。
・「HALF MOON」
次曲「愛されてもいない-ハーレムの天使達-」も含めて崎谷がバラードだけでないということを知らしめるダンサブルな楽曲。リゾート風のメロディながら打ち込みシーケンスと生ドラムの掛け合いが絶妙で、80年代らしいジャストなノリが楽しいです。
・「僕には君だけ」
印象的なサビがキマっている爽やかな楽曲。崎谷の透明感のある声質はこの楽曲が最もハマっていると思います。シンセの音色も柔らかいものが多く爽快感に拍車をかけていますが、やはり何度聴いてもサビのフレーズは素晴らしいです。
<評点>
・サウンド ★★★ (打ち込みを巧みに使いこなしここでも才能を垣間見せる)
・メロディ ★★★★★ (一応新人がここまでキャッチーなメロを書けるのは反則)
・リズム ★★★ (熟練のドラマーが叩き出す安定したリズムで支えられる)
・曲構成 ★★ (1曲目が少々地味なのを除けば粒ぞろいの楽曲を並べた)
・個性 ★★★ (前評判の期待に違わないポテンシャルを存分に見せた)
総合評点: 8点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「Desk Top Hard Lock」 Phnonpenh MODEL
ことぶき光 with Phnonpenh MODEL

<members>
ことぶき光:keyboard・vocal・Victory3000
ライオンメリー:keyboard・vocal・kalimba
少年マルタ:vocal・overtone・tibettan bell
Thaniya Patpong:guitar・vocal・mandolin
1.「産業音楽」 曲:ことぶき光 編:ことぶき光・ライオンメリー
2.「生と死と私と」 詞:少年マルタ 曲・編:ことぶき光・ライオンメリー
3.「幼形成熟BOX」
詞:ことぶき光 曲:ことぶき光・平沢進 編:ことぶき光・ライオンメリー
4.「D.T.H.L」
詞:少年マルタ 曲:Phnonpenh MODEL・藤井ヤスチカ
編:ことぶき光・ライオンメリー
5.「千年ナーガ」
詞:少年マルタ 曲:ライオンメリー 編:ことぶき光・ライオンメリー
6.「鳥葬~A.JET69」 詞・曲:少年マルタ 編:ことぶき光・ライオンメリー
7.「八幡 to SPIRAL」 曲:ことぶき光 編:ことぶき光・ライオンメリー
8.「ルルル男」 詞・曲:ことぶき光 編:ことぶき光・ライオンメリー
9.「アポロベトナム」
詞:少年マルタ 曲:ライオンメリー 編:ことぶき光・ライオンメリー
10.「時限時報」 曲:ことぶき光 編:ことぶき光・ライオンメリー
produced by ことぶき光
co-produced by DIW・藤井雅己
engineered by 山田基浩
● 東南アジアと電子音と多彩な声が交錯する無秩序サウンドが魅力的な個性派ユニットデビュー作
三橋美香子とのユニット、みかんむくっを経て1987年にP-MODELに参加、活動凍結前のP-MODELをキーボーディストとして支え、凍結後の平沢進と共に活動したり自身のユニット、バリケフホニウムを結成したりと精力的に活動していたことぶき光は、純粋でSFチックななテクノポップと化した解凍P-MODELに参加します。その解凍P-MODELとしての活動中に行われたP-MODELのコピーバンド大会に、ことぶきみずから参加するため、気心の知れた少年マルタとライオンメリーと共に結成したバンドがPhnonpenh MODELですが、一過性のイベントだけではなく勢いでデビューアルバムである本作を発表し、その後も活動テンポは緩やかながら恒常的に活動して行くユニットとなっていきます。
解凍P-MODELサウンドの中核を担い、ライブでは堅牢なシンセ砦を築き派手なパフォーマンスで聴衆を魅了していたことぶき光の新ユニットということで、当然P-MODEL色が強く、何曲かはP-MODELに提供された楽曲も収録されるなど「P-MODEL」や「Big Body」に近い印象を受ける楽曲も多々あるものの、バンド名の通り東南アジアっぽいフレーズと音色&サンプリングコラージュによって、平沢進より先にアジアンテクノの先鞭をつけた格好となっています。ことぶき光の解体再構築を繰り返すかのような狂気のサウンドクリエイトは期待どおりであるが、そのようなカオスなサウンドの中にあって強烈に主張する少年マルタの存在感抜群のヴォーカル(ホーミーまで披露!)はバンドとしての可能性を存分に示していると言えます。このヴォーカルがあったからこそ現在も活動が継続されているのかもしれません。
<Favorite Songs>
・「生と死と私と」
エスニックな音色とフレーズ、ボイスサンプリングなどアジアンテイストほとばしる挨拶代わりの1曲。とはいえピコピコ音のP-MODEL色は当然残した格好となっています。よく伸びる少年マルタのヴォーカルもバンドとしての個性を際立たせるのに一役買っています。
・「幼形成熟BOX」
P-MODELの傑作アルバム「Big Body」にも収録されたテクノポップ史上に残る奇曲。原曲から歌詞を少し変更し牧歌的なアジアの風景を感じさせるイントロを追加、カットアップコラージュの挿入など全体的に厚みを増した完全版といった印象です。何度聴いてもケーブル抜き差しして作られた狂気のシンセソロは圧巻の一言です。
・「鳥葬~A.JET69」
エスニックなイントロからいつものP-MODEL型シーケンスに乗ったテクノポップへと移行していくスピード感あふれる楽曲。間奏のギターソロのバラバラ感が楽しいフレーズが気に入っています。マルタのシャウトもテンションが上がります。
<評点>
・サウンド ★★★★ (独特の再構築センスで独自性を出す手法はPと変わらない)
・メロディ ★ (メロディではなく明らかに音色やアイデアで勝負するタイプ)
・リズム ★★ (コラージュ自体でリズムを作っているような印象だが軽い)
・曲構成 ★ (P楽曲が多いのは元々が一過性のユニットだけに仕方ないか)
・個性 ★★ (準備期間の少ないとはいえ解凍P-MODEL風が抜けない印象)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「MELTING MOMENT」 POiSON GiRL FRiEND
POiSON GiRL FRiEND

<members>
nOrikO:voices・poptones keyboard
