「Orfeu」 GENTLEMAN TAKE POLAROID
「Orfeu」(2009 パームツリー)
GENTLEMAN TAKE POLAROID

<members>
出口雅之:vocal
森岡賢:computer programming・keyboards
1.「哀しみのオルフェ」 詞:出口雅之 曲:森岡賢 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
2.「灼熱の華」 詞:出口雅之 曲:森岡賢 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
3.「THE GAME」 詞:出口雅之 曲・編:森岡賢
4.「Oh Wonder!」 詞:出口雅之 曲:森岡賢 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
5.「サヨナラ」 詞:出口雅之 曲・編:森岡賢
6.「FAKE」 詞:出口雅之 曲・編:森岡賢
7.「BREAK」
詞:出口雅之 曲:森岡賢・出口雅之・STEVE ETO 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
8.「愛と情熱のベースボールブギ!」
詞:出口雅之 曲:森岡賢 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
9.「RADIO CITY」 詞・曲:出口雅之 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
10.「名もなき風」 詞:出口雅之 曲:森岡賢 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
<support musician>
STEVE ETO:additional vocal
森岡慶:guitar
produced by GENTLEMAN TAKE POLAROID
engineered by 森岡賢・池田聡
● ニューウェーブのカリスマパーソンがまさかのデュオ結成!場末感の漂うエレクトロダンスミュージックが主軸の唯一作品
SOFT BALLETとGRASS VALLEY。現在もなおカリスマ的な人気を誇る80年代と90年代を股にかけたこの2つのエレクトリックバンドは、バレエ(バレー)つながりと評するのもおこがましいほど後年意外な繋がり方をしていくことになります。GRASS VALLEYを脱退したノングルーヴドラマー上領亘は、すぐさまSOFT BALLETのサポートとして活動し、全盛期に差しかかりつつあった彼らを強力に支えていきました。そしてSOFT BALLETの中でも当然交友関係が広かった森岡賢は、数々のサポートを重ねていく上領亘を通じて、上領が元GRASS VALLEYのメンバーの中で唯一ジョイントライブを開催するなど交流を続けていた、GV解散後REVやソロ、Suiside Sports Car、ローマとしきといったユニットまでしぶとく活動を続行していた出口雅之と出会った結果、英国のカリスマニューウェーブバンドJAPANの名盤から拝借したユニット名「GENTLEMAN TAKE POLAROID」を2008年に結成、80年代ニューウェーブ&ニューロマンティックムーブメントに影響を受けた彼ららしい妖しさと派手さとユーモアに溢れたエレクトロポップを志向したスーパーデュオとして、当時としては挑戦的なUSBによる音源配布等を経て、翌年遂に初のフルアルバムをリリースすることになります。
2005年のソロアルバム「Jade」でサウンド面での方向性を確立した森岡賢による尖ったシーケンスを基調としたトランシーなエレクトロダンスポップを基調に、哀愁のコードワークを奏でる白玉パッドと叙情的なピアノで味つけしたサウンドは、バタ臭くも往年の80's歌謡を想起させるものであり、彼らのルーツをしっかりなぞったサウンドに仕上がっています。そこに違和感なく乗せていく相変わらずの独特の周波数的存在感を放つ出口のヴォーカルは、前述のサウンドに合わないはずなく、両者のファンの期待に十分に応えられている仕上がりです。プログラミングによる単調なリズムやほぼ様式美のように真っ正面からのシーケンス道を突っ走っていくため一聴して前衛性は感じにくいかもしれませんが、長年エレクトリックな音で勝負してきた森岡と出口の熟練ならではの安定性は言うまでもなく、恐らく出口が上記のユニット活動を経て持ち込んできたラテンやジャズ等のテイストを気軽に取り入れたある種のいかがわしさも感じさせる部分は、まさにこの稀代のユニセックスパフォーマンスを繰り広げてきた森岡と、独特のダンディズムを時にはコミカルに表現してきた出口の、2人のキャラクターが成せる業と言ってよいでしょう。そして何といっても彼ら2人のケミストリーで生み出されたのは良い意味でベタな歌謡テイストで、そのあたりはREVやソロ活動で培ってきた売れ線系のメロディ構築と、遠藤遼一と藤井麻輝という歯止めを失った森岡の本来持ち合わせていた親譲りの歌謡ポップ魂が、あちこちのフレーズに見え隠れしている部分は興味深いところではないでしょうか。特に5曲目の「サヨナラ」はSOFT BALLETの「Last Song」の焼き直しとも言えますが、本作ではSOFT BALLETの荘厳さよりは吹っ切れたような開放感が表出していて、救済感覚は本作の方が勝っている印象を受けました。このように2人のセンス豊かな才能の融合と化学反応が興味深かったこのユニットですが、音源化したのは本作1枚のみに留められ、森岡の急逝により今後のリリースも叶わないことになってしまいました。2枚目にどのようなアプローチをしていくか興味深かっただけに、残念です。
<Favorite Songs>
・「THE GAME」
エグいレゾナンス系シンセリフでインパクトを与えたハードエレクトロ歌謡。腰の入ったミドルテンポのリズムとシンプルな電子音で装飾する引っかかりはないものの安心感のあるエレクトロポップは、森岡賢の真骨頂とも言えるでしょう。
・「FAKE」
本作随一のハイパーエレクトロダンスチューン。攻撃的なリズムとシンセベースの高速シーケンス、それぞれの音も重厚で音の粒も立ち派手さも抜きん出ています。そのテンションの高さから出口のヴォーカルも非常に力強く、サビの訴求力の高さも相まったポップセンスも全開。森岡楽曲全体としても完成度の高い名曲であると思います。
・「RADIO CITY」
数少ない出口作曲の安定的なエレクトロポップナンバー。全体的にノスタルジックなイメージですが、Super Saw全開のBメロ部分は00年代的で現実に引き戻されます。特にサビ前の転調に仕方が絶妙で、この部分がこの楽曲のストロングポイントにほかなりません。
<評点>
・サウンド ★★★ (エレクトロサウンドの安定感は流石の熟練技)
・メロディ ★★ (野暮ったい歌謡的フレージングは手グセかも)
・リズム ★ (忠実にダンス系リズムの基本に則っている)
・曲構成 ★ (似非ラテンやジャズ等変化に挑むが空振り感も)
・個性 ★★ (ルーツを隠しもせず期待に応えた作品)
総合評点: 7点
GENTLEMAN TAKE POLAROID

<members>
出口雅之:vocal
森岡賢:computer programming・keyboards
1.「哀しみのオルフェ」 詞:出口雅之 曲:森岡賢 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
2.「灼熱の華」 詞:出口雅之 曲:森岡賢 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
