「音楽図鑑」 坂本龍一
「音楽図鑑」 (1984 ミディ)
坂本龍一:vocal・keyboards・bass・drums・digital drums・percussion・computer programming
1.「TIBETAN DANCE」 曲・編:坂本龍一
2.「ETUDE」 曲・編:坂本龍一
3.「PARADISE LOST」 詞:坂本龍一・Peter Barakan 曲・編:坂本龍一
4.「SELF PORTRAIT」 曲・編:坂本龍一
5.「旅の極北」 曲・編:坂本龍一
6.「M.A.Y. IN THE BACKYARD」 曲・編:坂本龍一
7.「羽の林で」 詞・曲・編:坂本龍一
8.「森の人」 詞:矢野顕子 曲・編:坂本龍一
9.「A TRIBUTE TO N.J.P.」 曲・編:坂本龍一
10.「REPLICA」 曲・編:坂本龍一
11.「マ・メール・ロワ」 曲・編:坂本龍一
12.「きみについて・・・・・・」 詞:糸井重里 曲・編:坂本龍一
<support musician>
井上憲一:electric guitar
大村憲司:electric guitar
山下達郎:electric guitar・voice sample
吉川忠英:acoustic guitar
Simon Jeffes:cuatro
高水健司:bass
細野晴臣:bass
高橋幸宏:drums
山木秀夫:drums
金丸コウジ:backwards piano
高橋鮎生:koto sample
David Van Tleghem:percussion
浜口茂外也:percussion
ヤン富田:steel drums
Gregori Czerkinsky:xylophone・bongo・tympani
近藤等則:trumpet・mouthpiece
Ray Anderson:trombone
清水靖晃:sax・bass clarinet
中村哲:sax
Robin Thompson:bass clarinet
武川雅寛:violin
稲葉國光:double bass
Nam Jun Palk:voice
ひばり児童合唱団:chorus
藤井丈司:computer programming
produced by 坂本龍一
mixing engineered by 小池光夫・坂本龍一
recording engineered by 小野誠彦・田中信一・小池光夫
● ジャンルを超越した音楽世界!坂本史上最もアカデミックな完成度を誇る名作
1984年にYMOから解放された坂本龍一の新しい船出として、YMO散開前から構想を練っていた作品群を遂に完成しリリースされたのが本作です。YMO在籍時のソロ作品は「Thousand Knives」や「B-2 Unit」、またはシングル「War Head」のように直球ど真ん中のコアなシンセミュージック、実験的なエレクトロニック(テクノ)ポップという作風でYMOリスナーの耳を楽しませてきましたが、もともとは芸大卒のアカデミックな作曲家である彼の才能からするとそれはほんの一面に過ぎなかったわけで、YMOという枷がなくなった本作からが本領発揮ということになるでしょう。そして本作ではそのタイトル通りタイプの異なる楽曲をバランス良く収録し、以前のソロ作では潜在化していた彼の守備範囲の広さを知らしめることになります。
これまでの作品では個人作業が多くマルチプレイヤーとしての側面も垣間見せた坂本ですが、本作では彼の人脈を生かした国内外のクセ者豪華ミュージシャンが終結し、坂本の多彩な音世界を巧みに、そして忠実に表現しています。作風も当然のことながらシンセサウンドが中心ではあるものの、典型的なテクノ感覚は影を潜め、本来のアカデミックで多彩な音楽性が表面化し、それが「ETUDE」のようなジャズ~フュージョンテイストや、「M.A.Y. IN THE BACKYARD」「REPLICA」のようなミニマルミュージック、「森の人」「きみについて・・・」などの朴訥なヴォーカルを生かした歌モノなど、まさしく坂本楽曲の図鑑と言ってもよいよりどりみどりな内容となっています。YMOの3人の中で高橋幸宏や細野晴臣がYMOの呪縛に逃れられないがごとく「Wild & Moody」やF.O.Eの結成といったようにテクノポップの続編的な内容の作品をリリースしたのに対して、坂本はいち早くテクノの呪縛から逃れて独自の音楽世界を追求して順調に作品をリリースし続けていくことになります。と言いながら次作は「未来派野郎」という坂本式テクノミュージックの傑作を生み出すわけですが・・。