1.「HARDLY EVER SMILE (Without you)」 詞・曲:nOrikO 編:斎藤毅・P.G.F
2.「FACT 2」 詞・曲:nOrikO 編:P.G.F・藤田哲司
3.「THE FUTURE IS NOW」 詞・曲:nOrikO 編:P.G.F・Manufacture Exporter
4.「THOSE WERE THE DAYS」 詞・曲:Gene Raskin 編:P.G.F・CMJK
5.「QUOI」
詞:Cesare de Natale・Serge Gainsbourg 曲:Guido et Marizio de Angelis
編:P.G.F・磯貝剛
6.「MELTING MOMENT」 詞・曲:nOrikO 編:斎藤毅・P.G.F・杉山勇司
<support musician>
Makoto O2:guitars
吉田"Ponta"茂生:guitars
下山淳:acoustic guitars・12 strings guitars
渡辺等:wood bass
栄田嘉彦:violin
斎藤ネコ:violin
山田裕司:viola
藤森亮一:cello
Baby Tokio:space effects
AQ石井:synthesizer programming
足立マサノリ:synthesizer programming
磯貝剛:synthesizer programming
藤田哲司:synthesizer programming・rhythm programming・sound effect
CMJK:rhythm programming・synthesizer programming
杉山勇司:rhythm programming
produced by POiSON GiRL FRiEND
engineered by 杉山勇司
● リズムトラックが秀逸!世界に通用するハイセンスなフレンチエレポップとして画期的な1st
90年代に全盛期を迎えるクラブカルチャーから派生したアンビエントハウスなどの癒しのエレクトロサウンドは、リズム主体のテクノやハウスといった打ち込みダンスサウンドに比べて、より情景を想起させるような音作りになっていて、90年代特有のジャンルであったとも言えますが、そのようなジャンルの隙間から彗星のごとく現れた女性アーティストnOrikOのソロユニットであるPOiSON GiRL FRiENDは、どことなくフレンチの匂いを醸し出すメロディと電子音が飛び交う硬派なエレクトロ&計算されたハウス調のリズムで、強いインパクトを与えたアーティストでした。本作は彼女の1stアルバムであり、多彩なゲストを迎えつつ既に音楽性を確立していると思える完成度の高い1枚です。
独特の訛りがある英語で歌うウィスパーとキュートを使い分けるヴォーカルの存在感が際立つ作品であるとともに、楽曲ごとに使い分けられる藤田哲司やCMJKといったクリエイター陣の仕事ぶりも熱が入っています。気怠いヴォーカルのおかげで全体を漂う空気は冷たく暗闇を歩くがごとくのイメージですが、そのようなひんやりした曲調に映えるのが全編で強調sレル淡々としたハウスリズムで、このリズムパターンがこのユニットの命と思えるほど執拗にハウス調のリズムパターンで攻めています。また癒しといいつつも本作ではどちらかというと宇宙的な世界観で音色が統一されており、カバー曲2曲もスペイシーなアレンジが施され、アンビエントというよりはシンセミュージックの色彩が濃い作品と言えます。次策はMomusをプロデューサーに迎えますが、本作ほどのスペイシーな感覚は抑えていくことになります。
<Favorite Songs>
・「FACT 2」
本作中最もダンサブルかつ宇宙を感じさせるエレクトロPOPS。ノリのよいハウスのリズムで全体を引っ張っていくタイプの楽曲で、歌はサビのフレーズのみ。基本的にはその繰り返しですが、このミニマル感覚がクセになっていきます。
・「THE FUTURE IS NOW」
最もアンビエントぽくないスペイシーポップな楽曲。リズムが前面に出る構成は変わらないものの他の楽曲にはない起承転結がはっきりした構成と思い切ったメジャー調のサビに、本作随一のポップ性を感じます。
・「THOSE WERE THE DAYS」
Mary Hopkinの名曲をCMJKが見事にテクノアレンジに仕上げたリメイク曲。イントロのねちっこいアナログシンセフレーズとサビのフレーズの合間に主張するレゾナンス音色がこの楽曲のポイントで、金属的、攻撃的なサウンドの中に不気味さまでも演出しているかのようです。
<評点>
・サウンド ★★ (エフェクトを駆使して空間を作り出す音処理は楽しい)
・メロディ ★ (サウンドで勝負するタイプでメロディも非常に洋楽的)
・リズム ★★ (リズムトラックは各楽曲において目立つような凝った作り)
・曲構成 ★ (世界観は統一しているがコンセプトを持つ大作でもよかった)
・個性 ★ (まだ方向性を探っているように見えるが質の高さは感じる)
総合評点: 6点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「BRAIN DRIVE 4 LIFE」 BRAIN DRIVE
BRAIN DRIVE

<members>
水田隼渡:voice・guitar・synthesizer & computer programming
1.「ANIMAL DRIVE 4 LIFE 1999」 曲・編:水田隼渡
2.「SUCQ」 詞・曲・編:水田隼渡
3.「JACK BE QUICK」 詞・曲・編:水田隼渡
4.「NEW WORLD MASTER」 詞・曲・編:水田隼渡
5.「BRIAN STAR DUST~LAST STAR MAN~」 詞・曲・編:水田隼渡
<support musician>
増茂ダイスケ:guitar
井上タカシ:drums
鈴木雅也:synthesizer & computer programming・bass
produced by 水田隼渡
sound produced by 鈴木雅也
mixing engineered by 鈴木雅也
recording engineered by 鈴木雅也・三浦瑞生
● 近未来的サウンドと共にメロディの質が向上!ソロとして復活したデジロックユニットの傑作
