「IN A MODEL ROOM」 P-MODEL
「IN A MODEL ROOM」(1979 ワーナーパイオニア)
P-MODEL

<members>
平沢進:vocal・guitar・synthesizers
秋山勝彦:bass・synthesizers・backing vocals
田中靖美:organ・synthesizers・backing vocals
田井中貞利:drums
1.「美術館で会った人だろ」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
2.「ヘルス・エンジェル」 詞・曲:田中靖美 編:P-MODEL
3.「ルームランナー」 詞・曲:田中靖美 編:P-MODEL
4.「ソフィスティケイティッド」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
5.「子供たちどうも」 詞:平沢裕一 曲:平沢進 編:P-MODEL
6.「KAMEARI POP」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
7.「サンシャイン・シティー」 詞:平沢裕一 曲:田中靖美 編:P-MODEL
8.「偉大なる頭脳」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
9.「ホワイト・シガレット」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
10.「MOMO色トリック」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
11.「アート・ブラインド」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
produced by 佐久間正英・P-MODEL
engineered by 古川誠
● プログレの皮を脱ぎ捨ててパンキッシュでカラフルなシンセで楽曲を彩る近未来の暴れ馬的デビュー作
日本では数少ないMelotronを操るプログレバンドとしてコアなファンを獲得していたマンドレイク。その中心人物である平沢進と田中靖美が、それまでの手法をかなぐり捨てて、海外のパンク&ニューウェーブムーブメントに影響を受けて結成されたのがP-MODELです。生ドラムが活躍する熱い演奏主体のパンキッシュなスタイルに、シンセで味つけされた絶妙な近未来感は、電子機材の急激な進歩に沸く新しい音楽観を求めるリスナーにとって眩しく映ったに相違なく、一気に日本式ニューウェーブの波に乗っていきます。シンセやリズムボックスを多用しヴィジュアル的にもカラフルで洗練されたイメージでインパクトを与えた彼らは、時を同じくそれぞれのアプローチで似通ったサウンドを提示してきたPLASTICSやヒカシューと並んで、YMOとは異なったアプローチから「テクノポップ」という新ジャンルを与えられ、テクオポップ御三家としてもてはやされることになります。彼らの1stアルバムである本作はこれらのブームの火付け役となった名盤として、この手のジャンルのバイブルとして語り継がれている作品です。
本作はP-MODELとしてのサウンドと方向性を示す代名詞的な作品ということで、スピード感と荒々しさにあふれたパンキッシュビートと、KORG 800DVの特徴的なクラッカー音色がフィーチャーされたキュートなシンセワーク(この田中靖美のシンセフレーズを追うだけでもかなり楽しめます)が施された刺激的な楽曲が目白押しとなっています。緩急をつけてシニカルさと大胆さを巧みに操る平沢のヴォーカルも冴え渡り、この斜に構えた部分はサウンド面の変遷はあれども彼の音楽性の根幹を成していると言えるでしょう。「ソフィスティケイティッド」や「アート・ブラインド」における電子的なシンセの大活躍度も嬉しいところです。また本作はムーブメントの盟友でもあったPLASTICSの佐久間正英がプロデュースを手掛けていますが、もともとプログレ出身で難解さと戦略的な姿勢で一般に受け入れられにくかった彼らのアーティスト性を、若さと勢い、そしてポップなイメージ戦略で本作を良い意味でブレイクスルーさせており、1枚目に佐久間を起用したのは成功であったと思います。変拍子を多用したイントロのフレーズなどにプログレっぽさが抜け切れてないところや、捉え方によってはコミカルとも思わせる若気の至りなコーラスもご愛嬌ですが、いまだ機械に支配されていない「バンド」としてのセンスと力量を感じさせる本作は、TECHNOLOGY POPS的には弱いという印象ながらも、ここから全てが始まっているという点でやはり外してはいけない作品であるということなのです。
<Favorite Songs>
・「サンシャイン・シティー」
直線的ベースとスピード感に勢いを感じるエレクトリックパンクチューン。しかしなんといってもイントロの独創的なフレーズととっちらかったギターの掛け合いが楽しくて仕方がないです。この楽曲はこの部分に尽きます。
・「偉大なる頭脳」
怒濤の変拍子で攻めまくる難解な楽曲。本作で最もプログレっぽさが前面に出まくった楽曲で、特に複雑なベースラインが目立つサビ(というのか?)の熱さは圧巻です。
・「アート・ブラインド」
ロービットなロボボイスとノイジーなスネアが未来感を演出しているラストナンバー。メッセージ色が強い言葉をボコーダーで上手く中和しているのに好感が持てます。単純でミニマルな構成はかのドイツのグループを想起させますが、この楽曲も意外に重厚です。
<評点>
・サウンド ★★ (シンセの特徴を生かしたフレーズは当時の新しいセンス)
・メロディ ★ (デビュー作だけありキャッチーなメロが並ぶが単純さも)
・リズム ★★ (レコーディング技術が追いつかず軽く聴こえてしまう)
・曲構成 ★★ (最後から最後まで勢いと斜め目線の楽曲で通す根性が)
・個性 ★★ (パンクをシニカルに捉えながら振り切った明るさが・・)
総合評点: 7点
P-MODEL

<members>
平沢進:vocal・guitar・synthesizers
秋山勝彦:bass・synthesizers・backing vocals
田中靖美:organ・synthesizers・backing vocals
田井中貞利:drums
1.「美術館で会った人だろ」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
2.「ヘルス・エンジェル」 詞・曲:田中靖美 編:P-MODEL
3.「ルームランナー」 詞・曲:田中靖美 編:P-MODEL