3.「THE GAME」 詞:出口雅之 曲・編:森岡賢
4.「Oh Wonder!」 詞:出口雅之 曲:森岡賢 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
5.「サヨナラ」 詞:出口雅之 曲・編:森岡賢
6.「FAKE」 詞:出口雅之 曲・編:森岡賢
7.「BREAK」
詞:出口雅之 曲:森岡賢・出口雅之・STEVE ETO 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
8.「愛と情熱のベースボールブギ!」
詞:出口雅之 曲:森岡賢 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
9.「RADIO CITY」 詞・曲:出口雅之 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
10.「名もなき風」 詞:出口雅之 曲:森岡賢 編:GENTLEMAN TAKE POLAROID
<support musician>
STEVE ETO:additional vocal
森岡慶:guitar
produced by GENTLEMAN TAKE POLAROID
engineered by 森岡賢・池田聡
● ニューウェーブのカリスマパーソンがまさかのデュオ結成!場末感の漂うエレクトロダンスミュージックが主軸の唯一作品
SOFT BALLETとGRASS VALLEY。現在もなおカリスマ的な人気を誇る80年代と90年代を股にかけたこの2つのエレクトリックバンドは、バレエ(バレー)つながりと評するのもおこがましいほど後年意外な繋がり方をしていくことになります。GRASS VALLEYを脱退したノングルーヴドラマー上領亘は、すぐさまSOFT BALLETのサポートとして活動し、全盛期に差しかかりつつあった彼らを強力に支えていきました。そしてSOFT BALLETの中でも当然交友関係が広かった森岡賢は、数々のサポートを重ねていく上領亘を通じて、上領が元GRASS VALLEYのメンバーの中で唯一ジョイントライブを開催するなど交流を続けていた、GV解散後REVやソロ、Suiside Sports Car、ローマとしきといったユニットまでしぶとく活動を続行していた出口雅之と出会った結果、英国のカリスマニューウェーブバンドJAPANの名盤から拝借したユニット名「GENTLEMAN TAKE POLAROID」を2008年に結成、80年代ニューウェーブ&ニューロマンティックムーブメントに影響を受けた彼ららしい妖しさと派手さとユーモアに溢れたエレクトロポップを志向したスーパーデュオとして、当時としては挑戦的なUSBによる音源配布等を経て、翌年遂に初のフルアルバムをリリースすることになります。
2005年のソロアルバム「Jade」でサウンド面での方向性を確立した森岡賢による尖ったシーケンスを基調としたトランシーなエレクトロダンスポップを基調に、哀愁のコードワークを奏でる白玉パッドと叙情的なピアノで味つけしたサウンドは、バタ臭くも往年の80's歌謡を想起させるものであり、彼らのルーツをしっかりなぞったサウンドに仕上がっています。そこに違和感なく乗せていく相変わらずの独特の周波数的存在感を放つ出口のヴォーカルは、前述のサウンドに合わないはずなく、両者のファンの期待に十分に応えられている仕上がりです。プログラミングによる単調なリズムやほぼ様式美のように真っ正面からのシーケンス道を突っ走っていくため一聴して前衛性は感じにくいかもしれませんが、長年エレクトリックな音で勝負してきた森岡と出口の熟練ならではの安定性は言うまでもなく、恐らく出口が上記のユニット活動を経て持ち込んできたラテンやジャズ等のテイストを気軽に取り入れたある種のいかがわしさも感じさせる部分は、まさにこの稀代のユニセックスパフォーマンスを繰り広げてきた森岡と、独特のダンディズムを時にはコミカルに表現してきた出口の、2人のキャラクターが成せる業と言ってよいでしょう。そして何といっても彼ら2人のケミストリーで生み出されたのは良い意味でベタな歌謡テイストで、そのあたりはREVやソロ活動で培ってきた売れ線系のメロディ構築と、遠藤遼一と藤井麻輝という歯止めを失った森岡の本来持ち合わせていた親譲りの歌謡ポップ魂が、あちこちのフレーズに見え隠れしている部分は興味深いところではないでしょうか。特に5曲目の「サヨナラ」はSOFT BALLETの「Last Song」の焼き直しとも言えますが、本作ではSOFT BALLETの荘厳さよりは吹っ切れたような開放感が表出していて、救済感覚は本作の方が勝っている印象を受けました。このように2人のセンス豊かな才能の融合と化学反応が興味深かったこのユニットですが、音源化したのは本作1枚のみに留められ、森岡の急逝により今後のリリースも叶わないことになってしまいました。2枚目にどのようなアプローチをしていくか興味深かっただけに、残念です。
<Favorite Songs>
・「THE GAME」
エグいレゾナンス系シンセリフでインパクトを与えたハードエレクトロ歌謡。腰の入ったミドルテンポのリズムとシンプルな電子音で装飾する引っかかりはないものの安心感のあるエレクトロポップは、森岡賢の真骨頂とも言えるでしょう。
・「FAKE」
本作随一のハイパーエレクトロダンスチューン。攻撃的なリズムとシンセベースの高速シーケンス、それぞれの音も重厚で音の粒も立ち派手さも抜きん出ています。そのテンションの高さから出口のヴォーカルも非常に力強く、サビの訴求力の高さも相まったポップセンスも全開。森岡楽曲全体としても完成度の高い名曲であると思います。
・「RADIO CITY」
数少ない出口作曲の安定的なエレクトロポップナンバー。全体的にノスタルジックなイメージですが、Super Saw全開のBメロ部分は00年代的で現実に引き戻されます。特にサビ前の転調に仕方が絶妙で、この部分がこの楽曲のストロングポイントにほかなりません。
<評点>
・サウンド ★★★ (エレクトロサウンドの安定感は流石の熟練技)
・メロディ ★★ (野暮ったい歌謡的フレージングは手グセかも)
・リズム ★ (忠実にダンス系リズムの基本に則っている)
・曲構成 ★ (似非ラテンやジャズ等変化に挑むが空振り感も)
・個性 ★★ (ルーツを隠しもせず期待に応えた作品)
総合評点: 7点
「POP CITY」 ないあがらせっと
「POP CITY」(2009 スタジオスープ)
ないあがらせっと

<members>
中村寛:vocal・all instruments
1.「街のスーパーマン」 詞・曲・編:中村寛
2.「街のマタニティ」 詞・曲・編:中村寛
3.「リゾート」 詞・曲・編:中村寛
4.「words are」 詞・曲・編:中村寛
5.「スモーク」 詞・曲・編:中村寛
6.「summer drifter」 詞・曲・編:中村寛
7.「君と太陽」 詞・曲・編:中村寛
8.「インバーター」 曲・編:中村寛
9.「サマーニンジャ」 詞・曲・編:中村寛
10.「風のような甘い奇跡」 詞・曲・編:中村寛
produced by Studio Soup
engineered by 中村寛
● 喫茶ロックから進化しエレクトリックを取り入れたシティポップに挑戦した九州の良質ポップユニットの変化球作品