1994年シングル「超人の王国」リリース後に表野雅信が脱退、一旦解散したBRAIN DRIVEは、98年に突然復活を果たします。しかし、表野の姿はそこにはなく水田逸人(水田隼渡に一時改名)のソロユニットとしての再始動でした。復活シングル「X・T・C・D」は、デジロックの先駆者とも言われた期待を裏切らない音楽性でしたが、表野の脱退によって暴力的なリズムは後退し、それと反比例して本来水田が持ち合わせていたメロディセンスを表面化させたようなキャッチーな楽曲が並んでいました。そしてそんな復活ブレドラの音楽的指針を確固たるものに仕上げたミニアルバムが、自主制作による本作です。
もともと打ち込みを多用しながら根はロックということで攻撃的で若々しいサウンドが売り物であったBRAIN DRIVEというだけあって、本作もその傾向は受け継ぎさらにスピード感を増して疾走するデジロックで攻めてきます。しかしやはり新生ブレドラの特徴でもあるキャッチーなメロディラインは本作でも健在で、曲数は少ないものの(イントロ的な1曲目を除いて)4曲とも非常に楽曲としてのクオリティが高く捨て曲がありません。ロック的な個性のある水田のヴォーカルは打ち込み中心の楽曲には似つかわしくないという先入観を持つ方も多いかもしれませんが、不思議なことに彼の作り出すデジロックサウンドにはそのヴォーカルと相性がよく、特に細切れにコラージュされたギターやリズムによるスピード感と程よいマシナリー感が独特の「キレ」を生み出しているのではないかと思います。本作のようなクオリティがフルアルバムでも続けばよいのですが、音楽の質からいってそれは高望みと言わざるを得ません。ミニアルバムだからこその集中力、瞬間最大風力的な勢いと一般にも受け入れやすくするメロディセンスに代表される間口の広さが、新生BRAIN DRIVEの魅力ではないかと思います。
<Favorite Songs>
・「SUCQ」
BRAIN DRIVEの得意とする攻撃的&歌謡曲と思えるほどキャッチーなデジロック。フィルターを微妙にいじくったシーケンスとシンセベースに、スピード感あふれるリズムで往年の激しさを思い出させてくれます。
・「JACK BE QUICK」
SFティックなサウンドにミディアムテンポのリズムが興味深い本作の中でも異質の楽曲。「higher」を思い出させる重厚なディストーションギターと間奏とラストのコラージュとエフェクトを重ねまくったカオスなドラムソロ?がこの楽曲のみならず本作のハイライトと言えるでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★★ (全体的な宇宙感覚はフィルターを駆使したシンセ音色の賜物)
・メロディ ★★★★ (この曲調でこれだけのポップなメロディを書けるのは才能か)
・リズム ★★★★ (他楽曲の軽さも圧巻の2曲目のリズムトラック処理で相殺)
・曲構成 ★★★ (曲数が少ないながら捨て曲なく構成もうまくまとまっている)
・個性 ★★★ (デジロックが全盛となった時代にあって貫禄を見せた格好に)
総合評点: 9点
発売年が間違っていますが・・。
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「LOST AND FORGOTTEN」 CONTROLLED VOLTAGE
CONTROLLED VOLTAGE

<members>
稲見淳:synthesizers・guitars・computer programming
OBI:synthesizers・vocals
杉本敦:vocals
MASA:drums・synthesizers・electronic percussion
1.「pre c.v.」 曲:稲見淳 編:CONTROLLED VOLTAGE
2.「she is mine」 詞:杉本敦 曲:稲見淳 編:CONTROLLED VOLTAGE
3.「x-day」 曲・編:稲見淳
4.「4 gatsu」 詞:杉本敦 曲:稲見淳 編:CONTROLLED VOLTAGE
5.「labyrinth」 詞:杉本敦 曲:稲見淳 編:CONTROLLED VOLTAGE
6.「wing」 詞:杉本敦 曲:稲見淳 編:CONTROLLED VOLTAGE
7.「seek」 詞:杉本敦 曲:稲見淳 編:CONTROLLED VOLTAGE
8.「sporophyte」 曲・編:MASA
9.「m to m」 曲・編:CONTROLLED VOLTAGE
10.「eden」 詞・曲・編:OBI
11.「what you want」 詞:杉本敦 曲:稲見淳 編:CONTROLLED VOLTAGE
12.「song of a liar」 詞・曲・編:OBI
<support musician>
Hidehiko:violin
Makiko:flute
produced by 稲見淳
engineered by 稲見淳
● 90年代にマニアックな電子サウンドと映像とのコラボで関西において活動したニューウェーブバンドの貴重なベスト盤
海外との交流も深く勢力的に活動を続ける日本が誇る知る人ぞ知るエレクトロサウンドデザイナーである稲見淳が90年代前半に率いていた80年代初頭のUltravox周辺などのニューウェーブに多大な影響を受けたバンドがCONTROLLED VOLTAGEです。元P-MODEL、現在はsoyuz projectとして活動する福間創が在籍していたことでも知られ、ライブ活動に耐えうるエレクトロニックバンドとして、CGを駆使しPPGやWaldorfなどのウェーブテーブル方式のシンセを中心に独特なシンセサウンドを彩った楽曲を引っさげ活動していた彼らは、4-Dの小西健司が主宰する関西の重鎮ニューウェーブ系レーベルIron Beat Manifestoに所属し、カセットやビデオ等の媒体で作品をリリース、さらに関西のマルチメディア系オムニバス「XD Submit」シリーズやテクノポップ系オムニバス「トロイの木馬」に楽曲を提供し、関西においてインディーズらしからぬサウンドクオリティの高さを発揮していました。本作はそんな彼らが解散してから5年以上が経過した後、21世紀に入り突如稲見の主宰するC.U.Eレコードよりリリースされた、「XD Submit」シリーズに提供した楽曲と同じく同オムニバスに提供された彼らのソロ楽曲をコンパイルしたベスト盤です。