4.「ソフィスティケイティッド」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
5.「子供たちどうも」 詞:平沢裕一 曲:平沢進 編:P-MODEL
6.「KAMEARI POP」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
7.「サンシャイン・シティー」 詞:平沢裕一 曲:田中靖美 編:P-MODEL
8.「偉大なる頭脳」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
9.「ホワイト・シガレット」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
10.「MOMO色トリック」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
11.「アート・ブラインド」 詞・曲:平沢進 編:P-MODEL
produced by 佐久間正英・P-MODEL
engineered by 古川誠
● プログレの皮を脱ぎ捨ててパンキッシュでカラフルなシンセで楽曲を彩る近未来の暴れ馬的デビュー作
日本では数少ないMelotronを操るプログレバンドとしてコアなファンを獲得していたマンドレイク。その中心人物である平沢進と田中靖美が、それまでの手法をかなぐり捨てて、海外のパンク&ニューウェーブムーブメントに影響を受けて結成されたのがP-MODELです。生ドラムが活躍する熱い演奏主体のパンキッシュなスタイルに、シンセで味つけされた絶妙な近未来感は、電子機材の急激な進歩に沸く新しい音楽観を求めるリスナーにとって眩しく映ったに相違なく、一気に日本式ニューウェーブの波に乗っていきます。シンセやリズムボックスを多用しヴィジュアル的にもカラフルで洗練されたイメージでインパクトを与えた彼らは、時を同じくそれぞれのアプローチで似通ったサウンドを提示してきたPLASTICSやヒカシューと並んで、YMOとは異なったアプローチから「テクノポップ」という新ジャンルを与えられ、テクオポップ御三家としてもてはやされることになります。彼らの1stアルバムである本作はこれらのブームの火付け役となった名盤として、この手のジャンルのバイブルとして語り継がれている作品です。
本作はP-MODELとしてのサウンドと方向性を示す代名詞的な作品ということで、スピード感と荒々しさにあふれたパンキッシュビートと、KORG 800DVの特徴的なクラッカー音色がフィーチャーされたキュートなシンセワーク(この田中靖美のシンセフレーズを追うだけでもかなり楽しめます)が施された刺激的な楽曲が目白押しとなっています。緩急をつけてシニカルさと大胆さを巧みに操る平沢のヴォーカルも冴え渡り、この斜に構えた部分はサウンド面の変遷はあれども彼の音楽性の根幹を成していると言えるでしょう。「ソフィスティケイティッド」や「アート・ブラインド」における電子的なシンセの大活躍度も嬉しいところです。また本作はムーブメントの盟友でもあったPLASTICSの佐久間正英がプロデュースを手掛けていますが、もともとプログレ出身で難解さと戦略的な姿勢で一般に受け入れられにくかった彼らのアーティスト性を、若さと勢い、そしてポップなイメージ戦略で本作を良い意味でブレイクスルーさせており、1枚目に佐久間を起用したのは成功であったと思います。変拍子を多用したイントロのフレーズなどにプログレっぽさが抜け切れてないところや、捉え方によってはコミカルとも思わせる若気の至りなコーラスもご愛嬌ですが、いまだ機械に支配されていない「バンド」としてのセンスと力量を感じさせる本作は、TECHNOLOGY POPS的には弱いという印象ながらも、ここから全てが始まっているという点でやはり外してはいけない作品であるということなのです。
<Favorite Songs>
・「サンシャイン・シティー」
直線的ベースとスピード感に勢いを感じるエレクトリックパンクチューン。しかしなんといってもイントロの独創的なフレーズととっちらかったギターの掛け合いが楽しくて仕方がないです。この楽曲はこの部分に尽きます。
・「偉大なる頭脳」
怒濤の変拍子で攻めまくる難解な楽曲。本作で最もプログレっぽさが前面に出まくった楽曲で、特に複雑なベースラインが目立つサビ(というのか?)の熱さは圧巻です。
・「アート・ブラインド」
ロービットなロボボイスとノイジーなスネアが未来感を演出しているラストナンバー。メッセージ色が強い言葉をボコーダーで上手く中和しているのに好感が持てます。単純でミニマルな構成はかのドイツのグループを想起させますが、この楽曲も意外に重厚です。
<評点>
・サウンド ★★ (シンセの特徴を生かしたフレーズは当時の新しいセンス)
・メロディ ★ (デビュー作だけありキャッチーなメロが並ぶが単純さも)
・リズム ★★ (レコーディング技術が追いつかず軽く聴こえてしまう)
・曲構成 ★★ (最後から最後まで勢いと斜め目線の楽曲で通す根性が)
・個性 ★★ (パンクをシニカルに捉えながら振り切った明るさが・・)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「SOLID STATE SURVIVOR」 YMO
「SOLID STATE SURVIVOR」(1979 アルファ)
YMO

<members>
坂本龍一:keyboards・voices
高橋幸宏:vocals・drums
細野晴臣:bass・keyboards・voices
1.「TECHNOPOLIS」 曲:坂本龍一 編:YMO
2.「ABSOLUTE EGO DANCE」 曲:細野晴臣 編:YMO
3.「RYDEEN」 曲:高橋幸宏 編:YMO
4.「CASTALIA」 曲:坂本龍一 編:YMO
5.「BEHIND THE MASK」 詞:Chris Mosdell 曲:坂本龍一 編:YMO
6.「DAY TRIPPER」 詞・曲:John Lennon・Paul McCartney 編:YMO
7.「INSOMNIA」 詞:Chris Mosdell 曲:細野晴臣 編:YMO
8.「SOLID STATE SURVIVOR」 詞:Chris Mosdell 曲:高橋幸宏 編:YMO
<support musician>
鮎川誠:electric guitar
Sandii:voice
松武秀樹:computer programming
produced by 細野晴臣
mixing engineered by YMO・吉沢典夫
