「A.V KIDS」 RADICAL TV
「A.V KIDS」 (1986 ポニーキャニオン)
RADICAL TV

<members>
原田大三郎:vocals・computer graphic
庄野晴彦:computer graphic
1.「SHOT」 曲:RADICAL TV 編:飯尾芳史
2.「FRONTIER」 詞:野々村文宏・生田朗 曲:RADICAL TV 編:飯尾芳史
3.「愛のソビエト」 詞:いとうせいこう 曲:RADICAL TV 編:飯尾芳史
4.「X.Y.Z」 詞:いとうせいこう 曲:RADICAL TV 編:飯尾芳史
5.「TVアイドル」 詞:いとうせいこう 曲:高橋幸宏 編:飯尾芳史
6.「DANCING QUEEN」
詞・曲:Benny Andersson・Stikkan Andersson・Bjoem Ulvaeus 編:飯尾芳史
<support musician>
矢口博康:sax
飯尾芳史:computer operation
菅原弘明:computer operation・keyboards・FairlightCMI
produced by RADICAL TV
mixing engineered by 飯尾芳史
recording engineered by 飯尾芳史・中里茂
● 硬質でストイックなデジタルビート!CG作家コンビの余りに直球なノンミュージシャンズテクノミュージック作品
原田大三郎と庄野晴彦という後年日本を代表するCGクリエイターとして活躍する2人がまだ若手の成長株であった頃に結成していたビデオパフォーマンスユニットがこのRADICAL TVです。筑波万博において坂本龍一や浅田彰とコラボレーションした「TV WAR」でのパフォーマンスで注目を浴びた彼らは、その卓越した映像技術を単なるビデオパフォーマンスだけでなく音楽との融合を図るべく、典型的なテクノポップサウンドによる楽曲をみずから発表することになります。そんな彼らの楽曲集が本作となりますが、リリース元が高橋幸宏やMOON RIDERSが在籍したポニーキャニオン系列のTENTレーベルということで、アレンジャーとして後期YMOを手掛けたテクノ御用達の名エンジニア飯尾芳史が担当し、その先端的なCG映像を音楽面で具現化するためストレートなデジタルビートを基調としたサウンドを確認することができます。
テクノという演奏テクニックよりは音自体のセンスが求められるジャンルだけあって、音楽家でない彼らであってもその芸術家としてのセンスは音楽としての彼らの作品にも十分に生かされています。80年代後半にさしかかる時代ということもあり、どこを切り取っても硬質なデジタルシンセサウンドとパワフルに強化されたスネアドラムの音色が特徴的で、そこには人間味は感じられずサイバーでロボティックなイメージを喚起させます。しかし好感が持てるのはヴォーカルを原田自身の「声」が担当していることで、決して上手くはなく朴訥とした歌唱であっても、人工的なサウンドにあって彼の真摯な歌によって微妙なポップバランスを保っています。彼らはレコーディングのみのユニットではなく、映像と音楽をシンクロさせたライブパフォーマンスも行いましたが、そこでもしっかりライブ用のアレンジが施され、サポートに千年COMETSに加入する前の長井ちえ(ギター)、後年スピッツのサポートとして活躍するクジヒロコ(キーボード)、元タンゴヨーロッパでSandii & The Sunsetsにも参加した石田美紀(ドラム)という次代を担う若手女性(!)ミュージシャンが参加し、レコーディング音源とはまた異なる味わいの厚みのあるサウンドを聴かせてくれました。このことだけでも彼らが当時は音楽に真剣に取り組み、パフォーマンスも重視して活動していたことが窺えます。結局映像と音楽のデジタル実験は本作で一旦収束し、彼らはソロ活動でそれぞれの名声を高めていくことになります。
<Favorite Songs>
・「愛のソビエト」
尖ったシンセサウンドではあるが音に空気感があるシンプルな構成の楽曲。本作中にあっては非常に歌心のあるタイプであり、少し哀愁の漂うイントロがその乾いた音色も相まって印象深くしています。