彼らのサウンドの特徴といえば、UKニューウェーブ直系の金属的で神経質なシンセ音色とエフェクティブなギター、そしてどこまでも憂いを含んだ渋いヴォーカルといったところですが、なんといっても魅力的なのは女性ドラマーMASAのノングルーヴなドラミングです。スタイリッシュな佇まいから叩き出す80年代直系のエフェクティブなスネアを中心とした、女上領亘とも呼べる硬質なドラミングスタイルは間違いなくこのバンドの根幹を支えていたと思います。また、このベスト盤はメンバー個人のソロ楽曲が収録されていますが、稲見のE-BOWギターをフィーチャーしたサウンドコラージュ、MASAの女性らしいキュートなエレクトロインスト、OBIこと緒毘絹一のニューロマっぽい自己完結型エレポップなどそれぞれの個性が発揮された佳曲揃いとなっています。ライブにおける楽曲は本作の楽曲以外にも多数存在したはずですし、「Gray Out」「Gasoline」「System of Lips」など良曲も目白押しだっただけに活動中にアルバム作品を残していなかったのが非常に残念ですが、いつか蔵出し音源がリリースされることを願うばかりです。(現在本作は itunes storeで購入できます。(「コントロールド ボルテージ」で検索してみてください))
<Favorite Songs>
・「labyrinth」
数あるJAPANフォロワーな楽曲はあれど、ここまでJAPANらしい楽曲は他にはないのではないかと思わせるほどJAPANライクな楽曲。複雑なドラミングや不思議ベースフレーズ、Sylvianばりのヴォーカルなどよく研究されています。そこに稲見のこれまた特徴的なギターソロを含むサウンドが加わります。この手の楽曲は彼らの十八番と言えるでしょう。
・「eden」
ニューロマに匂い漂うシンセ担当OBIのソロ楽曲。構成がしっかりしたエレクトロポップでキャッチーなマイナー調のサビと全編緻密な打ち込みでセンスの高さを感じさせます。比較的ゆるいテンポながらもOBIならではのロマンティックな側面が十分にフィーチャーされており、随所で光る稲見淳のギターフレーズも良い味つけとなっています。
・「what you want」
彼らのラスト楽曲にして最高傑作とも言えるスピード感のあるニューウェーブ。ヴォーカルはOBIが担当していますが違和感はありません。ジャストで攻撃的なドラムがここでも大活躍で非常にクセになります。間奏の硬質リズムキープに続くギター&バイオリンのコラージュ合戦など、今までのサウンド要素を詰め込んだという印象の名曲です。
<評点>
・サウンド ★★★★★(さすがに稲見淳が手掛けるシンセ音色は当時より緻密で大胆)
・メロディ ★★★ (冒険的なサウンドをマイナー調の陰鬱なメロディ生かす)
・リズム ★★★★★(やはりテクノはこうであるべきと思素晴らしい生ドラム)
・曲構成 ★★ (オリジナルではないことと自主制作ならではの作りの粗さが)
・個性 ★★★★ (90年代にはなかなか見られなかった貴重なエレクトロバンド)
総合評点: 8点
下記よりダウンロードできます。
https://itunes.apple.com/us/album/rosuto-ando-fogotto-un/id219101896
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「EROTIC & PAIN」 ちわきまゆみ
ちわきまゆみ:vocal

1.「Error」 詞:竹花いち子 曲・編:白井良明
2.「恋のブギ・ウギ・トレイン」 詞:吉田美奈子 曲:山下達郎 編:寺田創一
3.「ふたり自身」 詞・曲:小西康陽 編:高橋幸宏
4.「月をながめて」 詞:高橋幸宏・森雪之丞 曲・編:高橋幸宏
5.「恋が途切れてく」 詞:辻睦詞 曲:田島貴男 編:寺田創一
6.「禁じられた唇」 詞:大沢誉志幸・ちわきまゆみ 曲:大沢誉志幸 編:白井良明
7.「恋のブギ・ウギ・トレイン (HOUSE TRAIN MIX)」
詞:吉田美奈子 曲:山下達郎 編:寺田創一
<support musician>
白井良明:guitars・bass・computer programming
吉川忠英:guitars
音川英二:sax
Cathy Gilliatt:additional vocals
Michiko:additional vocals
大沢誉志幸:additional vocals
高橋幸宏:additional vocals
木本靖夫:computer programming
国友孝純:computer programming
寺田創一:computer programming
produced by 白井良明・寺田創一・高橋幸宏
mixing engineered by 中山大輔・石川鉄男
recording engineered by 中山大輔・石川鉄男・藤枝俊量
● 豪華な作家陣を起用しハウスを基調にしたクラブ系サウンドを指向したオシャレなミニアルバム
Le Menu~MENUという伝説的なニューウェーブバンドで個性的なチャイルドボイスを駆使してまばゆい存在感を放ったちわきまゆみは、MENU解散後すぐにソロに転じ、それまでとは180°方向転換したかのような低音ボイスにボンテージファッションに身を包んでグラムロック歌謡というべきハード路線へシフトします。その強烈なキャラクターで80年代後半には「ATTACK TREATMENT」「Dangerous Is My Middle Name」とソロ活動開始してからの盟友であるPINKの岡野ハジメをプロデュースに迎えた意欲作をリリースし、MENUの頃とはまた別のベクトルでバンドブーム全盛の時期にあってしっかりとその存在をアピールしていました。そして5thアルバム「Gloria」以降一旦活動を休止していた彼女ですが、90年代に入り4年ぶりのアルバムを放つことになります。それが新たなサウンドアプローチを見せた本作です。
ジャケを見ても一目瞭然、SMイメージすら漂わせていた80年代のグラムロックテイストから脱却し軽快なダンサブルPOPSに変身したサウンドを楽しめるこのアルバムは、まさにちわきまゆみの新機軸を見せた傑作です。本作のサウンド志向を最も端的に表現しているアン・ルイスのハウス風カバー「恋のブギ・ウギ・トレイン」は、軽快に跳ねるリズムに乗る過剰に表現された艶やかなヴォーカルスタイルで健在ぶりをアピールするのに十分な完成度を誇っています。この楽曲をプロデュースしたのはTAX FLEEでデビュー後、リミキサーとして頭角を現していた寺田創一で、島田奈美「MIX WAX」のリミックスで評価を上げた彼の勢いがそのまま伝わってきます。そのほかにも高橋幸宏やPizzicato Fiveの小西康陽、Original Loveの田島貴男、詩人の血の辻睦詞、大沢誉志幸、白井良明といった豪華なクリエイター陣を惜しげもなく引っ張ってくるなど、これまでの人脈を駆使した個性的なメンバーによるテンションの高い楽曲で新しいちわき像を表現しています。インパクトではグラムロック時代の彼女に軍配が上がりますが、こうしたダンサブルなハウスチューンにもすんなり対応できる幅広い音楽性も彼女の魅力の1つでもあり、事実上ラストアルバムとなっている本作も非常に侮れない作品であると言えるのです。