そのバンド名から想像するに難くない70年代フォーク&ニューミュージックの佇まいをひしひしと感じさせる、北九州の喫茶ロックユニットないあがらせっと。首謀者の中村寛やサウンドディレクターの冨永真吾を中心に数十名の地元ミュージシャンが入れ替わり立ち替わりサポートしながら作り上げられた何ともノスタルジックなメロディと昭和な音空間は、懐古趣味と言われようがその確固たる音楽的指針は崩れることなく、その枯れた味わいを存分に00年代の音楽シーンにぶつけていたのでした。ないあがらせっとは2002年、70年代に数々の名盤を生み出し、00年代に復活したベルウッドレコードからのリリースというこだわりを見せる形で1stアルバム「NAIAGARA SET」を全国流通、古き良き時代を甦らせる郷愁に満ちた作風で注目を浴びたものの、同年の2ndアルバム「ホリデヰ」リリース後は活動を休止、その後は思い出したように復活させては作品をリリースしたり、ライブを開催したりというインディーズならではの悠々自適な活動を繰り返しています。
本作はそんな彼らの2009年リリースの4thアルバムで、前作「Sound Of Garden」から2年振りの作品となりますが、従来の枯れた音楽性はそのままに今回は大胆にもエレクトロニカに影響されたようなシンセサイザーによるプログラミングをフィーチャーした楽曲にも挑戦、新たな方向性を見出そうとしています。当然のことながら基本はギター弾き語りスタイルでのはっぴぃえんどやシュガーベイブといった伝説のロックバンドのセンスを受け継いだかのような美しいメロディラインを軸にしていますが、特に「街のマタニティ」や「スモーク」、「サマーニンジャ」といった新機軸の楽曲ではそこに大胆なシンセフレーズを織り交ぜることで喫茶ロックを飛び越えたエレクトロシティポップとしての矜持を見せつけた形となっています。しかしこうした飛び道具が生きるのも元々の楽曲の濃いメロディの訴求力あってこそであり、俳人としても活躍する中村寛の言語感覚豊かな歌詞と気怠さを表現した歌唱による独特の癒しといいますかゆったりとした生活テンポといいますか、いやがおうでもスピード感に苛まれる現代人が忘れがちな心のゆとりを感じさせる楽曲であるからこそ、その対照的なエレクトロニクスがより生きた形で表現されています。余りに大胆に(時にはギミカルな)エレクトリックサウンドに挑戦したため、従来の聴き手も含めて賛否両論となった(と思われる)作品でしたが、個人的には従来の音楽性の幅を劇的に広げた素晴らしい決断であったと思います。
<Favorite Songs>
・「街のスーパーマン」
もやがかったミックスによる得意のノスタルジックPOPS。荒れたギターサウンドとオルガンの響きはどこを切り取っても70年代にタイムスリップさせます。またこの楽曲は抑え気味のサビのメロディが素晴らしく、淡々としたチープなリズムマシンの音色とのマッチングにも秀でています。
・「街のマタニティ」
これもギター中心の喫茶ロックながらも電子音剥き出しのシンセフレーズを大胆にも導入した新機軸楽曲。どうせシンセを入れるなら思い切ってスペイシーにチャレンジしてみようという意気込みを感じる豪快なフレーズの使い方で、トーキングモジュレーターやノイズ的なフレーズを中心としたギミックで聴き手を驚かせます。
・「サマーニンジャ」
まさかの4つ打ちエレクトロポップ。ダンサブルなリズムに絡みついてくる滲むような白玉シンセ、この大胆な音色が軸となってエレクトロニクスに溶けていったエフェクティブ処理されたギターはシーケンス然としており全く違和感なく成立しています。
<評点>
・サウンド ★★ (空間処理はローファイに電子音は大胆に)
・メロディ ★★★ (名曲度は落ちたものの安定感は感じられる)
・リズム ★★ (打ち込みリズムの特性も良く生かしている)
・曲構成 ★★ (メロディの良さが大胆な挑戦に違和感を与えず)
・個性 ★★ (電子音を自身の音楽性に巧みに溶け込ませている)
総合評点: 7点
ないあがらせっと

<members>
中村寛:vocal・all instruments
1.「街のスーパーマン」 詞・曲・編:中村寛
2.「街のマタニティ」 詞・曲・編:中村寛
3.「リゾート」 詞・曲・編:中村寛
4.「words are」 詞・曲・編:中村寛
5.「スモーク」 詞・曲・編:中村寛
6.「summer drifter」 詞・曲・編:中村寛
7.「君と太陽」 詞・曲・編:中村寛
8.「インバーター」 曲・編:中村寛
9.「サマーニンジャ」 詞・曲・編:中村寛
10.「風のような甘い奇跡」 詞・曲・編:中村寛
produced by Studio Soup
engineered by 中村寛
● 喫茶ロックから進化しエレクトリックを取り入れたシティポップに挑戦した九州の良質ポップユニットの変化球作品
そのバンド名から想像するに難くない70年代フォーク&ニューミュージックの佇まいをひしひしと感じさせる、北九州の喫茶ロックユニットないあがらせっと。首謀者の中村寛やサウンドディレクターの冨永真吾を中心に数十名の地元ミュージシャンが入れ替わり立ち替わりサポートしながら作り上げられた何ともノスタルジックなメロディと昭和な音空間は、懐古趣味と言われようがその確固たる音楽的指針は崩れることなく、その枯れた味わいを存分に00年代の音楽シーンにぶつけていたのでした。ないあがらせっとは2002年、70年代に数々の名盤を生み出し、00年代に復活したベルウッドレコードからのリリースというこだわりを見せる形で1stアルバム「NAIAGARA SET」を全国流通、古き良き時代を甦らせる郷愁に満ちた作風で注目を浴びたものの、同年の2ndアルバム「ホリデヰ」リリース後は活動を休止、その後は思い出したように復活させては作品をリリースしたり、ライブを開催したりというインディーズならではの悠々自適な活動を繰り返しています。
本作はそんな彼らの2009年リリースの4thアルバムで、前作「Sound Of Garden」から2年振りの作品となりますが、従来の枯れた音楽性はそのままに今回は大胆にもエレクトロニカに影響されたようなシンセサイザーによるプログラミングをフィーチャーした楽曲にも挑戦、新たな方向性を見出そうとしています。当然のことながら基本はギター弾き語りスタイルでのはっぴぃえんどやシュガーベイブといった伝説のロックバンドのセンスを受け継いだかのような美しいメロディラインを軸にしていますが、特に「街のマタニティ」や「スモーク」、「サマーニンジャ」といった新機軸の楽曲ではそこに大胆なシンセフレーズを織り交ぜることで喫茶ロックを飛び越えたエレクトロシティポップとしての矜持を見せつけた形となっています。しかしこうした飛び道具が生きるのも元々の楽曲の濃いメロディの訴求力あってこそであり、俳人としても活躍する中村寛の言語感覚豊かな歌詞と気怠さを表現した歌唱による独特の癒しといいますかゆったりとした生活テンポといいますか、いやがおうでもスピード感に苛まれる現代人が忘れがちな心のゆとりを感じさせる楽曲であるからこそ、その対照的なエレクトロニクスがより生きた形で表現されています。余りに大胆に(時にはギミカルな)エレクトリックサウンドに挑戦したため、従来の聴き手も含めて賛否両論となった(と思われる)作品でしたが、個人的には従来の音楽性の幅を劇的に広げた素晴らしい決断であったと思います。
<Favorite Songs>
・「街のスーパーマン」
もやがかったミックスによる得意のノスタルジックPOPS。荒れたギターサウンドとオルガンの響きはどこを切り取っても70年代にタイムスリップさせます。またこの楽曲は抑え気味のサビのメロディが素晴らしく、淡々としたチープなリズムマシンの音色とのマッチングにも秀でています。
・「街のマタニティ」