<Favorite Songs>
・「SELF PORTRAIT」
素直で真摯さを感じさせる泣きのメロディが光るインストゥルメンタルの名曲。シンプルな高橋幸宏のドラミングが安心感を与え、後半のピアノソロの美しさはノスタルジーを漂わせます。転調してマイナー感覚に雰囲気を変化させる部分も巧みです。
・「旅の極北」
重厚なデジタルドラムの音色が印象的なデジタルクラシカルポップインスト。bitの粗いストリングスのサンプルがいい味を出しています。中盤の静かな曲調で光る金属系のシンセ音に代表されるように、クラシカルな印象ながらシンセは大活躍する不思議なイメージの楽曲です。
・「羽の林で」
個性的なパーカッショニストDavid Van Tleghemをフィーチャーした、本作の中でも最もテクノっぽいオリエンタルシンセポップ。ゆったりとした曲調ながらハンドクラップの目立つ緻密なリズムトラックと、民族音楽的なシンセの使い方に彼らしさを感じます。
<評点>
・サウンド ★★★★ (ここまで来ると貫禄というより他はない見事な編曲術)
・メロディ ★★★★ (彼のソロ作品の中では群を抜いてポップな楽曲が揃う)
・リズム ★★★★ (幸宏ドラムだけでなく打ち込み系リズムの音色も秀逸)
・曲構成 ★★ (10~12はボーナストラック扱いなのがもったいない)
・個性 ★★ (坂本の力量は示したが各々の質は高いだけに散漫さも)
総合評点: 8点
坂本龍一:vocal・keyboards・bass・drums・digital drums・percussion・computer programming
1.「TIBETAN DANCE」 曲・編:坂本龍一
2.「ETUDE」 曲・編:坂本龍一
3.「PARADISE LOST」 詞:坂本龍一・Peter Barakan 曲・編:坂本龍一
4.「SELF PORTRAIT」 曲・編:坂本龍一
5.「旅の極北」 曲・編:坂本龍一
6.「M.A.Y. IN THE BACKYARD」 曲・編:坂本龍一
7.「羽の林で」 詞・曲・編:坂本龍一
8.「森の人」 詞:矢野顕子 曲・編:坂本龍一
9.「A TRIBUTE TO N.J.P.」 曲・編:坂本龍一
10.「REPLICA」 曲・編:坂本龍一
11.「マ・メール・ロワ」 曲・編:坂本龍一
12.「きみについて・・・・・・」 詞:糸井重里 曲・編:坂本龍一
<support musician>
井上憲一:electric guitar
大村憲司:electric guitar
山下達郎:electric guitar・voice sample
吉川忠英:acoustic guitar
Simon Jeffes:cuatro
高水健司:bass
細野晴臣:bass
高橋幸宏:drums
山木秀夫:drums
金丸コウジ:backwards piano
高橋鮎生:koto sample
David Van Tleghem:percussion
浜口茂外也:percussion
ヤン富田:steel drums
Gregori Czerkinsky:xylophone・bongo・tympani
近藤等則:trumpet・mouthpiece
Ray Anderson:trombone
清水靖晃:sax・bass clarinet
中村哲:sax
Robin Thompson:bass clarinet
武川雅寛:violin
稲葉國光:double bass
Nam Jun Palk:voice
ひばり児童合唱団:chorus
藤井丈司:computer programming
produced by 坂本龍一
mixing engineered by 小池光夫・坂本龍一
recording engineered by 小野誠彦・田中信一・小池光夫
● ジャンルを超越した音楽世界!坂本史上最もアカデミックな完成度を誇る名作
1984年にYMOから解放された坂本龍一の新しい船出として、YMO散開前から構想を練っていた作品群を遂に完成しリリースされたのが本作です。YMO在籍時のソロ作品は「Thousand Knives」や「B-2 Unit」、またはシングル「War Head」のように直球ど真ん中のコアなシンセミュージック、実験的なエレクトロニック(テクノ)ポップという作風でYMOリスナーの耳を楽しませてきましたが、もともとは芸大卒のアカデミックな作曲家である彼の才能からするとそれはほんの一面に過ぎなかったわけで、YMOという枷がなくなった本作からが本領発揮ということになるでしょう。そして本作ではそのタイトル通りタイプの異なる楽曲をバランス良く収録し、以前のソロ作では潜在化していた彼の守備範囲の広さを知らしめることになります。