<Favorite Songs>
・「Error」
白井良明渾身のダンサブルなハウスチューン。ちわきソロの代名詞でもある艶やかな低音ヴォーカルと抜群の相性を見せるハウスリズムは、白井良明が当時傾倒していたサウンド志向であり、彼のソロやMOON RIDERSにおいても登場する十八番のリズムスタイルです。
・「ふたり自身」
小西康陽作詞作曲・高橋幸宏プロデュースという意外な組み合わせが実現したミディアムバラード。リバーブの効いた金属系シンセ音色とどこかほのぼのした雰囲気が漂う楽曲は小西作曲とはいえ、次曲「月をながめて」と共に90年代高橋幸宏楽曲の特徴が垣間見せますが、それに加えて存在感のあるスネア音色に稀代のドラマーである高橋のプライドが隠せません。
<評点>
・サウンド ★★ (多方面で活躍アレンジャー陣により安定感はあるが・・)
・メロディ ★ (豪華な作家の名前とは似つかわしくない地味な楽曲が並ぶ)
・リズム ★★ (典型的なダンサブルハウスのリズムは軽快そのもの)
・曲構成 ★ (せっかく豪華な作家陣なのだからもう少し曲数が欲しい)
・個性 ★ (ハウスへの相性の良さを見せるもインパクトは薄れたか)
総合評点: 6点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「Get into Water」 SAKANA
SΛKΛNΛ

<members>
高橋聡:vocal
三山つねかず:guitar
大光ワタル:rhythm
1.「Gimmick」 詞:山田ひろし 曲:三山つねかず 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
2.「Another Face」 詞・曲:高橋聡 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
3.「ei en ni tsuite」 詞:山田ひろし 曲:三山つねかず 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
4.「Sleeping Walker」 詞・曲:高橋聡 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
5.「Seeds of Love (Remix)」
詞:高橋聡 曲:三山つねかず 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
6.「Phantom of New Age」 詞・曲:高橋聡 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
7.「Illusion」 詞:石川あゆ子 曲:高橋聡 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ・ホッピー神山
8.「Girl」 詞:石川あゆ子 曲:三山つねかず 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
9.「Re-Birth」 詞・曲:高橋聡 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
10.「Your Last Judgement」 詞・曲:高橋聡 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
11.「Parade With A Boy」
詞:石川あゆ子 曲:三山つねかず 編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
12.「Oh! Carol (Album Version)」
詞・曲:Howard Greenfield・Neil Sedaka(訳詞:石川あゆ子)
編:菅原弘明・SΛKΛNΛ
<support musician>
大村憲司:guitar
吉田光:guitar
小倉博和:acoustic guitar
MECKEN:bass
ホッピー神山:synth bass・keyboard・piano・strings arrangement・remix
渡辺ヒロアキ:keyboard
金子飛鳥:strings leader
北川晴美:voice
水出浩:computer programming
sound produced by 菅原弘明
mixing engineered by 三木康広
recording engineered by 三木康広・岡 亨
● 陰影のあるボーカルとデジポップサウンド&生ドラムが特徴的なポストTMのデビュー作名盤
シンセなどの電子楽器を利用したサウンドをPOPSとしての表現手法の1つとして確立したのがYMOであるとすれば、この手のサウンドをさらにキャッチーなものとして昇華させヒットチャートのフィールドの中で1つの時代を築いて行ったのがTM NETWORK。80年代後半にブレイクしたTM NETWORK系打ち込みサウンドは世の中に受け入れられ、続々とフォロワーを生み出していき、彼らのような打ち込み中心のトリオ編成バンドが頻出していきました。そのようなムーブメントの中でデビューしたのが仙台出身のデジタルポップユニット、SΛKΛNΛです。ニューロマンティクスの影響を隠さない陰鬱系のヴォーカルと洗練されたいかにもデジタル世代のプログラミング中心のサウンドが特徴の彼らは、なんとNeil Sedakaの「Oh! Carol 」のデジタル風リメイクという渋いところを衝いてデビュー、CMソングになったのにもかかわらず見事に肩すかしを食らいながら、勢いのままにデビュー作である本作をリリースします。