これもギター中心の喫茶ロックながらも電子音剥き出しのシンセフレーズを大胆にも導入した新機軸楽曲。どうせシンセを入れるなら思い切ってスペイシーにチャレンジしてみようという意気込みを感じる豪快なフレーズの使い方で、トーキングモジュレーターやノイズ的なフレーズを中心としたギミックで聴き手を驚かせます。
・「サマーニンジャ」
まさかの4つ打ちエレクトロポップ。ダンサブルなリズムに絡みついてくる滲むような白玉シンセ、この大胆な音色が軸となってエレクトロニクスに溶けていったエフェクティブ処理されたギターはシーケンス然としており全く違和感なく成立しています。
<評点>
・サウンド ★★ (空間処理はローファイに電子音は大胆に)
・メロディ ★★★ (名曲度は落ちたものの安定感は感じられる)
・リズム ★★ (打ち込みリズムの特性も良く生かしている)
・曲構成 ★★ (メロディの良さが大胆な挑戦に違和感を与えず)
・個性 ★★ (電子音を自身の音楽性に巧みに溶け込ませている)
総合評点: 7点
「PLASTIC」 Aira Mitsuki
「PLASTIC」(2009 D-topia)
Aira Mitsuki:vocal

1.「ロボットハニー」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
2.「Summeeeeeeeer set (feat.AYUSE KOZUE)」
詞:TO-WEST & Aira 曲:TO-WEST 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
3.「ニーハイガール」
詞・曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
4.「BAD trip」
詞:Aira Mitsuki 曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
5.「CHANGE MY WILL」
詞:TO-WEST 曲:TO-WEST/NExx WORKS 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
6.「HiGH SD スニーカー」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it/TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
7.「distant STARS」
詞・曲:TO-WEST 編:TOKYO IKEJIRI PLASTIC BABE & TO-WEST
8.「プラスティックドール」
詞:Aira Mitsuki 曲:NExx WORKS 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
9.「サプリ」
詞:Aira Mitsuki 曲:Kampkin Malkee 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
10.「夏飴 (feat.口ロロ)」
詞・曲:TO-WEST/口ロロ 編:口ロロ
11.「Time is (feat.Shigeo(SBK/TheSAMOS))」
詞・曲:TO-WEST/Shigeo 編:Shigeo
12.「サヨナラTECHNOPOLIS」
詞・曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
13.「BARBiE BARBiE」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
14.「Re: †」
詞・曲:TO-WEST 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
<support musician>
AYUSE KOZUE:vocal
Shigeo:vocal
口ロロ:vocal
sound produced by Terukado
mixing engineered by ELECTRIC INVADERS & TO-WEST・DISCOTICAoooo6969 & TO-WEST・TOKYO IKEJIRI PLASTIC BABE & TO-WEST・口ロロ・大石ヒトシ
recordjing engineered by 長岩隆文
● 00年代のエレクトロヒロインが提示する全編ディスコティックなますます過剰に苛烈に突き進むシンセポップアルバム
Perfumeのメジャーデビューとその後の快進撃により一般的には風化しつつあったテクノポップという単語が、全く別の意味でエレクトロの鎧をまとい復活し定着しつつあった2007年。Aira Mitsukiはオーディショングランプリの実績を引っ提げてシングル「カラフル・トーキョーサウンズ・NO.9」でインディーズデビューを果たします。「未来から生まれたテクノポップ・アイコン」というキャッチフレーズからもわかるように強烈にその方向性をアピール、明らかにPerfumeの「GAME」以降の音を意識した過激なエレクトロサウンドを標榜して一躍ムーブメント盛り上げの一役を担ったわけです。そして当然のことながら翌2008年にメジャーデビューを果たし1stアルバム「COPY」をリリース、立ち位置を確立した「ロボットハニー」「サヨナラ TECHNOPOLiS」「BARBiE BARBiE」の3枚のシングルリリースを経て2009年に勝負を賭けて発表された2ndアルバムが本作となります。
さて、Aira Mitsukiを全面的にプロデュースしているのは、古くは90年代後半に元カシオペアのドラマー熊谷徳明や徳永暁人らと結成したビーイング系バンド、XLでデビューしていた大西輝門で、彼はTerukadoと名前を変えながら愛内里菜やハレンチ☆パンチ等を手掛けるサウンドプロデューサーとして活動していましたが、その才気が覚醒したのはこのAira Mitsukiを手掛けてからでしょう。本作でもPerfumeを向こうに回して相乗効果なのかますます激しくなっていくブリブリのベースラインを中心とした剥き出しも辞さない、時には唐辛子をぶっかけるように過剰な電子音は、時にAiraのヴォーカルが益々音の一部と化してしまい、いわゆるエレクトロ期のcapsule現象を引き起こしていますが、もはや売れ線など全く気にする様子もない吹っ切れたサウンドデザインには、聴き手の好き嫌いは別にしてもそのチャレンジ精神に脱帽せざるを得ません。それでもこの手のバリバリのクラブシーンで活躍できそうなサウンドを歌モノJ-POP界で挑戦するからこそこの個性が光っているのであり、AYUSE KOZUEや口ロロといったゲスト陣に主役を奪われることなく自身の音として昇華し自我を保っていられる部分に、Aira & Terukadoの野心が感じられるのが興味深いです。また、バラードの「distant STARS」を挟んでサウンドカラーをヘビーな前半とライトな後半(ラストの「Re: †」は悪魔の所業ですが)で分割しているのもコンセプトとして良く考えられている作品です。
しかし哀しいかなムーブメントというのは終わりも早いわけで、彼女もその波に流されるように数枚のアルバムをリリースした後、一部には惜しまれつつ、テクノポップ・アイコンとしてのプロジェクトは休止してしまいました・・・が、最近アイラミツキ名義で再び音楽界にチャレンジしています(やはりエレクトロ歌謡)。
<Favorite Songs>
・「ニーハイガール」