recording engineered by 吉沢典夫・小池光夫
● 完成されたシンセサウンドとその音楽性を世界に知らしめた数々の名曲を含む全世界大ヒット作
世界に先駆けて全面的に電子楽器サウンドを(あくまで)POPSに活用して、その後の音楽界に革命的な影響を与えたと言っても過言ではない日本が誇る伝説的グループ、Yellow Magic Orchestra(便宜上YMOと略する)を世界的なスターダムに乗せた代表作である本作に関しては、この類のレビューでは語り尽くされているため特に特筆すべき点はありませんが、TECHNOLOGY POPS史上無視できない作品であることは自明の理であります。「TECHNOPOLIS」「RYDEEN」といった名曲中の名曲、さらに故Michael Jacksonもカバーした「BEHIND THE MASK」、The Beatlesのリメイク「DAY TRIPPER」といった世界的に評価されている重要楽曲が収録されており、一般的なリスナーからするとYMOといえば本作というイメージであることは否めません。
全面的にシンセサイザーやシーケンサーを使用したポピュラー音楽といった触れ込みながら、特に海外ではフュージョンの亜種という評価も一部ではされていた前作「Yellow Magic Orchestra」ならびに第1次ワールドツアーでしたが、2ndアルバムである本作では早くもフュージョン色は一気に薄まり、本来シンセサイザーをはじめとする電子楽器が持つ機械的かつクールな感触を前面に押し出した音色と緊張感のある楽曲が多く収録されています。前述の名曲群もさることながら「CASTALIA」「INSOMNIA」のような地味ながら存在感を放つ荘厳とも言える楽曲の収録は前作では考えられなかったでしょう。また、本作は後半にいわゆる歌モノを収録するなど後のニューウェーブ全開路線を早くも予見させる面もあり、海外のパンク~ニューウェーブの急速な流れを海外ツアーを通して肌に感じて来た影響が早くも表れてきたように、確実に1stとは別物の作品という印象を受けます。結果的に本作は大ヒットし80年以降に巻き起こるYMOフィーバーの起爆剤となったわけですが、既に中期以降の実験路線の萌芽を垣間見せる毒を隠した作品とも言えるのではないでしょうか。
<Favorite Songs>
・「ABSOLUTE EGO DANCE」
細野晴臣の沖縄路線が如実に表れたエキゾチックテクノの名曲。リズムを刻む音色が実に攻撃的でありダンサブルな中に強力な圧力すら感じさせますが、高橋幸宏の前ノリリズムのキレも手伝って楽曲が持つ激しさでは本作中トップクラスです。
・「BEHIND THE MASK」
超有名なイントロのフレーズとサビのボコーダーヴォイスのインパクトが強烈な坂本龍一渾身の名曲。アカデミックな坂本がロック調に挑戦したという楽曲ですが、テクノの魔法からイメージは確実にニューウェーブの先取りといった印象になっています。
・「SOLID STATE SURVIVOR」
これも彼らの代表曲の1つで、ギターも活躍するロック調の楽曲。モジュレーションがかった幸宏ヴォーカルがフィーチャーされたこの楽曲は、その後の彼のソロを思わせるほどのポップロックぶりを見せてくれます。後半のエフェクトボイス?などは先鋭的にニューウェーブ化するその後の路線を予期するギミックであると思えます。
<評点>
・サウンド ★★★ (1stのある種の温かさは薄まりクールな音色を多用する)
・メロディ ★★★ (自動筆記的に書かれたようなメロほど名曲になり得る好例)
・リズム ★★ (当然幸宏ドラムのキレは素晴らしいがまだ音色が軽い)
・曲構成 ★ (このコンパクトさが爽快感と物足りなさを同時に感じる)
・個性 ★★★ (それでもYMOといえばこのサウンドという印象は拭えない)
総合評点: 7点
YMO

<members>
坂本龍一:keyboards・voices
高橋幸宏:vocals・drums
細野晴臣:bass・keyboards・voices
1.「TECHNOPOLIS」 曲:坂本龍一 編:YMO
2.「ABSOLUTE EGO DANCE」 曲:細野晴臣 編:YMO
3.「RYDEEN」 曲:高橋幸宏 編:YMO
4.「CASTALIA」 曲:坂本龍一 編:YMO
5.「BEHIND THE MASK」 詞:Chris Mosdell 曲:坂本龍一 編:YMO
6.「DAY TRIPPER」 詞・曲:John Lennon・Paul McCartney 編:YMO
7.「INSOMNIA」 詞:Chris Mosdell 曲:細野晴臣 編:YMO
8.「SOLID STATE SURVIVOR」 詞:Chris Mosdell 曲:高橋幸宏 編:YMO
<support musician>
鮎川誠:electric guitar
Sandii:voice
松武秀樹:computer programming
produced by 細野晴臣
mixing engineered by YMO・吉沢典夫
recording engineered by 吉沢典夫・小池光夫
● 完成されたシンセサウンドとその音楽性を世界に知らしめた数々の名曲を含む全世界大ヒット作
世界に先駆けて全面的に電子楽器サウンドを(あくまで)POPSに活用して、その後の音楽界に革命的な影響を与えたと言っても過言ではない日本が誇る伝説的グループ、Yellow Magic Orchestra(便宜上YMOと略する)を世界的なスターダムに乗せた代表作である本作に関しては、この類のレビューでは語り尽くされているため特に特筆すべき点はありませんが、TECHNOLOGY POPS史上無視できない作品であることは自明の理であります。「TECHNOPOLIS」「RYDEEN」といった名曲中の名曲、さらに故Michael Jacksonもカバーした「BEHIND THE MASK」、The Beatlesのリメイク「DAY TRIPPER」といった世界的に評価されている重要楽曲が収録されており、一般的なリスナーからするとYMOといえば本作というイメージであることは否めません。