ジャケから想像するにどこか陰のあるサウンドが予想できるSΛKΛNΛですが、ダンサブルな打ち込みPOPSという解釈は当たってはいるもののその印象以上にプログラミングのセンスと確固たる世界観を醸し出しています。これはサウンドプロデューサーの菅原弘明の貢献度が高いと思われます。トリオ編成でありながらキーボーディストが存在しない彼らがここまで打ち込みサウンドとして成り立っているのは確固たるプロデューサーである菅原の存在が大きく、もともと高橋幸宏やURBAN DANCEなどのマニピュレーターも務めた彼ならではのセンスが感じられます。プログラミングを担当した後の再生YMOのサウンドに関わる水出浩や「Seeds of Love」や「Illusion」で独特の粘っこいシンセフレーズとストリングスアレンジを聴かせてくれるホッピー神山といったクセのあるニューウェーブ系人脈の参加は、菅原弘明の手腕による部分が大きいでしょう。デビュー作へのホッピー神山の参加という点では松岡英明を彷佛とさせるところもあると思います。また、彼らの最大の特徴は大光ワタル(後にaccessやGuniw Toolsなどのサポートとして活躍)というドラマーがメンバーであることで、デジタルPOPSにおける彼のような生ドラムの相性は非常にマッチしており、シンセとドラマーとの相性という点では先輩ニューウェーブ系バンドのGRASS VALLEYの後継者と言っても良い雰囲気すら感じさせます。それほどのポテンシャルを持った本作をリリースした彼らでしたが、次作以降は市場を意識した作風を無理強いされこれ以上の作品を生み出すことなく解散してしまいました。それでもこの1stアルバムだけは90年代初頭を飾る隠れた名盤として数えられると個人的には思っています。
<Favorite Songs>
・「Sleeping Walker」
ニューロマ直系の陰りを見せるマイナー調の楽曲。サビの煮え切らない渋いフレーズの流れは彼らの特徴と言っても良いでしょう。後半の明るい潔さが光るシンセフレーズは暗さの中の一筋の光明といった感じでセンスを感じます。次曲「Seeds of Love」へのつなぎもよく考えられています。
・「Re-Birth」
力強いドラムと電子音の共存が心地良いこれぞSΛKΛNΛの真骨頂といった楽曲。サビへのブリッジから十八番のマイナー調陰鬱フレーズになだれ込む構成は絶妙です。後半のあからさまな転調もおもしろいですが、そこから絡む渋いギターフレーズにも注目です。
・「Your Last Judgement」
本作中最もキャッチー&ポップなダンサブルな名曲。Aメロ~Bメロ~サビと違和感なく続いていくポップなメロディセンスを持ちながら、しっかり陰りを残す部分を外せないところが微笑ましいです。次曲「Parade With A Boy」と共に打ち込みには珍しい遅れ気味に跳ねるドラミングも意外な相性を見せています。
<評点>
・サウンド ★★★★★(菅原弘明のプロデュース能力が光りサウンドに主張を感じる)
・メロディ ★★★★★(特に高橋聡の類稀なメロディ能力はもっと評価されてもよい)
・リズム ★★★★★(大光ワタルのドラム能力は打ち込みとの相性で力を発揮する)
・曲構成 ★★★★ (最後のとってつけたカバー曲さえなければ満点の構成)
・個性 ★★★★ (この手の打ち込みトリオには実はありそうでない陰鬱性)
総合評点: 10点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「2 1/2 TWO HALF」 URBAN DANCE
URBAN DANCE

<members>
成田忍:vocal・synthesizers・guitars・computer
1.「PSYCO」 詞:佐藤公理 曲・編:成田忍
2.「CERAMIC DANCER」 詞:成田忍・佐藤公理 曲・編:成田忍
3.「KISS × KISS」 詞:吉田美奈子 曲:伊藤銀次 編:成田忍
4.「DAY AFTER DAY」 詞:鈴木博文 曲・編:成田忍
5.「薔薇のエミリア」 詞:鈴木博文 曲・編:成田忍
6.「DANCE A GO GO」 詞:成田忍・佐藤公理 曲:成田忍 編:成田忍・布袋寅泰
7.「CAMERA OPUSCULA」 詞:佐藤公理 曲・編:成田忍
8.「CRAZY LOVE」 詞:佐藤公理 曲・編:成田忍
9.「CAMP」 詞:鈴木博文 曲:高橋幸宏 編:成田忍
<support musician>
布袋寅泰:electric guitar・drums・electric bass
岡野ハジメ:electric bass
嶋津ゆきお:electric bass
寺谷誠一:hi-hat
帆足哲昭:latin percussion
沢井原兒:sax
梅津和時:alto sax
片山広明:baritone sax
横川理彦:electric violin・sampling voice percussion
小久保隆:sound design・computer programming・strings arrangement
山田次朗:PC-9801 computer programming
菅原弘明:synthesizer manipulate・chorus
produced by 成田忍
co-produced by 荒川勝
mixing engineered by Michael Zimmerling
recording engineered by 嶋津ゆきお・荒川勝
● 実質成田忍ソロとなりギターを前面に出したデジタルロックを目指したラストアルバム
ポストニューウェーブの旗手として細野晴臣のNon Standardレーベルよりデビュー、順調に2枚のアルバムを残していたURBAN DANCEでしたが、ミニアルバムであった前作「CERAMIC DANCER」を最後にレコーディングでは実質的にはフロントマンであった成田忍のみが参加し、本作ではメンバーがいない分を豪華なゲスト陣でカバーするという体制をとっています。作詞には吉田美奈子や鈴木博文、作曲には伊藤銀次や高橋幸宏を迎えるなど人脈を駆使しつつ、他者提供楽曲を増やすことによってキャッチーな楽曲も増加、サウンドも肉感的な部分が感じられるようになり、いわゆるデジタルサウンドを駆使した「ロック」な印象が全体を支配しています。