四つ打ちのリズムにしつこいくらいのアシッドなベースラインが絡んでいく激しいエレクトロダンスチューン。幾重にも重ねられた高速シーケンスにノイジーなパッドをインパクトにして適度に暴れ回るフィルインのタイミングもセンスに溢れています。
・「プラスティックドール」
前半のノイジーで過激なエレクトロから一変しての軽めのスペイシーエレポップチューン。ほどよいスピード感とライトなアルペジオ&キラキラしたシンセリフに装飾されてメロディも親しみやすく、アルバムのメインテーマでありながらシングルを切ってもおかしくないクオリティを持った好楽曲です。
・「Re: †」
最後だからって何でもやりたい放題すればいいってもんじゃないぞ!というツッコミも届かないお祭り的過激なエレクトロ音満載のラストチューン。明らかにクラブ仕様に考えられたロングバージョンにギミックも満載。途中のスラップベースのコクのある音も鮮やかです。
<評点>
・サウンド ★★ (音数も多くとにかくどぎつい音を放り込むスタイル)
・メロディ ★ (音に気をとられてサラッと流されてしまう旋律)
・リズム ★ (手数は多いが電子音に比べてある種の軽さも目立つ)
・曲構成 ★★ (前後半でカラーを変えるのは面白いがゲスト曲が散漫)
・個性 ★ (アクの強さを存分に披露するが肝心の本人が薄まって)
総合評点: 6点
Aira Mitsuki:vocal

1.「ロボットハニー」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
2.「Summeeeeeeeer set (feat.AYUSE KOZUE)」
詞:TO-WEST & Aira 曲:TO-WEST 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
3.「ニーハイガール」
詞・曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
4.「BAD trip」
詞:Aira Mitsuki 曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
5.「CHANGE MY WILL」
詞:TO-WEST 曲:TO-WEST/NExx WORKS 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
6.「HiGH SD スニーカー」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it/TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
7.「distant STARS」
詞・曲:TO-WEST 編:TOKYO IKEJIRI PLASTIC BABE & TO-WEST
8.「プラスティックドール」
詞:Aira Mitsuki 曲:NExx WORKS 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
9.「サプリ」
詞:Aira Mitsuki 曲:Kampkin Malkee 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
10.「夏飴 (feat.口ロロ)」
詞・曲:TO-WEST/口ロロ 編:口ロロ
11.「Time is (feat.Shigeo(SBK/TheSAMOS))」
詞・曲:TO-WEST/Shigeo 編:Shigeo
12.「サヨナラTECHNOPOLIS」
詞・曲:TO-WEST 編:DISCOTICA 2oooo6969 & TO-WEST
13.「BARBiE BARBiE」
詞:TO-WEST 曲:Alex Funk it 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
14.「Re: †」
詞・曲:TO-WEST 編:ELECTRIC INVADERS & TO-WEST
<support musician>
AYUSE KOZUE:vocal
Shigeo:vocal
口ロロ:vocal
sound produced by Terukado
mixing engineered by ELECTRIC INVADERS & TO-WEST・DISCOTICAoooo6969 & TO-WEST・TOKYO IKEJIRI PLASTIC BABE & TO-WEST・口ロロ・大石ヒトシ
recordjing engineered by 長岩隆文
● 00年代のエレクトロヒロインが提示する全編ディスコティックなますます過剰に苛烈に突き進むシンセポップアルバム
Perfumeのメジャーデビューとその後の快進撃により一般的には風化しつつあったテクノポップという単語が、全く別の意味でエレクトロの鎧をまとい復活し定着しつつあった2007年。Aira Mitsukiはオーディショングランプリの実績を引っ提げてシングル「カラフル・トーキョーサウンズ・NO.9」でインディーズデビューを果たします。「未来から生まれたテクノポップ・アイコン」というキャッチフレーズからもわかるように強烈にその方向性をアピール、明らかにPerfumeの「GAME」以降の音を意識した過激なエレクトロサウンドを標榜して一躍ムーブメント盛り上げの一役を担ったわけです。そして当然のことながら翌2008年にメジャーデビューを果たし1stアルバム「COPY」をリリース、立ち位置を確立した「ロボットハニー」「サヨナラ TECHNOPOLiS」「BARBiE BARBiE」の3枚のシングルリリースを経て2009年に勝負を賭けて発表された2ndアルバムが本作となります。
さて、Aira Mitsukiを全面的にプロデュースしているのは、古くは90年代後半に元カシオペアのドラマー熊谷徳明や徳永暁人らと結成したビーイング系バンド、XLでデビューしていた大西輝門で、彼はTerukadoと名前を変えながら愛内里菜やハレンチ☆パンチ等を手掛けるサウンドプロデューサーとして活動していましたが、その才気が覚醒したのはこのAira Mitsukiを手掛けてからでしょう。本作でもPerfumeを向こうに回して相乗効果なのかますます激しくなっていくブリブリのベースラインを中心とした剥き出しも辞さない、時には唐辛子をぶっかけるように過剰な電子音は、時にAiraのヴォーカルが益々音の一部と化してしまい、いわゆるエレクトロ期のcapsule現象を引き起こしていますが、もはや売れ線など全く気にする様子もない吹っ切れたサウンドデザインには、聴き手の好き嫌いは別にしてもそのチャレンジ精神に脱帽せざるを得ません。それでもこの手のバリバリのクラブシーンで活躍できそうなサウンドを歌モノJ-POP界で挑戦するからこそこの個性が光っているのであり、AYUSE KOZUEや口ロロといったゲスト陣に主役を奪われることなく自身の音として昇華し自我を保っていられる部分に、Aira & Terukadoの野心が感じられるのが興味深いです。また、バラードの「distant STARS」を挟んでサウンドカラーをヘビーな前半とライトな後半(ラストの「Re: †」は悪魔の所業ですが)で分割しているのもコンセプトとして良く考えられている作品です。
しかし哀しいかなムーブメントというのは終わりも早いわけで、彼女もその波に流されるように数枚のアルバムをリリースした後、一部には惜しまれつつ、テクノポップ・アイコンとしてのプロジェクトは休止してしまいました・・・が、最近アイラミツキ名義で再び音楽界にチャレンジしています(やはりエレクトロ歌謡)。
<Favorite Songs>