全面的にシンセサイザーやシーケンサーを使用したポピュラー音楽といった触れ込みながら、特に海外ではフュージョンの亜種という評価も一部ではされていた前作「Yellow Magic Orchestra」ならびに第1次ワールドツアーでしたが、2ndアルバムである本作では早くもフュージョン色は一気に薄まり、本来シンセサイザーをはじめとする電子楽器が持つ機械的かつクールな感触を前面に押し出した音色と緊張感のある楽曲が多く収録されています。前述の名曲群もさることながら「CASTALIA」「INSOMNIA」のような地味ながら存在感を放つ荘厳とも言える楽曲の収録は前作では考えられなかったでしょう。また、本作は後半にいわゆる歌モノを収録するなど後のニューウェーブ全開路線を早くも予見させる面もあり、海外のパンク~ニューウェーブの急速な流れを海外ツアーを通して肌に感じて来た影響が早くも表れてきたように、確実に1stとは別物の作品という印象を受けます。結果的に本作は大ヒットし80年以降に巻き起こるYMOフィーバーの起爆剤となったわけですが、既に中期以降の実験路線の萌芽を垣間見せる毒を隠した作品とも言えるのではないでしょうか。
<Favorite Songs>
・「ABSOLUTE EGO DANCE」
細野晴臣の沖縄路線が如実に表れたエキゾチックテクノの名曲。リズムを刻む音色が実に攻撃的でありダンサブルな中に強力な圧力すら感じさせますが、高橋幸宏の前ノリリズムのキレも手伝って楽曲が持つ激しさでは本作中トップクラスです。
・「BEHIND THE MASK」
超有名なイントロのフレーズとサビのボコーダーヴォイスのインパクトが強烈な坂本龍一渾身の名曲。アカデミックな坂本がロック調に挑戦したという楽曲ですが、テクノの魔法からイメージは確実にニューウェーブの先取りといった印象になっています。
・「SOLID STATE SURVIVOR」
これも彼らの代表曲の1つで、ギターも活躍するロック調の楽曲。モジュレーションがかった幸宏ヴォーカルがフィーチャーされたこの楽曲は、その後の彼のソロを思わせるほどのポップロックぶりを見せてくれます。後半のエフェクトボイス?などは先鋭的にニューウェーブ化するその後の路線を予期するギミックであると思えます。
<評点>
・サウンド ★★★ (1stのある種の温かさは薄まりクールな音色を多用する)
・メロディ ★★★ (自動筆記的に書かれたようなメロほど名曲になり得る好例)
・リズム ★★ (当然幸宏ドラムのキレは素晴らしいがまだ音色が軽い)
・曲構成 ★ (このコンパクトさが爽快感と物足りなさを同時に感じる)
・個性 ★★★ (それでもYMOといえばこのサウンドという印象は拭えない)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「E=MC²」 Giorgio Moroder
「E=MC²」 (1979 Oasis)
Giorgio Moroder:synthesizers・vocals

1.「BABY BLUE」 Keith Forsey/Giorgio Moroder
2.「WHAT A NIGHT」 Keith Forsey/Giorgio Moroder/Harold Faltermeyer
3.「IF YOU WEREN'T AFRAID」 Chris Bennett/Giorgio Moroder
4.「I WANNA ROCK YOU」 Keith Forsey/Giorgio Moroder/Harold Faltermeyer
5.「IN MY WILDEST DREAMS」 Chris Bennett/Giorgio Moroder
6.「E=MC²」 Pete Bellotte/Giorgio Moroder/Harold Faltermeyer
<support musician>
Chris Bennett:vocals
produced by Giorgio Moroder・Harold Faltermeyer
engineered by J. Bloomenthal・B. Rothaar
● ミュンヘンディスコLIVE録音!シンセ同期シーケンスとボコーダーが大活躍したエレクトロ名盤
テクノポップの神様といえばKraftwerkというのが世間一般の見解であることは言うまでもありませんが、シンセサイザーをPOPS、ダンスミュージックに大胆に取り入れ、テクノのみならず80's POPSの生みの親と言っても良い革新的なプロデューサーとして一斉を風靡したのが、Giorgio Moroderです。縦横無尽に駆け巡るシンセベースのシーケンスサウンドで、Donna SummerやSparks、Blondieらのディスコミュージックに新風を巻き起こし、「ミュンヘンディスコ」という1つのジャンルを確立し、しっかり歴史の名を残しています。また、80年代からは映画音楽の分野に進出し、「Flashdance」「Never Ending Story」「Top Gun」といった80年代を代表する映画のサウンドトラックも手掛け、商業的にも大成功をおさめています。
本作は79年にリリースされた純粋なエレクトロポップな作品であり、彼の代表作です。76年の「From Here To Eternity」で既にシンセサイザーのPOPS的利用の先鞭をつけていた彼ですが、本作では全編シンセサイザーを駆使した同期演奏を多重録音ではなくLIVE演奏一発録音の形式で収録したという冒険作です。ゲストヴォーカルを迎え、明らかにポップで売れ線を狙ったと思わせるようなダンスミュージックに仕上がった本作は、シンセに対するこだわりを感じさせるコクのあるクッキリした音色で楽曲にメリハリを与えているとともに、持ち前のポップセンスで非常に親しみやすく仕上げているのが特徴です。イタリア人である彼だけあって後年1つのジャンルとして築かれるイタロディスコを思わせる哀愁メロディを彷佛とさせるあたりも、興味深いところです。ストイックなまでに電子楽器の可能性を機械的に追求していったKraftwerkと比べて、余りにもポピュラー性を意識したために好き嫌いの分かれるモロダーサウンド満載の本作ですが、80's POPSを語る上でやはり避けて通ることのできない名盤と言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「WHAT A NIGHT」
高速シーケンスのイントロがいかにもダンサブルなポップチューン。シンセベースの音色が相変わらずコクがあって心地良いです。そのスピード感とメロディの良さでモロダーサウンドの魅力がコンパクトに詰まった逸品です。
・「E=MC²」
イタロディスコを思わせる哀愁のメロディが特徴のタイトルナンバー。淡々と続くシーケンスサウンドにボコーダーでデフォルメされたヴォーカルは現在のAuto Tune全盛のヴォーカル処理に通じるところがあります。ラストのボコーダーによるクレジットの説明みたいな台詞がTECHNOLOGY好きにはたまりません。
<評点>
・サウンド ★★★★ (貫禄のシーケンス&音色でアナログならではのコクがある)