前作に引き続きMichael Zimmerlingをエンジニアに迎えたサウンドは相変わらずのデジタル特有のキレがあり、特に前作から過剰になりつつあった破壊的なスネアドラムの音色は本作でも大活躍で、リズム音色だけでも楽しく聴くことができます。そのリズムを強調する効果を狙っているのか、中心となるシンセサウンドは音の隙間をしっかり作り意外と音数を少なくしており、1つ1つの音色を際立たせているかのようです。冒険的な音色を多用するこの手のバンドにはこのサウンドデザインは非常に効果的で、この音の隙間がデジタル特有のキレと1つ1つの音の重みを生み出しているわけです。前作との違いはその部分にあり、ゲストは多く参加しているもののサウンドはシンプルかつ力強さが加わり、そして格段に聴きやすくなった楽曲との相互作用は前作を凌ぎ、最後にして最高傑作に到達したと個人的に思います。本作に自信を得た(と思われる)成田はこのアルバムにおいてギタリスト&プロデューサーとしての土台を築き上げたと言っても過言ではないでしょう。
<Favorite Songs>
・「PSYCO」
ブラスセクションが導入された新境地のオープニングナンバー。相変わらずの爆音スネアが心地良いですが、圧巻なのは梅津和時のサックスプレイで、特に変拍子のブレイクからの場面が切り替わっていくような展開が絶妙です。
・「KISS × KISS」
伊藤銀次を作曲に起用したURBAN DANCE史上最もポップなナンバーと言って良い楽曲。いかにもキャッチーなサビをはじめとしてメジャー調のメロディが印象的ですが、意外とシンプルなサウンド配置に、金属的な音色が映えます。そして攻撃的な8ビートを刻む激しいリズム音色はもうこのバンドの十八番です。
・「DANCE A GO GO」
布袋寅泰全面参加のダンサブルロックチューン。布袋はギターどころかベースやドラムまで担当し、楽曲全体を支えています。間奏のリズム&リズムの嵐からのうねるギター入りのサビ~ギターソロの流れが素晴らしいです。
<評点>
・サウンド ★★★★★(リズムを押し出しシンセは要所を締めるのに徹する職人仕事)
・メロディ ★★★ (他者の提供家屋はさすがだが成田曲は相変わらずのヒネクレ)
・リズム ★★★★★(このドラム、特スネア音色が本作のすべてと言ってもよい)
・曲構成 ★★★★ (バラードもしっかり音を主張してくるところに好感触)
・個性 ★★★ (結果的に成田ソロになってしまいバンドの意味がなかったり)
総合評点: 9点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「宇宙ヤング」 宇宙ヤング
宇宙ヤング

<members>
笹キミヒト:vocal
小林和博:keyboard・computer programming
1.「宇宙ヤングのテーマ」 詞:笹キミヒト 曲・編:小林和博
2.「君はサイコメトラー」 詞・曲:笹キミヒト 編:小林和博
3.「金星ガール」 詞・曲:笹キミヒト 編:小林和博
4.「念力姫」 詞:笹キミヒト 曲・編:小林和博
5.「右脳で愛して」 詞:笹キミヒト 曲・編:小林和博
6.「宇宙の女」 詞:笹キミヒト 曲・編:小林和博
7.「コスミック番長」 詞:笹キミヒト 曲:細野晴臣 編:小林和博
8.「スパイダンディー」 詞・曲:笹キミヒト 編:小林和博
9.「宇宙ブランコ」 詞:笹キミヒト 曲・編:小林和博
10.「MISHIMA」 詞・曲:笹キミヒト 編:小林和博
<support musician>
姫:vocal
produced by 細江慎治
engineered by 細江慎治
● とぼけた歌唱とアニメな世界観を醸し出す純正テクノポップユニット衝撃のデビュー作
80年代前半に音楽界を席巻したテクノポップというジャンルは90年代に入るとその機材の進歩と飽和状態から死の時代を迎え、クラブ系TECHNOの盛り上がりを尻目にインディーズにおいて少数の好事家によって生きながらえていました。そのような中もともとアニメやゲームといったオタク文化との相性が良かったテクノポップの特徴を生かし、秋葉原文化を中心としたレーベルが勃興し始めます。その先駆者といえるのがゲーム音楽等で既に活躍していた細江慎治をオーナーにしたトルバドールレコードで、コミケ即売会や秋葉原のCDショップなどの流通により、テクノポップの新たな流れを模索していました。そんなレーベルから突如デビューした宇宙ヤングは、現在歌人として活躍中の笹公人(当時は笹キミヒト)を中心としたユニットで、相棒に後にTECHNO 4 POPレーベルでテクノポップブームを底辺から支えたZunba Kobayashiこと小林和博を迎え、笹のアニメ的非日常世界を想起させる独特の歌詞と、小林の古き良き純粋シンセサウンドとわかりやすさ満点のポップテイストあふれる楽曲により、コンセプチュアルに仕上げたのが本作となります。
腰の砕ける脱力ソング「宇宙ヤングのテーマ」で始まる本作ですが、笹の気の抜けたとぼけたヴォーカルスタイルとは裏腹に、小林の80年代直系のアナログシンセ系キュートなシンセ音色は緻密かつ大胆で非常にクオリティが高い印象を受けます。そして質が高いのはサウンドだけではなく起承転結がはっきりしたフレーズの構築術で、全編が電子音で作られたフレーズを適切に配置するのはもちろんのこと、「念力姫」「右脳で愛して」などの随所に転調を駆使しながら大団円にもっていく楽曲の構成にはそこはかとなくセンスが感じられます。それでいて前述の「宇宙ヤングのテーマ」や独自の解釈で驚かせるYMOの名曲「Cosmic Surfin」のリメイク「コスミック番長」、ワンフレーズで極致である「MISHIMA」といった冒険作も残す、前衛的な姿勢も評価できます。これぞ90年代テクノポップのかくれた名盤と言えるでしょう。
この作品で小林は脱退し宇宙ヤングは一旦活動停止しますが、数年後Hide-Akiを新たに迎えて復活し、笹公人は郷ひろみ唱法を引っさげて、昭和のテレビ番組をパロディにしたテクノ歌謡にシフトし、高橋名人と「ハートに16連射」をデュエットするなど精力的に活動しますが、歌人としての活動が主となり現在は再び沈黙中です。
<Favorite Songs>
・「金星ガール」
攻撃的なシンセベースのシーケンスがすべてと言ってもよいキレが感じられる楽曲。女性コーラスが入った唯一の楽曲ですが、潔いオートアルペジオを中心としたシンセまみれのサウンドに違和感なく溶け込んでいく様はインディーズとは思えないほどの、そしてインディーズだからこそできる思い切りが感じられます。
・「念力姫」