・「ニーハイガール」
四つ打ちのリズムにしつこいくらいのアシッドなベースラインが絡んでいく激しいエレクトロダンスチューン。幾重にも重ねられた高速シーケンスにノイジーなパッドをインパクトにして適度に暴れ回るフィルインのタイミングもセンスに溢れています。
・「プラスティックドール」
前半のノイジーで過激なエレクトロから一変しての軽めのスペイシーエレポップチューン。ほどよいスピード感とライトなアルペジオ&キラキラしたシンセリフに装飾されてメロディも親しみやすく、アルバムのメインテーマでありながらシングルを切ってもおかしくないクオリティを持った好楽曲です。
・「Re: †」
最後だからって何でもやりたい放題すればいいってもんじゃないぞ!というツッコミも届かないお祭り的過激なエレクトロ音満載のラストチューン。明らかにクラブ仕様に考えられたロングバージョンにギミックも満載。途中のスラップベースのコクのある音も鮮やかです。
<評点>
・サウンド ★★ (音数も多くとにかくどぎつい音を放り込むスタイル)
・メロディ ★ (音に気をとられてサラッと流されてしまう旋律)
・リズム ★ (手数は多いが電子音に比べてある種の軽さも目立つ)
・曲構成 ★★ (前後半でカラーを変えるのは面白いがゲスト曲が散漫)
・個性 ★ (アクの強さを存分に披露するが肝心の本人が薄まって)
総合評点: 6点
「宴。」 ADAPTER。
「宴。」(2009 LINK.ID)
ADAPTER。

<members>
福助。:vocal・guitar・synthesizer programming
1.「コンニチワ」 曲・編:福助。
2.「ご自由にどうぞ」 詞・曲・編:福助。
3.「楽しんだモン勝ち」 詞・曲・編:福助。
4.「僕が君を忘れた時」 詞・曲・編:福助。
5.「祭り」 詞・曲・編:福助。
6.「僕の声」 詞・曲・編:福助。
7.「推論機構」 詞・曲・編:福助。
8.「はじめの一歩」 詞・曲・編:福助。
<support musician>
リウ:bass
ふーじ:drums
produced by ADAPTER。
mixing engineered by 磯村太郎
recording engineered by 磯村太郎・采原史明
● 和風メロディを多用したヴィジュアルロックをサイバーテクノに料理した異色ソロユニットの方向性を確立したミニアルバム
20世紀末から21世紀前半にかけてピコピコ電子音を多用したニューウェーブサウンドを旗印にしたつなぎ白塗りヴィジュアル系バンドとして存在感を放っていたメトロノーム。この4人組バンドにおいて小林写楽と共にバンド創設期からのメンバーであったギター担当の福田福助は、TALBOギターを愛用していることからもわかるように小林写楽同様P-MODEL〜有頂天直系の筋金入りテクノポップ&ニューウェーブ派というわけで、自身のソロユニットとして2005年に開始したADAPTER。でも当初はボコーダーにチープな電子音満載のニューウェーブサウンドを披露していました。しかしそれだけではその他大勢と同じく個性が埋もれてしまうと思ったのか、メトロノームが活動を休止する直前の08年の3rdミニアルバム「艶。」あたりから、そのヴィジュアルコンセプトと共に「和」のテイストをふんだんに盛り込んだ純和風ニューウェーブロックに高速ピコピコシーケンスを強引に合体させた、いわゆる「吹っ切れた」サウンドで一段階上の個性を手に入れることに成功しました。4thミニアルバムである本作は遂に本人もジャケに登場しその方向性を知らしめた、メトロノーム終了後に颯爽と独り立ちに成功するポイントとなった作品です。
ゲーム音楽ともおぼしきチープで近未来的なシーケンスとバタ臭い歌メロ&硬派ロックサウンドとのコントラストが魅力とも言えるADAPTER。サウンド。メトロノームの盟友である小林写楽のFLOPPYもチープテクノポップ&哀愁メロに定評があるユニットですが、ADAPTER。もそれと同系統のジャンルに属しながらも、歌謡曲的なメロディはむしろ演歌調と言ってもよいくらいの純日本製な感覚で、そこにギタリストたるゆえんであるいかにもロック的なディストーションサウンドで花を添えるわけですから、そのヴィジュアルサムライ的なルックスと相まって、単純にアーティスト的な立ち位置としても強烈なインパクトを聴き手に与えていると思います。その確立された和風メロディと攻撃的なシーケンス中心(特にイントロはどれも期待感溢れる飛び交う電子音で楽しさ満載)が一本調子過ぎるきらいはあるものの、特に僕シリーズの最高傑作とも言える「僕の声」などその方向性を決定づけるほどの完成度と勢いに任せた説得力を持った楽曲も多く、まさに本作はADAPTER。としての転換点であると同時に、(メトロノーム以降の独り立ちとしての)飛躍のきっかけとなった重要な作品と言えるのではないでしょうか。
<Favorite Songs>
・「僕の声」
ファミコン的チープシーケンスなイントロから四つ打ちノリノリに展開するADAPTER。の代表的な名曲。BメロではTB303的なフィルター開閉も鮮やかなアシッドベースを登場させたりと全編にわたりノリの良さは絶やさない勢いが魅力です。最後のタメも素晴らしい。
・「推論機構」
和メロ中心の本作にあって現代に舞い戻ったかのような哀愁メロ全開のロマンチックテクノポップ。粒の立ったシンセベースと全編にわたる緻密な打ち込みがこの曲調だと際立ってきます。この楽曲ではギターよりもファンタジックなシンセを比較的目立たせている(特にアウトロのベルサウンド等)のも楽曲の雰囲気づくりとしては成功しています。
<評点>
・サウンド ★★ (高速シーケンスと歪むギターはどれも攻撃的)
・メロディ ★★ (演歌で和の心を持つメロディが個性を演出)
・リズム ★ (全体としては四つ打ち中心で目新しさは少ない)
・曲構成 ★ (このユニットとしてはまだ緩急のある方かも)
・個性 ★ (和風ニューウェーブとしての方向性を見事確立)
総合評点: 6点
ADAPTER。

<members>
福助。:vocal・guitar・synthesizer programming
1.「コンニチワ」 曲・編:福助。
2.「ご自由にどうぞ」 詞・曲・編:福助。
3.「楽しんだモン勝ち」 詞・曲・編:福助。
4.「僕が君を忘れた時」 詞・曲・編:福助。
5.「祭り」 詞・曲・編:福助。
6.「僕の声」 詞・曲・編:福助。
7.「推論機構」 詞・曲・編:福助。
8.「はじめの一歩」 詞・曲・編:福助。
<support musician>
リウ:bass
ふーじ:drums
produced by ADAPTER。
mixing engineered by 磯村太郎
recording engineered by 磯村太郎・采原史明
● 和風メロディを多用したヴィジュアルロックをサイバーテクノに料理した異色ソロユニットの方向性を確立したミニアルバム
20世紀末から21世紀前半にかけてピコピコ電子音を多用したニューウェーブサウンドを旗印にしたつなぎ白塗りヴィジュアル系バンドとして存在感を放っていたメトロノーム。この4人組バンドにおいて小林写楽と共にバンド創設期からのメンバーであったギター担当の福田福助は、TALBOギターを愛用していることからもわかるように小林写楽同様P-MODEL〜有頂天直系の筋金入りテクノポップ&ニューウェーブ派というわけで、自身のソロユニットとして2005年に開始したADAPTER。でも当初はボコーダーにチープな電子音満載のニューウェーブサウンドを披露していました。しかしそれだけではその他大勢と同じく個性が埋もれてしまうと思ったのか、メトロノームが活動を休止する直前の08年の3rdミニアルバム「艶。」あたりから、そのヴィジュアルコンセプトと共に「和」のテイストをふんだんに盛り込んだ純和風ニューウェーブロックに高速ピコピコシーケンスを強引に合体させた、いわゆる「吹っ切れた」サウンドで一段階上の個性を手に入れることに成功しました。4thミニアルバムである本作は遂に本人もジャケに登場しその方向性を知らしめた、メトロノーム終了後に颯爽と独り立ちに成功するポイントとなった作品です。