・メロディ ★★★ (シンセサウンドをここまでPOPSとして消化した功績は大)
・リズム ★ (70年代的な部分もありジャストだが音色的驚きはない)
・曲構成 ★ (同期一発録りの限界があるとはいえあまりに曲数が少ない)
・個性 ★★ (サウンドは彼ならではだがヴォーカルが目立ち過ぎて・・)
総合評点: 7点
Giorgio Moroder:synthesizers・vocals

1.「BABY BLUE」 Keith Forsey/Giorgio Moroder
2.「WHAT A NIGHT」 Keith Forsey/Giorgio Moroder/Harold Faltermeyer
3.「IF YOU WEREN'T AFRAID」 Chris Bennett/Giorgio Moroder
4.「I WANNA ROCK YOU」 Keith Forsey/Giorgio Moroder/Harold Faltermeyer
5.「IN MY WILDEST DREAMS」 Chris Bennett/Giorgio Moroder
6.「E=MC²」 Pete Bellotte/Giorgio Moroder/Harold Faltermeyer
<support musician>
Chris Bennett:vocals
produced by Giorgio Moroder・Harold Faltermeyer
engineered by J. Bloomenthal・B. Rothaar
● ミュンヘンディスコLIVE録音!シンセ同期シーケンスとボコーダーが大活躍したエレクトロ名盤
テクノポップの神様といえばKraftwerkというのが世間一般の見解であることは言うまでもありませんが、シンセサイザーをPOPS、ダンスミュージックに大胆に取り入れ、テクノのみならず80's POPSの生みの親と言っても良い革新的なプロデューサーとして一斉を風靡したのが、Giorgio Moroderです。縦横無尽に駆け巡るシンセベースのシーケンスサウンドで、Donna SummerやSparks、Blondieらのディスコミュージックに新風を巻き起こし、「ミュンヘンディスコ」という1つのジャンルを確立し、しっかり歴史の名を残しています。また、80年代からは映画音楽の分野に進出し、「Flashdance」「Never Ending Story」「Top Gun」といった80年代を代表する映画のサウンドトラックも手掛け、商業的にも大成功をおさめています。
本作は79年にリリースされた純粋なエレクトロポップな作品であり、彼の代表作です。76年の「From Here To Eternity」で既にシンセサイザーのPOPS的利用の先鞭をつけていた彼ですが、本作では全編シンセサイザーを駆使した同期演奏を多重録音ではなくLIVE演奏一発録音の形式で収録したという冒険作です。ゲストヴォーカルを迎え、明らかにポップで売れ線を狙ったと思わせるようなダンスミュージックに仕上がった本作は、シンセに対するこだわりを感じさせるコクのあるクッキリした音色で楽曲にメリハリを与えているとともに、持ち前のポップセンスで非常に親しみやすく仕上げているのが特徴です。イタリア人である彼だけあって後年1つのジャンルとして築かれるイタロディスコを思わせる哀愁メロディを彷佛とさせるあたりも、興味深いところです。ストイックなまでに電子楽器の可能性を機械的に追求していったKraftwerkと比べて、余りにもポピュラー性を意識したために好き嫌いの分かれるモロダーサウンド満載の本作ですが、80's POPSを語る上でやはり避けて通ることのできない名盤と言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「WHAT A NIGHT」
高速シーケンスのイントロがいかにもダンサブルなポップチューン。シンセベースの音色が相変わらずコクがあって心地良いです。そのスピード感とメロディの良さでモロダーサウンドの魅力がコンパクトに詰まった逸品です。
・「E=MC²」
イタロディスコを思わせる哀愁のメロディが特徴のタイトルナンバー。淡々と続くシーケンスサウンドにボコーダーでデフォルメされたヴォーカルは現在のAuto Tune全盛のヴォーカル処理に通じるところがあります。ラストのボコーダーによるクレジットの説明みたいな台詞がTECHNOLOGY好きにはたまりません。
<評点>
・サウンド ★★★★ (貫禄のシーケンス&音色でアナログならではのコクがある)
・メロディ ★★★ (シンセサウンドをここまでPOPSとして消化した功績は大)
・リズム ★ (70年代的な部分もありジャストだが音色的驚きはない)
・曲構成 ★ (同期一発録りの限界があるとはいえあまりに曲数が少ない)
・個性 ★★ (サウンドは彼ならではだがヴォーカルが目立ち過ぎて・・)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「No 1 IN HEAVEN」 SPARKS
「No 1 IN HEAVEN」 (1979 Virgin)
SPARKS

<members>
Russell Mael:vocals
Ron Mael:synthesizers・keyboards・vocals
1.「TRYOUTS FOR THE HUMAN RACE」 Russell Mael/Ron Mael/Giorgio Moroder
2.「ACADEMY AWARD PERFORMANCE」 Ron Mael
3.「LA DOLCE VITA」 Russell Mael/Ron Mael/Giorgio Moroder
4.「BEAT THE CLOCK」 Russell Mael/Ron Mael
5.「MY OTHER VOICE」 Russell Mael/Giorgio Moroder/Ron Mael
6.「THE NUMBER ONE SONG IN HEAVEN」 Russell Mael/Ron Mael/Giorgio Moroder
<support musician>
Keith Forsey:drums
Dan Wyman:synthesizers・computer programming
Giorgio Moroder:synthesizers
Chris Bennett:background vocals
Dennis Young:background vocals
Jack Moran:background vocals
produced by Giorgio Moroder