・「X.Y.Z」
スピーク&スペルライクなマシンボイスでSF感覚満載な典型的なデジタルテクノポップ。ミドルテンポの直線的なシンセベースと淡々としたリズム、電子音プラス窮屈なラップなどテクノ好きへのアピールとしては合格点を与えられます。
<評点>
・サウンド ★★ (クッキリしたデジタルサウンドとしか表現できない)
・メロディ ★ (歌心は感じられるものの目立つのはデジタルな音色)
・リズム ★★ (リズムパターンは平凡でも強烈な音色でカバーする)
・曲構成 ★ (音楽が本業でないとはいえ楽曲が少な過ぎる)
・個性 ★ (本業でない芸術家が手掛けるのもテクノの特徴の1つ)
総合評点: 6点
RADICAL TV

<members>
原田大三郎:vocals・computer graphic
庄野晴彦:computer graphic
1.「SHOT」 曲:RADICAL TV 編:飯尾芳史
2.「FRONTIER」 詞:野々村文宏・生田朗 曲:RADICAL TV 編:飯尾芳史
3.「愛のソビエト」 詞:いとうせいこう 曲:RADICAL TV 編:飯尾芳史
4.「X.Y.Z」 詞:いとうせいこう 曲:RADICAL TV 編:飯尾芳史
5.「TVアイドル」 詞:いとうせいこう 曲:高橋幸宏 編:飯尾芳史
6.「DANCING QUEEN」
詞・曲:Benny Andersson・Stikkan Andersson・Bjoem Ulvaeus 編:飯尾芳史
<support musician>
矢口博康:sax
飯尾芳史:computer operation
菅原弘明:computer operation・keyboards・FairlightCMI
produced by RADICAL TV
mixing engineered by 飯尾芳史
recording engineered by 飯尾芳史・中里茂
● 硬質でストイックなデジタルビート!CG作家コンビの余りに直球なノンミュージシャンズテクノミュージック作品
原田大三郎と庄野晴彦という後年日本を代表するCGクリエイターとして活躍する2人がまだ若手の成長株であった頃に結成していたビデオパフォーマンスユニットがこのRADICAL TVです。筑波万博において坂本龍一や浅田彰とコラボレーションした「TV WAR」でのパフォーマンスで注目を浴びた彼らは、その卓越した映像技術を単なるビデオパフォーマンスだけでなく音楽との融合を図るべく、典型的なテクノポップサウンドによる楽曲をみずから発表することになります。そんな彼らの楽曲集が本作となりますが、リリース元が高橋幸宏やMOON RIDERSが在籍したポニーキャニオン系列のTENTレーベルということで、アレンジャーとして後期YMOを手掛けたテクノ御用達の名エンジニア飯尾芳史が担当し、その先端的なCG映像を音楽面で具現化するためストレートなデジタルビートを基調としたサウンドを確認することができます。
テクノという演奏テクニックよりは音自体のセンスが求められるジャンルだけあって、音楽家でない彼らであってもその芸術家としてのセンスは音楽としての彼らの作品にも十分に生かされています。80年代後半にさしかかる時代ということもあり、どこを切り取っても硬質なデジタルシンセサウンドとパワフルに強化されたスネアドラムの音色が特徴的で、そこには人間味は感じられずサイバーでロボティックなイメージを喚起させます。しかし好感が持てるのはヴォーカルを原田自身の「声」が担当していることで、決して上手くはなく朴訥とした歌唱であっても、人工的なサウンドにあって彼の真摯な歌によって微妙なポップバランスを保っています。彼らはレコーディングのみのユニットではなく、映像と音楽をシンクロさせたライブパフォーマンスも行いましたが、そこでもしっかりライブ用のアレンジが施され、サポートに千年COMETSに加入する前の長井ちえ(ギター)、後年スピッツのサポートとして活躍するクジヒロコ(キーボード)、元タンゴヨーロッパでSandii & The Sunsetsにも参加した石田美紀(ドラム)という次代を担う若手女性(!)ミュージシャンが参加し、レコーディング音源とはまた異なる味わいの厚みのあるサウンドを聴かせてくれました。このことだけでも彼らが当時は音楽に真剣に取り組み、パフォーマンスも重視して活動していたことが窺えます。結局映像と音楽のデジタル実験は本作で一旦収束し、彼らはソロ活動でそれぞれの名声を高めていくことになります。