ゲーム音楽ともおぼしきチープで近未来的なシーケンスとバタ臭い歌メロ&硬派ロックサウンドとのコントラストが魅力とも言えるADAPTER。サウンド。メトロノームの盟友である小林写楽のFLOPPYもチープテクノポップ&哀愁メロに定評があるユニットですが、ADAPTER。もそれと同系統のジャンルに属しながらも、歌謡曲的なメロディはむしろ演歌調と言ってもよいくらいの純日本製な感覚で、そこにギタリストたるゆえんであるいかにもロック的なディストーションサウンドで花を添えるわけですから、そのヴィジュアルサムライ的なルックスと相まって、単純にアーティスト的な立ち位置としても強烈なインパクトを聴き手に与えていると思います。その確立された和風メロディと攻撃的なシーケンス中心(特にイントロはどれも期待感溢れる飛び交う電子音で楽しさ満載)が一本調子過ぎるきらいはあるものの、特に僕シリーズの最高傑作とも言える「僕の声」などその方向性を決定づけるほどの完成度と勢いに任せた説得力を持った楽曲も多く、まさに本作はADAPTER。としての転換点であると同時に、(メトロノーム以降の独り立ちとしての)飛躍のきっかけとなった重要な作品と言えるのではないでしょうか。
<Favorite Songs>
・「僕の声」
ファミコン的チープシーケンスなイントロから四つ打ちノリノリに展開するADAPTER。の代表的な名曲。BメロではTB303的なフィルター開閉も鮮やかなアシッドベースを登場させたりと全編にわたりノリの良さは絶やさない勢いが魅力です。最後のタメも素晴らしい。
・「推論機構」
和メロ中心の本作にあって現代に舞い戻ったかのような哀愁メロ全開のロマンチックテクノポップ。粒の立ったシンセベースと全編にわたる緻密な打ち込みがこの曲調だと際立ってきます。この楽曲ではギターよりもファンタジックなシンセを比較的目立たせている(特にアウトロのベルサウンド等)のも楽曲の雰囲気づくりとしては成功しています。
<評点>
・サウンド ★★ (高速シーケンスと歪むギターはどれも攻撃的)
・メロディ ★★ (演歌で和の心を持つメロディが個性を演出)
・リズム ★ (全体としては四つ打ち中心で目新しさは少ない)
・曲構成 ★ (このユニットとしてはまだ緩急のある方かも)
・個性 ★ (和風ニューウェーブとしての方向性を見事確立)
総合評点: 6点
「Poison」 ALI PROJECT
「Poison」(2009 徳間ジャパン)
ALI PROJECT

<members>
宝野アリカ:vocal
片倉三起也:all instruments
1.「Poisoner」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
2.「処女懐胎、あるいは白骨塔より少女達は飛翔する」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
3.「お毒味LADY」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
4.「阿芙蓉寝台」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛・平野義久
5.「極色一代女」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
6.「Animals on the Earth」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
7.「上海繚乱ロマンチカ」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
8.「世紀末ゲネシス」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・平野義久
9.「この國の向こうに」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:平野義久
10.「discipline」 曲:片倉三起也 編:平野義久
<support musician>
伊藤浩紀:guitar
松本茂:wood bass
そうる透:drums
細田真子:cembalo
エリック宮城:trumpet
中川英二郎:trombone
宮崎明生:tenor sax
Robert Zung:baritone sax
中川昌三:flute
RUSH by 加藤高志:strings
渡辺剛Strings:strings
東京フィルハーモニックコーラス:chorus
渡辺剛:strings arrangement
平野義久:chorus arrangement
sound produced by 片倉三起也
engineered by 滝田二郎
● 切迫感のあるシンセサウンドとストリングスのせめぎ合いにロマンスすら感じる孤高のユニット10枚目のオリジナル作
2007年のオリジナルアルバム「Psychedelic Insanity」で大きく舵を切ったエレクトリックへの傾倒をひとまず溜め込みながら08年の9枚目のオリジナル作「禁書」では、ゴシックにどっぷり浸かった濃い世界観で聴き手を魅了したALI PROJECT。翌09年は「裸々イヴ新世紀」「地獄之門」「戦慄の子供たち」といったアニメタイアップをこなしながらしっかりとオリジナル作品を残すところは、さすが創作意欲の衰えない彼らだからこその多作ぶりと言えるでしょう。タイアップとオリジナルを割り切って成立させるほどのベテランならではの経験と多彩な音楽性を実現化する手数の多さを見せるアリプロですが、本作では前作から方向性に変化を加え、前々作のエレクトリックなサウンドを進化させ、かつゴシカル性を浄化したかのような滑らかさを楽曲に施した、ジャケからも感じられるように近年では珍しいあっさり味のサウンドに仕上げてきています。
あっさりとはいえそれはあくまで全体的な印象であり、実際の各楽曲におけるサウンドは非常に濃密です。相変わらずの流れるようなストリングスワークもさることながら、全面的に主張し始めた剥き出しのシンセフレーズによってサウンドの輪郭がはっきりしたおかげで、聴き手はよりそれらの楽曲からテクノロジーを感じることになります。中には「極色一代女」というビッグバンド従えた新機軸に挑戦した楽曲を収録するなど、音の組み立て方の完成度と実験精神は80年代から活動を続けている彼らにしていまだ衰えを知りません。特に「処女懐胎、〜」や「上海繚乱ロマンチカ」などで聴けるようなLow-Bitなストリングスのサウンド処理は挑戦的で、しかも電子音との相性も合うし、随所でトリッキーなフレーズで攪乱してくるため、前衛的エレクトロクラシックサウンドとしても十分に聴く価値がある作品となっています。本作後もオリジナル作品では試行錯誤を繰り返すALI PROJECTですが、本作は近年の作品でも初期の原点に帰ったかのようなアヴァンギャルド電子POPS的な側面を発揮した良作であると言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「Poisoner」