mixing engineered by Giorgio Moroder
recording engineered by Giorgio Moroder・Juergen Koppers
●縦横無尽に駆けめぐるシンセベースのシーケンス!ミュンヘンディスコを大胆に導入したテクノ名盤
電子音をディスコミュージックとしてポップに普及させたパイオニアとして「From Here To Eternity」「E=MC2」といったアルバムで時代を先行していたサウンドクリエイターGiorgio Moroderがプロデュースしたディスコ系テクノポップの典型的作品が本作です。本作がリリースされた時、SPARKSは既に7枚のアルバムリリースのキャリアを持ち、全く異なる音楽性で一定の評価を得ていましたが、あえてGiorgio Moroderを迎え一気に未来派志向へサウンドを大転換することによって勝負をかけてきたという印象があります。そしてそれは一般的な人気とはなりませんでしたが、確実にテクノポップファン及びそのフォロワー達の心の中にしっかりと爪痕を残すほどの後世に語り継がれる作品となったのです。
本作の特徴といえば、執拗なシンセベースのシーケンスではないでしょうか。全編で聴くことの出来るスピーディーな細かい譜割のシーケンスはまさにMoroder仕事と言えるでしょう。また要所で活躍すかわいいシンセドラムが時代を感じさせますが、全体的にスピード感あふれる焦りにも似た生のビートに急かされるかのような裏声的高音ヴォーカルが個性的です。そのほかもう1つ忘れてはならない特徴として、荘厳なシンセコーラスの多用が挙げられます。全体を包むスペイシーな空気感はこの音色によるところが大きいでしょう。これが時代がもう少し経つとオケヒットになるのでしょうが、それほどこのシンセコーラスの音色は時代の音となりえるはずのインパクトを与えました。結局それほど流行りませんでしたが・・・。そういう話を抜きにしても80年代を目の前にしたシンセミュージックとしての先進性は、現代に至るまで好事家に愛されているのです。この後、SPARKSはしばらくテクノ化への道を歩みますが、この作品以上のクオリティは出せずじまいで、それも本作の時代との刹那的融合性を際立たせていると言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「THE NUMBER ONE SONG IN HEAVEN」
SFストーリーが始まるかのような壮大なイントロに乗って、シンセシーケンスが導入されるその瞬間がまさにテクノ時代の夜明けを感じさせる名曲。途中からスピードアップする場面での高揚感たるや筆舌に尽くしがたい感覚があります。数々のフォロワーのお手本になった素晴らしい楽曲構成、やはりこれに尽きます。
・「MY OTHER VOICE」
ディスコビートが大半を占める本作において、唯一「聴かせる」哀愁のメロディを奏でる楽曲。多用されたシンセコーラスによるコード感覚が素晴らしいです。ボコーダーを交えた長いイントロからの懐かしさを感じさせる歌メロがメランコリックで、これだけでも名曲の資格十分であると個人的には思います。
<評点>
・サウンド ★★★★ (時代性を考えるとこのシーケンスのスピード感は歴史的)
・メロディ ★ (ノリとサウンド一発の曲が多いためか光るものは少ない)
・リズム ★★★ (ドラムは生であるがシンセドラムも交えて熱気のある演奏)
・曲構成 ★★ (もう少し曲が多いとよいが、音の密度を考えるとOKかも)
・個性 ★ (SPARKSの個性というよりGiorgio Moroderそのものなので)
総合評点: 7点
SPARKS

<members>
Russell Mael:vocals
Ron Mael:synthesizers・keyboards・vocals
1.「TRYOUTS FOR THE HUMAN RACE」 Russell Mael/Ron Mael/Giorgio Moroder
2.「ACADEMY AWARD PERFORMANCE」 Ron Mael
3.「LA DOLCE VITA」 Russell Mael/Ron Mael/Giorgio Moroder
4.「BEAT THE CLOCK」 Russell Mael/Ron Mael
5.「MY OTHER VOICE」 Russell Mael/Giorgio Moroder/Ron Mael
6.「THE NUMBER ONE SONG IN HEAVEN」 Russell Mael/Ron Mael/Giorgio Moroder
<support musician>
Keith Forsey:drums
Dan Wyman:synthesizers・computer programming
Giorgio Moroder:synthesizers
Chris Bennett:background vocals
Dennis Young:background vocals
Jack Moran:background vocals
produced by Giorgio Moroder
mixing engineered by Giorgio Moroder
recording engineered by Giorgio Moroder・Juergen Koppers
●縦横無尽に駆けめぐるシンセベースのシーケンス!ミュンヘンディスコを大胆に導入したテクノ名盤
電子音をディスコミュージックとしてポップに普及させたパイオニアとして「From Here To Eternity」「E=MC2」といったアルバムで時代を先行していたサウンドクリエイターGiorgio Moroderがプロデュースしたディスコ系テクノポップの典型的作品が本作です。本作がリリースされた時、SPARKSは既に7枚のアルバムリリースのキャリアを持ち、全く異なる音楽性で一定の評価を得ていましたが、あえてGiorgio Moroderを迎え一気に未来派志向へサウンドを大転換することによって勝負をかけてきたという印象があります。そしてそれは一般的な人気とはなりませんでしたが、確実にテクノポップファン及びそのフォロワー達の心の中にしっかりと爪痕を残すほどの後世に語り継がれる作品となったのです。