これまでの作品では個人作業が多くマルチプレイヤーとしての側面も垣間見せた坂本ですが、本作では彼の人脈を生かした国内外のクセ者豪華ミュージシャンが終結し、坂本の多彩な音世界を巧みに、そして忠実に表現しています。作風も当然のことながらシンセサウンドが中心ではあるものの、典型的なテクノ感覚は影を潜め、本来のアカデミックで多彩な音楽性が表面化し、それが「ETUDE」のようなジャズ~フュージョンテイストや、「M.A.Y. IN THE BACKYARD」「REPLICA」のようなミニマルミュージック、「森の人」「きみについて・・・」などの朴訥なヴォーカルを生かした歌モノなど、まさしく坂本楽曲の図鑑と言ってもよいよりどりみどりな内容となっています。YMOの3人の中で高橋幸宏や細野晴臣がYMOの呪縛に逃れられないがごとく「Wild & Moody」やF.O.Eの結成といったようにテクノポップの続編的な内容の作品をリリースしたのに対して、坂本はいち早くテクノの呪縛から逃れて独自の音楽世界を追求して順調に作品をリリースし続けていくことになります。と言いながら次作は「未来派野郎」という坂本式テクノミュージックの傑作を生み出すわけですが・・。
<Favorite Songs>
・「SELF PORTRAIT」
素直で真摯さを感じさせる泣きのメロディが光るインストゥルメンタルの名曲。シンプルな高橋幸宏のドラミングが安心感を与え、後半のピアノソロの美しさはノスタルジーを漂わせます。転調してマイナー感覚に雰囲気を変化させる部分も巧みです。
・「旅の極北」
重厚なデジタルドラムの音色が印象的なデジタルクラシカルポップインスト。bitの粗いストリングスのサンプルがいい味を出しています。中盤の静かな曲調で光る金属系のシンセ音に代表されるように、クラシカルな印象ながらシンセは大活躍する不思議なイメージの楽曲です。
・「羽の林で」
個性的なパーカッショニストDavid Van Tleghemをフィーチャーした、本作の中でも最もテクノっぽいオリエンタルシンセポップ。ゆったりとした曲調ながらハンドクラップの目立つ緻密なリズムトラックと、民族音楽的なシンセの使い方に彼らしさを感じます。
<評点>
・サウンド ★★★★ (ここまで来ると貫禄というより他はない見事な編曲術)
・メロディ ★★★★ (彼のソロ作品の中では群を抜いてポップな楽曲が揃う)
・リズム ★★★★ (幸宏ドラムだけでなく打ち込み系リズムの音色も秀逸)
・曲構成 ★★ (10~12はボーナストラック扱いなのがもったいない)
・個性 ★★ (坂本の力量は示したが各々の質は高いだけに散漫さも)
総合評点: 8点
テーマ : 本日のCD・レコード - ジャンル : 音楽
コメント
No title
Re: No title
PATTAYAさん、はじめまして。
新年早々当ブログにお越し下さりありがとうございます。
84年で大学生ですか・・・かなり先輩の方なんですね。
私は当時はまだまだCDという媒体は知りませんで、レコードプレイヤーも手元にないので、「音楽図鑑」はカセットテープで買い求めたのです。
当時「きみについて」はカセットのみ収録だったので、少々お得感があったのを覚えています。
新年早々当ブログにお越し下さりありがとうございます。
84年で大学生ですか・・・かなり先輩の方なんですね。
私は当時はまだまだCDという媒体は知りませんで、レコードプレイヤーも手元にないので、「音楽図鑑」はカセットテープで買い求めたのです。
当時「きみについて」はカセットのみ収録だったので、少々お得感があったのを覚えています。
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新春、実家で、戯れに「有賀啓雄」で検索をかけていたところ、こちらのブログに辿り着きました。
84年、当時私は大学生、、、CDの黎明期でもあり、「音楽図鑑」は私が初めて買い求めたCDの一枚でもありました。
教授が、サウンドストリート内で、リスナーからジャケットの「龍」の字が一画多いと指摘され、「えっ!?そんなことはないでしょ。。。」ととぼけていたのが懐かしいく思い出されます。。。