<Favorite Songs>
・「愛のソビエト」
尖ったシンセサウンドではあるが音に空気感があるシンプルな構成の楽曲。本作中にあっては非常に歌心のあるタイプであり、少し哀愁の漂うイントロがその乾いた音色も相まって印象深くしています。
・「X.Y.Z」
スピーク&スペルライクなマシンボイスでSF感覚満載な典型的なデジタルテクノポップ。ミドルテンポの直線的なシンセベースと淡々としたリズム、電子音プラス窮屈なラップなどテクノ好きへのアピールとしては合格点を与えられます。
<評点>
・サウンド ★★ (クッキリしたデジタルサウンドとしか表現できない)
・メロディ ★ (歌心は感じられるものの目立つのはデジタルな音色)
・リズム ★★ (リズムパターンは平凡でも強烈な音色でカバーする)
・曲構成 ★ (音楽が本業でないとはいえ楽曲が少な過ぎる)
・個性 ★ (本業でない芸術家が手掛けるのもテクノの特徴の1つ)
総合評点: 6点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
GABALL
Re: GABALL
HIROKAZU-KOICHI-HIRATA さん、こんばんは。
GABALLありましたね。DJ DRAGONはTOKYO NO.1 SOUL SETのメンバーだったり、タンポポの「BE HAPPY 恋のやじろべえ」のリズムトラックアレンジとか、多彩な人ですねw
なんにせよ原田大三郎氏は、CGクリエイターの大御所になってしまいましたね。
飯尾芳史氏というエンジニアは、やはり若い時分にYMOに鍛えられたということもあって音へのこだわりにセンスが感じられるというか、信頼できるエンジニアです。
菅原弘明氏はもともと高橋幸宏氏の事務所のプログラマーから活動を開始した方ですね。
SAKANA「Get Into Water」のプロデュースといい、彼のデジタルサウンドは好きでしたが、前妻である鈴木祥子のプロデュースあたりからアコースティックになっていった感があります(個人的には鈴木祥子との公私コラボは失敗だったと思っています)。
GABALLありましたね。DJ DRAGONはTOKYO NO.1 SOUL SETのメンバーだったり、タンポポの「BE HAPPY 恋のやじろべえ」のリズムトラックアレンジとか、多彩な人ですねw
なんにせよ原田大三郎氏は、CGクリエイターの大御所になってしまいましたね。
飯尾芳史氏というエンジニアは、やはり若い時分にYMOに鍛えられたということもあって音へのこだわりにセンスが感じられるというか、信頼できるエンジニアです。
菅原弘明氏はもともと高橋幸宏氏の事務所のプログラマーから活動を開始した方ですね。
SAKANA「Get Into Water」のプロデュースといい、彼のデジタルサウンドは好きでしたが、前妻である鈴木祥子のプロデュースあたりからアコースティックになっていった感があります(個人的には鈴木祥子との公私コラボは失敗だったと思っています)。
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原田大三郎さんは、10年位前に小室哲哉さんと組んだましたよね。「GABALL」というユニットで、原田さん(VJ)と小室さん(Synth)とDJ DRAGON(DJ)という人と組んでました。
ミュージシャンを見ると、飯尾さんの名前が載ってましたね。今はエンジニアですが。あとは、菅原弘明さんの名前も。菅原さんは、いきものがかりのアレンジを担当してました。こういうデジタルではなく、アコースティック寄りでした。