本作の特徴といえば、執拗なシンセベースのシーケンスではないでしょうか。全編で聴くことの出来るスピーディーな細かい譜割のシーケンスはまさにMoroder仕事と言えるでしょう。また要所で活躍すかわいいシンセドラムが時代を感じさせますが、全体的にスピード感あふれる焦りにも似た生のビートに急かされるかのような裏声的高音ヴォーカルが個性的です。そのほかもう1つ忘れてはならない特徴として、荘厳なシンセコーラスの多用が挙げられます。全体を包むスペイシーな空気感はこの音色によるところが大きいでしょう。これが時代がもう少し経つとオケヒットになるのでしょうが、それほどこのシンセコーラスの音色は時代の音となりえるはずのインパクトを与えました。結局それほど流行りませんでしたが・・・。そういう話を抜きにしても80年代を目の前にしたシンセミュージックとしての先進性は、現代に至るまで好事家に愛されているのです。この後、SPARKSはしばらくテクノ化への道を歩みますが、この作品以上のクオリティは出せずじまいで、それも本作の時代との刹那的融合性を際立たせていると言えるでしょう。
<Favorite Songs>
・「THE NUMBER ONE SONG IN HEAVEN」
SFストーリーが始まるかのような壮大なイントロに乗って、シンセシーケンスが導入されるその瞬間がまさにテクノ時代の夜明けを感じさせる名曲。途中からスピードアップする場面での高揚感たるや筆舌に尽くしがたい感覚があります。数々のフォロワーのお手本になった素晴らしい楽曲構成、やはりこれに尽きます。
・「MY OTHER VOICE」
ディスコビートが大半を占める本作において、唯一「聴かせる」哀愁のメロディを奏でる楽曲。多用されたシンセコーラスによるコード感覚が素晴らしいです。ボコーダーを交えた長いイントロからの懐かしさを感じさせる歌メロがメランコリックで、これだけでも名曲の資格十分であると個人的には思います。
<評点>
・サウンド ★★★★ (時代性を考えるとこのシーケンスのスピード感は歴史的)
・メロディ ★ (ノリとサウンド一発の曲が多いためか光るものは少ない)
・リズム ★★★ (ドラムは生であるがシンセドラムも交えて熱気のある演奏)
・曲構成 ★★ (もう少し曲が多いとよいが、音の密度を考えるとOKかも)
・個性 ★ (SPARKSの個性というよりGiorgio Moroderそのものなので)
総合評点: 7点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
「SOUND-ON-SOUND」 Bill Nelson's RED NOISE
「SOUND-ON-SOUND」 (1979 Arnakata)
Bill Nelson's RED NOISE

<members>
Bill Nelson:vocals・guitars・bass・drums・electric piano・harmonica
1.「Don't Touch Me (I'm Electric)」 Bill Nelson
2.「For Young Moderns」 Bill Nelson
3.「Stop/Go/Stop」 Bill Nelson
4.「Furniture Music」 Bill Nelson
5.「Radar In My Heart」 Bill Nelson
6.「Stay Young」 Bill Nelson
7.「Out of Touch」 Bill Nelson
8.「A Better Home In The Phantom Zone」 Bill Nelson
9.「Substitute Flesh」 Bill Nelson
10.「The Atom Age」 Bill Nelson
11.「Art/Empire/Industry」 Bill Nelson
12.「Revolt Into Style」 Bill Nelson
<support musician>
Gareth Eilledge:bass
Leon Authurs:bass
Rick Ford:bass
Dave Mattacks:drums・synthesizer
Richard Brown:drums・keyboards
Steve Peer:drums
Andrew Clark:keyboards・piano・organ・synthesizer・vocals
Ian Nelson:piano・synthesizer・sax
produced by John Leckie・Bill Nelson
engineered by John Leckie・Hayden Bendall
●エフェクティブ且つ実験的な電子音ロック!未来派ギタリスト伝説のソロユニット唯一の作品
日本ではあのYMOや高橋幸宏のサポートギタリストとして有名なBill Nelsonですが、本国イギリスでは70年代に活動していた先鋭的な未来派グラムロックバンドBe-Bop Deluxeのフロントマンとして名を知られており、特にBe-Bop Deluxe末期のアルバム「Drastic Plastic」では既に積極的にシンセ等電子楽器を採り入れ、ニューウェーブに変化していました。そしてBe-Bop Deluxe解散後に、ニューウェーブの初期衝動を思う存分発散した形となったのが、このソロユニットRED NOISEとして唯一リリースされた本作です。まさに70年代末期のニューウェーブとパンクが共存していた時代だからこそ成すことができる素っ頓狂な電子音ロックサウンドは、当時においても異彩を放っていました。
前述の「Drastic Plastic」のサウンドを発展的に進化させ、剥き出しのシンセサイザーをふんだんに使用したサウンドながら、未来は感じさせるが宇宙は全く感じさせない部分はこのユニット(というよりBill Nelson)の特徴と言ってもよいでしょう。彼のサウンドの根幹にあるのはやはりロック。楽曲の構成はまさしくロックそのもの(プラス時折変拍子)で、基本は普遍的なギターフレーズに感じられます。しかしその味付けが非常に濃く、ビリビリした電子音としつこ過ぎるほどの金属的なエフェクトで、マシナリーな世界観を演出しているのです。こうしたある意味いびつなサウンドはデジロックの元祖とも言えるものであり、後世のアーティストに少なからず影響を与えた名盤として、一般的ではありませんが語り継がれています。
その後Bill Nelsonは高橋幸宏の交流を経て洗練されたテクノニューウェーブサウンドに開眼、磁力によって弦を振動させサスティン効果を得るE-bowギターを携えて、名盤の数々を生み出していくことになります。
<Favorite Songs>
・「Don't Touch Me (I'm Electric)」
唐突なイントロが時代を感じさせます。パンク/ニューウェーブだった頃ですね。ヴォーカルにエフェクトかけまくって随所でハウり気味なところもかっこいいです。そしてこの曲の短さ、まさに勢い一発なインパクト大の名曲だと思います。