プログラミング&ストリングスの融合が冴えるタイトルチューン。チープなリズムとシーケンスを多用しながら、いつもながらのトリッキーなメロディラインで魅せます。圧巻なのは間奏の流麗なストリングスに絡む彼らにとっては珍しいグルーヴィーなベースラインです。
・「処女懐胎、あるいは白骨塔より少女達は飛翔する」
わざと濁した衝撃的なストリングスのイントロから始まる本作随一のエレクトロゴシックPOPS。いかにもサンプリングなストリングスが電子音響と混ざり合う攻撃的なサウンドで、美しいサビのメロディをグチャッと潰すかのような不協和音的ギミックのストリングスの使い方がポイントです。
・「Animals on the Earth」
これもストリングスとプログラミングが疾走しながらも開放感すら感じる潔い楽曲。タイアップ曲でも通用するようなポップな曲調ですが、Bメロ前の無機質なシンセフレーズにテクノ魂を感じます。流れるように展開していく曲調は彼らの十八番とも言えるでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★ (露出する電子音とわざと汚したづとリングすが大活躍)
・メロディ ★ (時折キャッチー性を見せるが基本は複雑で難解な旋律)
・リズム ★★ (全体的にチープだがサビでの畳み掛け方は円熟の味)
・曲構成 ★ (いつも思うがラスト2曲は弦楽器オンリーではなく・・)
・個性 ★★ (近年ではわかりやすいシンセ度高くテクノ好きする音)
総合評点: 7点
ALI PROJECT

<members>
宝野アリカ:vocal
片倉三起也:all instruments
1.「Poisoner」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
2.「処女懐胎、あるいは白骨塔より少女達は飛翔する」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
3.「お毒味LADY」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
4.「阿芙蓉寝台」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛・平野義久
5.「極色一代女」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
6.「Animals on the Earth」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・渡辺剛
7.「上海繚乱ロマンチカ」 詞:宝野アリカ 曲・編:片倉三起也
8.「世紀末ゲネシス」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:片倉三起也・平野義久
9.「この國の向こうに」 詞:宝野アリカ 曲:片倉三起也 編:平野義久
10.「discipline」 曲:片倉三起也 編:平野義久
<support musician>
伊藤浩紀:guitar
松本茂:wood bass
そうる透:drums
細田真子:cembalo
エリック宮城:trumpet
中川英二郎:trombone
宮崎明生:tenor sax
Robert Zung:baritone sax
中川昌三:flute
RUSH by 加藤高志:strings
渡辺剛Strings:strings
東京フィルハーモニックコーラス:chorus
渡辺剛:strings arrangement
平野義久:chorus arrangement
sound produced by 片倉三起也
engineered by 滝田二郎
● 切迫感のあるシンセサウンドとストリングスのせめぎ合いにロマンスすら感じる孤高のユニット10枚目のオリジナル作
2007年のオリジナルアルバム「Psychedelic Insanity」で大きく舵を切ったエレクトリックへの傾倒をひとまず溜め込みながら08年の9枚目のオリジナル作「禁書」では、ゴシックにどっぷり浸かった濃い世界観で聴き手を魅了したALI PROJECT。翌09年は「裸々イヴ新世紀」「地獄之門」「戦慄の子供たち」といったアニメタイアップをこなしながらしっかりとオリジナル作品を残すところは、さすが創作意欲の衰えない彼らだからこその多作ぶりと言えるでしょう。タイアップとオリジナルを割り切って成立させるほどのベテランならではの経験と多彩な音楽性を実現化する手数の多さを見せるアリプロですが、本作では前作から方向性に変化を加え、前々作のエレクトリックなサウンドを進化させ、かつゴシカル性を浄化したかのような滑らかさを楽曲に施した、ジャケからも感じられるように近年では珍しいあっさり味のサウンドに仕上げてきています。
あっさりとはいえそれはあくまで全体的な印象であり、実際の各楽曲におけるサウンドは非常に濃密です。相変わらずの流れるようなストリングスワークもさることながら、全面的に主張し始めた剥き出しのシンセフレーズによってサウンドの輪郭がはっきりしたおかげで、聴き手はよりそれらの楽曲からテクノロジーを感じることになります。中には「極色一代女」というビッグバンド従えた新機軸に挑戦した楽曲を収録するなど、音の組み立て方の完成度と実験精神は80年代から活動を続けている彼らにしていまだ衰えを知りません。特に「処女懐胎、〜」や「上海繚乱ロマンチカ」などで聴けるようなLow-Bitなストリングスのサウンド処理は挑戦的で、しかも電子音との相性も合うし、随所でトリッキーなフレーズで攪乱してくるため、前衛的エレクトロクラシックサウンドとしても十分に聴く価値がある作品となっています。本作後もオリジナル作品では試行錯誤を繰り返すALI PROJECTですが、本作は近年の作品でも初期の原点に帰ったかのようなアヴァンギャルド電子POPS的な側面を発揮した良作であると言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「Poisoner」
プログラミング&ストリングスの融合が冴えるタイトルチューン。チープなリズムとシーケンスを多用しながら、いつもながらのトリッキーなメロディラインで魅せます。圧巻なのは間奏の流麗なストリングスに絡む彼らにとっては珍しいグルーヴィーなベースラインです。
・「処女懐胎、あるいは白骨塔より少女達は飛翔する」
わざと濁した衝撃的なストリングスのイントロから始まる本作随一のエレクトロゴシックPOPS。いかにもサンプリングなストリングスが電子音響と混ざり合う攻撃的なサウンドで、美しいサビのメロディをグチャッと潰すかのような不協和音的ギミックのストリングスの使い方がポイントです。
・「Animals on the Earth」
これもストリングスとプログラミングが疾走しながらも開放感すら感じる潔い楽曲。タイアップ曲でも通用するようなポップな曲調ですが、Bメロ前の無機質なシンセフレーズにテクノ魂を感じます。流れるように展開していく曲調は彼らの十八番とも言えるでしょう。
<評点>
・サウンド ★★★ (露出する電子音とわざと汚したづとリングすが大活躍)
・メロディ ★ (時折キャッチー性を見せるが基本は複雑で難解な旋律)
・リズム ★★ (全体的にチープだがサビでの畳み掛け方は円熟の味)
・曲構成 ★ (いつも思うがラスト2曲は弦楽器オンリーではなく・・)
・個性 ★★ (近年ではわかりやすいシンセ度高くテクノ好きする音)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