サウンドは完璧にテクノながらも直球の歌謡曲メロディが嬉しい本作随一のポップソング。音程が外れ気味の青臭いヴォーカルもこの手の楽曲には意外とよくマッチしていることがわかります。後半の劇的な盛り上がりを見せる転調がとにかく素晴らしいです。
・「MISHIMA」
テンションの高いどこまでもクールなサウンドに乗り「三島由紀夫」という名前をただ歌うだけの前代未聞のストレンジソング。ただそれだけを連呼するナンセンスさとどこまでもストイックなノリの良いシンセサウンドの余りのギャップに笑わずにはいられません。
<評点>
・サウンド ★★★★★(緻密で思い切った細部に行き渡ったシンセ音色の潔さが◎)
・メロディ ★★★★ (小林のアレンジ力に支えられながらもよく練られたメロディ)
・リズム ★★★ (90年代後半らしい軽い打ち込みリズムだが抵抗は感じない)
・曲構成 ★★★★ (冒険的な楽曲とほのぼの楽曲を違和感なくまとめている)
・個性 ★★★★ (90年代には数少ない全編シンセまみれの歌謡POPSユニット)
総合評点: 9点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「WARP」 NEW MUSIK
NEW MUSIK

<members>
Tony Mansfield:vocals・keyboards・guitars
Clive Gates:keyboards・vocals
Cliff Venner:percussion・vocals
1.「Here Come The People」 Tony Mansfield
2.「Going Round Again」 Tony Mansfield
3.「A Train On Twisted Tracks」 Tony Mansfield
4.「I Repeat」 Tony Mansfield
5.「All You Need Is Love」 Tony Mansfield
6.「All You Need Is Love」 John Lennon/Paul McCartney
7.「Kingdoms For Horses」 Tony Mansfield
8.「Hunting」 Tony Mansfield
9.「The New Evolutionist (Example 'A')」 Tony Mansfield
10.「Green And Red (Respectively)」 Tony Mansfield/Clive Gates/Cliff Venner
11.「The Planet Doesn't Mind」 Tony Mansfield
12.「Warp」 Tony Mansfield
produced by Tony Mansfield
engineered by Peter Hammond
● 響くエレドラとサンプリング・ミニマルサウンド・・完全テクノ化しマニア道を邁進した名盤3rd
シンセサイザーサウンドをPOPSの中で昇華することに無類の才能を発揮したエレポップ界を代表するサウンドプロデューサーであるTony Mansfield率いるNew Musikは、シングル「Straight Line」でのデビュー以来、瑞々しいネオアコの元祖的なギターサウンドとポイントで挿入されるキッチュなシンセサウンドを駆使した爽やか路線を突き進んでいました。その時期に残したアルバム「FROM A TO B」「ANYWHERE」はどちらもクオリティの高い作品でしたが、日増しにTony Mansfieldのシンセサウンドへの傾倒が強くなり、遂にはTony HibbertとPhil Townerといったリズム隊がこぞって脱退、新たに電子パーカッションとしてCliff Vennerを加入させ、格段にエレクトリック度を増したサウンドに変貌していきました。そのような中リリースされた3rdアルバムが本作です。
あくまでPOPSとして成立していながらも極度にシンセやサンプラーを多用したマニアックなサウンド手法によって、彼らの作品の中でも実験的という言葉だけが先走ってしまった本作ですが、大胆なシモンズドラムの導入やミニマル要素の強いフレーズに隠れたわかりやすいメロディラインと歯切れの良いTonyのヴォーカルが光っていることも忘れてはなりません。確かにこれぞシングル曲と言えるように突き抜けたキラーソングは存在しない作品ですが、コンセプチュアルな側面からまとめられた楽曲群はバランスも良く、比較的作品全体を通して聴くのに適しているように感じられます。また、相変わらずTonyのヴォーカルのわかりやすさはネイティブとは思えないほどで、日本人にとっても非常に聞き取りやすい発音であるところも嬉しい特徴であると言えるでしょう。実はこのわかりやすさが、オートマティックかつマシナリーな印象のサウンドに絶妙にマッチしており、実験的でありながら聴きやすい名盤に仕上げているのではないかと思うのです。
<Favorite Songs>
・「A Train On Twisted Tracks」
Sample & Hold的なシーケンスのイントロから始まるようにエレクトロ度満点のサウンドながら哀愁POPSとしての印象が強い楽曲。クールなシンセパッドにノイジーなシンセ音色など音色的にもテクノ度が強く感じられます。
・「Kingdoms For Horses」
サンプリング音を駆使した不思議なイントロも印象的ですが、芯まで響くエレドラとチョッパー音色の相性が抜群で、本作の特徴の1つでもあるシンセファンクな側面が最も色濃く出た楽曲と言えます。
・「The Planet Doesn't Mind」
比較的地味な楽曲が並ぶ本作にあってシングルカットされた楽曲。跳ねるリズムにほとんどサビのみのフレーズで構成されていますが、サビを引き立てる金物系サンプル音と柔らかいギターサウンドが味わい深いです。
<評点>
・サウンド ★★★★★(リアルテクノに変貌した渾身の凝りまくりシンセサウンド)
・メロディ ★★★ (サウンド偏重によりTonyにしてはメロディの才は抑え気味)
・リズム ★★★★★(実はここまで全面的にシモンズを多用する作品は珍しい)
・曲構成 ★★★★★(Beatlesのカバーと自作曲の同名異曲を並べるセンスが良い)
・個性 ★★★★★(前作からの思い切った変貌が記録には残らずも記憶に残った)
総合評点: 10点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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