・「Stop/Go/Stop」
金属的なエコーがとにかく印象的なノリのいい楽曲。そのエコーがギターにもリズムにもヴォーカルにもかかっているので、メタリックの一言です。特にヴォーカルのエフェクトのやりたい放題加減には頭が下がります。
・「Art/Empire/Industry」
早口のヴォーカルがまた勢いを感じさせるポップな楽曲。奇妙なつんのめり的イントロと本編のポップロックなイメージが混在するキテレツさが非常に気に入っています。無理矢理まとめました、という印象が強いのも楽しめます。ラストのボコーダーも楽しいです。
<評点>
・サウンド ★★★ (いろいろな意味での「剥き出し」のサウンドが新鮮)
・メロディ ★ (後の流麗なメロディラインはまだ影を潜めている)
・リズム ★ (時折見せる変拍子はおもしろいが基本は普遍的ロック)
・曲構成 ★ (とにかく勢いだけは感じさせ、曲を詰め込んだという印象)
・個性 ★★ (この弾けた感覚は唯一無二、ただ彼ならもう少しデキた)
総合評点: 6点
Bill Nelson's RED NOISE

<members>
Bill Nelson:vocals・guitars・bass・drums・electric piano・harmonica
1.「Don't Touch Me (I'm Electric)」 Bill Nelson
2.「For Young Moderns」 Bill Nelson
3.「Stop/Go/Stop」 Bill Nelson
4.「Furniture Music」 Bill Nelson
5.「Radar In My Heart」 Bill Nelson
6.「Stay Young」 Bill Nelson
7.「Out of Touch」 Bill Nelson
8.「A Better Home In The Phantom Zone」 Bill Nelson
9.「Substitute Flesh」 Bill Nelson
10.「The Atom Age」 Bill Nelson
11.「Art/Empire/Industry」 Bill Nelson
12.「Revolt Into Style」 Bill Nelson
<support musician>
Gareth Eilledge:bass
Leon Authurs:bass
Rick Ford:bass
Dave Mattacks:drums・synthesizer
Richard Brown:drums・keyboards
Steve Peer:drums
Andrew Clark:keyboards・piano・organ・synthesizer・vocals
Ian Nelson:piano・synthesizer・sax
produced by John Leckie・Bill Nelson
engineered by John Leckie・Hayden Bendall
●エフェクティブ且つ実験的な電子音ロック!未来派ギタリスト伝説のソロユニット唯一の作品
日本ではあのYMOや高橋幸宏のサポートギタリストとして有名なBill Nelsonですが、本国イギリスでは70年代に活動していた先鋭的な未来派グラムロックバンドBe-Bop Deluxeのフロントマンとして名を知られており、特にBe-Bop Deluxe末期のアルバム「Drastic Plastic」では既に積極的にシンセ等電子楽器を採り入れ、ニューウェーブに変化していました。そしてBe-Bop Deluxe解散後に、ニューウェーブの初期衝動を思う存分発散した形となったのが、このソロユニットRED NOISEとして唯一リリースされた本作です。まさに70年代末期のニューウェーブとパンクが共存していた時代だからこそ成すことができる素っ頓狂な電子音ロックサウンドは、当時においても異彩を放っていました。
前述の「Drastic Plastic」のサウンドを発展的に進化させ、剥き出しのシンセサイザーをふんだんに使用したサウンドながら、未来は感じさせるが宇宙は全く感じさせない部分はこのユニット(というよりBill Nelson)の特徴と言ってもよいでしょう。彼のサウンドの根幹にあるのはやはりロック。楽曲の構成はまさしくロックそのもの(プラス時折変拍子)で、基本は普遍的なギターフレーズに感じられます。しかしその味付けが非常に濃く、ビリビリした電子音としつこ過ぎるほどの金属的なエフェクトで、マシナリーな世界観を演出しているのです。こうしたある意味いびつなサウンドはデジロックの元祖とも言えるものであり、後世のアーティストに少なからず影響を与えた名盤として、一般的ではありませんが語り継がれています。
その後Bill Nelsonは高橋幸宏の交流を経て洗練されたテクノニューウェーブサウンドに開眼、磁力によって弦を振動させサスティン効果を得るE-bowギターを携えて、名盤の数々を生み出していくことになります。
<Favorite Songs>
・「Don't Touch Me (I'm Electric)」
唐突なイントロが時代を感じさせます。パンク/ニューウェーブだった頃ですね。ヴォーカルにエフェクトかけまくって随所でハウり気味なところもかっこいいです。そしてこの曲の短さ、まさに勢い一発なインパクト大の名曲だと思います。
・「Stop/Go/Stop」
金属的なエコーがとにかく印象的なノリのいい楽曲。そのエコーがギターにもリズムにもヴォーカルにもかかっているので、メタリックの一言です。特にヴォーカルのエフェクトのやりたい放題加減には頭が下がります。
・「Art/Empire/Industry」
早口のヴォーカルがまた勢いを感じさせるポップな楽曲。奇妙なつんのめり的イントロと本編のポップロックなイメージが混在するキテレツさが非常に気に入っています。無理矢理まとめました、という印象が強いのも楽しめます。ラストのボコーダーも楽しいです。
<評点>
・サウンド ★★★ (いろいろな意味での「剥き出し」のサウンドが新鮮)
・メロディ ★ (後の流麗なメロディラインはまだ影を潜めている)
・リズム ★ (時折見せる変拍子はおもしろいが基本は普遍的ロック)
・曲構成 ★ (とにかく勢いだけは感じさせ、曲を詰め込んだという印象)
・個性 ★★ (この弾けた感覚は唯一無二、ただ彼ならもう少しデキた)
総合評点: 6点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
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